DHLが税関で遅れる理由とは?関税の計算方法も詳しくご紹介!

個人輸入やせどりでDHLを使う方も多いでしょう。DHLは国際宅配便業界では世界トップの大企業のため、優れたシステムが数多くあります。

ところが、そんなDHLでも荷物の到着が遅れることがあるので注意が必要です。もちろんそれは天候不良や不慮の事故など、やむを得ない理由によることもあります。しかし、決してそれだけではなく、税関が関わるケースも少なくありません。

そこで今回は、DHLの商品が遅れる理由や輸入の際に不可欠な関税の計算方法などについて注意点を含めて詳しくお伝えします。これからDHLで輸入を考えている方は、ぜひチェックしてください。

目次

DHLを使っても税関で止められる理由

DHLを使っているから安心、と思いきや税関でストップがかけられるケースはいくつかあります。知らないと寝耳に水で驚きますが、気をつけないと法に触れるケースもあります。そこで良くあるパターンとして食品衛生法に該当するケースを見ていきましょう。

食品衛生法とは?

税関でストップがかかるケースとしてよくあるのが、食品衛生法の規律に引っかかるパターンです。これは、販売目的や営業上使用するすべての食品、添加物、器具、容器包装または乳幼児のおもちゃの輸入について、厚生労働大臣に届け出なければならない旨を定めた法律です。

食品はわかるにしても、容器や乳児用のおもちゃについては盲点になることもあるので、注意が必要です。

販売目的を疑われる場合

個人使用ではなく、税関で販売目的と判断された場合は、メールや電話などで直接問い合わせがあります。

そして、その後の選択は、「通関」か「破棄」かの二つ。つまり、あくまでも輸入を希望するので通関手続きをしたいと要請するのか、すべて処分してもらうかのどちらかということです。

このケースで通関を要求すると、費用が万単位でかかるだけでなく、長ければ数カ月に及ぶことさえあります。もちろん輸入できる保証もないので、散々待たされたうえ泣き寝入りというパターンも大いにありえます。よって、本当にそこまでして入手したい代物か、よく考えましょう。

下手にリスクを負いたくなければ、食品衛生法にひっかかりそうなものは、販売目的で輸入しない方が無難です。

どうしても輸入したい場合

食品衛生法で規律されている商品を輸入したい場合は、検疫所で食品衛生監視員に「食品等輸入届」を交付してもらって、税関で確認を受ける必要があります。なお個人用または試験研究用の場合は、この限りではありません。

迷う場合は、厚生労働省検疫所に事前相談しましょう。連絡先は以下のリンクを参照ください。

参考:1802 食品生成法に基づく輸入規制の税関における確認内容 – 税関

なぜ検査に引っかかる場合とそうでない場合があるのか

実は、同じ品目を輸入しても税関の検査に引っかかる場合とそうでない場合があります。その理由や検査に引っかかった時の対処法を見ていきましょう。

検査はランダムに行われている

通関時に検査されるパターンとそうでないパターンがあるのは、すべての荷物の中身を見ているわけではないからです。税関を通過する海外からの荷物はおびただしい数にのぼるので、すべてをいちいち確認していると、税関職員がいくらいても足りません。そこで、数ある荷物の中からランダムに検査対象を決めているのです。

その数や確率は定かではありませんが、万一その検査対象に当たった場合は、予定より荷物の到着が遅れます。

もしも検査対象になったら

先ほどの検査についてもう少し掘り下げると、厳密にはノーチェックで通関するわけではありません。必ずインボイスはチェックされます。そして、その中の一部は、インボイスと中身が本当に一致しているかを確認するため、抜き打ち検査が行われるのです。

そうしなければ、密輸し放題になってしまいます。よって、検査対象になった場合、荷物の到着は遅れますが、これも違法品目から日本を守るためと思って割り切って待ちましょう。やましいことをしていなければ、遅れる以外何も咎められることはないので、堂々としていてください。

というのもこれについてはとりたてて有効な対策はなく、ただ待つしかないというのが現実だからです。

DHLからの連絡で確認できる場合も

通関が遅れる場合、DHLから直接連絡がくることもあり、その場合は現場の様子がある程度確認できるかもしれません。

しかし、このケースは、インボイスの内容と荷物の中身とが異なる場合の問い合わせとしての意味もあるので、この手の質問に対しては誠実に真実を述べる必要があるでしょう。その上でDHLに対応を任せるしかないため、質問には速やかに応答するように心がけましょう。

関税の計算とDHLでの関税の支払方法

海外からの輸入品については、個人利用、販売目的の別に関係なく関税が課されます。この章では、その関税の考え方や計算方法、さらにDHLによる関税の代理支払について解説しましょう。

関税の考え方

輸入の目的には、大きく分けて個人利用目的商用目的の2つがあります。

ここで重要なのは、関税は個人利用目的の場合と商用目的の場合とでその計算方法が異なる点です。ちなみに、知人や恋人にプレゼントしたり、誰かと共同購入した場合でも商用目的とみなされるので注意してください。

関税は課税価格に関税率を掛け合わせて算出しますが、これは商用目的の場合です。個人利用目的の場合は、課税価格の60%に対してしか関税がかかりません。つまり、個人利用の方が優遇されているのです。

具体的には個人利用の場合、「課税価格 × 0.6」に対してさらに関税率(後述)を掛け合わせて関税を算出します。

さらにここに「輸入消費税」もセットで課税されます。輸入消費税は、課税価格に関税を足した額に消費税(10%)を掛け合わせて算出します(百円未満は切り捨て)。

関税率と関税の計算方法

関税は、課税価格に関税率を掛け合わせて計算します(百円未満は切り捨て)。

関税率は、各品目について細かく規定されていますが、課税対象額が20万円以下の場合は、一般の関税率より低く設定された簡易税率(下記URL参照)が適用されます。なぜなら本来の関税率は、9000品目以上について細かく規定されており、これを各品目ごとに適用するのは、課税する側もされる側も大変だからです。

ちなみに課税価格は、輸入商品の価格に運賃と海上保険料をプラスした金額ですが、個人輸入の場合は、運賃と海上保険料は含まれません。

また、関税は課税価格が10,000円以下の場合は免税されます。よって個人輸入の場合、課税価格が16,666円以下なら、これに60%をかけると9999.6円となり、10,000円を切るので、関税は1円もかかりません。この数字は覚えておくと得でしょう。

参考:実行関税率表(2023年4月1日版) – 税関

参考:少額輸入貨物の簡易税率 – 税関

通関手数料もかかる

DHLには、運賃を支払いますが、さらに通関手数料も加えて請求されます。

具体的には「1,000円(+消費税)」か「関税 + 輸入消費税の合計の2%」のどちらか高い方になります。

関税はDHLが立て替えてくれる

関税と輸入消費税は、DHLが立て替えたうえで配送してくれます。そして料金と共に荷受人に請求されます。DHLのアカウントを持っていればクレジット払いができるのでとても便利です。

クーリエとEMSの違いを知っておこう

DHLは、一般的にクーリエ(国際宅配便)とも呼ばれています。扱う範囲は海を越えてグローバルですが、日本のクロネコヤマトや佐川急便のようなドア・トゥ・ドアの宅配サービスの国際版というとわかりやすいでしょう。

ところで、そんなクーリエですが、EMSとしばしば比較されます。この章では、クーリエとEMSの違いについて具体的に解説します。これを覚えておいて上手く使い分けるとお得で便利です。

EMSとは?

クーリエはDHLを代表とする民間企業ですが、一方のEMSは公的機関になります。具体的には、世界120以上の万国郵便連合に加盟している国と地域の郵便事業者(日本の場合は、日本郵政)が行っている国際輸送サービスです。

クーリエとEMSでは、「通関業務」「送料と関税の支払い」「料金や配送スピード」「重量制限」「保険」といった項目でそれぞれ特徴と違いがあるので、以降の項目で解説していきます。

通関業務

通関業務については、すでに述べたようにDHLのようなクーリエでは、関税や輸入消費税の支払いも含めて一任できます。お抱えの通関士がいるため、発送側も荷受人も一切かかわる必要はありません。

一方EMSは、国際郵便扱いのため、そもそも通関業務そのものがありません。ただし、内容物が20万円を超える場合は通関手続きが必要になります。

送料と関税の支払い

クーリエの場合、送料と関税の負担は、発送人と荷受人のどちらでも構いません。あらかじめ決めて申告しておくと、そちらに請求が行くようになっています。
例えばクリスマスプレゼントとして送りたいのに、着払いというのはおかしな話です。それに加えて関税や輸入消費税、通関手数料まで荷受人が支払うとあっては、プレゼントとしては興ざめでしょう。その点、クーリエなら融通が利くので便利です。

一方EMSは、送料については発送人、関税や輸入消費税については、荷受人と決まっています。よって、自費で輸入する場合は良いかもしれませんが、輸出する場合は、関税などを相手方に負担させてしまうことになります。よって、そのような場合は、通関経費を選べるクーリエの方が安心でしょう。

料金と配送スピード

クーリエは料金は割高ですが、配送スピードは速いです。例えばアジア圏内はもちろん、アメリカからでも最短1日で到着することもあります。よって、せどりや転売などで急ぎの場合には大変便利でしょう。加えてDHLは220の国と地域に拠点があるので、EMSのほぼ倍のエリアを網羅しています。その点も大きなメリットといえるでしょう。

一方EMSは、料金が安いものの、配送スピードの点ではクーリエに劣ります。例えば、クーリエなら2~3日で届くところ、遅ければ1週間ほどかかるケースがあります。よって、キャリアによって料金プランには違いがありますものの、安さをとるならEMS、スピード重視ならクーリエと覚えておくと良いかもしれません。

重量制限

重量については、EMSは30kgが限界(一部20kgの場合もあり)ですが、クーリエの場合は、70kgが上限の目安です。ただし、DHLについては1,000kgまでOKです。さすがに個人輸入でここまでは必要ないでしょう。しかし、せどりや転売ならありえるかもしれません。いざという時の強い味方といえるかもしれません。

保険

保険については、EMSには、損害賠償制度が用意されています。具体的には、とくに手続きを行わなくとも2万円以上の価値がある荷物に対して不慮の事故の場合に最大200万円まで補償されます。

一方、クーリエの場合は、配送料金に保険は含まれていないケースがほとんどです。よって、オプションとして申請する必要があります。

例えばDHLなら運送状1枚につき、2,500円または申告金額の1.2%のいずれか高い方を払うと保険適用を受けられます。ただし補償額は、重量によって異なり、1kgに対して約3,250円です。よって10kgなら約32,500円しか支払われないため、物によってはEMSの方が断然お得でしょう。

まとめ

今回の記事では、DHLで荷物が届かない理由や関税の計算方法について解説してきました。

DHLは、世界220の国と地域に拠点を持つ世界トップクラスの国際宅配業者です。航空便だけでなく、船便や鉄道便まで手掛けているので、ほとんどの国からドア・トゥ・ドアで届けてもらえる大変便利なプラットフォーマーです。

しかし、そのDHLをもってしても不慮の事故や天候不良による遅延は避けられません。さらに税関の検査などによって足止めをくらうと、当然荷物の到着は遅れます。この影響を少しでも軽くするには、輸入規制品目や輸入禁止品目には手を出さないことです。場合によっては法に触れますし、解決するまでに多くのお金と時間が無駄になります。

記事内でご紹介したクーリエとEMSの違いや関税の計算方法や免税される課税金額などをしっかり覚えておけば、とくにこれから海外品の輸入を始めたい方には大いに役立つに違いありません。そして少しでもトラブルをなくし、快適な輸入ショッピングをお楽しみください。

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この記事を監修した人

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