無在庫転売の違法性|違法になるケースと安全に販売する方法

一般的な転売には常に不良在庫を原因とする赤字リスクが付きまといます。
しかし、無在庫転売にはこのようなリスクがありません

そのため、無在庫転売は物販初心者でも稼ぎやすいビジネスとされています。

しかし、無在庫転売は多くのプラットフォームで禁止されています。また、扱う商品や行為によっては違法になる場合もあります。

今回は、無在庫転売の特徴と違法性について詳しく解説します。

目次

無在庫転売の仕組み

一般的な転売(有在庫転売)は以下のような流れで進みます。

1.リサーチ
2.仕入れ
3.出品
4.注文発生
5.梱包、発送

注文が発生しなければ、仕入れにかかった費用はそのまま赤字になってしまいます。

無在庫転売は仕入れが後

それに対して、無在庫転売の流れは以下のようになっています。

1.リサーチ
2.出品
3.注文発生
4.仕入れ
5.梱包・発送

注文が確定した商品のみを仕入れるため、赤字のリスクがありません。

購入者から見た無在庫転売

無在庫転売は販売者にとっては非常に魅力的な手法ですが、購入者からするとあまり良いものではありません。

なぜなら、注文発生後に仕入れるため、発送に時間がかかるからです。最悪のケースでは、仕入れに失敗して取引がキャンセルになることもあります。

無在庫転売は違法か

結論から言うと無在庫転売は違法ではありません。

しかし無在庫転売をしている人の中には、法に触れる販売方法をとっている人が少なからずいるため、世間一般的に無在庫転売に悪いイメージがついています。

扱う商品によっては、行政の許可や届出を出さずにECサイトなどで無在庫転売をしてしまうと違法行為になります。

逆に言えば必要な許可や届出を出していれば、何の問題もなく無在庫転売をすることができます。

せどり・転売屋は違法か

無在庫転売と混同されることの多いせどり・転売屋ですが、世間からはあまり良いイメージを持たれていません。

しかし、せどりや転売屋も必要な許可や届出を出していれば違法ではありません。

せどり・転売屋は違法ではないのに、なぜ悪いイメージを持たれているのでしょうか?せどり・転売屋の意味を紹介したのち、なぜ悪いイメージを持たれているかを解説します。

せどり・転売屋とは

せどりとは、商品を安く仕入れて高く売ることで、利益を出す販売行為のことを言います。古くは二束三文で売られていた古本を安く仕入れて、適正価格で販売して利益を上げていたことが由来です。

転売屋について、仕入れ額と販売額の差額で利益を上げる点はせどりと同じです。ただし、転売屋は限定品などの価値ある商品を、転売目的のために大量に仕入れるなどしていることがあります。

無在庫転売・せどり・転売屋が悪いイメージを持たれている理由

近年ECサイトなどのインターネット環境が普及したため、無在庫転売・せどり・転売屋などの取引がオンラインのみで完結できるようになりました。

そのため誰でも簡単に無在庫転売・せどり・転売屋として活動できるようになりました。

しかし正しい知識を持たずに参入した人達が、以下のような違法行為をするようになっているのが現状です。

  • 税申告をしない
  • 商標登録をしている商品の無断販売
  • 必要な届出や許可を得ずに販売する

これらの違法行為がマスコミに取り上げられ、無在庫転売やせどり、転売屋の違法行為のみが世に広まったため、一般的に悪いイメージが定着しています。

無在庫転売のメリット

販売者にとっての無在庫転売のメリットには、大きく分けて2つあります。

不良在庫を抱えるリスクがない

一番のメリットは不良在庫を抱えるリスクがないことです。
在庫を管理する倉庫が必要ないので、赤字になることもありません。

そのため、リサーチも最低限で済みます。有在庫転売の場合はしっかりリサーチしないと赤字になりますが、無在庫転売は適当に出品しても赤字にはならないからです。

また、リスクがないため実験的に幅広い商品を扱えます。そのため、無在庫転売はブルーオーシャンを見つけやすい販売手法となっています。

資金0円からでも始められる

仕入れの際にクレジットカード決済など、後日請求される決済方法を利用すれば、商品代金を受け取ってから仕入れ代金の支払いができます。
したがって、無在庫転売は資金0円から始められるビジネスなのです。

無在庫転売のデメリット

しかし、無在庫転売も良いことばかりではありません。販売者にとってのデメリットを2つ紹介します。

トラブルが起きやすい

無在庫転売は発送が遅れるため、クレームが寄せられやすくなります
無在庫転売が禁止されたプラットフォームで無在庫転売した場合、通報されればアカウント停止処分になる恐れもあります。

また、仕入れに失敗するリスクもあります。出品時には仕入れ先に在庫があった商品が、注文発生後に売り切れていることは決して珍しいことではありません。仕入れに失敗した場合は、取引をキャンセルしなければいけません。

出品者都合によるキャンセルは、Amazon・ヤフオクなど、多くのプラットフォームで最低評価のペナルティが課せられます。キャンセルの仕方を間違えると、購入者に訴えられる危険さえあります。

ライバルが多い

無在庫転売は誰でも資金0円で始められるため、無在庫転売しやすい商品はライバルが非常に多くなってしまいます。
未開拓市場を見つけてもすぐ飽和してしまいます。

ライバルが多いと価格競争が起きやすいため、利益率が下がってしまいます。

無在庫転売の違法性

無在庫転売をすること自体は違法ではありません。

その証拠に、BUYMAなど、公式に無在庫転売を認めているプラットフォームも存在します。

しかし、場合によっては違法となります。

古物商許可を持たずに中古品転売

自分の不用品を転売する分には何も資格は必要ありませんが、
事業として中古品を仕入れて定期的に販売する場合は、古物商許可が必要です。

古物商許可がない状態で中古品転売事業をした場合、古物営業法違反により3年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課せられます。

古物商許可は所轄の警察署に19,000円を払って申請すれば取得できます。申請に必要な書類は役所でもらえます。

画像の無断転載

違法であるという認識を持っている人は少ないですが、画像の無断転載は立派な違法行為となります。

転売ビジネスをする際、商品ページに使う画像を他社サイトから無断転載する人がとても多くいます。しかしこれは違法行為に当たりますのでやめましょう。

ポイントは無断で転載するということです。相手の許可があれば転載しても違法にはなりません。どうしても画像を転載したい場合は、相手の許可を取るようにしましょう。

食料品や薬品の販売

ネットで食料品や医薬品を販売するためには下記の資格や要件が必要です。

食料品は

  1. 食品衛生法に基づく営業許可
  2. 食品衛生責任者

医薬品は

  1. 登録販売者の資格(筆記試験のみ)
  2. 試験前後の実務経験が通算二年以上

これらの資格がない場合、販売することができませんので注意しましょう。

注文された商品と違う商品の発送

仕入れ先も無在庫転売をしている場合、さまざまな問題が発生する可能性があります。

注文した商品とは違う商品が届いたり、そもそも仕入れ先の商品ページの内容が誤っていることもあるため、なるべく信頼できる仕入れ先から商品を仕入れるようにしましょう。

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仕入れ失敗による商品未発送

商品の仕入れに失敗したにもかかわらず商品代金を返金しないまま放置していると、債務不履行責任としての損賠賠償を請求される恐れがあります。

仕入れできない商品の出品

仕入れが困難・非常に難しいと分かっている商品を出品した場合は、債務不履行責任だけでなく詐欺罪に問われる恐れも生じます。

詐欺罪で有罪になると10年以下の懲役が課せられます。
事前にリサーチをしっかりして、仕入れが可能な商品のみ出品するようにしましょう。

契約違反

法的には問題がなくても、販売先のプラットフォームで無在庫転売が禁止されている場合は、規約違反により販売停止・アカウント凍結などの処分が下されます。

前述の通り、Amazon・ヤフオク・メルカリなどの大手ECモールでは「手元にない商品の出品」が固く禁じられています。

法律で販売禁止とされている商品を販売する

無在庫転売に限ったことではありませんが、法律で販売禁止とされている商品を販売することは違法行為に当たります。以下の商品などは違法にも関わらず、ネット上で取引がされている商品です。

  • 違法薬物
  • 商標権や著作権侵害に該当するコピー商品
  • IDの売買
  • 薬品など
  • チケット類

危険ドラッグなどの違法薬物は、所持しているだけでも逮捕されますので注意しましょう。

また商標権侵害に関しては、パロディ商品はもちろん、ブランドのロゴが入ってるだけでも違法行為に当たりますので、コピー商品やそれに近い模倣品なども扱わないようにしましょう。

利益目的のチケット売買や、無許可での薬品販売も禁止されていますので、取り扱わない方がいいでしょう。

また近年ではメルカリやヤフオク!などの、IDやアカウントの売買で逮捕されるケースもあります。安易にIDやアカウントの取引を行わないように気をつけましょう。

無在庫転売がばれる可能性

もちろん、ECモールの運営会社も出品者の在庫を直接確認することはできません。そのため、「バレなければ大丈夫」と思っている人は非常に多くいます。

しかし、発送遅延や注文キャンセルが相次いだり、購入者からのクレームが多いと、仮に無在庫転売をしていなくても無在庫転売とみなされてアカウント停止になることもあります。

また、新規アカウントで大量出品した場合も、無在庫転売の疑いをかけられる恐れがあります。

アカウント停止後の無在庫転売について

無在庫転売の疑いをかけられてアカウントが凍結されても、最近のプラットフォームは簡単に新規アカウントを作成できるため、転売自体は継続できます。

しかし、一度ペナルティを受けたにもかかわらず、新規アカウントでも再び無在庫転売をやってしまった場合、偽計業務妨害罪や不正アクセス防止法違反になる可能性があります。

偽計業務妨害罪は3年以下の懲役または50万円以下の罰金、不正アクセス防止法違反は3年以下の懲役か100万円以下の罰金が課せられます。

転売すると違法になる商品

また、扱う商品によっても違法になるケースがあります。以下の2つの商品は無在庫・有在庫かかわらず転売すれば違法となります。

チケット高額転売

チケットを転売する行為自体は違法ではありません。その証拠に、チケット転売に特化したECサイトもあります。

しかし、最初から転売目的で買ったチケットの販売は違法になります。「転売目的」とみなされる基準は販売価格です。チケットを購入価格以上の価格で転売した場合は「転売目的で購入した」とみなされ違法になります。しかし、購入価格以下の価格で販売した場合は「自分で使用する目的で購入したチケットを他人に譲った」とみなされ合法となります。

偽物の販売

また、ブランド品などの偽物を転売すると、商標権の侵害行為に該当します。商標法に基づき、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が課せられます。

無在庫転売で過去に逮捕された事例

無在庫転売をして過去に逮捕された事例を紹介します。

アカウントの不正売買

2017年にメルカリのアカウントを不正取得し、取得したアカウントの売買を行ったとして、2人の男性が逮捕されました。

メルカリでは規約違反によりアカウント停止となる人が増加しており、それに伴いアカウントの売買も増えています。

しかし売買目的でのアカウント取得は法律で禁止されていますので、アカウントの不正取得は絶対にしないように気をつけましょう。

後払いで商品を注文し、代金を支払わなかった

2017年に通販サイトで販売されている商品を後払いで注文し、代金を支払わずにだまし取っていた詐欺事件です。

手元に資金がなくても商品を購入できる後払いは便利な支払い方法です。しかし虚偽名義で商品を後払いで注文し、代金を支払わないという違法行為をする人が年々増えています。

後払いは便利ですが、後払いで注文した商品の支払いを忘れてしまうこともあります。法律に触れないように、仕入れと販売の方法には注意が必要です。

安全に無在庫転売する方法

以上に見てきたように、安易な気持ちで無在庫転売を行うのはリスキーです。そこで、安全に無在庫転売するコツをいくつか紹介しますので、是非覚えておいてください。

無在庫転売に特化した仕入れ先を使う

Amazon・ヤフオク・メルカリなど、無在庫販売が禁止されたプラットフォームでどうしても無在庫転売をしたい場合は、無在庫転売に特化した仕入れ先を利用しましょう。おすすめの仕入れ先サイトを挙げておきます。

参考:NETSEA

参考:トップセラー

上記のサイトでは、無地のダンボールで商品を梱包して購入者に直送してもらえます。
そのため、発送遅延が緩和され、購入者に無在庫転売がばれる危険も少なくなります。
納品書もあなたの名前で作成してもらえます。

無在庫転売OKのプラットフォームで販売する

数は少ないですが、無在庫転売を公式に認めているプラットフォームもあります。海外ブランド品に特化した通販サイト「BUYMA」がその代表例です。

参考:BUYMA

BUYMAでは無在庫転売が公式に認められています。
発送期限は注文発生から18日以内に設定されています。仕入れ先の在庫切れなどの理由で発送まで18日以上かかる場合は、延長申請も可能です。

誠意を持って対応する

無在庫転売で仕入れに失敗した場合は、誠意を持って対応しましょう。

購入者にすぐに連絡して、在庫切れであることを伝えましょう。すでに入金されている場合は迅速に返金してください。銀行振込で返金する場合は、振込手数料などの諸費用はすべてあなたが負担してください。また、代金支払いの際に購入者が手数料を負担した場合は、それも返金しましょう。

ゆくゆくは有在庫転売に切り替える

最初のうちは無在庫転売である程度資金を稼ぎ、売れ筋商品が分かってきたら、有在庫転売に切り替えることをおすすめします。

無在庫転売ができる販売先5選

無在庫転売を許可していないサイトは数多くあるものの、無在庫転売が可能な販売先は複数存在します。無在庫転売を考えている人は以下の5つの販売先を試してみましょう。

  1. BASE
  2. BUYMA
  3. shopify
  4. ebay
  5. 韓国マーケット

BASEで販売する

BASEは初期費用と月額費用が無料のため、初心者や副業で無在庫転売をしたい人にはピッタリのプラットフォームです。

BASEでは無在庫転売も許可されており、複数の仕入れサイトとも連携しています。そのため信頼できる仕入れ先が分からない、無在庫転売をしてみたいけど、どうやって販売しようか迷っている、という人に特にオススメです。

参考:BASE

BUYMAで販売する

BUYMAは「世界を買える」をコンセプトにしたショッピングサイトです。海外のアパレルブランドをメインで扱っているため、これらの商品で無在庫転売を始めたい人にオススメです。

BUYMAも無在庫転売を許可しており、決済方法も多岐に渡るため、世界中の人が利用しています。

ただしBUYMAで商品を販売する場合、出品者が発送作業をする必要があるため、海外在住でなければ販売するのは難しいでしょう。

また日本在住でBUYMAによる無在庫転売をする場合も、アウトレット商品やセール品を仕入れなければ、利益を出すのは難しいでしょう。

参考:BUYMA

shopifyで販売する

shopifyは世界175か国で利用されている、ネットショップ開業のためのプラットフォームです。初期費用はかからず無料お試し期間(14日間)があるため、初心者にも手の出しやすいプラットフォームと言えます。

shopifyは発送から代金の回収までを行う、ドロップシッピングをしてくれる複数のメーカーと提携しているため、そのメーカーと提携するだけで無在庫転売をすることが可能です。

参考:shopify

eBayで販売する

eBayは世界190か国、アクティブユーザー1.8億人以上を誇る世界最大級の越境ECサイト向けのプラットフォームです。

eBayでは無在庫転売は認められていませんが、積極的に取締りはしていません。しかし発送の遅延や間違った商品の発送など、お客様に迷惑をかける行為を続けるとペナルティをかけられることがありますので注意しましょう。

参照:eBay

韓国マーケットで販売する

ライバルの少ない環境で無在庫転売をしたい!という人には、韓国マーケットでの販売がオススメです。

韓国では無在庫転売を行なっても罰則がなくライバルが少ないため、日本でリスクを冒しながら販売するよりもずっと手軽に無在庫転売をすることができます。

韓国のプラットフォームで出品し、発送については発送代行を利用します。慣れれば数時間の作業で利益を出すことが可能です。

無在庫転売は注意が必要

無在庫転売は不良在庫を抱えたり赤字になるリスクがありません。クレジットカード決済で仕入れれば資金0円でも始められます。
しかし、発送遅延や仕入れ失敗のリスクがあるため、多くのプラットフォームで禁止されています。
扱う商品や対応によっては違法になることもあります。十分注意してください。

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この記事を監修した人

ビジネスのノウハウを実践ベースで徹底的に追求するのがアクシグ。
世界で最も専門的で網羅的なコンテンツを提供し、ノウハウを惜しげもなく提供していきます。

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