「ネット販売を始めてみたい」と思いつつも、「何から始めたら良いのかわからない」という人は意外と多いのではないでしょうか。
ネットショップというと、楽天市場やAmazonといったショッピングモールが有名です。ネットショップを始めるには、この手のモールに出店しても良いですし、独自にウェブサイトを立ち上げてもOKです。もっとも、ネットショップの運営経験がないと、どっちを選んだら良いのか迷ってしまいますよね。
そこで今回は、ネットショップの開業に必要なもの、ショップを立ち上げるのに使えるツール、そして楽天とAmazonの概要などを解説します。
こちらの記事を読めば、ECサイトの立ち上げがより身近に感じられるようになるでしょう。
Contents
ネット販売を始める前に必要な準備
ネット通販を始めるには、準備すべきものがいくつかあります。パソコンやスマホだけでは開業できません。以下で、必要なものを見ていきましょう。
パソコンとスマホ、両方準備しよう!
まず必要となるのはパソコンとスマホです。パソコンだけではなく、スマホも用意しましょう。なぜなら、PCだけでなく、スマホでもネット通販を利用する人が増えているためです。
ネット通販を始めるのにパソコンしか用意していないと、需要を取りこぼす危険があります。スマホからの注文にも対応できるよう、受注体制をしっかり整備しましょう。
オフラインで準備すべきもの
続いては、オフラインで準備すべきものです。パソコンとスマホだけではネット通販を開業することはできません。他にも揃えるものがあります。
まずは、プリンターとデジカメです。もし写真や映像にこだわるなら、一眼レフカメラや動画撮影用のビデオカメラ、マイク、三脚等も揃えておきましょう。
また、配送する際の梱包ツール(緩衝材や梱包テープ、ダンボール箱)も欠かせません。
他にも必要なものはある
他にも、ショップのデータを保存しておくためのレンタルサーバーに、ウェブサイトのドメインも必要です。
また、通販業務を円滑に運営するには、在庫に顧客、販売データなどを管理するシステムも必要です。
なお、ショッピングモールへ出店する方法でネットショップを始める場合は、以上のものを準備する必要はありません。
ネット販売をスタート!有料ツールと無料ツールの違いは?
ネットショップを立ち上げるには、ツールが必要です。「ショッピングカートASP」と呼ばれるもので、これを使えば簡単にECサイトを構築することができます。
この「ショッピングカートASP」には有料版と無料版があります。ここでは有料版と無料版の違いについて、次の4つの観点からご紹介します。
・ウェブサイトのスペース容量
・デザインテンプレートの種類
・集客機能
・独自ドメインへ取得の可否
ウェブサイトのスペース容量
まず1つ目は、ウェブサイトのスペース容量の違いです。オンライン上にショップを開設するには、文章や画像など、さまざまなデータを用意する必要があります。ウェブサイトのスペース容量が大きければ大きいほど、それらのデータをたくさん載せることができます。
無料サービスの場合、この「ウェブサイト容量」が制限されているケースがほとんどです。たとえば、クラウド型ホームページ作成サービス「ジンドゥー」の料金プランを見てみましょう。
FREEプラン(無料)
・サーバー容量:500MB
・掲載可能な商品数:5
・帯域幅:2GB
PRO(月額 US10ドル)
・サーバー容量:5GB
・掲載可能な商品数:15
・帯域幅:10GB
BUSINESS (月額 US20ドル)
・サーバー容量:無制限
・掲載可能な商品数:無制限
・帯域幅:無制限
参考:ジンドゥー:料金プラン
無料の「FREEプラン」の場合、掲載可能な商品数が5点までに制限されます。また、どれくらいのアクセスに耐えられるかを示す帯域幅にも制限が課せられています。
そのため、まずは実験的にオンライン通販を試してみたいということであれば、無料版を使うのがよいでしょう。しかし、本格的な展開を予定しているなら、容量が大きい有料版を選ぶのがおすすめです。
デザインテンプレートの種類
2つ目は、デザインテンプレートの種類の違いです。デザインテンプレートとは、ショップを開設する際にショップオーナーが選ぶデザインのことで、用意された選択肢の中からデザインを決められるようになっています。一般的には、無料サービスの方がテンプレートの種類が少ない傾向にあります。
たとえば、「BASE」では、無料のデザインテンプレートは11種類しかありません。
参考:BASE (ベイス)
これに対して、同社の「BASE デザインマーケット」ページを見れば、より優れたデザインのテンプレートが有料(5,000円から13,000円前後)で提供されていることがわかります。
集客機能
ウェブショップを立ち上げるためのツールには、アクセスを増やすための集客機能も用意されています。そして、有料版のほうが無料版よりも多くの機能が用意されている場合がほとんどです。
たとえば、検索エンジン対策(SEO対策)に関する機能について見てみましょう。先ほどの「ジンドゥー」を例にとると、「Business」プラン(月額 US20ドル)を選択すれば、次の3つの付加機能が使えるようになります。
・ページの詳細設定
・リダイレクトURL設定
・カスタムURL設定
また「SEO PLUS」プラン(月額 US30ドル)なら、「Ranking Coach」というSEOツールも使えるようになります。より高い検索結果を実現するための設定ができたり、競合とのSEO比較ができたりと便利なツールです。
集客機能は「検索エンジン対策」だけではありません。たとえば、ソーシャルメディアと連携するためのSNSボタン、口コミが投稿できるレビュー機能、割引のための「クーポン」を発行する機能、お客様へのフォローメールやメルマガを発行する機能などがあります。
無料版で利用できる機能は限定的ですが、有料版なら豊富な機能を使えるようになります。
独自ドメイン取得の可否
4つ目は、独自ドメインを取得できるかどうかです。「(店名).com」のような独自ドメインが用意できれば、「きちんとしたお店」というイメージを醸し出すことができます。しかし、無料版の場合は、独自ドメインの利用が制限されている場合があります。
ネットショップの開業サービスを展開している「STORES」を例に説明しましょう。
参考:STORES
同社には無料で使えるフリープランがありますが、これだと独自ドメインは利用できません。独自ドメインを使いたい場合は、月額1,980円のスタンダードプランに申し込まなければなりません。
無料ツールでネット販売をスタートする!
無料プランと有料プランの違いを見てきました。無料プランには、ノーコストで始められる手軽さがあります。一方、有料プランには豊富な機能が使えるメリットがあります。
もちろん、ご自身の予算と相談してプランを選んでいただけば良いのですが、ここでは無料プランを選ぶべき3つのケースをご紹介しようと思います。
ECサイトを副業として始めたい場合
1つ目のケースは、ECサイトを副業として始める場合です。
副業として始める場合は、使える予算が限られているはずです。また、最初から急に売れるようになるわけでもありません。最初から「月額費用」がかかる有料プランを選んでしまうと、月々のコストが負担になってしまいます。
安心して取り組むためにも、無料のECサイトからスタートするのがよいでしょう。定期的な収益が見込めるようになってきたら、有料版への移行を検討しましょう。
テストマーケティングを実施したい場合
2つ目のケースは、テストマーケティングを実施したい場合です。
テストマーケティングの目的は、本格的に販売する前に顧客の反応を見ること、または、実際の販売を通して生じる課題を発見することにあるはずです。そうであれば、高額な費用を掛ける必要はありません。無料版でも以上の目的を達成することは可能なので、無料版を選んでおけば十分です。
すでにあるウェブサイトにEC機能を加えたい場合
3つ目のケースは、すでにあるウェブサイトにEC機能を加えたい場合です。
本格的なネットショップにする予定であれば、有料版がおすすめです。しかし、既存のウェブサイトにECコーナーを加えたいという程度であれば、機能的にも費用的にも無料版で十分です。
無料版で試してた結果、思ったよりも好評だった場合は、有料版に移行すれば良いでしょう。
BASEを使ってみよう!
無料サービスにはさまざまなものがありますが、手軽に始めたいなら「BASE」がおすすめです。
BASEはECサイト構築サービスの一つです。取引が成立した場合のみ料金が発生する仕組みのため、月額の固定費用がかかりません(ただし、以下の費用は掛かります)。
・BASEかんたん決済手数料(送料を含む合計金額 X 3.6% + 40円)
・サービス利用料(送料を含む合計金額 X 3% )
初心者でも使いやすいのも特徴で、管理画面の指示に従って操作するだけで、簡単にECサイトが構築できます。
マクロミルの調査(2020年2月)によれば、BASEは「直近1年以内にネットショップを開設する際に利用したネットショップ作成サービス」として3年連続で1位となっています。
多くの人が使っているため、操作面でわからないことがあっても、ネットで検索すればすぐに回答が見つかります。
ECの運営に詳しくない人や、ネットそのものに明るくないという人にも、おすすめできるツールです。
参考:BASE (ベイス)
ネット販売なら楽天市場に出店しよう!おすすめの理由は?
ここまでは、ショッピングカートASPと呼ばれるツールを使ってショップを立ち上げるケースを取り上げました。しかし、ECサイトをスタートさせる方法は、それだけではありません。
たとえば、ショッピングモールに加入する方法も考えられます。モールに出店する最大のメリットは、すでにたくさんのユーザーがいる点です。
以下では、そんなモールの中でも特に有名な楽天市場についてご紹介します。
参考:楽天市場
楽天市場のユーザー数や集客力は?
楽天市場がスタートしたのは1997年5月ですが、その後、利用者数4,804万人、2019年9月時点の出店数48,661店、2019年度(2019年1~12月期)の国内EC流通総額3兆9,000億円という巨大ショッピングモールに成長しました。
楽天市場は、ユーザーの購買意欲を刺激するイベントの多さでも有名です。3月、6月、9月、12月に開催される「楽天スーパーセール」や、11月第4木曜日に開催される「楽天ブラックフライデー 」、そして10月の「楽天イーグルス感謝祭」など、さまざまなイベントがあります。
楽天ポイントというポイントサービスも見逃せません。楽天市場だけでなく、楽天の関連サービスでも共通して使えるため、楽天関連サービス利用者が楽天市場で買い物をしたくなる仕組みができています。
たとえば「楽天カード」というクレジットカードや「楽天Edy」という電子マネー、「楽ペイ」という決済サービスなど、あらゆる関連サービスでポイントを貯めることができます。この楽天ポイント経済圏は「楽天エコシステム」とも呼ばれています。
参考:楽天広告の強み
楽天市場の人気ジャンル
楽天市場には48,661の店舗が存在しますが、カテゴリーごとに見てみると、「食品」「日用品雑貨・文房具・手芸」「バッグ・小物・ブランド雑貨」という順に店舗数が多くなっています。
これらのジャンルでは店舗間の競争が激しくなりますが、逆に言えば、それだけ多くのユーザーが求めているジャンルでもあります。したがって、競争に勝つことができれば大きな売上を狙うことができる分野と言えるでしょう。
ネット販売ならAmazonも有力
大手のショッピングモールは楽天だけではありません。続いては、Amazonに出店する場合をご紹介します。
Amazonでは「出店」ではなく「出品」という表現を使います。楽天では自店舗のページを設けるかたちをとりますが、Amazonの場合は、Amazonページの中に自社商品を置くかたちをとるためです。
Amazonのユーザー数と集客力は?
Amazon.co.jp(日本版Amazon)がスタートしたのは、2000年11月のことです。当初はAmazonジャパンによる直販サイトとして始まりました。その後2002年11月に、一般のショップがAmazonに出品(出店)するAmazonマーケットプレイスがスタートしました。
Amazonの最大の特徴は、楽天同様、圧倒的なユーザー数にあります。
そして、もうひとつの特徴は、前述の通り、「出店」ではなく「出品」というシステムを採用していることです。店を作るのではなく、Amazonのページ中に自社商品を設置するという形態です。
現在、Amazonに出品している企業の数は15万社で、Amazonジャパンの売上総額は1兆7440億円(2019年)と公式発表されています。
なお、Amazonが発表する数字は、楽天の数字とは違った観点で分析する必要があります。なぜなら、Amazonの数字は、次の2つが合算されているためです。
(1) Amazonによる直販ビジネスでの売上
(2) 第三者の「マーケットプレイス」での売上に関する手数料収入
そのため、Amazonの流通総額を知るには一定の分析が必要になります。「ネットショップ担当者フォーラム」や「通販新聞社」の推計によれば、流通総額は3兆円規模と見られています。
Amazonへ出品すると良い商品は?
Amazonでは、「ホーム&キッチン」「本」といったジャンルへの出品が多くなっています。その一方で、「ビューティー」等の女性向けカテゴリは手薄になっています。
Amazonで売れている商品については、「Amazon.co.jp 売れ筋ランキング」が参考になります。1時間おきにジャンルごとの順位が発表されるので、取り扱うべき商品を知りたいときはチェックしてみてください。
おすすめのネット販売方法を学んで、EC事業を始めよう!
ネット販売を始めるには、様々な選択肢があります。自社サイトを立ち上げる方法もあれば、ショッピングモールに出店する方法もあります。
また、自社サイトを立ち上げるにしても、開業ツールには有料サービスもあれば無料サービスもあります。
今回の記事を参考に、ぜひご自身のスタイルに合ったオンラインショップを開業してください。