ネットショップを開店するハードルは、以前より間違いなく低くなっています。
誰でも、その気になればすぐにネットショップをはじめられますが、ハードルが下がるのは競争が激しくなるとイコールであり、しっかり下準備をおこなわないと、利益を上げるのは難しい現状もあります。
では、開業するためにはどんな準備が必要なのでしょうか。
経験がないと、どこから手をつければいいのかわからないでしょうし、調べてみると情報が多すぎて、どう整理すればいいのかわからない、というケースもあるでしょう。
ここでは、出来るだけシンプルに、ネットショップをはじめるにはどんな準備が必要なのかをまとめていきます。
Contents
まず、実店舗とネットショップの違いを再確認!
最初に、実店舗とネットショップの違いを再確認しておきましょう。
ネットショップのほうが開業のための準備は簡単ですが、ネットショップならではの注意点もあります。
開店準備、販売方法、決済方法も異なる
お客様に商品を販売する、という点では同じですが、開業・運営に必要なもの、接客などに実店舗とネットショップでは多くの違いがあります。
違いをわかりやすくまとめてみましょう。
【実店舗の開業から販売までの流れ】
1.土地を用意して建物を建てる
2.建物に内装工事を行う
3.商品を仕入れて陳列する
4.お客様が店舗を訪れる
5.商品を手に取り、検討する
6.その場にあるレジで会計をする
ネットショップではどうでしょうか?
【ネットショップ 開業から販売までの流れ】
1.パソコンをインターネットに接続
2.インターネット上のウエブスペースでネットショップを公開するレンタルサーバー(土地)と契約
3.ネットショップのデザイン(内装)。これには専用のシステムが必要な場合も
4.商品をレンタルサーバー上に登録し、商品ページを生成していく。実店舗と違い、ブラウザに映して商品の魅力を伝えるため、商品コピーや写真でアピールする
5.さまざまな広告やSEO、SNSの口コミなどで集客を行う
6.実店舗でのレジにあたるショッピングカートシステムを使い、お客様に個人情報を入力してもらい、決済を完了してもらう
7.決済を確認したら、商品の検品、梱包配送を行う
このように、実店舗とネットショップでは、開業準備に必要なものや商品へのアピール方法、決済方法が変わってくるのです。
インターネット接続から開業までの流れ
1. インターネットへ接続する
ネットショップを開業する最初のステップは、パソコンをインターネットに接続することです。
接続するにはプロバイダー(インターネット接続事業者 )との契約が必要で、ここまでは家庭のインターネット回線で経験している人も多いでしょう。ネットショップの場合、公開するのに必要なスペース(土地)として、レンタルサーバーとの契約が必要になります。
これはプロバイダーが提供してくれる場合もありますが、商用利用の禁止、SSL(個人情報・クレジットカード情報などの大切な情報を暗号化して送受信する仕組み) に対応していないケースも多いため、レンタルサーバーの利用をおすすめします。
2. レンタルサーバーと契約する
ここまで何度かふれてきたレンタルサーバーは、インターネット上にショップを開設する「土地」にあたり、大きく2つにわけられます。
・「専用サーバー」 1つのサーバーを丸ごと利用できる
・「共用サーバー」 複数のユーザーで利用する
それぞれにメリットとデメリットがあります。
専用サーバー(大規模向け) | 共用サーバー(小規模向け) | |
---|---|---|
メリット | 自由度が高いため、さまざまなことができる | 低価格で専用のツールが用意されているので、はじめてでもかんたんに利用できる |
デメリット | 高価格でメンテナンスは自分たちでおこなうため高度な技術が必要 | ほかの利用者の影響を受ける |
初めてのネットショップ開業なら、「低価格」「サーバー管理が不要」というメリットのある「共用サーバー」がおすすめです。
レンタルサーバーの契約と同時に必要なのが、ドメインの取得です。ドメインとは、「xyz.com」や「xyz.co.jp」など、つまりお店のURLで、実店舗なら「住所」といえます。共用サーバー全体で使う場合は「ドメイン」、世界に1つのオリジナルのドメインは「独自ドメイン」「オリジナルドメイン」と呼んでいます。
3. ネットショップのデザイン
開設する場所が決まったら、ネットショップのデザインを行いますが、実店舗なら内装工事にあたります。サイトのデザインが完成したら商品を配置します。レンタルサーバー上に商品のページを作っていき、装飾をしていくのです。
4. ネットショップでの集客と決済
実店舗の場合、お店の前を通りがかったお客様の集客が可能ですが、インターネット上ではそうはいきません。新しくできたネットショップのことを知ってもらうため、広告、SNSでの情報発信が必要になります。
また、実店舗でのレジにある決済方法を選択しなければいけませんし、配送方法や梱包方法の確認も必要です。実店舗での「レジ」にあたる部分をネットショップでは「ショッピングカート」と呼んでいます。
注文確定から発想までの流れ
商品の注文をしたお客様が、銀行振り込み・クレジットカード決済・後払い・代引きなどの決済方法を選択し決済が完了したら、検品・配送となります。
入金を確認し、梱包などを行ったら配送業者に商品を引き渡します。
実店舗の場合、お客様の目の前で梱包しますが、ネットショップだと一連の流れはお客様にはわかりません。
不安になる方がいるかもしれないので、注文を確認したとき、商品を発送したときなど、それぞれの過程でメール等で経過報告すれば、安心してもらえるはずです。
注文確定から発送までの過程で報告するには、自動メール送信などの機能を持つ受注管理システムがあると便利です。
受注管理システムを活用する
前述した受注管理システムとは、ネットショップ運営の作業効率をアップさせるシステムのことです。
1. 「受注」 注文を受ける
2. 「入金の処理」 振込や、クレジットカード決済の処理などの状況確認
3. 「出荷指示」 配送伝票の印刷、メールでお客様にお知らせするなど
以上の3つが主な機能です。
また、商品が売れてくると煩雑になる販売管理業務をサポートするため、納品書・請求書の出力機能などを搭載したサービスもあります。
メリットだけでなくデメリットもしっかり把握する
確認のため、ネットショップと実店舗のメリット、デメリットを整理して表にまとめました。
実店舗 | ネットショップ | |
---|---|---|
販売エリア | 店舗周辺の地域 | 全国・全世界での販売が可能 |
お客様の 安心感 | 直接商品を見て、触って確かめているので、ギャップが少なく安心感がある | 直接商品を見ていないため、写真と実物が違うなどの不安がある |
集客方法 | 口コミ、通りがかったなど、自然にお客様が訪れる(自然集客) | 自然にお客様が訪れることはほぼないため、集客のための施策が必要(メルマガ、ダイレクトメールなど) |
商品の配送 | 基本的に不要 | 商品に合わせた配送方法が必要(大型商品・クール便など) |
営業時間 | 開店時のみ販売が可能 | 年中無休・24時間営業 ※注文を受けるためのシステムがある場合 |
商品の説明や アピール方法 | お客様自身が実際に手にとって判断、試着や試飲もできる | 商品写真や説明文、実際に購入した方からのレビューなどからイメージして判断する |
商品への質問 | 店員に直接質問できる | 電話やメールでの問い合わせ |
開業にかかる 費用 | 外装・内装費ともに高くまとまった資金が必要 | 内装費(ネットショップ作成にかかる費用)のみで、人件費も含めて実店舗より低価格で開業できる |
ネットショップのメリット
1. 営業時間
実店舗と違い、ネットショップは営業時間を気にする必要がありません。
ネットショップは365日24時間営業、システムで対応可能で、お客様は買いたいときに商品を買うことができます。
2. 開店の準備にかかる費用
実店舗の家賃と同様、ネットショップ開店にもレンタルサーバーとの契約など費用はかかりますが、 実店舗と比べれば低予算での開業が可能です。
実店舗の家賃は、広さや立地によりますが、都内なら15万~50万程度、さらに、商品を陳列する什器や棚など必要になります。ネットショップなら、事務所や倉庫は自宅でもよく、陳列する什器や棚も不要です。
また、立地という物理的な制限がないため、全国、海外のお客様にも販売できるし、陳列スペースを考慮しなくてすむため商品数も増やせます。
ネットショップのデメリット
1. 接客
お客様と直接向かい合って対面接客できる実店舗と違い、ネットショップではお客様の顔を見ての販売はできません。商品ページの写真、説明文で購入を判断されます。
アフターサポートも電話やメールが基本になるため、お客様目線のきめ細かな気配りが必要です。
2. 競争
ネットショップには、どうしても価格競争になりやすいというデメリットがあります。お客様は、簡単に他のショップとの比較できてしまうためです。
3. 集客
実店舗のように、お客様がフラっと立ち寄る可能性もないため、計画的な集客も必要になります。リピーターを獲得するためにも、開業当初は集客に力を入れなくてはいけないのです。
売れているネットショップの3つの共通点
では、繁盛しているネットショップにはどんな共通点があるのでしょうか。
3つのポイントに絞って解説していきます。
1.お客様に安心してもらえる情報掲載
・電話番号の表示
ページ内に電話番号を掲載しているショップの購入率は、電話番号を掲載していないショップよりも高くなります。
お客様の立場になると、電話番号が掲載されているほうが「安心できる」となるため、購入率を高めたいなら電話番号の掲載を検討してください。
電話番号を載せると、「問い合わせ対応などの業務負荷が増える」とも考えられますが、お客様の生の声はショップ改善のヒントになると、発想を変えてはどうでしょうか。
・顔写真の掲載
ページ内に店長、生産者、スタッフの写真があるショップの購入率は、写真がないショップより高くなります。
理由は電話番号と同じで、売り手や作り手の顔を出すことでお客様に安心感を与えられるからです。商品だけでなく人の存在があると、単調になりがちなサイトデザインにアクセントをつけられます。
・ショッピングご利用ガイドの表示
ページ内にショッピングご利用ガイド(規約の要約情報)のあるショップの購入率は、表示がないショップより高くなります。
配送情報、決済などお客様が知りたい情報を表示することで、スムーズに購買まで至るようになるからです。
・決済方法の表示
ページ内に決済方法を設定しているショップは、未設定ショップより購入率が高くなります。
これも、お客様の疑問や不安を解消する効果があり、ショップへの信頼感をアップさせることにもつながります。
・後払い決済の導入
決済方法で、後払い決済を導入しているショップは、未導入ショップより売り上げが高くなります。
お客様の立場になると、はじめて商品を購入するショップで銀行振込みやクレジットカードを利用するのは、少なからずの抵抗感があるものです。後払い決済にすれば、商品到着後の支払いが可能なため、安心して買い物ができるというわけです。
ただ、メインはクレジットカード決済、銀行振り込みであり、オプションとして後払いを用意すると考えればいいでしょう。
2.決済の段階で途中離脱させない工夫
売れているショップは、お客様の離脱を防ぐための取り組みもしっかり行っています。
・買い物力ゴボタン
細かなところですが、買い物カゴボタンが離脱防止に関係します。
小さなボタンではマウスカーソルを合わせづらかったり、そもそもボタンに気づかないケースもあるため、大きなボタンを用意すべきです。
単品注文の比率が高いショップは 「すぐに注文する」タイプのボタン、複数商品注文が多いショップは 「いったんカートに入れる」タイプのボタンにしたほうが、購入確率は高くなります。
・決済ページに看板画像
お客様が商品をカゴに入れ、届け先情報を入力するとき、ページ上部に看板がある方が途中離脱は少なくなります。
・決済ページ内のステップ画像
お客様が情報を入力するときに迷わないようにするため、決済ページにはステップ画像を表示したほうが、購入率は高くなります。
・決済ページのフォント・画面幅・色変更
これはデザインの話ですが、決済ページの横幅・文字サイズ・色を変更すると、売上が上がりやすいといわれています。
決済ページの横幅や文字サイズを大きくするだけで、画面が見やすくなり、離脱を防止できるからです。
・購入者情報の入力を省く
お客様にとって、情報入力は面倒な過程なので、できるだけ負担を少なくしたいものです。
例えば、AmazonPayやLINEPayなどの決済方法を導入すれば、購入者の既存アカウントを利用できるので、情報入力を省くこともできます。
これが、新規会員獲得やかご落ち率防止につながるのです。
3.集客対策をきっちり行っている
新規開業した場合、苦労するのは集客ですが、そこで重要になるのがSEO対策です。
お客様の検索に対して、少しでも上の順位に表示されたほうが、ショップを知ってもらう確率は当然高くなります。SEO対策に関して、有料のショッピングカートなら標準機能として搭載しているケースが多いので、思いのほか簡単に対策できます。
標準搭載していない場合、作成したいURLを入れるだけでサイトマップの作成ができ、ファイルをダウンロードできる「sitemap.xml Editor」というツールがあります。
ネットショップについては、中小のECサイトよりも大きなECサイトが利用される背景を調査したデータがあります。
このデータによると、中小のECサイトを利用しない理由として大きいのは「知らないから」です。
大手の場合、ECサイト自体の知名度がありマーケティングや集客も行っているため、出店するなら大手のほうが有利になります。大手のECサイトへの出品が難しい場合、できるたけ情報を開示して、安心して買い物ができるショップであることをアピールする必要があります。
新規で会員登録することを面倒だと感じている方も多く、入力の負担を極力減らすことが、購入につながることも読み取れます。
売れるショップというのは、お客様の不満・不安を知って、それを払拭するような努力、工夫を欠かさないともいえるでしょう。
ショップづくり以外に、開業に必要な手続きもある
レンタルサーバーと契約してネットショップを開業する準備を進めると同時に、事務的な開業手続きも必要になります。
初めて個人事業主になる場合、開業届けを出すとともに、確定申告は青色申告にするかどうかも決めます。
どうしてもショップのデザイン、仕入れに意識が向いて、こうした手続きは抜け落ちがちですが、ポイントを絞って解説していきます。
事業開始から1か月以内に開業届を提出
個人事業主としてネットショップをはじめる場合、開業届を出す必要があります。
これは「個人事業の開業・廃業等届出書」のことで、法律では、事業開始から1か月以内に所管する税務署に届け出ることと決められています。怠っても罰則はなく、そのままにしているケースもあるようですが、確定申告や諸々の手続きで必要なこともあるため、開業届は提出しておきましょう。
なお、開業日は事業をスタートしたと自分が思う日でかまいません。
開業届を提出するとどんなメリットが?
では、開業届を提出すると、ショップ運営に何かメリットがあるのでしょうか。
まず、開業届の控えがあると、銀行で事業用口座が開設しやすくなります。この場合、口座名義は「屋号+姓名」となり、屋号は開業届に記載した名称と同じでなければいけません。
また、個人事業主の場合、毎年の確定申告を自分でやらければいけません。
その際、節税メリットが大きいとされる青色申告を希望するなら、開業届と一緒に申請をしておいたほうがいいでしょう。
青色申告するには、事前に申請が必要になる
青色申告の節税メリットにはいくつかあり、まず、青色申告特別控除(最大65万円)が適用されます。また、家族の給与を経費にできたり、赤字を3年繰り越せるなどのメリットもあります。
このメリットを受けるには、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を出さないいけないので、注意が必要です。
申請期限は青色申告をしたい年の3月15日までですが、開業から2か月以内に申請すれば1年目から青色申告が可能になります。
なので、開業届と同時の申請をおすすめしています。
売れるネットショップを開業する4つのステップ
ネット通販の市場規模は右肩上がりで大きくなり、平成30年度の経済産業省の報告書によると、国内のBtoCのEC市場規模は「約18兆円」となっています。
スマートフォン、SNSの普及、さらに新型コロナウイルス感染防止のため、ネット通販利用が増えており、市場はこれからも拡大傾向が続くと予測されています。
ネットショップを運営する方法も、大手モール型ECサイトへの出店だけでなく、「BASE」のようなネットショップの簡単開業サポートサービスが人気なのも、ネット通販市場が拡大する要因となっています。
確かに以前よりネットショップの開設は簡単になっていますが、利益も簡単に上げられるわけではありません。競争の激しい市場で、売れるネットショップを開業するにはどうすればいいのかみていきましょう。
開業準備と同時に「何を売るのか?」を決めておく
ネットショップを開業することは、目的ではなく手段です。目的は人によってさまざまですが「利益をあげる」を実現しないと、その先には進めません。
継続して利益を上げるショップにするためにも、開業を決めたら、「何を売るか?」を考えてください。
ネットショップビギナーで気持ちだけが先行している方は、特に売る商品を考えたほうがいいでしょう。仕入れ販売するのか、オリジナル製品を販売するのか、考えることはいろいろあります。仕入れ販売は商売の基本ですが、高く売れる商品を安価で仕入れるのは、想像以上にハードルが高いといわざるを得ません。
ネットショップ開業サービスの「BASE」では、仕入れ販売ではなくオリジナル製品を販売している方が多いようです。
自分でデザインした洋服、育てた野菜や花、写真、ハンドメイドのアクセサリー、なかにはセミナーや主催イベントのチケットもあり、いろんなものが販売されています。
仕入れ販売をするにしても、オリジナル商品を販売するにせよ、「どんなものが売れているのか」を、事前にリサーチする必要があります。単純に売れる商品で選ぶと、価格競争巻き込まれる可能性もあるため、ショップのコンセプトに沿った商品を揃えるのが重要です。
ショップ名とコンセプトを決める
ショップ名とコンセプトを決めるのは、売れるネットショップになるために、最も重要な工程ともいえます。
リアルな店舗と違って、インターネットには無数のショップがあり、無数の商品が登録されています。売れる商品、つまり人気のある商品は多くのショップで扱うため、仕入れたものの、価格競争に巻き込まれて、ほとんど利益が上がらない、というケースもあり得ます。
そうならないためにも、ショップ名とコンセプトをきっちり練る必要があるのです。
数多くのショップのなかから、「自分のショップを訪れ、商品を買ってもらう」には、そこに至る理由をお客様にわかりやすく伝えなくてはいけません。それがショップであり、その背後にあるショップのコンセプトです。
どんなお客様に商品を購入していただきたいのか? お客様は、その商品を買うことでどんな価値を手に入れられるのか? こうしたことを検討しながらショップ名とコンセプトを考えていきましょう。難しく考えず、「誰に」「どんな価値を」がはっきりわかるようなコンセプトしてください。
例
「まごスマイル」 孫を持つシニア世代向けのベビー用品ショップ
「北欧、暮らしの道具店」 北欧スタイルの雑貨等を販売するショップ
モール型か、独自ショップ型かを決める
販売する商品とショップを決めたら、具体的な準備が始まります。
ここで考えるべきなのは、モール型にするのか、独自ショップ型にするのか、です。Amazonや楽天のように、多数のショップが集まるショッピングモールに出店するのがモール型で、「BASE」のようなサービスで自分のネットショップを作り、自分で集客するのが独自ショップ型です。
ここでは、資金力に余裕がある場合をのぞいて、独自ショップ型をおすすめします。
モールに出店すると、モール自体が集客力を持つので売りやすそうに思えますが、個々のショップが埋もれてしまい、ブランド化しにくいデメリットがあるからです。多くのショップの中に埋もれ、没個性化すると、モール内での顧客の獲得競争が厳しくなります。広告の出稿、値引きなどが必要になり、資金に余裕がないと、運営を安定させるのは難しくなります。
集客力は独自ショップのデメリットとして語られることも多いのですが、現在では、SNSを使って個人でも簡単に情報発信できるようになっています。SNSの有効活用は、集客につながる、独自ショップならではの強みになっているともいえます。
ネットショップを開業しよう
モール型にするか、独自ショップ型にするかを決めたら、ネットショップの開業は大詰めです。
モール型であれば、運営する会社と契約が必要になります。独自ショップであれば、開業サービスを使いながらショップの開設を行います。
ネットショップサービス、おすすめの5選
最後に、おすすめのネットショップサービスを紹介しておきましょう。
「BASE」 完全無料、スピーディーに出店できる
最初に紹介したいのは「BASE」です。メリットは、スピードとコストパフォーマンスの高さになります。
例えば、実店舗で商品を販売しているところに、「オンラインで販売してもらえないか」という問い合わせがあったとします。
その際、サーバーやドメインの取得は必要なく、完全無料で出店が可能です。ただし、売上げに対して3.6%+40円の決済手数料と、3%のサービス利用手数料がかかります。
「できるだけ簡単ネットショップを開業したい」と考えるなら、まずはBASEを検討してみてください。
「アマゾン」 大口出品と小口出品を使い分ける
日本はもちろん、世界中で利用されているECサイトが「Amazon」です。
Amazon.co.jpが広告面の運用をするため、SEO対策をはじめ集客にそこまで力を入れなくていいのは、大きなメリットといえるでしょう。
出品方法には「大口出品」と「小口出品」の2つがあり、月額4,900円(税別)と販売手数料を支払えば、出店に関するサービスをフル活用できるのが「大口出品」です。「小口出品」では、1件成約するごとに100円と販売手数料がかかります。
モールに出店してネットショップを大きく成長させたいなら大口出品を使い、テスト販売には小口出品を使うなど、使い分けている人もいます。
「楽天市場」 集客力は魅力だがコストもかかる
インターネット最大級のECサイト、「楽天市場」の強みは集客力ですが、運営費が高いと指摘されることもあります。
プランごとの料金は、こうなります。
プランによってSEOの対策が異なるため、最初は「かんばれ!プラン」から始め、軌道に乗ってきたらスタンダードプランに変更する手もあります。
「MakeShop」 他のECサイトへの登録も可能
独自ショップでの出店の大きな不安は「集客」ですが、それを解決してくれるフォロー制度を用意しているのが「MakeShop」です。
月額料金別に「プレミアム(月額10,000円(税別)※長期契約の割引あり」、「エンタープライズ(月額50,000円〜)」とプランが分かれ、どれを選んでも内容は充実していますが、特におすすめなのはプレミアムプランになります。
月額料金の課金なしで、他メディアに商品を登録することが可能なっており、自社サイトに加えて楽天市場などの大型ショッピングモールにも出品できるので、集客の幅が広がります。
「EC-CUBE」 充実したフォロー制度が特徴
有料のサイトテンプレートの購入で、魅力的なサイトを作成できるサービスが「EC-CUBE」です。
サイトのテンプレートが購入できるだけでなく、ECサイトを制作する制作会社を選んで発注すること可能になっています。
テンプレートを購入すると、ショップ運営を円滑に進めるための勉強会、セミナーなどに参加もできます。こうしたフォロー制度の充実が大きな特徴です。
ただ、初心者というよりビジネスとして本格的にやりたい人向けで、クラウド版EC-CUBEは月額費用も7,800~37,800円(税別)と、やや割高になっています。
個人か法人かも頭に入れながら検討しよう
ネットショップを開業するとき、個人か法人化で悩む人がいるかもしれません。
個人の場合も、個人事業主として税務署に開業届を出す人がいれば、あくまでも副業という位置付けで運営を行う人もいます。
また、法人として取り組む場合、登記などを行う必要があり、費用は数十万かかります。
個人と法人では、登録の仕方も税金のかかり方も異なり、法人登録したほうが税金を節約できる場合もあります。
あくまでも目安ですが、年商数百万円であれば個人、1,000万円を超えるなら法人登録したほうがいいといわれています。
そんなことも頭に入れながら、ネットショップの開業を検討してみてください。