輸出ビジネスの起業方法を紹介!個人事業主と法人の違いも併せて解説
輸出ビジネスと聞くと、会社を立ち上げて船を用意して、と大変なイメージを持っている方も多いかもしれませんが、実はそれほど難しくありません。輸出ビジネスの起業は個人でも簡単にできます。
この記事では、輸出ビジネスを始めるための基本的な知識を紹介します。また、法人と個人の違いや、会社を設立して行う場合と個人事業主として行う場合の違いも併せて解説します。
輸出ビジネスは法人でも個人でもできる
輸出ビジネスを始める方法は、大きく分けて2つあります。法人として行う方法と個人事業主として行う方法です。法人・個人それぞれのメリットや違いを解説します。
法人化するメリット
法人化した上で輸出ビジネスを行う大きなメリットは、なんと言っても「税金」を抑えられる点にあります。
個人事業主の場合、利益に応じて所得税と住民税を支払う必要があります。所得金額が195万円以下であれば税率は5%なのに、所得金額が1,800万円を越えるとその超えた部分は40%になってしまいます。
一方、法人の場合は法人税が課されますが、資本金1億円以下の法人で所得金額が800万円以下では約15%で、所得金額が800万円を越えても23.2%です。つまり、輸出ビジネスである程度稼げるようになれば、法人化した方が支払うべき税金が安くなる可能性が高いということです。
個人で始めて法人化するパターン
稼げるようになれば法人化した方が税金が抑えられるとお話しました。ということは、輸出ビジネスが軌道に乗るまでは個人レベルでビジネスを行い、稼げるようになったら法人化する、というパターンが最適です。
個人事業主のメリット
輸出ビジネスは個人でも問題なくできるビジネスです。法人化せずに個人事業主として輸出ビジネスを続けるメリットは、赤字の場合に所得税や住民税を払う必要がなくなる点にあります。
法人化した場合は、赤字であっても住民税を支払わなければなりません。特に輸出ビジネスを始めたばかりの頃は赤字になることも少なくないので、起業の際に無理して法人化する必要はありません。
個人事業主の年収はさまざま
個人事業主のなかには、副業として取り組んでいる人と本業として取り組んでいる人がいます。そのため、年収も数十万円から数百万円と幅が大きくなっています。
副業として取り組んでいる人は、作業できる時間がどうしても限られるため、ビジネスの範囲が限定的です。
一方で、本業として取り組んでいる人は、一日中輸出ビジネスに時間をあてられるため、成長速度も速い傾向にあります。数百万円から、ひとによっては数千万円の年収を稼ぐことができるのです。
法人化が視野に入ってくれば、さらに高い年収も目指すことができるでしょう。
個人として、または法人として輸出ビジネスを行う際のポイント
個人として、または法人として輸出ビジネスを行う際に、それぞれ気を付けるべきポイントを解説します。思わぬトラブルに巻き込まれないためにも十分理解しておきましょう。
購入者とのトラブルには誠意ある対応を
購入者との間でトラブルが起こった場合は、個人であっても法人であっても誠意ある対応をしなければなりません。特に海外の人との取引では、日本人同士では考えられないような問題も生じます。お互い納得のいく結果となるように、コミュニケーションを密に取り合いましょう。
価格交渉は法人の方が有利な場合も
商品を仕入れる際、卸売業者と価格交渉を行う機会があります。この場合、個人よりも法人の方が有利に交渉を進められることが多いです。特に契約を交わすとなると、個人では相手にしてくれない業者も少なくありません。
また、輸出規制品に対する許可や承認を求める申請も、個人よりも法人の方が認められやすい傾向にあります。自分が取り扱いたい商品次第では法人化を検討すべきでしょう。
貿易会社設立のポイント
法人として貿易会社を設立する時に考慮すべきポイントを解説します。個人レベルで輸出ビジネスを行う場合との相違点を把握しておきましょう。
会社を設立して法人化するということ
個人事業主になるには、開業届を書いて税務署に提出するだけですが、会社設立となると準備も手続きも大変です。設立手続きが面倒な場合は、税理士事務所や会社設立代行業者を利用すると比較的楽に設立できます。
また、法人化することで国から補助金を得られる場合もあります。海外へ商品を販売するビジネスの場合は、経済産業省が補助金に関する事務を統括しているため、該当するものがないか確認しておきましょう。
参考:経済産業省
輸出ビジネスを行う時に考慮すべきこと
輸出ビジネスを行う時に考慮しておくべき事項は以下の5つです。
・何を目指しているのか、目標の明確化
・どのような商品に需要があるのか
・商品をどうやって宣伝するか
・誰とタッグを組むか
・その商品を取り扱うために許可や承認は必要か
何を実現したいか、目標を明確化する
まず、どのようなビジネスを始めるにしても目標を明確にしておかなければ成功は期待できません。
例えば、「最初はヤフオクやAmazonでの転売からスタートさせて資金が十分に確保できた暁にはeBayで高額な商品を取り扱う」などという目標を立て、そこに到達するには何をすべきかを考えることが重要です。
需要のある商品をリサーチする
輸出ビジネスでは、取引しようとしている国や地域で需要のある商品を選定しなければ売れません。そのため、どんな商品がどのような人に求められているのかをしっかりとリサーチし、需要の高い商品を選定しましょう。
商品を宣伝する方法
取り扱う商品が決まったら、その商品を世間に宣伝する必要があります。現在は、ツイッターやフェイスブックなどのSNSを利用して比較的簡単に宣伝活動が行えるので、積極的に宣伝してきましょう。
また、企業や団体に対して取引を考えている場合は、国内外の展示会へ参加し、直接交渉するのもおすすめです。自社で取り扱っている商品のどういう点が良いか、直接相手に伝えられるのも大きなメリットです。
誰とタッグを組むか
輸出ビジネスをたった一人で実行するのは無理があります。本当に成功を望むのであれば、誰かとタッグを組むことをおすすめします。例えば、経理を担当してくれる人を置くだけでも、お金の取り扱いが楽になります。また、現地の人に需要調査を頼めば、地元の人のリアルな声をリサーチしてもらえるでしょう。
このように、チームで動くことで輸出ビジネスがスムーズになるので、1人で頑張ろうとせずに仲間を探してみましょう。求人広告を出すのもよいですが、現在ではクラウドソーシングサイトを通して人材を募集することも可能です。各種ルートを活用して、信頼できる人を見つけてください。
国による規制に注意
輸出ビジネスの場合、国によって規制対象の物品が異なるため注意が必要です。例えば、医薬品や食品、植物などの輸出入を規制している国は多いため、商品を仕入れる前に十分に確認しておきましょう。
日本から輸出する際に承認が必要な物品に関しては経済産業省のホームページで紹介されているのでチェックしておいてください。
事業を法人化するメリット
輸出ビジネスを法人化することで受けられるメリットは次の通りです。
責任の所在が有限になる
個人事業主と異なり、法人は責任が有限になります
ビジネスが破綻したとしても、借入金の返済義務は法人にあります。弁済の範囲は出資金をこえることはありません。
一方で、個人事業主が事業に失敗した場合、責任は全て自分にあります。借入金も全て弁済する必要があります。
社会的な信用や認知度が上がる
社会的な信用や認知度があがることで、次のようなメリットがあります。
ひとつめは、金融機関からの融資や取引先との交渉で、有利に働くことがある点です。経営者という肩書は輸出ビジネスでも大きな役割を果たします。
また、求人募集をする際も、法人の方が応募者を集めやすいというメリットがあります。
社会保険の加入権利を得られる
社会保険とは、会社員を対象とする健康保険と厚生年金保険の2点です。
社会保険に加入できると、会社の福利厚生の魅力がアップし、離職率が下がるという期待が持てます。
また、経営者も社会保険の被保険者の対象であるため、年金額は加入年数に応じて上がっていきます。
社会保険料の支払いは、会社と従業員の折半です。会社も負担することになるためデメリットのように思いますが、そうではないことを覚えておきましょう。
必要な手続きが増える点に注意
法人化に成功すると、さまざまなメリットを受けられるようになりますが、注意点も存在します。
事業規模が大きくなっていくと、契約の件数が増え、契約上の手続きが多くなります。それにともない、社員に契約上の手続きを担当してもらうことも必要になるでしょう。
個人からはじめた輸出ビジネスが発展する際には、このような面があることを押さえなければなりません。
個人事業主で開業するメリット
ここからは、個人事業主として輸出ビジネスを始めるメリットと方法について解説します。
個人事業主のメリット
個人事業主のメリットは、確定申告の際に「青色申告」を行える点です。「白色申告」では特別控除はありませんが、「青色申告」の場合は55万円の控除が可能です。
さらに、e-Taxを使って確定申告をすると65万円控除されるようになります。
また、「青色申告」なら赤字を3年間繰り越せるというメリットも享受できます。
さらに、子育て中の主婦の場合は個人事業主になることで保育園の入園申し込みも有利になります。
個人事業主になるための事前準備
個人事業主として開業するにあたって特に大きな準備は必要ありません。ただし、起業後に勤め先の会社を辞める予定の場合は、会社員の間にクレジットカードを作っておいた方がよいでしょう。個人事業主ではクレジットカードの審査が通らないことが多いからです。
また、お金を管理しやすくするために、プライベートの口座とは別に仕事用の口座を作っておくとよいでしょう。
開業届の提出
開業届けの際に提出する開業届出書は、国税庁のホームページからダウンロードしても構いませんし、税務署に直接出向いて書類をもらうことも可能です。
参考:国税庁
個人事業主の記帳方法は、簡易簿記と複式簿記を選択できますが、簡易簿記の場合は10万円の控除しか受けられません。
複式簿記は少しややこしいですが、市販の会計ソフトを利用すると比較的簡単に行えます。開業届けに必要事項を記入したら、税務署に提出して完了です。
商品の仕入れ・販売方法
個人で輸出ビジネスを行うなら、以下のサイトがおすすめです。
・Amazon
・eBay
・Lazada
以下でそれぞれの特徴を解説します。
Amazonを利用する
Amazonは輸出ビジネスでよく利用されているショッピングサイトです。日本で仕入れた商品をアメリカやオーストラリアなどの海外版Amazonへ転売する手法がよく使われています。
Amazonの場合は、現地のAmazon倉庫に商品を送って、商品が売れたらAmazonに発送してもらうこともできるので大変便利です(FBAといいます)。また、どの国のAmazonもサイトのデザインや構成が良く似ているので操作しやすいというメリットもあります。
eBayを利用する
eBayは世界規模のオークションサイトです。利用者が多く、売れる商品を比較的容易に見つけられるのが大きなメリットです。ただし、オークションサイトなので、購入者との取引が重要になってきます。翻訳サイトを上手に活用してスムーズな取引を心がけましょう。
Lazada(ラザダ)を利用する
Lazada(ラザダ)は日本人にはあまり馴染はありませんが、東南アジア6ヵ国で展開しているショッピングサイトです。コスメやファッションアイテムなど、かわいいアイテムが揃っているのが特徴です。
ネットショップを利用する
上記のECサイトだけでなく、個々のネットショップから商品を仕入れるのもおすすめです。そのお店でしか取り扱っていない素敵なオリジナルグッズを手に入れられるからです。
また、自分でネットショップを立ち上げて販売するという方法もあります。ただし、知名度が低い間はお客が集まりません。SNSを活用した宣伝活動に力を入れて集客しましょう。
輸出ビジネスで起業しよう
輸出ビジネスは、個人・法人の違いを問わずできるビジネスです。まずは気楽な気持ちで自分のいらない物を売ってみて、ある程度実績を積んだ段階で個人事業主としての開業届けを出すのがスタンダードな起業方法です。
さらに輸出ビジネスが軌道に乗った時は、会社を設立して法人化するのも良いでしょう。会社を設立すれば社会的信頼が増すため、効率的にビジネスを進められます。
輸出ビジネスは、個人でも気軽に始められます。目標を明確にした上でコツコツと販売していきましょう。