アメリカのオレゴン州で転送サービスを経営する須賀裕子氏。
アメリカで起業した経緯や、アメリカ国内の物流の最新情報をご本人に直接インタビューしました。
アメリカで立ち上げた転送サービス
――自己紹介をお願いします。
初めまして。須賀裕子と申します。
BeHappy!!!という転送サービスをメインとした輸出入ビジネスをされている方のサポートを行っている会社のオーナーです。
2004年にカリフォルニアで立ち上げて2015年から消費税がかからないということでオレゴン州のポートランドに移転して現在に至っています。
――オレゴン州は貿易関係の会社が多いのですか。
すごく多いです。
日本だけでなく、色んな国の同じようなサービスをしている会社がたくさんありますね。
――何年ぐらい住んでいますか。
2015年からなので8年です。
トータル8年なんですがその途中は旅をしてたので少し抜けている期間があります。
オレゴン州は住みやすい
――アメリカは実際に住んでみていかがですか。
オレゴンはすごく住みやすいです。
以前はカリフォルニアに住んでいたので、それと比べるとやっぱり四季があるところは日本とも似ているし自然もたくさんあって、人も親切ですごく住みやすいですね。
私は子供はいませんが、子供がいる人たちはみんなすごく育てやすいと言っています。
――コロナ渦で物価は上がっていますか。
それはやっぱり上がっていますね。
飲食も含め色々なところで物価が上がっていると思います。
ビジネスを始めた経緯
――ビジネスを始めた経緯を教えてください。
渡米したのが20年ぐらい前です。
元々小さい頃からアメリカに住むというのが夢で、それでとりあえずアメリカに来たんです。
最初の頃、日本に帰るたびにお友達からこういうの買ってきて、こういうのを探してきてみたいな感じでよく頼まれてたんですね。
――買い物代行みたいなのは当時よくありましたよね。
20年前はそうですね。
当時一番友達に頼まれていたのがファイヤーキングですね。
コレクティブでアンティークまではいかないですけども、食器をよく頼まれていてアンティークショップに行ってはちょっと探して見つけたら買って送ってあげたりとかそういうこと最初にしていました。
――割れ物は大変じゃないですか。
そうです。もう頑丈にやって。
トラブルも特にありませんでしたね。
そうしているうちに探すのが楽しくなっちゃって、例えばeBayとかでレアものを探して日本のヤフーオークションで売ったりとかそういうことをしてたんです。
友達からはファイヤーキング以外にも色々頼まれることがあったので、結構需要があるのかなと思って取り敢えず自分でウェブサイトを作ってみたのが18年前です。
気候は良いがタックスの高いカリフォルニア
――早いですね。
それがBeHappy!!!の始まりです。
最初は自宅で荷物を受け取って一人でやっていたんですが、だんだんと依頼が増えてきたので従業員を雇ったり倉庫を借りたりと拡大していきました。
カリフォルニアでずっとやってきたんですが・・・。
――カリフォルニアは凄く物価が高いですよね。
そうですね。物価も高いですけどタックスも高いんですよね。
今多分10%近くあると思うんですけど9%とか。
――カリフォルニアはとても気候がいいですよね。
暑すぎず寒すぎず。
――タックスが高い分、そういうところで転送とかのお仕事はやっていけるのかなと思ってしまいました。
私がしていた所は南の方でビーチが近いんですけど、そこでやってうちの倉庫で受け取るだけで自動的に9%か10%の消費税がかかっちゃうじゃないですか。
私がオレゴンに移動したらお客様もその分払わくて住むなと思って、移転したのが2015年です。
オレゴン州でしかできないこと
――アメリカは広いので日本から中国に引っ越しするぐらいの決断だったのでは。
結構な決断でした。
――それでもご主人と一緒に一大決意されてオレゴンへの移転は何がそうさせたんですか。
一番大きな理由は、やっぱりお客様のことを考えた時に消費税が大きいなと思ったんです。
その部分はどうしてもカリフォルニアにいる以上はどうにもならないじゃないですか。
やっぱりオレゴンでしかできない。
最初はカリフォルニアとオレゴンの両方でオープンしていたんです。
お客様はやっぱり全員オレゴンの方に移動してきたんですね。
なので最終的にはカリフォルニアを閉めてオレゴンだけにしました。
ビジネスで苦労した経験
――お客様のことを第一に考えてらっしゃるのがすごく伝わります。
同じものを買っても9%、10%違うことは、お客様にとってお得でお客様のビジネスがもっと繁栄しますよね。
それはイコール私たちのビジネスの繁栄にもつながるじゃないですか。
なのでお互いにとっていいことだなと思いました。
――それぞれ商品の形状が違うので送るのが難しい物もあると思いますが、苦労した経験はありますか。
やっぱりギターは最初の頃たくさん送らさせてもらってて梱包には相当気使いました。
1度、本当にもうこれ以上ないってくらいに梱包をしていたのに着いたらダメージがあったことがありましたね。
ただお陰様でそんなことがあったのは1回だけだったんですが、それに限っては本当にどうしてダメージを受けたか分からないぐらいでしたね。
スタッフは全員日本人
――スタッフの方は全員日本人なんですか。
そうなんです、全員日本人です。
――こんなことできるんですか。
それも大変です、本当に。
――日本人は少ないと思いますが。
そうですね。
やっぱりオレゴンでしている中で一番大変なのが人を見つけること。
カリフォルニアの方が日本人の数が圧倒的に多いじゃないですか。
でも日本人だから誰でもいいというわけではないので、人を見つけて人員を確保するというのがすごく大変ですね。
――なぜ日本人スタッフにこだわってらっしゃるんですか。
まずお客様はもちろん全員日本人です。
そして皆さんオンラインでしかやり取りがないので、もともと不安を抱えてらっしゃるじゃないですか。
その中で少しでも安心してもらえるようにとなるとやっぱり言葉が通じることが大前提にあると思っているので日本人スタッフです。
あと価値観。
こっちで生まれた人ではなくて、全員日本から来た日本人なんですよ。
なので日本のカスタマーサービスを知っていて日本の価値観もわかる。
今はアメリカに住んでいてアメリカの常識も分かってるから、お互いの間にちょうど立てる日本人じゃないとかなという思いですね。
BeHappy!!!の実績
――女性ならではの素晴らしい心遣いですね。次にBeHappy!!!の実績を教えてください。
まず大体年間での取り扱いの商品数は約85,000個。
日本に発送している1年間の荷物の量で約200トン。
箱数で言うと大体約15,000箱です。
会員数は5,635名の方が今日現在で会員登録して頂いてご利用いただいているという感じです。
大手メーカーともビジネスパートナーに
――やはり破損や遅配は心配ですのでBeHappy!!!さんのように実績があるところにお任せする方がユーザさんも安心ですね。
あとは数字の実績ではありませんが、某有名化粧品メーカーさんがアメリカでキャンペーンやった際にうちがフルフィルメントのお手伝いをさせて頂いたこともありました。
――その物量をさばける倉庫とオペレーションが整ってないと引き受けられないのですごいことですね。
そうですね。やっぱり信頼が大事なので、ミスがないよう、そしてオペレーションがスムーズに進むよう、スタッフが一丸となって頑張っていました。
――大手さんが契約をするのはちゃんとしたところじゃないとお任せできませんよね。
なのでお仕事をさせていただいてもう本当にありがたかったですね。
あとは去年からBUYMAさんの公式パートナーとしてアメリカから日本に荷物を送るお手伝いもさせていただくようになりました。
――もう公式のパートナーさんだということなんですね。
そうですね。公式パートナーとしてさせていただいてます。
――どんどん実績が出てきますね。
あとは日本で転送サービスをされている会社さんも何軒かアメリカのオペレーションをうちで任せていただいて、そことビジネスパートナーのような形でお手伝いさせてもらっています。
アメリカでのオンライン購入の動向
――最近ブランド品のオンライン購入が厳しくなったと言われますがアメリカの動向はいかがでしょうか。
お客さまで今まで買えてたのに買えなくなったとか、そういうのが結構あってその辺のうちもいろいろ調べながら対応しています。
――そんなことがあるんですか。
そうなんです。
まずうちに問い合わせがくるんですけど大体の理由は、日本のクレジットカードはもう駄目になったっていうパターンが一つ。
それはもうどうにもならないんですが、そのためにうちは購入代行というサービスもしています。
もう一つは転送会社には商品は送らないということもあります。
なぜかと言うと転送会社に送ったらそのまま日本に商品が流れていってしまうので、日本に代理店があるショップだと金額の統制が取れなくなってしまう問題があります。
横流しされるのを防ぐために転送会社にはもう送らないと。
住所を見て自動的にキャンセルしちゃうというパターンが多いです。
一番目の問題はやっぱりクレジットカードの問題なので、それはアメリカで発行しているクレジットカードで買うしかない。
二番目の問題に関して言うと、その時の状況に応じてなんとか工夫をしてお客様からご依頼のお買い物ができるよう最善を尽くしています。
転送会社には送らないと言っているショップに関して言うと、受取住所を変えて購入することもあります。ただ転送会社以外だったらどこでも大丈夫というわけではないので、その辺りも考慮に入れながら工夫して行なっています。
あとは例えばお店が厳しくてラルフローレン買いたいのにラルフローレンが買えないと。
じゃあラルフローレン扱ってるデパートメントストアなどの他のショップからラルフローレンの商品を買うこともできます。
直接そのブランドから買わなくても、ブランドを取り扱っている小売店から買うというやり方で何とか仕入れのお手伝いをさせてもらっていますね。
でもやっぱり今まで大丈夫なのに突然だめになったり、突然買えるようになったりということもあるので、トライしてみるしかないという感じなんですけどね。
――こういうのって公式で発表しないので現場レベルで探るしかないんですよね。
そうですね。
――御社であればノウハウをお持ちだということですね。
試行錯誤を繰り返し、経験を積み重ねながら、少しづつノウハウを蓄積していってる感じです。規制のある海外ショップのリストもウェブサイトに掲載しているので、随時更新しているのでそちらをご覧いただければと思います。
サービスのこだわり
――BeHappy!!!のこだわりを教えてください。
こだわりポイントは屋号のBeHappy!!!ですね。
BeHappy!!!って書いてちょんちょんちょんって3つ感嘆符が付くんです。
この3つの感嘆符が何を意味してるかと言うと、日本のお客様とアメリカのショップ、そして私たちの3者それぞれの立場でみんながハッピーになれるようにという思いを込めてこの屋号を付けたんです。
常にそれをスタッフみんながこだわっています。
もちろんその3者だけでなく、それ以外にも配送業者さんなども含めて、うちと関わって良かったなと思ってもらえるような、お互いにウィンウィンの関係になれるよう常に心がけてサービスを提供させていただいてます。
――こんなに深い意味があったんですね。
たまに聞かれるんですけど、そうなんです。
――もうちょっと軽いノリなのかと思っていましたが3つじゃないと駄目なんですね。
3つじゃないとだめなんです。
――18年間ずっと一緒の思いがこもったサービス名なんですね。
そうですね。
サービスの強み
――BeHappy!!!の実務面での強みを教えてください。
強みは、オレゴン州にあることと、全員日本人スタッフであるということですね。
アメリカに住んでいる人でも消費税がかかるかからないっていうのを知らない人が結構いるんですが、消費税にはそれぞれの州によってルールがあります。
弊社のあるオレゴン州に関して言うと消費税が全くかかりません。
日本で言うと物を買ったら10%つくのが、オレゴン州の倉庫に送るように手配をしてものを買うだけで10%分が節約できるんです。
――簡単に言うと10%割引で全部商品が買えるということですね。
そうですね。それがオレゴン州にある弊社の強みでもある。
ただそれはオレゴン州にある転送会社さんみんな同じことなのでうちだけではないんですけど。
――他社さんを選ぶより御社を選ぶのが間違いないということですね。
そうですね。
他社との大きな違いは全員日本人スタッフであることですね。
そしてお客様一人一人のご要望をできるだけお伺いして、その方その方に応じたカスタムメイドのサービスをできるだけ提供するように心掛けています。
なので荷物を運ぶためだけに使うのではなく、色々とご相談いただきながらご利用いただけます。
印象深いお客様の声
――印象深い利用者さんの声を教えてください。
誰か一人の人の声というわけではないんですが、取引後にレビューをいただいたりメールをいただいたりする中で、ダントツで多いキーワードが迅速丁寧安心。
これがレビューやメールでそういった言葉をいただくことがすごく多いんです。
それはいつも私たちがサービスを提供する際に気にかけていることなので、顔の見えないオンラインでのやり取りにもかかわらずそういうお言葉をいただけるのは、私たちもやってて良かったなっていつも嬉しく思っています。
――さすが老舗の代行会社さんという感じです。須賀さんの人生観や目指してるところを教えてください。
目指しているところはやっぱり自由ですね。
時間の自由、お金の自由、色んな意味での自由を手に入れるというところですね。
――だからご自身だけじゃなくて皆さんがBeHappyになれたらという思いなんですね。
そうですね。本当にまさにそう思います。
アメリカからの輸出入サービスを利用しようと考えている方に向けて
――これから御社のサービスを利用しようと考えている方に一言お願いします。
アメリカから日本への輸入ビジネスをされている方、日本からアメリカへの輸出ビジネスをされてる方へのメッセージです。
BeHappy!!!は単なる物を運ぶだけの転送会社というわけではなく、アメリカの現地のビジネスパートナーという位置づけで考えていただいて、私たちは皆様のビジネスの発展のために、ご要望にお応えするだけではなく、ご提案もさせて頂きながら幅広いサービスのご提供をさせていただきたいと思っているので、是非一緒にハッピーになりましょう。
取材協力:BeHappy
編集部からの一言
お客様を第一に考えるまっすぐな姿勢は、ビジネスパートナーとしてとても心強いと感じました。