昔から雑貨販売をする為に、雑貨屋さんになる事が夢だったという方も多いのではないでしょうか。雑貨販売を行う為には、店舗の場所を決めたり契約をしたり、たくさんの手続きが必要になります。今回は、雑貨販売や移動販売を行う際に許可をもらわないといけない申請や届出についてお伝えします。
雑貨販売や移動販売での物販に必要な書類を申請して許可をもらおう
雑貨屋さんで雑貨販売をするという夢を叶えるには、必要な書類を申請して雑貨屋を開業する為の許可をもらわないといけません。しかし、どのようにすればいいのか分かりにくいのも事実です。
今回は、雑貨屋さんを開業するにあたり、雑貨販売を行うために許可してもらわないといけない書類についてお伝えします。この記事を読めば、どのような雑貨販売にどのような書類が必要なのかご理解いただけるので、雑貨屋開業を考えている方は読んでみて下さい。
事業開始等申告書を提出!都道府県税事務所と税務署の違い
個人事業をスタートする為には、事業開始等申告書を都道府県税事務所に提出しなければなりません。この時、都道府県税事務所と税務署を間違えてしまう方がいます。
税務署と都道府県税事務所は違います。税務署は、所得税や消費税に関する事を取り扱っています。都道府県税事務所は、個人事業を取り扱っています。このように明確に役割の違いが分かっていれば、個人事業関係の事なので申告書を都道府県税事務所に提出しないといけないのが分かります。
個人事業を開業をする時に提出する開業届
雑貨屋販売を個人事業として開業する際には税務署に開業届を提出します。開業届を提出する事により、確定申告の時期に申告書が届くようになります。
事業を開始してから1ヶ月以内に税務署に持参するか郵送しましょう。インターネットでの申告も出来ます。開業届を提出していれば、青色申告で特別控除が受けられるようになります。特別控除の具体的な内容としては、純損失の繰越として、経営していく中で生まれる赤字を三年間繰越しする事が可能になったり、貸倒引当金など、経営を継続していく際に有利になる控除が受けられます。
最大65万円の控除!青色申告承認申請書
開業届を許可してもらうと、青色申告を選択出来ます。青色申告は、白色申告と比べて最大65万円の所得控除を受けられるようになる事がメリットです。
雑貨販売の事業を開始してから2ヵ月以内に青色申告承認申請書を税務署に提出しましょう。万が一、提出が遅れてしまうと、青色申告を選択出来ずに白色申告でその年は申告する事になります。控除が受けられるかどうかで内容がかなり変わってしまうので気をつけましょう。
アンティーク雑貨を扱うなら古物商許可申請書が必要
レトロやアンティークの雑貨が好きな若者が増えた事で、年代問わずレトロなデザインの雑貨やアンティークの雑貨が売れるようになりました。雑貨の経年変化を楽しめるアンティークの魅力は長く雑貨を愛する雑貨好きにはたまらないものがあります。レトロなデザインであれば新品でもいいという方もいますが、やはり本物のアンティークにこだわる雑貨ファンは多いです。
アンティークの雑貨販売を行うなら古物商許可申請書を届け出ないといけません。ちなみに、商品が新品でも一度取引された商品は古物扱いとなりますので、アンティークを取り扱わないから大丈夫というわけではない事に気をつけましょう。
最大で60日申請してから許可されるまでかかる事もあるので、余裕を持って申請を行いましょう。申請費用は19,000円です。
雑貨販売店にカフェを併設するなら飲食店営業許可が必要
雑貨屋さんと併設してカフェを運営しているお店を見た事がある方も多いのではないでしょうか。雑貨だけでは経営が難しい場合に、カフェも運営して経営を安定させようとどこも必死です。
実際、おしゃれなカフェと雑貨屋さんは相性が良くて、カフェでご飯を食べたあとにまったり雑貨を見て回ったり、雑貨屋さんをじっくり見た後にちょっとお茶でもしようという事でカフェに行くという流れはよくあります。
通常の雑貨販売をするだけであれば、飲食店営業許可は必要ありませんが、カフェを併設するのであれば必要です。保健所に飲食店営業許可を申請する際に、図面が必要となります。
内装に制限があるので、お店を作り込む前に申請をしたほうがいいです。二度手間になってしまわないように気をつけましょう。
パンやお菓子を取り扱うなら菓子製造業許可が必要
雑貨屋にお菓子を置きたいのであれば、菓子製造業許可が必要です。飲食店営業許可と同様に、事前に図面や設備が基準に達していないといけません。必要な場合は忘れずに提出しましょう。
免税店として雑貨販売をするなら一般型輸出物品販売場許可申請手続が必要
免税店として雑貨販売を行うなら、一般型輸出物品販売場許可申請手続が必要です。インバウンドを狙う免税店として雑貨販売を行うのであれば、一般型輸出物品販売場許可申請手続を行いましょう。
申請から1ヶ月ほどかけて図面チェックやマニュアルを提出します。
雑貨屋で雑貨販売を行う際に知っておきたい規制
雑貨屋さんで雑貨販売を行う際には様々な規制を受けます。予め知っておく事で、仕入れの際に規制に引っかからないように仕入れをしたり、仕入れた商品を規制に準ずる状態にする事が出来ます。雑貨販売を行う為に、どのような規制があるかをお伝えします。
洋服を取り扱う際に必要な家庭用品品質表示法
雑貨屋さんで洋服を取り扱う際には、家庭用品品質表示法を遵守する必要があります。その洋服の繊維の混合率がどのようになっているか等を表示します。
服にはタグがついていて、クリーニングの際等に洗濯表示を確認した方も多いでしょう。図をご覧になると分かる通り「繊維製品、合成樹脂加工品、電気機械器具、雑貨工業品」に分かれています。
詳しくは各カテゴリの一覧表からご確認ください。
中古品を取り扱うのに必要な古物商許可
仕入れた雑貨やインテリアを販売する際に必要な許可を説明します。アンティークな商品を取り扱う方や、中古の商品を取り扱う方は特にしっかり読んでみて下さい。思いも寄らない取引に古物商許可が必要となる事がわかっていただけます。
古物商許可の13の取扱品目
古物商許可では、13種類に取り扱う品目が区分けされています。許可申請は、雑貨屋さんがある地域の警察署で行います。その際に、ネットショップのURLも登録する事になります。
雑貨を買取してから販売する場合、例え一回も使っていなくても扱いは中古品という事になります。申請は複数許可可能ですが、取得してから6ヶ月以内に営業していないと取り消されてしまいます。営業を休止している場合も同様に取り消されてしまうので気をつけましょう。
雑貨販売は店舗だけではない!移動販売について
雑貨販売と聞けば、店舗の雑貨屋さんを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。雑貨は移動販売車で販売する事も出来ます。雑貨の移動販売についてお伝えします。
雑貨の移動販売で何を取り扱うか
一般的に移動販売のイメージは食べ物ではないでしょうか。しかし、雑貨を移動販売しても、物販の許可を取っていれば問題はありません。
雑貨の移動販売を行うのであれば、他の移動販売のお店と差別化をしなければなりません。例えば、海外にしか売っていないような珍しい商品を移動販売で取り扱ったり、ちょっと壊れた部分を修復する等のサービスもいいかもしれません。
移動販売車では限られたスペースの中で商品を販売する事になります。陳列、ラインナップに至るまで無駄があっては売上に直接響いてしまいます。ミニクーパーやフォルクスワーゲンのバンのような見た目が可愛い移動販売車を採用できれば、それだけで取り扱う雑貨の世界観とマッチさせられます。
出来れば、他の移動販売の雑貨屋さんが真似できないような特別なサービスがあるといいです。考えてみましょう。
食料品の移動販売よりも雑貨の移動販売の方が物販の許可をとるハードルは低い
雑貨の移動販売は食料品を取り扱う移動販売より許可のハードルが低いです。例えば、飲食を目的とした移動販売の場合、移動販売車にキッチンが必要等の条件が必要ですが、雑貨の移動販売車には必要ありません。
移動販売において食料品を取り扱わなければ、商品が腐ったり賞味期限が切れたり保存の温度や湿度に気を配らないといけないという事もありません。雑貨の保存に関しては、移動販売では直射日光を避けなければなりません。移動販売で商品自体や専用の箱が日焼けしてしまうと商品価値が落ちてしまうからです。
雑貨の移動販売の場合は、食料品の移動販売車のように車内で何かを作るわけではないので、当然その分のコストも抑えられます。気をつけないといけないのは、食料品を販売しないからといって保健所への許可をおろそかにしてしまうと、その後移動販売での営業が出来なくなってしまう可能性がある事です。移動販売の許可申請は忘れずに行いましょう。
雑貨販売をしてくれるスタッフを雇う時に必要な手続きとは?
雑貨屋さんで雑貨販売をしてくれるスタッフを雇用するのであれば、社会保険について知っておかなければなりません。自らが雑貨屋さんのオーナーになって一人で接客から運営まで行う予定の方も、今後どのように雑貨屋さんが発展していくかはわからないので、知っていて損はありません。ご説明します。
5人以上のスタッフ常時雇用で健康保険と厚生年金保険が必須
雑貨屋さんを個人事業主として運営していくのであれば、1人で運営していくのかスタッフを雇用するのか検討しなければなりません。もし、5人以上のスタッフを雇用するのであれば、健康保険と厚生年金保険の加入が必須になります。こちらの手続きは、社会保険事務所で行なえます。
1人以上のスタッフを常時雇用で労災保険と雇用保険が必須
雑貨屋さんで雑貨販売をしてくれるスタッフを1人以上常時雇用する際には、労災保険と雇用保険に加入しなければなりません。手続きに関しては、雇用保険はハローワークで行えます。労災保険は労働基準監督署で手続きをする事になります。
雑貨販売に必要な手続きを相談出来る場所ってないの?
雑貨販売には興味があるが、申請を許可してもらわないといけないたくさんの書類は苦手という方も多いでしょう。1人で解決しないといけないと思いがちですが、相談出来る場所があります。ご紹介します。
小規模事業者は商工会に相談!
商工会は小規模事業者にとっては頼れる存在です。商工会という名前は聞いた事があるけれど、どういう事をやっているのかまでは知らない方もいらっしゃいます。商工会は、個人事業主に優しくアドバイスをしてくれる場所です。
小規模の雑貨販売や移動販売を考えているなら商工会にお世話になってみるのもいいでしょう。個人事業主として最初のハードルとなる各種申告や手続きについて教えてくれます。青色申告や帳簿のつけ方についても教えてもらえるので、全く分からない方はまず相談に行ってみましょう。
参考:全国商工会連合会
青色申告の事なら青色申告会に相談
商工会でも青色申告の相談は出来ますが、より細かく青色申告に特化して教えてもらえるのが青色申告会と呼ばれている一般社団法人全国青色申告会総連合です。オススメの会計ソフトも教えてもらえるので、ソフトから迷っている方は相談してみて下さい。
まとめ
雑貨販売をする為には様々な申請をして許可を得ないといけません。雑貨店を開業するのには、それなりのハードルが伴います。しかし、商工会に相談したり、アドバイスをもらいながらやっていけば不可能ではありません。
事業計画を立てるにしても、安易に自分だけで決めるのではなく、相談するのがいいかもしれません。アンティークを取り扱ったり、中古の商品を取り扱う場合は古物商許可の申請が必要です。同様に、どのような商品を、店舗・移動販売などの形態で販売するかによって必要な申請は変わってきます。
事前にしっかりと計画を立てて調べてどのような許可申請が必要なのかを把握して雑貨屋さんを開業する予定日から逆算して準備しておきましょう。雑貨屋開業のスタート直前にはバタバタしてしまうものです。雑貨販売で人を幸せにする雑貨屋さんを作る第一歩として確実に必要な許可申請は行っておきましょう。