現代では、インターネットを利用する手段がたくさんあります。接続形態から何から、すべてが異なっており、選ぶときにはじっくり比較をすることが重要になります。
比較というと、月額の料金のことを真っ先に考える人が多いですが、ポイントとなるのはそれだけではありません。他にもさまざまな要素があり、自分にぴったり合った契約をするためには、それらもきちんと考慮する必要があります。この記事では、そのようなインターネット回線選びにおいて参考となる知識をまとめて紹介します。
インターネットを比較するポイント
インターネットに接続するためのサービスは現在、日本において100種類以上も存在します。それぞれが少しずつ異なっており、理想にできるだけ近いものを見つけるためには、その内容を多角的にじっくりとみていかなくてはなりません。比較を疎かにしてしまうと、契約したあとになって、もっと良いサービスを見つけて後悔する、ということにもなりかねないので、注意が必要です。
キャンペーン内容を確認する
インターネット接続サービスは、新規契約をすることでキャッシュバックやプレゼントを受け取ることができるキャンペーンを行っていることが多いです。いつ見ても、必ずどこかが何かしらの企画をやっているので、ちょっと調べ始めると、すぐに見慣れてしまいます。
ただ、その具体的な金額や条件は、あなたの立場やサービス業者側のタイミングによって異なることがあります。キャンペーンの内容を勘違いしていたせいで受け取ることができなかったり、期限を忘れてしまって受け取り損ねたりすることもよくある話なので、細かい部分まで事前にしっかりと確認するようにしましょう。
固定回線かモバイル回線か
インターネットの回線には、大きく分けて固定回線とモバイル回線の2種類がありますが、どちらを選ぶかは柔軟に考えることが大切です。あなたの条件次第で、どちらがお得で便利かが変わってくるからです。
以前は、家で使うならば固定回線を引いてインターネットを利用するのが常識でしたが、最近では一概にそれが正解とは言えなくなっています。ポケットWi-Fiのようなモバイル回線サービスが近年とても充実してきており、あなたの条件によっては非常にお得で使いやすいものになったからです。
「スマートフォンでも数十GBの大容量をお得に扱えるようになった」
「格安SIMの出現により、スマートフォンが圧倒的に安く使えるようになった」
「ポケットWi-Fiの中に、動画などを無制限で視聴できるサービスが出てきた」
こういった理由から、家で使うことが中心であっても、必ずしも固定回線が最良の選択肢であるとは言い切れなくなってきたわけです。
ちなみに料金面で固定回線とモバイル回線を比較すると、後者のほうが安いと言えます。固定回線を引くにはまず最初に工事費が必要で、その後の月額料金も4,000円~6,000円が相場となっています。
それに対して、ポケットWi-Fiなどは工事不要で、月額3,000円~4,000円のところが多いです。ヘビーユーザーには固定回線がオススメですが、そうではないという方には、モバイル回線もおすすめすることのできる選択肢となっています。
回線や運営会社は信用できるか
どんなものでもそうですが、広告には聞こえのよいことばかりが書かれているものです。派手で目を引く売り文句に乗せられて手を出したら、想像もしないところに「オチ」があった、ということもよくあります。
インターネット接続サービスの場合、「オチ」としてありがちなのは、いざ開通してみたら回線が遅くてまともに利用できなかったとか、トラブルが起きた際にサポートに連絡してみたけれども全然繋がらなかった、といったことです。
そういったことを回避するためにも、回線や運営会社は信用できるものなのかどうかを、事前にしっかりと調べておくようにしましょう。そういった意味で信用できる回線としては、たとえば次のようなものが挙げられます。
・NTTの光回線サービスである「フレッツ光」
・KDDIの光回線サービスである「auひかり」
・ソニーのグループ会社が運営している「NURO光」
ここ最近は「光コラボレーション」といって、他の会社がNTTの光回線を借りるかたちで運営されているサービスが増えてきました。これらのサービスは当然、NTTのフレッツ光と同等の信用を置くことができるものなので、おおむね安心して使うことができます。
料金はお得か
先ほど、固定回線の月額料金相場を4,000円~6,000円、モバイル回線を3,000円~4,000円と紹介しました。しかしこれはあくまでも目安で、実際の月額料金はサービスによって変わってきます。
特に固定回線の場合、あなたの家が一戸建てかマンションかによっても、料金が変わってくるので注意して調べる必要があります。一戸建ての場合は、あなたのためだけに新しく回線を引かなくてはならないため高めになり、マンションの場合は、複数世帯で一つの設備を共有するため安くなります。
サービスごとの料金の差も、固定回線のほうが大きくなっています。たとえばフレッツ光の場合、一戸建てなら5,000円~7,000円、マンションなら3,000円~6,000円ほどとなっていますが、NURO光の場合は上限が8,000円ほどに上がります。
そのぶん、NURO光ならではの回線の強さは評判となっています。こういった現状があるため、あなたが利用する場合の料金をしっかりチェックしたうえでサービスを選択することが重要であると言えます。
付帯サービスはどうなっているか
インターネット接続サービスは、回線だけをただ提供しているわけではありません。そこに付帯するいろいろなサービスがあり、運営会社はそれらをセットにして販売しています。たとえば、テレビや電話、動画配信コンテンツといったあたりが典型例です。
中でも「携帯割」は、できるだけ価格を抑えてインターネットを利用したい方にとっては、とても重要であると言えるでしょう。携帯電話はほぼすべての方が持っていて、それ自体でインターネットを利用することもできるわけですから、忘れずに含めて考えるのは必須です。
こういった付帯サービスは、あなたの利用頻度や用途、家族構成などによっても条件が変わってくるので、自分にはどういうかたちで適用されるのかをしっかり考えながら比較検討するようにしましょう。
工事費はどのくらいか
固定の光回線の場合、電柱などから光ケーブルをあなたの家に引き込まなくてはならないので、そこに工事費が発生します。具体的な価格はサービスによって異なりますが、だいたい2万円から4万円ほどが相場となっており、それを一括払いするか、2~3年かけて分割払いするかを選べるようになっています。
運営会社によっては、時期などによって工事費を無料にしたり、割引をしたりすることもあります。そういったところをチェックしておくと、ある程度費用を低く抑えることができます。
工事に立ち会いが必要か
回線を引く際の工事には、契約者であるあなたの立ち会いを必要とする場合と、そうでない場合があります。すでに光ファイバーを導入済のマンションの場合には、立ち会い不要ということも多いです。新しくマンションに引っ越す方は、事前に確認をとっておくのがよいでしょう。
立ち会いが必要な場合ですが、その日にどうしても仕事があって休めない方もいます。そういうときは家族などの信用できる代理人にお願いするしかないでしょう。また、女性の一人暮らしの場合は、都合がつくときであっても、一緒に立ち会ってくれる友人や彼氏などがいると安心できます。
プロバイダは慎重に選ぶ
運営会社によっては、複数のプロバイダの中から好きなものを選ぶことができます。当然、プロバイダによって料金やキャンペーン内容が変わってきますので、慎重に選ぶ必要があります。
プロバイダごとに実際の回線速度が異なることにも注意が必要です。それぞれ元々の処理能力が違うこともあり、あなたが居住するエリアごとに、ユーザーの数も異なってくるからです。多くのユーザーがいれば、当然トラフィックは多くなり、回線速度は遅くなってしまいます。
この点については、事前に口コミなどを調べるのがもっともよい対策です。それが難しい場合には、先述したような大手の運営会社をとりあえず選んでおく、という手段を採るのが安全です。
ちなみに、「プロバイダが変わってしまうとメールアドレスが変わってしまう」というのを心配する方が多いですが、プロバイダの多くは、回線契約を終えても月額数百円でメールアドレスだけは残してくれるサービスを行っています。同じメールアドレスを使い続けたい場合には、それを利用するのがよいでしょう。
インターネットの料金が高いと感じたときに見直す4つのポイント
現在利用しているインターネット接続サービスの料金を高いと感じているのであれば、以下の4つについて考えてみるのがよいでしょう。
1. 不要な有料オプションを解約する
2. 料金プランを見直す
3. セット割などを適用しているか確認する
4. 他のプロバイダへの乗り換えを検討する
一つ一つ、具体的に解説していきます。
1. 不要な有料オプションを解約する
現在のプロバイダと契約したときに、いろいろな有料オプションを設定していた可能性があります。内容を忘れてしまっていることも多いので、改めてチェックしてみて、不要だと思うものがあったら解約しましょう。プロバイダが提供しているマイページへログインしたり、毎月送られてくる料金明細を確かめてみることで、それらを確認することができます。
単体のオプションはせいぜい月額数百円のことが多いですが、それを年に換算すると数千円、もしそういうオプションを複数契約しているなら、場合によっては年間数万円かかっていることもあり得ます。
そういったものを解約することで、必要最小限まで料金を抑えることができます。
2. 料金プランを見直す
契約しているプランが、今の自分の使い方では割高になってしまっていないか、確認してみましょう。よくある例として、次の2つのプランが用意されているプロバイダを考えてみてください。
1. 基本料金は安いが、使用した通信量によって追加料金が発生するプラン
2. 基本料金は高いが、通信量については使い放題になっているプラン
あなたが一定以上のヘビーユーザーであるにもかかわらず、前者のプランを選んでいたとしたら、場合によっては毎月の利用料が後者の基本料金を上回っているかもしれないのです。そういうことが起きていないかどうか、マイページや明細をよく確認してみることは大切です。
3. セット割などを適用しているか確認する
セット割などがあるはずなのに、それにしてはスマートフォンの料金が高いと感じているのであれば、きちんと適用されているかどうかを一度確認してみる必要があります。やはりここでも、マイページや、自宅に送られてくる料金明細をチェックすることが手段となります。
もし適用されていなかったら、契約中のプランがその対象になっているかを確認し、それぞれのキャリアに問い合わせてみましょう。申請手続を忘れていた場合には、改めて申請することで適用してもらう必要があります。キャリアによって、割引オプションが自動的に適用されることもあれば、されないこともあるので、契約の際にしっかりみておくようにしてください。
4. 他のプロバイダへの乗り換えを検討する
どうしても料金を抑えることができない場合は、今よりも安いサービスに乗り換えることを検討しましょう。乗り換え手続きのおおまかな流れは、以下のとおりです。
【光回線の乗り換え手順】
1. 新しいサービスに申し込む
2. 開通工事日の調整をする
3. 解約日を開通工事日の翌日頃に合わせて、旧サービスの解約手続をする
4. 新しい回線の開通工事が行われ、利用可能となる
5. 必要に応じて、旧サービスのレンタル機器の返却や回線撤去工事などを行う
【モバイル回線の乗り換え手順】
1. 新しいサービスに申し込む
2. 自宅に新しい端末が到着し、利用可能となる
3. 旧サービスの解約手続をする
4. レンタル端末の場合は、それを返却する
現在契約しているサービスがフレッツ光なら「転用」、光コラボレーション事業者と契約しているなら「事業者変更」を使って、フレッツ光や他の光コラボレーション事業者へ簡単に乗り換えることができます。すでに解説したとおり、光コラボレーションとはNTT(フレッツ光)の回線を借りて他社が行っているサービスであるため、同じ仕組みを共有しているからです。開通工事費が基本的に不要で、ひかり電話の番号も変えなくてよいのが、共通する特徴です。
【転用の特徴】
1. フレッツ光の工事費の残債を引き継いで、分割で支払える
2. フレッツ光の違約金は免除される
【フレッツ光から光コラボレーションへの転用の流れ】
1. NTTから転用承諾番号を発行してもらう
2. 光コラボレーションを申し込み、手続き時に転用承諾番号を入力する
3. 自宅に光コラボレーションの契約書類が届く
4. 必要に応じて、インターネットの接続設定を新しいプロバイダに変更する
【事業者変更の特徴】
1. 工事費の残債を引き継ぐことはできない
2. 現在の光コラボレーションの違約金がかかる
【事業者変更の流れ】
1. 契約している光コラボレーション事業者から事業者変更承諾番号を発行してもらう
2. 他社の光コラボレーション、あるいはフレッツ光を申し込み、手続き時に事業者変更承諾番号を入力する
3. フレッツ光に変更する場合、プロバイダの申込みを行う
4. 自宅に新しい契約先の契約書類が届く
5. 必要に応じて、インターネットの接続設定を新しいプロバイダに変更する
光回線の乗り換えの詳細
光回線のおおまかな乗り換え手順については、すでに述べたとおりです。申し込みから開通工事までは、だいたい1ヶ月から2ヶ月ほどかかるので、現在利用しているサービスの更新期間内に乗り換えたい場合には、余裕をもって新しいサービスを申し込むことが必要です。
ただし、前項で解説した「転用」と「事業者変更」の場合は、基本的に工事が不要なため、2週間ほどで乗り換えが可能となっています。発行される承諾番号の有効期限が15日間と短いので、取得をしたら早めに新しいサービスに申し込むようにしてください。
開通工事
光回線の工事は1時間ほどで完了しますが、必ず立ち会いを必要とします。これは代理人でもよいので、あなたが仕事などでどうしても立ち会えない場合には、信用できる誰かに代理人になってもらいましょう。
工事の手順は以下のようなものです。
1. 電柱から回線を引っ張ってくる
2. 回線を部屋まで引っ張ってくる
3. 光コンセントを設置する
すでに光コンセントが設置されており、工事不要と判断された場合には、郵送で届くONUという機器を自分で設置するだけの作業となります。家の状況によっては、壁に穴を空けないと開通できないと言われることもありますが、そういった場合に当日キャンセルを行っても、キャンセル料や違約金はかかりません。平日に仕事があり、土日に工事を頼みたい方も多いでしょうが、土日を指定した場合には別料金が必要になることがあるので、注意しましょう。
解約時の注意点
光回線の解約は、あなたが契約しているサービスの運営会社が設置している解約窓口に連絡するだけで決まります。ただし、すぐに解約できるとは限りません。
解約手続きをしてから、実際にそれが処理されるまでに数営業日を要する会社もあるので、ある程度の余裕をもって連絡するようにしてください。また、レンタルしている機器などを解約後に返却することも忘れないようにしましょう。
解約違約金
光回線の契約期間は2~3年であることが多く、更新月以外の月に解約をすると、約1~2万円の違約金が発生することになります。小さい額ではないので、都合がつく限りは更新月に解約するのがよいでしょう。
また、フレッツ光はプロバイダが別契約となっているため、プロバイダの違約金も3,000円~5,000円ほどかかってしまいます。光回線サービスの中には、他社の違約金を負担してくれるキャンペーンを実施しているところもあるので、更新月以外に解約をしたい場合は、乗り換え先としてそういうサービスを検討してみるのも得策です。
工事費の残債
工事費を分割払いで支払っていた場合、解約時に未払い分があれば、それを一括請求されます。早期に解約した場合には、それなりの額になるので注意する必要があります。
また、工事費が「実質無料」であった場合も、同じように一括請求されることになります。実質無料とは、月々の割引などで見かけ上0円になっているものであり、契約が終了すれば割引も終了し、残債が表に現れるからです。これは盲点になることも多いので、あらかじめしっかり認識しておきましょう。
電話番号の引き継ぎ
現在住んでいる家で光回線を乗り換える場合、無料で同じ電話番号をそのまま引き継ぐことができます。ただし、電話番号がNTTで発番されたものであることが条件となります。
そうではない場合、たとえば光回線の電話サービスを契約したときに発番されたものである場合などは、引き継ぐことはできません。現在使っている電話番号がNTTで発番されたものかどうかは、NTTの窓口で確かめることができます。
また、他の土地へ引っ越す場合にも、電話番号を引き継ぐことはできません。同じマンションのべつの階に引っ越すなど、近い距離の移動しかしない場合は例外ですが、そうでなければ局番が変わってしまうことになるので、どうしても以前の電話番号を使い続けることはできません。この点は理解しておきましょう。
まとめ
以上、インターネットのサービスをどのように比較すればよいのか、どのような点に注意してサービスを選択すればよいのかについて解説しました。サービスの数が増えたということは、自分の条件にぴったり合うものをより柔軟に選べるようになったという意味ではよいことですが、そのぶん情報を集めることは難しくなっています。
ろくに調べずに急いで決めてしまい、あとになって断然自分に向いているべつのサービスが見つかった、ということはできれば避けたいものです。この記事で解説したことを参考に、ぜひあなたにとって最高のサービスを探し出してみてください。