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ネット上の画像や文章を引用する際は、著作権侵害に要注意!

この記事のテーマは、ネット上で公開されている文章や画像の著作権についてです。

インターネット上で公開されている文章や画像などのコンテンツについては、誰でも自由に閲覧が可能なことから、それらが著作権者の権利が及んでいるものであることの意識が薄くなるケースがみられます。

ネット上で公開されている写真などをコピーして自分のブログなどに載せたとしても、著作権を侵害しているという意識を持たない人もいるのではないでしょうか。

しかし、こういった行為は著作権の侵害にあたり、法律上の責任を問われる可能性があります。

一方、著作権が及んでいるコンテンツであっても、著作権法上許されている「引用」に当たるならば、責任を問われることはありません。

この記事を参考に、著作権に関するトラブルに巻き込まれないように気をつけてください。

そもそも「著作権」とはどんなものなのか?

まず、ネット上に公開されている画像(写真)を例に、「そもそも著作権とはどういったものなのか」について解説します。

ネット上に公開されている写真は、ついつい気軽な気持ちでコピペして利用してしまいがちですが、その行為は著作権を侵害しているかもしれないので注意が必要です。

著作権は著作物に関する権利

著作権法という法律があり、著作権についてはこの法律が定めています。著作権を問題にする際には、その権利の目的となる「著作物」とは何かを明らかにする必要があるでしょう。

著作物については、著作権法の2条1項に規定があります。それによると、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」です。これだけでは分かりにくいかもしれませんが、10条に具体的な例が挙げられています。

例示されている著作物について

著作権法10条には、さまざまなものが列挙されています。10条1項は、小説、脚本などの言語の著作物が規定され、2項には音楽の著作物が規定されています。

以下、舞踏や絵画、建築、地図などの図面、映画、写真、(コンピューター)プログラムなどが列挙されています。

ただし、10条には「おおむね次のとおりである」とあるので、ここに載っていないものは著作権の対象とならないとは限りません。ただし、いずれも「思想又は感情を創作的に表現したもの」であることが前提です。

例示されている中に含まれていることからも、写真は明確に著作物に当たることが分かります。

著作物に当たらない場合とは?

「思想又は感情を創作的に表現したもの」という著作物の定義から、著作物は表現されたものであることが必要であることが分かります。

つまり、頭の中に留まっているアイデアは、まだ表現されていないので著作権の対象になりません。また、同じようなプロットの小説や漫画を書いたとしても、具体的に書かれた表現が似通ったものでない限り、著作権の侵害にはなりません。

もっとも、著作権法の問題にはならかったとしても、いわゆる「パクリ」に当たると判断されれば非難の的になることは避けられません。著作権侵害にはならないとしても、アイデアの盗用は避けるべきです。

また著作物は「思想または感情を創作的に」表現したものですから、単に事実を伝達するものは著作物ではないことになります。

ただし、単なる事実のみを伝えるものなのか、思想の表現を含むものなのかの境目の判断が難しい場合もありますから、慎重に判断する必要があります。

ネット上の写真も著作物として保護される

先ほども指摘しましたが、ネット上の写真も著作物に当たります。

「写真というのは目の前の景色を写すだけのもので、思想または感情を表現したものではないのではないか?」という疑問を感じるかもしれません。

しかし写真を撮る際には、構図を考えたり照明を当てたりといった創作的な作業がなされているので、例外もありますが通常は著作物に含まれます。

写真の著作権についてもっと深く知りたい場合は、下記のURLの公益社団法人 日本写真家協会のページが参考になりますから、見てみるといいでしょう。

参考:写真著作権と肖像権(公益社団法人 日本写真家協会ホームページ)

著作権の権利の内容

著作権者が具体的にどんな権利を持っているのかについては、著作権法の17条以下に規定があります。複製権、上演権、上映権、公衆送信権などがあります。

ちなみに、18条から20条までは著作者人格権と呼ばれるもので、著作権とは区別されます。著作者人格権は、著作者の人格に関わる権利で、著作物を勝手に公表されないとか、著作物を公表する際に氏名を表示するか否かは著作者が決められるといった権利が保障されています。

ネット上に写真を公開する場合であれば、公衆送信権という権利があります。ネット上の写真をコピペして、自分のブログなどに掲載すると、写真を複製したことによる複製権と公衆送信したことによる公衆送信権を侵害していることになります。

著作権の侵害と著作物の引用について

ここからは、もう少し具体的にウェブサイトを運用する際に著作権侵害となるケースと著作物の引用について考えてみます。

他人の著作物をそのまま転載する場合

最も典型的なのは、他人の著作物をそのまま自分のウェブサイトに転載するケースです。これが著作権の侵害に当たることは説明するまでもないでしょう。

形式的には、他人の著作物を引用している場合

こちらの方が微妙な判断を要求されます。詳細は後で解説しますが、著作権法で許されている「引用」にはいくつかの要件があります。それらを全て満たした場合にはじめて「引用」として認められます。

したがって、形式的に「出典:○○」といった表記をしていたとしても、著作権法で許されている引用には当たらない場合があり得ます。

このような形式的には引用しているように見える状態は、それを行っている人は法律に違反していることに気付いていない場合もあるので要注意です。

「引用」の基本的な考え方

引用に関する具体的な内容は後で解説しますが、基本的な考え方だけ先に説明しておきます。それは、「引用」は自分のオリジナルの表現をするために必要な場合にのみ許されるということです。

例えば、ある文学作品を批評するような場合、その作品を引用しながらでなければ表現するのは極めて難しくなります。このような場合は引用が許されます。

ただし、ただ自分の意見を足していればいいというものではなく、作品を長々と引用した後で「この作品は、とても面白くおすすすめです」と付け足したところで、自分のオリジナル表現とは言えません。

この後解説するように、引用として許されるにはいくつかの要件があるので、それを満たす形で引用を行う必要があります。そして、要件を満たした正しい引用をしている場合は、著作権者に許可を得る必要はありません。

著作権法上許されている「引用」の要件

ここからは、著作権法上許されている「引用」に当たるためには、どんな要件を満たしている必要があるのか解説します。

なお、著作権法で引用に関して規定した条文は32条1項です。

オリジナルが「主」、引用が「従」の関係にあること

まずオリジナルが主で引用が従である必要があります。つまり、コンテンツの内容として、オリジナルの部分が大半を占めていて引用は一部であることが必要です。

さきほど基本的な考え方でお話したように、引用は自分の表現物を作成するために許されているものですから、あくまでもオリジナルとして作成した部分がコンテンツの中心になっていなければいけません。

引用であることが明確になっていること

引用した他人の著作物を、自分の表現であるかのように装うことは許されません。

引用をする場合は、「」にくくるとか枠で囲うといった形で、引用部分が他と区別できるようにしなければいけません。

自分の表現をするために引用が必要であること

前に例に挙げた文学作品の批評をするような場合が典型ですが、引用は自分の表現物を作成するために必要な範囲で認められるものです。つまり、引用をしなければ自分の表現ができない関係にあることが必要です。

例えば、著名な作品を載せることで自分のホームページやブログのアクセス数を増やしたいといった目的で引用をすることは、必要性があるとは認められません。

引用をしたコンテンツの出典を明示すること

引用をした場合は、どこから引用をしたのかという出典を明示する必要があります。

出典を記載する際にはルールがあります。書籍の場合なら「著者名、書籍名、出版社、出版年、該当するページ数」を書きます。

ホームページからの引用なら「著者名、ウェブページのタイトル、URL、最終アクセスの年月日」を書きます。ホームページからの引用の場合は、著者名が明示されていない場合もありますが、このような場合は不明な部分を省くことができます。

引用する際には、改変を加えない

先ほど引用する場合は「」や枠で引用部分を区別すると書きましたが、その際に内容を改変することは許されません。そのままの形で引用する必要があります。

この点に関連して、画像の場合に自分の著作物であることを示す方法として、ウォーターマークというものを付けることがあります。画像に小さな図案や文字を加えて、著作権者を明らかにするものです。

これを削除して引用をするといったことは、かなり悪質な行為と判断されます。引用の際に改変はできない例として覚えておきましょう。

例外的に転載が許される場合

これまで解説してきた引用とは違って、引用の範囲を超えてコンテンツを掲載することを転載といいます。転載は引用の場合と違って、要件を満たせば許されるというものではありません。転載をしたい場合は、著作権者の許可を得る必要があります。

ただし、著作権法32条2項には例外も記載されています。国や地方公共団体などが作成した広報資料・調査統計資料などについては、転載することが許されています。ただし、転載を禁止する旨の記載がある場合は、転載することができません。

引用に当たるか否か等が問題となった裁判例

引用の範囲を超えて他人のコンテンツを利用した場合、著作権者から訴えを起こされる可能性もあります。

この記事の最後は、著作権法上許される「引用」に当たらないと判断された等の理由で損害賠償の支払いを命じられた裁判例について解説します。

なお、以下でご紹介する裁判例については、裁判所ウェブページに判決の全文が公開されています。より詳しい内容を知りたい方は、下記のURLからアクセスしてください。

参考:裁判例検索(裁判所ウェブページ)

芸術作品の画像のオークションカタログ等への掲載が引用に当たらないとされた例

東京地方裁判所による判決で、判決の年月日は平成21年11月26日です。
事件番号は、平成20(ワ)31480号です。

4人の現代美術の芸術家が、オークション会社を訴えた裁判です。オークションの出品カタログ、フリーペーパー、パンフレットへの美術品の画像の掲載が引用に当たらないと判断されました。

引用に当たらないとされた理由は、カタログ等の記載が画像以外は作者名や作品名などを記載したものに過ぎないため、独自の著作物とは認められず、画像が主たる部分であると判断されたことなどとされています。

この事件では、被告のオークション会社には、原告4人に計52万円の支払うよう判決が下されました。

月刊誌に掲載していた闘病記のクリニックのホームページへの掲載が引用に当たらないとされた例

これも東京地方裁判所による判決で、判決の年月日は平成22年5月28日です。
事件番号は、平成21(ワ)12854号です。

クリニックの患者が執筆し、月刊誌に連載された闘病記を、医師がクリニックのホームページに記載したという事件です。

引用に当たらないとされた理由は、クリニックが記載した部分は、分量・内容からみて引用した著作物との間に、前者を主、後者を従とする関係にはないというものです。

なお、引用部分の前には導入部分が付け加えられていましたが、それらは短文で内容も平凡なもので著作物性、創作性を認めるのは困難であるとも指摘されています。

裁判で認められた損害賠償の金額は、41万6000円です。

書籍の要約文をウェブサイトへ掲載したことが著作権法に違反するとされた例

これも東京地方裁判所による判決ですが、同日に2つの判決が下されています。判決の年月日は平成13年12月3日です。
事件番号は、平成13(ワ)22110号と平成13(ワ)22067号です。

この事件に関しては、被告側が裁判所に出頭せず書面も提出していないので、原告側の主張がそのまま認められています。

それによると、ホームページに記載された要約文は、書籍の抜書きなどが主で書評と評価できるものではなく、引用には当たらない。要約文は、複製あるいは翻案に当たり、著作者の複製権・翻案権を侵害している。以上のような点が、ホームページからの要約文の削除及び損害賠償請求を請求した理由となっています。

この事件では、被告会社には、各原告に対して100万円以上の損害賠償を支払うことが命じられています。

まとめ

著作権とは何かや著作権法で保護されるコンテンツ、著作権者の許諾がなくても許される「引用」などについて解説してきました。

インターネットが普及して、誰にでも簡単に情報発信ができる時代になりました。便利な世の中になったのですが、これは誰もが著作権を侵害する側の立場になり得る時代になったことも意味しています。

この記事で解説したように、安易に他人のコンテンツを引用してホームページやブログに載せると、著作権法違反として裁判になったりする可能性もあります。他人の著作物を利用する際には、法律に違反することがないように十分に気をつけましょう。