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写真撮影の照明テクニック-ライトと機材の使い方を徹底解説

この記事では、写真撮影の照明テクニックについて解説します。ライトの当て方から光を調節する撮影機材まで紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

写真撮影における照明の基礎知識

まず覚えてほしいのは、照明は太陽の代わりであるということです。照明テクニックは、自然の光を作り出すテクニックです。いかに自然に見せられるかどうかが重要になってきます。そのため、複数の照明を使っていても光源が一つであるように見せるのが、照明テクニックの基本です。

それを踏まえた上で、ここでは写真撮影における照明の基礎知識として、使われる照明について解説していきます。

3つの照明

《自然光》
厳密に言えば照明ではありませんが、自然な光の下で写真が撮れるのが太陽を使った自然光撮影です。ただし、天気や時間に左右されるため、毎回同じ光を出すことはできません。また、照明の位置や強さを調整できないので、撮影者の腕前と経験が問われる撮影方法ともいえるでしょう。自然光撮影の魅力は、柔らかい光に包まれた明るい印象の写真が撮れることです。日常誰もが目にしている光のため、違和感がなく万人受けする点もメリットのひとつです。

《ストロボ》
ストロボとは、カメラの発光装置のことです。フラッシュとも呼ばれ、暗い場所での光源や、明るい場所であっても補助光として役立ちます。撮影時に一瞬だけ光る照明ですので、光の当たり方を肉眼で見ることはできません。撮影テクニックを要するため、初心者には扱いが難しい照明機材です。ただ、質の良い光を自在に調整できるため、本格的な写真に仕上がります。プロにとってはメジャーな照明機材です。

《定常光》
常に光っている照明を、定常光と呼びます。蛍光灯やLED、HMIなどの種類があります。被写体に光が当たった様子を肉眼で確認できるので、初心者にも扱いやすい照明です。

メインライト-キーライト

照明を当てる際には、まずメインライトの位置から決めていきます。メインライトは、その名の通りメインの光源、つまり太陽の代わりになるライトをさします。「中心の」という意味でキーライトとも呼ぶこともあります。はじめは光の角度について、難しく考える必要はありません。意識するのは、光の高さだけです。太陽光を基本にして考えると、メインライトの位置は、被写体に対して上になるのが自然です。高さだけに注意して、好きな位置にメインライトを設置しましょう。

メインライトのみで撮影した写真のできが良ければ、ライトの増設は不要です。ただ、メインライトのみだと、光源不足や陰影が深く出てしまうなど、被写体の魅力を活かせない場合も。物足りなさ埋めたいときにフォローライトを用います。

2つ目以降のライト-フォローライト

2つ目以降に設置するライトは、総称してフォローライトと呼ばれます。フォローライトには、全体に光を足す「フィルインライト」と、部分的に光を足す「アクセントライト」があります。

フォローライトの役割は、光の当たり方をより自然にすることです。自然光は、太陽の直射光と、大気中の水蒸気や海などの自然物に反射した光で成り立っています。太陽代わりのメインライトと、反射光や乱反射光代わりのフォローライトを使って、より自然の光に近づけていくのです。

フォローライト-フィルインライト

フィルインライトの役割は、メインライトだけでは照らしきれていない背景や影部分に光を当てることです。主に、全体の明るさを調整するために使用します。これは、フィルインが「埋める」や「満たす」を意味していることからも想像できるでしょう。

ここでは、フォローライトの一種である、フィルインライトについて解説します。フィルインライトの使い方とポイントをお伝えしますので、参考にしてください。

正面から当てるフロントライト

自然光撮影では、太陽光がさまざまな場所に反射して、被写体全体に光が降り注ぎます。しかし、屋内で被写体にメインライトを当てても、屋外撮影の再現はできません。メインライトを置いた側からの光しか当たらず、影が強く出すぎてしまうからです。

光の当たっている部分と当たっていない部分、つまりハイライトとシャドウの割合を調節するのが、フロントライトです。フロントライトは、カメラと同じ位置から当てます。真正面から光を当てた場合、影になるのは被写体の背後です。写真には映らない部分ですので、メインライトとバッティングすることなく、単純に明るさ調整として使えます。

上方から当てるスカイライト

正面から光を当てるフロントライトに対し、上方から光を当てるのがスカイライトです。

スカイライトを上から当てることによって、「本来影ができるはずだった部分」に暗さを出します。光源が上であれば、立体の下に影ができるのが自然です。フロントライトで全体の明るさを調節したあとは、スカイライトで影を調節しましょう。

フィルインライトは全体的に照らす

フィルインライトのポイントは、面光源で全体的に照らすことです。太陽から降り注ぐ光を人工的に再現しているので、被写体全体を均一に照らすメリットがあります。太陽光の柔らかさを出すための光という意識を持って、被写体に当てていきましょう。また、フィルインライトは、太陽光を再現するための補助的な役割を持っているため、メインライトより強く照らさないようにするのがポイントです。照明比といわれる、メインライトとフィルインライトの割合を表す言葉がありますが、推奨比率はすべてメインライトのほうが強くなっています。

光にアクセントをつけて上手にライティングをする方法

アクセントライトは、メインライトを補助する役割があります。被写体にハイライトを加えるためのものです。一部分だけを明るくすることで、画面にコントラストの差をつくります。

フィルインライトと違い、アクセントライトはメインライトと同じ角度から光を当てるのが基本形となります。ここでは、光にアクセントをつけて、上手にライティングする方法をお伝えします。

メインライトの位置を変えるだけでも印象が変わる

メインライトの位置を変えるだけでも、写真の印象はガラリと変わります。はじめに、メインライトの高さは被写体の斜め上を基本とします。これは、太陽の光が上方から差し込む状況と同じです。メインライトの位置を変える場合は、横方向での移動をしましょう。

横方向での移動で考えられる位置は以下のとおりです。

被写体に対して、
・真正面:順光
・右斜め前:斜光
・左斜め前:斜光
・右真横:サイド光
・左真横:サイド光
・右斜め奥:半逆光
・左斜め奥:半逆光
・真後ろ:逆光

同じ斜め前からの光であっても、左右どちらにライトを置くかで印象が変わります。特に、人物の撮影の際には、粗隠しや前髪の影の入り方調整をしながら、ライトの配置を考えることが重要です。

また、インタビュー記事の撮影などでは、カメラの位置が正面ではないことが多いです。代表的なのは、モデルの斜め前にカメラを配置するケースです。このときに、メインライトを人物の手前に置くか奥に置くかで、それぞれに名称があります。モデルの手前、頬にライトを当てるのが「オンサイドキー」、奥側にライトを当てるのが「オフサイドキー」です。メインライトの配置によって、モデルの持つ印象が変わるので、注意が必要です。写真のコンセプトやモデルのイメージから、適切な配置を選びましょう。

▲真上から見た図

メインライトをここに置く(オフサイドキー)

モデル

メインライトをここに置く(オンサイドキー)

カメラ

髪の光沢を強調するトップライト

フィルインライトの説明で上方から全体を照らすライトを紹介しましたが、ここでは上方から一部分を照らすテクニックを紹介します。上方から照らすアクセントライトを、トップライトと呼びます。主に髪の光沢を強調するために使用され、トップライトを当てることによって立体感を表現します。トップライトを当てるときには、真上よりやや後ろに配置するようにしましょう。前方から当てると、額や鼻にまでハイライトが入ってしまい、不自然な印象になってしまいます。

《上方から面で照らす-スカイライト》
・主に影、シャドウを調節する
・上方から全体的に照らすことによって、顎下などに自然な影が入る

《上方から部分的に照らす-トップライト》
・主に光、ハイライトを調節する
・上方やや後ろから照らすことによって、髪にハイライトが入り立体的に見せられる

アクセントライトを当てるときのポイント

アクセントライトを当てるときのポイントは、部分的に照らすことです。ハイライトを入れなくても良い箇所にまで光を当ててしまうと、全体のバランスが崩れて不自然な仕上がりになってしまいます。バーンドアやグリッドなどの光を絞る道具や、カポックなどのように光を遮断する道具もあります。当たり方を調節しながらアクセントライトを入れていきましょう。

《バーンドア》

ストロボやフラッシュヘッドに直接取り付ける道具です。光の方向を制限するために使用します。

《グリッド》

光の拡散をコントロールできる道具です。光を集めて、必要な箇所にだけ当てることができます。

《カポック》

カポックは、360度開閉できる二つ折りのレフ板です。カポックには白い面と黒い面があります。白い面はレフ板代わりに、黒い面は光の拡散を抑えたいときに使用します。

光を調節するための道具

光の調節方法には、「透過」と「反射」があります。それぞれ英語では、ディフューズとレフレックスです。写真撮影で使う光を透過させる道具を「ディフューザー」、光を反射させる道具を「レフ板」といいますが、語源もうなづけるのではないでしょうか。

ここでは、ディフューザーとレフ板の使い方について解説します。

光を透過させて柔らかく当てるディフューザー

ディフューザーは、ライトに被せる白い布状の道具で、強い光を柔らかくする効果があります。直接ライトを当てると光が強すぎて、被写体の質感が活かせない場合に使用使用します。面積が広いディフューザーは、光の拡散効果も見込めるので、被写体全体に光を行き渡せたいときにも使えるでしょう。

自分の持っているライトに合わせてディフューザー単体を購入するほか、ソフトボックスなどど呼ばれる、照明とセットになったディフューザーもあります。手軽にディフューザーを用意したいのであれば、トレーシングペーパーで代用可能です。部屋の窓やライトに貼り付けることで、光を柔らかくすることができます。

光を反射させてハイライトを入れるレフ板

レフ板は、反射光を被写体に当てるときに使用する道具です。ライトの光をレフ板に当て、レフ板に反射した光が被写体に当たることによって、部分的にハイライトが入ります。使い方は以下のとおりです。

《レフ板の使い方例》
・左奥を光源とする半逆光での撮影時、右手前の影が暗すぎる場合に、右側にレフ板を置く→右手前の影に光が当たり、コントラストの調整ができる

・人物の瞳が暗く写ってしまう場合に、レフ板に反射させた光を瞳に入れる→レフ板の白が瞳に写り、輝いて見える

また、レフ板には白以外に銀や黒があります。銀は白よりも照射範囲を抑えたいときに、黒はあえて影を作りたいときやハイライトを抑えたいときに使用すると効果的です。

背景や洋服の色の反射に注意

光を反射するのは、レフ板だけではありません。天井や壁、床、撮影者の着衣の色が、被写体に影響を与えてしまうことがあります。

たとえば、天井の色が反射し、色かぶりを起こすケースが考えられます。色かぶりとは、画像全体が特定の色で覆われたように見えることです。赤い天井の色を反射すると、画面全体に赤いフィルターがかかったように写ります。淡い色ならカメラの色補正で調整できますが、極端な色かぶりは写真の印象を変えてしまいます。

このような理由から、撮影者やそのスタッフは着衣に注意する必要があります。白のTシャツが、意図せずレフ板の代わりになることも考えられます。光を上手に使った撮影を検討している場合は、黒やグレーといった反射を伴わない衣服をメインに着用しましょう。

順光

順光とは、被写体の正面から光が差し込んだ状態のことです。全体に光が回っているので、どんなカメラを使っても撮影がしやすいのが特徴です。カメラの性能の差が出にくい光の状態です。露出やホワイトバランスを調整しなくても撮影できますが、平坦な写真になりやすいのがデメリットです。立体感を大切にしたい被写体には不向きな光です。

順光で撮影した写真の仕上がり

順光で撮影する場合のライトの位置は、カメラの横です。被写体を正面から照らすイメージで使います。

▲真上から見た図

順光のライト1本で撮影した写真は、正面からの光が強いため、被写体に立体感が見られません。順光は、立体感よりも色や質感をはっきり写したいときに利用するのがおすすめです。

サイド光

被写体の横から当てるのが、サイド光です。光と影のコントラストを活かしたいときに使用します。陰影が強くなるので、細部が見えにくいという特徴があります。芸術作品などに用いられる手法ですが、ネット販売向けの商品画像としては向いていない光の当て方になります。

サイド光で撮影した写真の仕上がり

サイド光で撮影する場合のライトの位置は、被写体の真横です。

▲真上から見た図

順光に比べると、影が強調されて立体感が生まれます。しかし、食べ物を撮影する場合にはハイライトが弱いため、見た目から味を想像させるような画像には至りません。サイド光は、光と影にメリハリを付けて、ドラマチックな写真に仕上げるときに向いています。

逆光

被写体の後ろから光を当てるのが、逆光です。被写体が影になるので、高度な撮影技術が必要になる光の当て方になります。水面の光や夕日など、風景を活かしたいときに利用するとよいでしょう。逆光で被写体を明るく撮影したい場合には、露出をプラス補正するのがポイントです。

逆光で撮影した写真の仕上がり

逆光で撮影する場合のライトの位置は、被写体の真後ろです。

▲真上から見た図

立体感が生まれハイライトも入りますが、反射が強すぎるため硬い印象を与えます。食べ物を撮影すると、作り物のように見えてしまいます。逆光は、露出などの補正を上手に使った風景や人物の撮影に向いています。

半逆光

被写体の後ろ斜め45度くらいからあたる光を、半逆光といいます。光と影のバランスがちょうどよく、自然な立体感を出せるのが特徴です。半逆光は、人物や料理を撮影するときによく使われます。商品撮影に光の当て方を工夫する場合は、半逆光の手法を取り入れてみましょう。

半逆光で撮影した写真の仕上がり

半逆光で撮影する場合のライトの位置は、被写体の後ろ斜め45度です。

▲真横から見た図

適度な立体感と照りを出せるため、食べ物を撮影すると美味しそうに写ります。手前の影が強く感じるときには、レフ板を使用しましょう。被写体の前にレフ板を置いて反射光を当てることで、明るくみずみずしい印象に仕上げることができます。

照明テクニックを使うために必要な機材の参考価格

光の当て方がわかったところで、実際に撮影をするときに必要な機材について見ていきましょう。ここでは、ライトやレフ板といった、照明周りの撮影機材の価格を紹介します。

光源となるLED照明

メインライトやフォローライトといった、光源として使用する照明です。蛍光灯やHMI(メタルハライド照明)などもありますが、初めて買うなら、初心者でも扱いやすいLEDライトがおすすめです。光の色や量を調節できるものも販売されているので、光を上手に使った写真を撮影できるようになります。3,000円くらいから売られていますが、性能が良いものや大きなサイズのものは10万円程度の価格帯が一般的です。

光を反射させるためのレフ板

レフ板を使うことで、光を反射させて全体を明るい印象にしたり、瞳の中にハイライトを入れたりできます。1,000~4,000円と比較的安価で手に入りますが、どうしても用意できない場合は、「スチレンボードと白い紙を使って自作する」方法があります。また「カメラマンが白い服を着る」という方法も使えます。

柔らかい光を当てるディフューザー

光を拡散させて、柔らかい光にする機材です。照明と一体になったタイプと、既存の照明にセットして使うアクセサリータイプがあります。アクセサリータイプを購入する場合は、自分が持っているストロボやライトとの相性を考えて購入しましょう。ディフューザー単体だと1,000円程度から、照明一体型だと5,000円程度から販売されています。

撮影ボックス

撮影ボックスは、白い壁と白い床、白い天井で成り立つ、小型簡易スタジオです。バッグなどの小物撮影に適したサイズから、人物向けの大型サイズまで展開されています。一般的に物撮りセットとも呼ばれます。白い壁がレフ板代わり、ライトも付いているので、他の機材を揃える必要がありません。

ライトの位置が固定されているうえ、ディフューザーもついていないので、照明の当て方を微調整するのが難しいというデメリットがあります。その反面ライティングの知識が少なくても、本格的な写真が撮れるメリットが先行します。費用をかけずにクオリティの高い写真を撮りたい人におすすめです。

また、低予算・省スペースで用意できることから、ネットショップ運営者にも向いていると言えるでしょう。毎回の照明調整が必要なく、一定の条件下で撮影できるという点も、ネットショップの商品画像の撮影に向いています。サイズによって価格が異なり、2,000~10,000円程度で購入できます。

まとめ

照明の当て方を工夫するだけで、写真の印象は大きく変わります。効果的な光の当て方が分かれば、売上アップにつながる商品写真も撮れるようになりますので、ぜひ練習してみてください。すべての機材を用意しようと思うと大変ですが、ひとつで照明とレフ板の役目を果たす「撮影ボックス」も売られています。予算の中でより良い写真撮影ができるよう、工夫してみましょう。