この記事では、本物のドクターマーチンの見分け方や、信頼できるショップの選び方について解説します。
ドクターマーチンは、イギリスのシューズメーカーです。もともとは実用性の高いワーキングブーツからスタートしたブランドですが、現在ではファッション性の高いブランドとして人気があります。定番の8ホールのブーツや3ホールのシューズなどの他、サンダルやバッグなどもあります。
ただ、人気のブランドなだけに、偽物が販売されているケースもあります。そこで、この記事を読んで、本物のドクターマーチンを入手する方法を身につけてください。
世間で言われている見分け方を検証
まずは、ドクターマーチンの真贋の見分け方としてネットなどで流布している情報が正しいのかを検証してみましょう。
ソールの格子模様の向きが違う
ドクターマーチンの靴の特徴として、ソール(靴底)に透けて見える格子模様があります。これは、ドクターマーチン独自の「エアクッションソール」が採用されていることによるものです。ソールの中の空間が仕切られていて、そこに空気が充満していることで、高いクッション性と履き心地の良さを実現しています。この仕切りがソールの格子模様になっているわけです。
この格子模様ですが、縦方向に並んでいるものと、斜めになっているものがあります。そして、斜めのものが本物で、縦のものは偽物と言われることがあります。具体的に写真で見てみると、一枚目の写真が縦方向のもの、二枚目の写真が斜めのものです。
非常に分かりやすいので、これで本物と偽物が見分けられるなら簡単です。しかし、実際には、この方法では真贋の区別はできません。
実は、ご紹介した写真のうち、一枚目はイギリスのドクターマーチン公式サイトのもので、二枚目は日本の公式サイトのものです。
双方とも公式サイトから引用した写真ですから、当然両方とも本物の写真です。したがって、この方法では判別不能ということになります。
日本で縦方向の格子のドクターマーチンが売られていたら、それは並行輸入品である可能性があります。並行輸入品は仕入れルートが違うだけで、偽物ではありません。
インソールが外せるか外せないか
インソールが取り外せるか否かも見分け方のひとつとされることがあります。取り外せない方が本物で、取り外せるのは偽物とされるのです。
しかし、この見分け方も間違いです。日本で正規品として販売されているものの中にはインソールが接着されて外せないものがあるのは事実ですが、世界的にはドクターマーチンの靴はインソールが外せるものが主流です。
つまり、この違いも先ほどの格子模様と同じく、国内正規品と並行輸入品の違いということになり、本物と偽物を分ける指標となるものではありません。
ロゴや刺繍が入っていないと偽物?
ドクターマーチンに限らず、ブランド物はロゴや刺繍に大きな価値があり、それをつけないことは考えられません。
ロゴは外箱に必ず入っていますし、刺繍もヒールループに入っています。これらが入っていないのは大抵偽物です。また、印刷や刺繍が汚かったり雑だったりしても偽物の可能性があります。
生産国で見分けられる?
生産国で見分けるという方法も間違いです。
例えば、先ほどご紹介した「1461 3ホールシューズ」の場合、生産国はバングラディッシュ、中国、ラオス、タイ、ベトナムとなっています。ドクターマーチンの靴はこのように各国で生産されており、そのいずれもが本物です。したがって、「タイ製なら本物」、「中国製なら偽物」というように単純に分類することはできません。
明らかに明るい色のソールは偽物
ここまで検証した見分け方は実際には役に立たないものばかりでしたが、これは違います。
ソールが明らかに明るい色をしている靴は、偽物の可能性が高くなります。
ソールに書かれている英語に誤表記がある
ドクターマーチンの靴のソールには、OIL、FAT、ACID、PETROL、ALKALI、RESISTANTという6つの単語が縦に並べて書いてあります。油(脂)や酸・アルカリ、ガソリンに対して抵抗性があることを示しています。もともとワーキングブーツから始まったドクターマーチンらしい表記です。
偽物の場合、これらの単語に抜けがあったり、綴りが間違っていたりすることがあります。そういった場合は、偽物であると判断できます。
すぐに傷むのは偽物
偽物は見た目こそ本物そっくりです。中にはプロでなければ判定ができない巧妙な偽物も存在します。しかし、偽物は総じて品質が悪く、すぐ傷みます。
本物のドクターマーチンであれば手入れをすれば数十年は使い続けることができ、買ってすぐに傷むような品質ではありません。
そのため、買ってすぐ傷む、もしくは買ったときにすでに傷んでいるようなものは偽物の可能性が高いといえます。
完全な識別は困難
ネット上で流布している本物と偽物の見分け方を見てきました。見分け方としては不正確なものもありましたが、最後に紹介した2つの方法は一応役に立つものです。
しかし、この見分け方は、偽物を区別するものに過ぎません。一定の限度で偽物を排除することはできますが、ソールの色が暗かったり英語の表記が正確だったりしても、それで本物と断言できるわけではありません。
結論としては、簡単に本物と偽物を区別できる方法はないと思った方がいいでしょう。そのため、真贋を自分で判断するよりも、信頼できるショップで買ったほうが間違いなく本物を買うことができます。
並行輸入品について理解しておこう
並行輸入品というのは、小売業者がブランドの正規代理店を通さずに輸入した商品のことをいいます。図にすると以下のようになります。
これを見ても分かるように、並行輸入品は海外のショップなどから仕入れたものです。正規代理店を通じて販売されるものと並行輸入品とで違いはなく、並行輸入品も海外では正規品として流通しているものです。「並行輸入品(海外正規品)」と表記しているショップもあります。
ただ、海外で販売されている商品と正規代理店が日本で販売している商品とでは、細部が異なっている場合があります。そうだとしても、偽物というわけではありません。
「並行輸入品=偽物」という誤解が生まれる原因
このような正規品と並行輸入品との微妙な違いは、並行輸入品が偽物と誤解される原因の一つとなっています。また、一般的に並行輸入品は国内正規品よりも安価で販売されており、その安さが偽物かもしれないという疑念を生んでいるのも事実です。さらに、正規代理店が、並行輸入品を買わないように消費者にアピールしていることも、並行輸入品を偽物だと思わせる原因になっています。
これらの事情から、並行輸入品は偽物だという誤解が生じるのですが、並行輸入品だからといって偽物というわけではありません。ただ、並行輸入品と銘打って販売されているものの中には、偽物が混ざっていることもあります。そのため、どのショップから購入するかは吟味する必要があります。
並行輸入品が安い理由
並行輸入品を安く販売できるのは、そもそもその商品の国外現地価格が国内価格よりも相当安いことが理由です。国内では2万円以上で販売されている商品が、現地なら千円台で売られているケースもあります。常にここまで大きな差が生じるわけではありませんが、国内よりも安く買える場合が多いのは事実なのです。
並行輸入品はどのくらい安いのか
先ほどの「1461 3ホールシューズ」を例に、並行輸入品がどれほど安いのか見てみましょう。公式サイトでの販売価格は、23,100円です。
これに対して、楽天市場に出店しているショップが販売する並行輸入品の場合は、14,300円です。
かなりの差があることが分かります。半額とまではいきませんが、それに近い価格です。
これだけの差があると、偽物ではないかと疑いたくなるのも分かります。しかし、先ほど解説したように、並行輸入品は偽物というわけではなく、日本よりも物価が安い国で安い時期に仕入れることでこの価格を実現しているのです。
並行輸入品のメリット2つ
ここまで並行輸入品とは何かについて見てきました。次は並行輸入品のメリットについて紹介していきます。
並行輸入品のメリットは次の2つが挙げられます。
- 国内の同じモデルより安く買える
- 海外にしかない商品も手に入る
国内の同じモデルより安く買える
国内で同じモデルよりも並行輸入品のほうが安く買えることが多いです。
海外展開をしている商品は、ほぼ同じモデルでも地域によって価格設定を変えています。そのため、日本よりも安く販売されている地域のものを輸入すれば安く買うことができます。
また、円高時にはより安く買えるので覚えておきましょう。
海外にしかない商品も手に入る
日本で展開しているブランドでも、日本の市場では大きな需要が見込めないことなどを理由に、新製品の販売を日本国内ではしない場合があります。その他にも販売地域が限られている限定モデルなども日本の正規店では手に入れることができません。
しかし、販売している地域から輸入すれば、日本では入手困難なモデルも手に入れることができます。
並行輸入品のデメリット3つ
並行輸入品のメリットの次は並行輸入品のデメリットについても見ていきましょう。
並行輸入品のデメリットは以下の3つです。
- 箱やパッケージの状態が良くない時がある
- メーカーの交換や修理などの保証を受けられない
- サイズ感が違う場合がある
箱やパッケージの状態が良くない時がある
並行輸入品は通ってくるルートも長く、輸送コストを削減しているので箱が凹んでいたり傷ついていたりすることも少なくありません。
また、国によっては箱は商品を保護するものという価値観も根付いているところもあります。
メーカーの交換や修理などの保証を受けられない
日本国内にも海外ブランドの直営店や正規販売店があり、そこでは交換やメーカー修理などのアフターケアもしてくれます。
しかし、並行輸入品を正規の販売店に持ち込んでも、原則としてアフターケアは受けられません。初期不良などに関してもメーカーではなく販売したショップに対応してもらいましょう。
サイズ感が違う場合がある
海外と日本では、日常的に使っている大きさや規格が異なります。したがって、海外向けに販売されている並行輸入品は、日本国内向けの商品とサイズ感が違います。
現物を見たり試着をしたりできないので、あらかじめサイズ感をよく調べることが必要です。
安全な並行輸入品の購入先おすすめ5選
並行輸入品を販売するショップの中には偽物や密輸品などを販売する悪質なショップもあります。並行輸入品は信頼できるショップから買うのが大切です。
ここでは並行輸入品の購入先を見ていきましょう。
- 有名店に入っている実店舗
- 有名通販サイト
- Z-CRAFT
- LTD online
- VIATORINO
有名店に入っている実店舗
有名店に入っている店舗で買うならほぼ確実に問題ありません。例えばショッピングモールに入っているテナントが偽物を売ろうものなら、すぐにショッピングモールの運営は対応します。そもそも有名なショッピングモールに入るのはハードルが高く、怪しげなお店はまず入れません。
以下のようなところで買えばまず間違いないでしょう。
- イオンモール
- イトーヨーカドー
- パルコ
- ららぽーと
有名通販サイト
以下のような有名な通販サイトは比較的安全といえます。
しかし、全ての出品が安全というわけではなく、中には偽物などもあります。通販サイトの多くはモール式を取っており、サイトの中に出品者が出品する形式で運営しています。
レビューや口コミなどを参考にして怪しいショップは使わないようにしましょう。
Z-CRAFT
老舗輸入会社、株式会社ロイヤルが運営する通販サイトです。50年以上の経営で培ったノウハウと、凄腕バイヤーたちの審美眼で選ばれた商品はどれも一級品です。
現在サイトが改装中の為商品の検索は行えませんが、11月上旬にオープン予定とのことですので、日が経ったのち改めて確認してみてください。
LTD online
LTDはスニーカーを中心とした商品を取り扱う輸入販売店です。
有名ブランドのスニーカーが多数取り揃えられており、日本国外向け商品や海外限定モデルもあります。
VIA TORINO
VIA TORINOはバッグや服、時計などさまざまな並行輸入品を幅広く販売しているショップです。
男性よりも女性向きの商品が多く、COACHやCHANELといった有名ブランドが多数取り揃えられています。
偽物を販売しているショップを見分ける方法
ここでは、ショップの見分け方を解説します。
既に書いたように、本物と偽物を見分けることは簡単ではありません。ネットショップで購入する場合は、写真で判断することになるのでなおさらです。
また、商品を購入して手元に届いてから偽物だと分かったとしても、偽物を販売しているような悪質なショップが素直に返金に応じてくれるとは限りません。
やはり、偽物を買ってしまう前に、偽物を販売するショップからは購入しないことが、本物のドクターマーチンを手に入れるためには必要です。
サイトの運営元をチェックする
ネットで通信販売を行う際には、特定商取引法に基づく表記をしなければなりません。これには、事業者の氏名(名称)や住所、電話番号の他、様々な内容が含まれます。
この表記がないサイトや、必要事項の記載が欠けているサイトは、疑わしいサイトです。そういったサイトでは商品を購入しないようにしましょう。
特定商取引法に基づく表記の詳細は、以下のページを参照してください。
なお、サイトをチェックする際には、実店舗の有無も確認しましょう。実店舗を経営している場合は、信用性が高くなります。
他の販売商品もチェックする
ショップをチェックする際には、自分が欲しい商品だけでなく、他の商品も確認しておくといいでしょう。
例えば、他のショップでは売り切れていたり高値で販売されていたりするレアな商品が安値で販売されている場合は、偽物を売っている可能性が高くなります。
Instagramの広告に注意
Instagramで表示される広告には偽物が含まれていることがあります。そのブランドではあり得ないような大幅値引きをうたった広告には特に気を付けてください。
安全なショップで買いたいなら、Instagramに広告を出しているサイトは避けた方が無難です。それでもそのサイトを利用したい場合は、普段以上に念入りにサイトの信頼性を確認してください。
本物のドクターマーチンの靴を買うには
最後に、本物のドクターマーチンを買う方法と購入時の注意点についてまとめておきます。実際に商品を購入する際は、以下の内容を思い出してください。
信頼できるお店で買う
とにかく、本物を買いたければ、信頼できるお店で買うことです。もちろん、公式サイトや直営の実店舗で買えば間違いはありません。また、ABC-MARTのような大手の靴販売店であれば、偽物を扱っていることはまずありません。
これら以外のネットショップで購入する場合は、口コミなどを参考に選ぶことになります。その際は、ショップが開設されてからの年数もチェックしてください。長年の販売実績があれば、信頼できるショップである確率が高まります。
生産国によってサイズが違うことがある
これは本物であっても注意して欲しいポイントです。ドクターマーチンの靴は、生産国によってサイズが違うことがあります。例えば、UKサイズの8.0は、日本の27.0に相当するのですが、実際に測ってみると生産国によって1cm~1.5cm程度の差がある場合があります。
親切なショップであれば、少し小さめを注文した方が良いといった注意書きをしてくれています。サイズに関する問い合わせを受け付けている場合もあるので、このようなサービスも利用してサイズを決めましょう。
商品知識を身につける
ドクターマーチンの靴には色々なモデルがあります。黄色ステッチはドクターマーチンの特徴の一つですが、他の色のモデルもあります。他にも様々な点で定番のドクターマーチンとは少し違ったデザインのものがあります。
こういったモデルによる細かな違いを知っておけば、モデルの違いによる差異を「偽物なのではないか?」と勘繰ることもなくなります。
楽天市場のショップなら一応安心
公式ではないネットショップで並行輸入品を購入する場合は偽物の心配がありますが、楽天市場に出店しているショップは安全性が高いといえます。
なぜなら、楽天市場に出店する際には、費用がかかるからです。具体的には、初期登録費用がかかります。出店プランによって変わりますが、月額出店料の半年分~1年分を一括払いする必要があります。偽物を販売する業者がこのようなコストをかけてまで楽天市場に出店することは少ないのです。
予算は高めに設定する
お得に購入したいという気持ちはわかりますが、予算は高めに設定しましょう。
相場に比べ極端に安い商品は偽物の可能性が高いです。偽物は本物に比べ壊れやすい上、もちろん価値もありません。まさに安物買いの銭失いです。
ドクターマーチンの本物は品質が高く、手入れをして大切に使えば数十年間使い続けられます。多少値が張っても長い期間使え、コストパフォーマンスは高いので、正規品を買いましょう。
ドクターマーチンの靴を安心して購入しよう
ドクターマーチンの真贋の見分け方や、信頼できるショップの選び方などについて解説してきました。
色々と解説してきましたが、無理に最安値の商品を探したりせず、普通に有名どころのショップで購入すれば偽物を掴まされることはほぼありません。
また、不安を感じている人も、この記事でご紹介した方法を駆使すれば偽物を避けることはできます。
是非この記事を参考にして、本物のドクターマーチンを手に入れてください。