ビジネスを始めようと思ったらまず何をすべきでしょうか?
それはずばり「ビジネスプランを作る」ことです。
しかし、ただ作れば良いというものではありません。時間をかけて事業計画を吟味し、具体的なポイントを押さえて作る必要があります。
この記事ではビジネスプランを立てる上でどんな点に注意すれば良いのかを解説していきます。ぜひ参考にしてくださいね!
ビジネスプランの役割とは?
この記事ではビジネスプラン=事業計画書として扱います。
ビジネスプランはただの書類ではありません。
これから始めるビジネスにとっても、そのビジネスに関わる個人や法人にとっても大きな意義や役割があるものです。
では、まずビジネスプランの持つ3つの意義や役割について紹介していきます。
ビジネスプランを立てる=事業を始める
まず、ビジネスプランを立てる、つまり事業計画書を作成するということは、紙面上でビジネスを始めてみることにほかなりません。
「自分のビジネスのアイデアを実現するために、どれくらいの時間やお金が必要なのか?」
「どんな人や企業の協力が必要になるのか?」
「その人たちの協力を得られる見込みは現時点でどれくらいあるのか?」
「どんなリスクがあり、それを克服するためには何が必要なのか?」
といった点をできる限り現実的にまとめていくと、成功するために欠かせない要素を誰にでもわかりやすく、はっきりと示すことができます。
これは事業を始める上でも、軌道に乗せる上でも非常に重要なプロセスです。
ビジネスパートナーへの説得材料
ビジネスプランは、ビジネスを成功させるために必要なパートナーを説得するための道具にもなります。
投資家や銀行、企業、個人などあなたのビジネスに必要なパートナーは、まず「あなたのビジネスについて知りたい」と思うに違いありません。
成功する見込みがないのにお金を出したり、協力したりしようと思う人はいないからです。
そんな時、彼らを説得するために必要なのがあなたのビジネスプランです。
そのため、ビジネスプランは相手にとって魅力的なポイントを持っていて、分かりやすい必要があります。
彼らの納得できる根拠や可能性を示せれば、きっとあなたのビジネスに協力してくれるでしょう。
ビジネスの軸をブレさせないようにする安定剤
ビジネスプランは管理者にとっても、社員にとっても役に立ちます。
というのも、「自分が携わっているビジネスがどんな目標を持っているのか」「優先順位は何なのか」「競合する存在は何なのか」を明確にさせることで、自分たちのビジネスのポジションをはっきり理解できるからです。
そのような見方を共通理解として持っておかないと、いつの間にかビジネスの軸がぶれてしまったり、優先順位が低い分野に多くのリソースをつぎ込んでしまったりすることになりかねません。
ビジネスプランを常に仲間と共有できるようにしておくことも、業務全体の効率化につながるといえます。
ビジネスプランの前に、まずはビジネスモデルから!
ビジネスプランを立てる前に、まずその核となる「ビジネスモデル」、つまり事業構造が必要になります。
簡単に言えば「事業で利益を生み出すための仕組み」のことです。
利益を出せなければ、ビジネスは到底成り立ちません。
では、どうすればビジネスモデルを構築できるでしょうか?
構築するための3つの要素について考えていきましょう。
顧客(ターゲット)はだれなのか?
始めに、ビジネスの顧客(ターゲット)を考えます。
「客」という言葉は色々な意味で使われます。
例えば見込み客・新規の客・リピート客・固定(常連)客・大口客などです。
さらに細かく考えると、相手が法人なのか個人なのか、男性なのか女性なのか、どんな年齢層なのかという意味でも分類することができます。
このような違いについて考え、自分のビジネスを「どんな客に」「どのように利用してほしいのか」を分析し、明確にしていきましょう。
このプロセスによって、ビジネスモデルの輪郭をある程度はっきりさせることができます。
どのような価値をどう提供するのか?
次に、自分のビジネスの「どんな価値を」「どのように提供していくのか」を考える必要があります。
この「価値」を考える時に必要なのは自分から見た価値ではなく、ターゲットから見た価値を正確に測る視点です。
提供するモノやサービスの価格、販売方法、サービスの提供機関、支払い方法、アフターサービスなどを細かく考え、それらがターゲットにどのようなメリットやデメリットをもたらすのかを正確に把握しながら詳細を決めていく必要があります。
マーケティングはどうするのか?
最後に、マーケティングの戦略について考えます。
「マーケティング」という言葉は様々な意味で使われていますが、この場合はビジネスの販売戦略のことです。
もっと簡単に言えば、「売り方を考える」ということになります。
ビジネスの種類やターゲット層によって様々なマーケティング戦略が考えられますし、最近ではSNS(例えばYouTubeやInstagramなど)のインフルエンサーを使ったマーケティング方法もあります。
どれが自分のビジネスにおいて一番効果的なのかを吟味しましょう。
ビジネスプランにはストーリーが必要
ビジネスモデルができたら、ビジネスプランの概要を構築していきましょう。
ビジネスプランは「物語」に例えられることがあります。
つまり、ただ情報を伝えるだけではなく、相手に訴えかける内容(ストーリー)が無ければダメだということです。
ストーリーを作るには大きく分けて3つのポイントがあります。
- 課題の提示
- 提示した課題を解決するためのアプローチ
- 自社のメンバーやチームメンバーの紹介
この3つを説明してクライアントが納得してくれれば、あなたのビジネスプランは成功したと言えるでしょう。
では、1つずつ解説していきます。
課題の提示
まずはビジネスプランを読んでいる、もしくは説明を受けている人が「それは大きな問題だから、解決しなければならない。でもどうやって?」と興味や共感を示してくれるような課題を提示することが必要です。
また、あなたのビジネスが実現した時のビジョンと、何も取り組みがされていない現状を比較することによって、ある特定のニーズを顕在化させる方法もあります。
このような課題への認識を、お互いの共通の土台にしていきます。
提示した課題を解決するためのアプローチ
次に、その課題をあなたのビジネスがどのように解決していくのかについて説明します。
提供されるモノ・サービスの付加価値や利便性、従来と比べて向上している点を説明し、それが実現した先にある理想の未来像を明確に示します。
また、ビジネスモデルも併せて説明し、自社の収益構造をはっきりと理解してもらうことも大切です。
その際、いきなり全ての詳細なデータを盛り込むのではなく、一番重要で核となる情報の要点を抜粋することがポイントです。
特に忙しい投資家やビジネスマンにとって、時間はとても貴重なものです。
まずは概要を説明して自分のビジネスに興味を持ってもらい、後から細かい点を説明していく方が良いでしょう。
自社のメンバーやチームメンバーの紹介
最後に創業者や経営陣のキャリア、保有しているリソース、ネットワークについて説明します。
この段階で聞き手が関心を示すのは、このチームがこれまで説明してきたことを全て実現可能であるという根拠です。
そのため、相手が信頼に足ると思える証拠や、ビジネスを長期にわたって実現し続ける保証を示すことが重要になります。
ここまで紹介してきた3つのポイントはほんの一例です。
このような形でビジネスプランの概要を構築できれば、聞き手はきっとあなたのビジネスにストーリーを感じてくれるに違いありません。
ビジネスプランをより魅力的に!「3C分析」を活用する
「3C分析」とはビジネスの市場を分析するマーケティング方法で「市場(Customer)」、「競合(Competitor)」、「自社(Company)」の3つの頭文字の「C」をとってこのように呼ばれています。
この分析をする目的は、あなたのビジネスプランの成功要因を見つけることです。
この視点があれば、あなたのビジネスプランをさらに魅力的にすることができるはずです。
3C分析の概要
「市場」、「競合」、「自社」はそれぞれ影響し合っていますので「どこから始めればよいか分からない」と思う人もいるに違いありません。
様々なアプローチがありますが、一般的には「市場」から始めると良いでしょう。
次の順番で分析を行っていきます。
- 市場(顧客)が求めているニーズを把握する
- 競合と自社との差別化のポイントを明確にする
- 市場のニーズと競合との間で差別化できるポイントを踏まえて、自社がどんな価値を市場に提供できるかを考える
まず市場分析を行う際には、とにかく具体的なデータを使う必要があります。
例えば、政府が発表している人口統計による特定の性別や年齢層の人口分布、関連業界の業績動向・展望に関する実際の数値、顧客アンケ―トなどから浮かび上がるターゲットの行動プロセスやニーズ、数値化した自社の強みや弱みなどです。
信頼に値するデータをできる限り分析することで、市場が持つニーズについて根拠のある見積もりを出していきます。
次に行うのは競合と自社の数値比較です。
売上や利益、売上原価、広告宣伝費などのコストを比較していきます。
そこから「自社のリソースをどれほど効率的に活用できるのか」「数値に差がでるとしたら、それはなぜなのか」について分析していきます。
このようにして、自社の持つ強みや弱みを把握することができます。
ビジネスプランを作成する上で、競合との比較は非常に大切です。
なぜなら、競合がいない分野には事業の発展もありません。
そのため、競合との分析が扱われていないビジネスプランには、その時点で魅力がないと判断されてしまう可能性があります。
最後に自社を分析します。
自社の強みや持っているチャンス、弱み、抱えているピンチを正確に数値化し、目標の設定とその達成に向けた計画を立案していきます。
この3C分析を行えば、ビジネスが成功するかどうか、実現のためにどんなプロセスが必要なのかが客観的に分かりやすくなります。
この手法は、ビジネスプランを立てる際にもその後にも、常に必要となりますのでしっかりと押さえておきましょう。
ビジネス開始に向けた「アクションプラン」とは?
これまでビジネスプランの立て方について考えてきましたが、ここからはさらに大きな枠組みである「アクションプラン」についても解説していきたいと思います。
「アクションプラン」とはその名の通り、「行動計画書」になります。
アクションプランの中には、いつまでにビジネスプランを立てるかという項目があります。
そこからさらに、資金調達や開業に必要な登記・開業・事務所の開設といった具体的な行動を、それぞれの所要日数とともに優先順位毎に計画してあるものになります。
このアクションプランを組む際にはビジネスプランとはさらに違った観点が必要です。
簡単に、アクションプランを立てる際の注意点についてご紹介します。
実現可能かどうかを徹底的に検証する
ビジネスプランでは将来実現したいビジョン、つまり構想や未来像を設定しました。
しかし、アクションプランを作成する際にまず念頭に置きたいのは、理想と現実には違いがあるということです。
現在持っているリソース(人材・資金・物資など)で確実に達成できるプランでなければ意味がありません。
具体的には、達成可能な短期・中期・長期の目標を立て、リソースを考慮した上でそれぞれの目標達成までの工程や優先順位、期限などを決めます。
そして、具体的な指標を基に、進捗を定期的にチェックします。
プランには、失敗した場合に各工程をどのように見直すかというところまでを盛り込んでおきます。
このようにすれば大きく失敗するリスクは低減します。
たとえ失敗したとしても「アクションプランの改善に役立った」という意義があるので、失敗を目標達成のための1つのステップととらえることができます。
アクションプランは簡単に変更してはダメ
作成したアクションプランを実行する段階で変更してしまうと、アクションプランそのものに意味がなくなるだけでなく、様々な損害が出てきてしまいます。
例えば、業務担当が何をして良いのか分からなくなる、メンバーのやる気がなくなる、想定外の費用や時間がかかる、といったことです。
そのため、アクションプランは作成時の徹底的な検討と、全てのメンバーへの十分な情報の共有が不可欠です。
一度決めたアクションプランを、できる限り貫きとおす覚悟を持ちましょう。
ビジネスプランの最終チェック
では最後に、自分が立てたビジネスプラン全体をチェックしてみましょう。
どんなポイントを確認すれば良いでしょうか?
「ビジネスモデル」のチェックポイント
ビジネスモデルに関しては、以下の項目を見直してみましょう。
- 販売計画は客観的にみて無理がないか?
- ターゲットを極端に絞り込みすぎてはいないか?
- 計画を稼働させることができるリソースを確保しているか?
- 特許・商標・著作権などを侵害していないか?
- 計画が真似されたり、邪魔されたりしないように、ビジネスが軌道にのるまでのスピードも考慮してあるか?
ビジネスモデルはビジネスプランの核ですので、しっかりチェックして具体的なものにしましょう。
「ビジネスプラン」のチェックポイント
ビジネスプランに関しては、以下の項目を見直してみましょう。
- 内容が専門的になりすぎて、分かりにくくなっていないか?
- 15分以内で概要がつかめる量になっているか?
- 一番伝えるべきポイントにしっかり重点が置かれているか?
- 色々な立場の人に見てもらって説得できるかどうかを確認したか?
ビジネスプランが完成してからが本当の勝負になりますので、気を抜かないようにしましょう。
ビジネスプランは相手に合わせた見せ方を
ビジネスプランを見せる対象は将来のビジネスパートナーや顧客などのクライアント、金融機関や投資家などが考えられます。
それぞれの立場で一番重要視している部分は恐らく違うので、相手によって伝えたい内容の比重を調整する必要があります。
相手の心に一番響くビジネスプランをあらかじめ用意しておきましょう。
まとめ
今回はビジネスプランについて押さえておきたい具体的なポイントを取り上げました。
この記事の内容を参考にして作成すれば、きっとあなたのビジネスプランも多くの人に訴えるものとなるに違いありません。
あなたの役に立つビジネスプランをぜひ作ってみてくださいね!