商品価格の安さと、バリエーション豊富な品揃えが人気を集めているAliExpress。あの有名なアリババが運営する中国の海外向け通販サイトで、その利用者は全世界に広がっています。
そんなAliExpressは、トラブルが多いとの評判が聞かれる一方で、購入者の利益を第一に考えた「Buyer Protection制度」の中身が充実しているとも言われます。その仕組みの一つが「extend processing time」です。しかし、日本の通販サイトでは馴染みがなく、日本からの利用者にとっては内容も使い方もわかりにくいため、この仕組みを上手に活用できている人は多くはありません。
そこでこの記事では、extend processing timeについてわかりやすくまとめました。これまでこの仕組みを知っていても活用できていなかった人や、そもそも存在すら知らなかった人は、ぜひ参考にしてください。
AliExpressの購入者保護制度
AliExpressには、「Buyer Protection」、すなわち購入者保護制度が設けられています。これは、取引において購入者側が不利益を被ることがないように、AliExpressの運営元が購入者の利益を保護してくれる制度です。具体的な仕組みとして、extend processing timeやopen disputeなどがあります。
extend processing timeとは?
これはBuyer Protection制度の一つで、直訳すると「処理時間の延長」という意味になります。つまり、取引に対する保証期間を延長するということです。
この仕組みを利用すれば、仮に何らかのトラブルで商品の到着が大幅に遅れたり、配送途中で紛失したりして元の保証期間を過ぎてしまっても、きちんと保証を受けることができます。購入者にとっては心強いですね。
なお、extend processing timeを利用するタイミングは、取引期間を通じて2回あります。
商品発送前の保証内容
1回目のタイミングは、商品発送前です。
商品を注文し、支払いが確認されると、セラーは発送準備に入ります。この時点で、セラーには数日の準備期間が与えられますが、中には期間内に発送しないセラーもいます。そのまま期限切れになれば注文自体がキャンセルされてしまうため、このような場合にextend processing timeを行使して準備期間を延長することになります。
商品発送後の保証内容
2回目のタイミングは、商品発送後です。
商品は発送されているにもかかわらず、いつまで経っても手元に届かないことがあります。しかし、商品が届いていなくても、保証期間の75日が経過すれば自動的に代金がセラーに支払われ、そこで取引終了となってしまいます。しかも、セラーによっては、取引終了後の問い合わせに対応してくれない場合もあります。
そのため、商品の到着が遅れている時に、extend processing timeを使って保証期間を延長しておくのです。
extend processing timeの条件
extend processing timeは、購入者側の一方的な申し出だけで成立するものではありません。購入者が申請し、それにセラーが同意した場合のみ保証期間が延長されることになります。
セラーからの連絡を待っている間に保証期間が過ぎてしまったなんてことにならないよう、保証期間の延長を希望する際は、少なくとも期間終了日の10日前には行うようにしましょう。
open disputeとの関係
AliExpressには、購入者とセラー間の話し合いでは解決できない問題が発生した際に、運営元に仲裁を求めることができるopen disputeという仕組みがあります。発送から10日以内はopen disputeを開始できませんので覚えておきましょう。
extend processing timeに関する誤解
保証期間を延長できることは、購入者にとって非常に心強い仕組みだと言えます。しかし、日本人にはあまり馴染みがないことも手伝って、間違った理解をしているケースもあるようです。
そこで、4つの典型的なQ&Aをご紹介します。正しく理解できているかチェックしてみてください。
パターン1:extend processing time内に必ず商品が到着する?
3この仕組みは期限内に必ず商品が到着することを保証するものではなく、あくまでも何か問題が生じた場合に返金や返品などのサポートを受けることができる期間を表しています。
期限を延長しても商品が到着しないようであれば、再延長するなどの対応が必要です。
パターン2:extend processing timeを過ぎても返品すれば問題なし?
保証期間の経過は、すなわち取引終了を意味します。一度完結した取引に対して返品対応などを求めても、ほとんどのセラーは応じてくれません。
安心して取引を続けるために、返品や交換などを希望する場合は前もってextend processing timeの手続きを行い、期間に余裕を持っておくようにしましょう。
パターン3:extend processing timeを過ぎても返金してもらえる?
保証期間を過ぎれば、一切保証やサポートを受けることはできません。つまり、商品に何か問題があっても、返金はもちろん、AliExpressに対してopen disputeを申し立てることも不可能となります。
家電製品などで保証期間が過ぎたら有償修理になるのと同じですね。
パターン4:extend processing timeを過ぎたらPayPalに返金してもらえば良い?
すでに完了した取引については、AliExpress上で返金を受けることはできません。そのため、返金の代替手段としてPayPalを選択するケースがありますが、これは危険です。
PayPalはAliExpressとは全く無関係の外部サービスのため、もし約束通り返金されなかったり、返金額が少なかったりしても、AliExpressは関知しません。自分でセラーと直接交渉するか、諦めるかしかなくなりますので、安易にPayPalによる返金を求めるのはやめましょう。セラー側からPayPalへの返金を提案された場合も、応じないようにしてください。
extend processing timeをする方法
それでは、保証期間延長手続きの手順について、デバイスごとに詳しく紹介します。
1:パソコンから手続きする場合
1.AliExpressのトップページにあるMy Accountから、My Orders(注文履歴)を開き保障期間を延長したい商品を選択する。
2.Extend Processing Timeをクリックする。なお、注文処理段階によって、微妙に画面表示の仕方が異なるので注意しましょう。
3.延長を希望する日数を入力し、Submitをクリックする。
4.セラーからの連絡を待つ。
数日以内に、セラー側から延長に同意するか否かの返答があります。ただ、たまに何の連絡もないまま延長処理がなされることもあるので、延長申請後はこまめにView Detailをチェックしてください。
もし、セラーが延長に応じない場合は、直接メッセージで問い合わせてみましょう。
2:スマホから手続きする場合
スマホのブラウザ版では利用できる機能に制限があるため、保証期間延長の手続きはできません。スマホから手続きしたい場合は、アプリを利用しましょう。
1.AliExpressのアプリをダウンロードし、ログインする。
2.My Ordersの中から延長を希望する商品を選び、Order Detailsをタップする。
3.Messageから、セラーへ「保証期間を○○日延長してほしい」旨のメッセージを送信する。
extend processing timeだけじゃない!商品が発送されない時の対処法
AliExpressにおいては、商品の発送遅延はよくあること。なぜそんなに発送遅延が発生するのか、その背景となる知識や対処法について見ていきましょう。
1:時間感覚が違う
日本では期限内であっても物事にはできるだけ速やかに対応すべきと考えられているためか、日本のECサイトの出品者は注文を受けたらすぐに商品を発送します。しかし、中国の場合は、期限内であればいつ処理しても構わない考えているため、期限ギリギリまで商品が発送されないこともしばしばです。
これは、国民性や文化の違いによるところが大きいため、なかなか折り合いをつけるのが難しい問題です。AliExpressを利用するにあたっては、このような感覚の違いがあることをあらかじめ理解しておく必要があります。
2:焦ってキャンセルしない
なかなか商品が発送されない状況の中で保証期限が迫ってくると、つい焦って注文をキャンセルしたくなりますよね。
しかし、もし期限内に発送されなければ、代金は当然返金されますので購入者が痛手を負うことはありません。また、キャンセル手続きと入れ違いで発送されていた場合は、後々の処理が面倒になります。そのため、絶対に発送されていないとの確証が得られる場合を除き、購入者からキャンセルするのは避けたほうが無難です。
3:セラーの評価を確認してみる
注文の処理状況を確認するのと並行して、セラーに対する評価もチェックしましょう。
AliExpressには商品やセラーを星の数で評価する仕組みがあり、獲得した星の数により付与される累積ポイントに基づいてそれぞれランク分けされています。このポイントやランキングを見れば、これまでにそのお店がどのような顧客対応をしてきたのかがわかるため、以後の対処法を検討するのに役立ちます。
4:セラーに問い合わせる
相手の考え方を理解しようと努めたり、我慢したり、自分なりに調べてみたりと、さまざまな対処法はありますが、最後は相手に尋ねるしかありません。セラーへ状況を確認するメッセージを送ってみましょう。
セラーへ問い合わせる時のポイント
セラーへ問い合わせのメッセージを送る場合は、基本的に英語を使うことになります。日本語が通じないことで不安に感じるかもしれませんが、中学英語程度の英語力と翻訳ソフトがあれば十分に対応可能です。
これから紹介する5つのポイントに気をつけながら、メッセージを送ってみましょう。
1:用件は簡潔にわかりやすく
問い合わせのメッセージを送る上では、用件が相手に伝わることが何よりも大切です。体裁や文法にこだわり過ぎず、シンプルでわかりやすく、簡潔な文章となるように心がけましょう。
また、日本でメールを送るときのように、時候の挨拶や相手の体調を気遣うような文章を書く必要はありません。
2:要望ははっきりと
日本ではストレートな表現はあまり好まれないため、やんわりとした言い回しを使うのが一般的です。しかし、それでは海外の人には伝わりません。
自分の要望や考えは、はっきりと明確に主張することが大切です。
3:表現は丁寧に
文面だけでのやり取りではお互いの顔が見えないため、一つの言葉選びが相手の気分を害し、状況をこじらせることにもなりかねません。注文した商品が発送されなくてイライラしていたとしても、相手を非難するような文章を送ったりせず、できるだけ丁寧な文面を心がけてください。
4:購入日や注文番号の記入も忘れずに
注文の処理状況を確認するのに必要となる購入日や注文番号などの情報は、必ず記入しておきましょう。もちろん、セラー側でも調べればわかることではありますが、明記しておくと、多少返信が早くなることが期待できます。
なお、その際の日付は、欧米式にならい「日/月/年」か「月/日/年」の順番で、月を「January」「February」のように表記してください。
5:メッセージの履歴は消さない
セラーは同時にたくさんの注文や問い合わせに対応しているため、送られてきたメッセージを見ただけでは、どの問い合わせのことなのかすぐにはわかりません。また、毎回同じスタッフが対応するとも限らず、継続的なやり取りが難しい場合もあります。
そのため、誰が見てもそれまでの経緯がわかるよう、メッセージの履歴は残したままやり取りするようにしましょう。
extend processing timeを活用して楽しいショッピングを!
この仕組みは日本であまり馴染みがないため、使い方や意味がわかりにくい面もあるでしょう。しかし、上手に使いこなすことによって、AliExpressの魅力をより感じることができます。
この記事を参考にBuyer Protection制度をフル活用しながら、ぜひAliExpressでのショッピングを楽しんでください。