ブランド立ち上げに必要なこと・注意点を勉強しよう!

服が大好きな人にとって、アパレルブランドを立ち上げるのは、とても夢のある未来の一つです。自分の好きな服を自由に作って、同じように服が大好きな人達に届ける。自分が良いと思う服だけを取り扱えること自体、とても楽しいことで、そんなあなたの感性に共感して、あなたの商品を欲しいと言ってくれるお客様が現れるのは、本当に幸せなことです。

しかし、オリジナルブランドを立ち上げると一口に言っても、何から始めればいいのかわからない、という人が大半でしょう。あくまでも夢は夢、そう考えて、一から勉強するといった行動には移さず、漠然としたイメージを持ったまま日々の生活を送っているというのは、よくあるケースです。

もしあなたがここに該当するのであれば、この記事を読むことで人生が一変するかもしれません。今ではインターネットが普及し、多種多様なサービスが発達したことで、オリジナルブランドを立ち上げることはとても簡単になりました。

もはや大きな資金を用意する必要も、たくさんの人手を用意する必要もありません。必要なのは、ちょっとした知識とやる気だけです。

ここでは、そのうちの「ちょっとした知識」の部分について、具体的に解説していきます。すでにやる気は持っているというあなた、あるいは誰かが背中を押してくれればすぐにでもやる気が出そうなあなたは、ぜひこの機会にそれらの知識を身に着けてください。

目次

アパレルブランドは立ち上げやすい

アパレルブランドと聞いただけで、敷居の高さを感じてしまう人も多いことでしょう。しかし、実際には、立ち上げること自体はそこまで難しいことではないです。

初心者でも簡単に起業できる

オリジナルのアパレルブランドを立ち上げるということは、起業をするということです。飲食店を開いたり、ITの分野に飛び込んだりするのと、法的には同じです。そう考えると、資金のことや専門知識のことで怯んでしまう人が出てくることでしょう。

しかし、アパレルの世界には、そういった心配がありません。後述しますが小資金で始める方法もあり、必要なのは専門知識ではなく、あなたの服への愛着だからです。そのため、初心者でも起業しやすい分野であると言えます。

思い立ってすぐに始められる

アパレルブランドの良いところの一つとして、すぐにビジネスをスタートできることが挙げられます。必要なのは、お客様に販売するための服だけです。

一昔前は、実店舗を構えて販売するという選択肢しかなかったため、店舗のためのスペースを確保することなどが必要でしたが、今はインターネットの発達により、多様な方法で販売することができるようになりました。そのため、アパレルブランドを立ち上げるのはとても簡単で、すぐに準備を済ませて販売に移行することも可能なのです。

趣味の延長線上で始められる

アパレルブランドとは何をするものでしょうか?もちろんビジネスなので、いろいろな側面もありますが、端的に言ってしまえば、「自分が好きな服を作って、それをお客様に販売する」という行為です。

また、ファッションという分野は多種多様で、カジュアルからハイブランド、子ども向けから大人向け、男性用・女性用など、あらゆる方向に発展しています。あなたの趣味が服を考えたり作ったりすることである場合、それがどのようなものであれ、売るための市場はすでに整っているということになります。そのため、アパレルブランドの立ち上げは、趣味の延長線で始めることもできます。

副業という選択肢もあり

ブランドを立ち上げても、すぐに収入に結びつくわけではありません。新たなブランドが安定したオーダーを得られるようになるまでには、時間がかかるのです。ブランドが軌道に乗るまでの間、本業と掛け持ちで運営するというケースは珍しくありません。デザインは時間を選ばず、取引先との連絡はメールが主なので、フルタイムの仕事をしながらでもやりくりは十分に可能です。

アパレルブランドの立ち上げ方

新しい服がこの世に生まれる工程をざっくりまとめると、次のようになります。

1. コンセプトを策定する
2. ブランド名を決める
3. ロゴやタグを作る
4. どんな服を作るかを決める
5. 原材料を調達する
6. サンプルを作る
7. 本生産を依頼して量産する
8. お客様に販売する

一つずつ具体的に解説していきましょう。

コンセプトを策定する

アパレルブランドには、コンセプトが必要です。ブランドの世界観、あるいは指針と言うべきもので、最初に決めておかなければなりません。どんな人に着てもらいたいかを想像し、具体的に策定しましょう。競合との差別化や、ニーズとの一致などを意識してみてください。自分の価値観に合っているかどうかも、ブランドを育てていくためには重要なポイントです。

ブランド名を決める

コンセプトの次はブランドの名前を決めましょう。ここで、注意すべき点を挙げるとすれば、「簡単で読みやすいこと、わかりやすいこと」を意識することです。これさえ押さえておけば、あとはすべてあなたの自由です。柔軟な発想で、これという名前を探してみましょう。

ロゴやタグを作る

ブランド名が決まったら、ロゴタグを作ります。まずロゴですが、専門の業者に依頼するというのが第一に思い浮かぶ方法でしょう。しかし最近では、ロゴを自分で簡単に作ることのできるツールがあるので、それを使うのもオススメです。

次にタグですが、絶対に知っておいていただきたいのは、服に必ずつけなければならないタグが何種類かあるということです。

1. 織ネーム:洋服の後ろに付いている、ブランドロゴが印刷されたタグ
2. 下げ札:商品の値段、サイズ、混率などの情報が表示してあるもの
3. 洗濯ラベル:洗濯方法を表示したラベル
4. サイズタグ:サイズ(S,M,Lなど)を表記したタグ

洗濯ネームの表示方法に関しては、消費者庁が定めた決まりがあるので、確認しておきましょう。

参考:繊維製品の表示について | 消費者庁

タグの作成に関しては、業者に頼むことをオススメします。小ロットであっても1枚数十円で請け負ってくれるところが増えているので、資金に余裕がなくても発注しやすいです。

参考:ウンダーラベル

参考:ブランドタグ/オリジナルタグの印刷・作成 – カケエ・コーポレーション

参考:オリジナルの下げ札を作成致します。 – 清水ネーム

どんな服を作るかを決める

いよいよ服の詳細を決める段階です。このステップこそ、あなたがオリジナルブランドで最もやりたかったことであり、ブランドの命とも言えるところでしょう。作りたいように作ることが可能ならそれが一番ですが、予算の都合で制限がある場合は、トップスだけにする、アウターも作るなど、色々な選択肢の中から方針を決めていくことになります。この段階で、作ってもらう工場も決めておくとよいでしょう。

原材料を調達する

服の生地などもすべて自分で決めたいという場合には、製品ごとにどんな素材を使うのか、ボタンやファスナーなどの資材をどうするのか、といったことを決める必要があります。ここでは、あなたが普段から着ている、好きな服の詳細を参考にするのがよいでしょう。

深い専門知識がなくとも、自分の好みの服の素材・資材の名前さえわかれば、それを工場に伝えるだけで話は進みます。実際にそれらを調達する方法としては、工場のスタッフに言って手配してもらうか、自分で生地屋へ行って買いつけるかの2つの方法があります。

サンプルを作る

生地などが決まったら、必ずサンプルを作るようにしましょう。この工程を省いてしまうと、自分の思っていたものとまったく違うものが大量に作られてしまう危険性があります。届いたサンプルは隅々までチェックし、仕様やイメージに問題がないかを確認します。これでよいと思うことができたら、本発注へと進みます。

本生産を依頼して量産する

あなたがゴーサインを出したサンプルと同じものが、この工程で量産されます。ここで注意すべきは納期ですが、これに関しては、あなたが発注したロット数によっても大きく変わってくるので、一概には言えません。事前に工場に確認しておくとよいでしょう。

お客様に販売する

無事に量産が完了したら、上代(標準小売価格)を決めて販売を開始します。販売方法についての詳細は後述しますが、手っ取り早く売るにはネットでの販売が最適です。オリジナルサイトが簡単に作れるBASEを利用したり、メルカリで販売するなど、手軽に始められる手段を選んでみましょう。

様々な販売方法

出来上がった服をどのように販売するか、というのは、ビジネス上とても重要な選択となります。資金や人員などと相談したうえで、なるべく早い段階で決めておきたいものです。ここでは、3通りの販売方法について解説していきます。

ネットショップで販売

すでに述べてきたとおり、オリジナルのアパレルブランドを立ち上げたあと、それをもっとも簡単に展開できるのが、ネットショップを開業するという方法です。メリットは何と言っても、少ない資金で始められるということ、つまり、失敗したときのリスクも低いということを意味します。また、ネットショップはSNSと連動させた広告宣伝を容易に行えるという点でも、初心者が進めやすいビジネスモデルであると言えるでしょう。

BASEを使ってオリジナルサイトを作る、Amazonに新規出品する、楽天市場に出店する、メルカリで販売するなど、ネット販売にもいろいろな手段がありますが、どれが一番ということはありません。あなたにとってしっくりくる販路を作ることが大切です。もちろん、複数の販路で展開するのも、戦略の一つとなるでしょう。

実店舗で販売

それに対して、昔ながらの方法と言えるのが、実店舗を用意して販売するというものです。ネット販売と比較すると、まずデメリットのほうがわかりやすいでしょう。

スペースや店舗を借りなければならないため、かなりの資金が必要となります。そのぶんリスクは高いのは言うまでもありません。また、ネットのように「いきなり世界中の人に対して売る」わけではない点で、一種の縛りも存在します。

しかし、メリットもあります。一番わかりやすいのは、実店舗ならではの信頼感を獲得することができる、という点でしょう。
また、実際に服を手にとってもらえるのも大きいです。ネットショップがどんなにしっかりした画像を用意しても、お客様が実際に触れることができる、試着することができるという確かさには勝てません。

このように、実店舗には「お金でどっしり感を買う」ようなところがあります。

イベントやフリマで販売

各地で開かれるハンドメイドイベントフリーマーケットに、オリジナルブランドの服を持っていって販売するというのは、最近増えている方法です。この販売方法は、ネットショップと実店舗の中間のようなものです。

イベントのスペースを一時的に借りるだけなので資金面での負担が少なく、ネットショップのような商品発送や顧客対応の手間もない。それでいて、実際にお客様と接し、服を手にとってもらえるので、実感の伴ったフィードバックを得ることもできます。

デメリットとしては、常時開かれているショップではない点が挙げられます。従って、ネットショップや実店舗と並行して展開するのがオススメです。

ブランド立ち上げ時に忘れてはいけないこと

オリジナルのアパレルブランドを立ち上げるというのは、れっきとしたビジネスなので、事務的な作業も必要になります。ここでは、特に忘れてはいけない2つのことについて解説していきます。

商標登録

ブランド名はあなたの自由につけてよいということは、先に述べました。しかし、まったく自由に好きな名前でビジネスを行ってもよいというわけではありません。すでに他の会社が商標登録して使用している場合、あなたはその名前を使うことはできません。

「自分のブランドは小規模だし、黙っていればばれないだろう」などと安易に考えてしまうのは、とても危険なことです。もしそれが発覚した場合、訴訟となり、巨額の損害賠償を請求される可能性もあるからです。ブランド名を考えたら、それがすでに商標登録されていないかどうかを、しっかりチェックするようにしましょう。

行政手続き

ショップを開業した場合、たとえそれが法人でなくとも、事業を開始したことを行政に告知する「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出する必要があります。届出書に必要事項を記入するだけの簡単な作業なのですが、とても大切なものなので、決して怠ってはいけません。提出方法としては、税務署に持参するか、郵送するかの選択肢があります。

開業日から一ヶ月以内に提出する決まりになっていますが、「開業日」の定義は曖昧で、初めて事業を開始した日としてもよいですし、初めて売上があった日でも構わないとされています。

アパレルブランド立ち上げ時によくある失敗

オリジナルのアパレルブランドを立ち上げた方が、すべて順調にビジネスを拡大できているわけではありません。どうしても上手く行かず、撤退を余儀なくされたブランドも数多く存在します。ここでは、失敗したアパレルブランドに共通する思考や傾向について、解説していきます。

デザインが類似している

既存のブランドに憧れ、「自分もこんな服を作っていきたい」という意気込みでブランドを立ち上げる方の多くには、人気ブランドからの流用が見られます。もちろん、デザインは無限ではありませんので、ある程度までの類似は特に問題になることもないでしょう。

しかしこれが「酷似」のレベルにまで行くと、相手ブランドから訴訟を起こされる可能性もあります。実際にそのようなケースは日常茶飯事となっており、アパレル業界の業の一つとなっているのが現状です。あなたが既存の何かに憧れて業界に飛び込もうとしているのであれば、真正面から「自分の商品である」と主張できるだけの根拠のあるものを取り扱うようにしましょう。

具体的な構成が練られていない

漠然とした憧れだけでアパレルブランドを立ち上げた方の多くは、自己のブランドにどのような世界観(ブランドイメージ)を与えるか、という点を疎かにしています。手軽に手に入れることのできる商品にしか手を出さない、独自性をプリントのみで出そうとしている、などです。世の中には大小のアパレルブランドが無数にありますので、そのような展開しかできないブランドはなかなか成長していくことができません。最初のコンセプト作りは綿密に行ってください。

大切なのは、お客様の生活が、あなたのブランドの服を着ることでどう変化するのかです。あなたの好きな服を好きなように作ることは、もちろん出発点として大事なことですが、それを手に入れたお客様にどうなって欲しいのか、それを通して全体をどう判断されたいのか、といったところにまで意識を向けることは、成功のためには不可欠と言えるでしょう。

商品の生産数が少ない

先程、アパレルブランドの立ち上げやすさとして「趣味の延長線上で始められる」点を挙げました。自分の好きな服を作ってみたい、ブランドというものに憧れるので自分もそういうものになってみたい、誰かに自慢したい。そのような想いをもってビジネスをスタートさせる場合も多いですし、それ自体はまったく悪いことではありません。

しかし、いったんビジネスという形態でそれを始めた以上、しっかりと顧客を開拓し、利益を上げていくことは必要不可欠な要素となります。その際にありがちなのが、売れないかもしれないという恐れから、生産数を絞りすぎてしまうことです。たとえば、20着ずつ工場にオーダーする、といった具合です。

そういうことをしたくなる気持ちは誰にもありますが、しかしそれではビジネスは立ち行きません。それどころか、工場側からすれば迷惑行為にもなり得ます。生産をする立場としては、その程度のオーダーでは利益を上げることはできないからです。

もちろん予算を考えたうえでの話ですが、恐れから生産数を減らすことは避けるようにしましょう。そうではなく、数を揃えてもしっかり売りさばくことのできる服を作ることに注力するのです。

お客様がいない

満足のいく仕上がりの服を作って、それをショップに並べれば、即座にお客様が殺到するかといえば、そんなことはありません。あなたが当初から購入見込みのある潜在顧客を持っていない限り、そのようなことが起きるのは稀でしょう。誰もあなたのブランドのことを知らないからです。

ここまで解説してきたように、オリジナルブランドの服を作ること自体は簡単です。難しいのは、それをどのようにして人々に周知してもらい、お客様となっていただくか、という点なのです。

広告宣伝活動に「これ」という正解はありませんが、たとえばネットショップを展開していくのであれば、先述したようにSNSと連動した宣伝を打っていくのが有効でしょう。実店舗ならば、まずは地域性の高いイベントなどに顔を出すのも効果的です。あらゆる可能性を追求し、「知ってもらうこと」を徹底していきましょう。

自分自身は何もできない

「何もできない」というと少し過激な表現に思えますが、実際にそのようなケースは存在します。オリジナルのアパレルブランドを作りたい、という思いだけが強くあって、実際にそれを生産し販売する工程において、具体的な業務をまともにできない方は多いです。

最初のうち、何も知らない、できないのは当然のことです。しかし、そのままで成功を掴めるほど甘いものではありません。それぞれの段階において、必要な知識や技術をしっかり勉強していかなければいけません。

それを怠って、周囲の誰かに丸投げしたり、安易な外注ばかりしていると、いずれ行き詰まってしまうでしょう。また外注するにしても、あなた自身に最低限のノウハウがなければ、不利な契約を結ばされる可能性もありますし、場合によっては先方に対する非礼にあたることもあります。わからないことはその都度勉強すること、それを忘れないようにしましょう。

まとめ

以上、初心者がアパレルブランドをいかにして立ち上げるかについて、具体的に解説しました。繰り返しになりますが、ブランドを立ち上げることは難しいことではありません。資金も手間もさほどかけることなく、あなたのオリジナルブランドを生み出すことができてしまいます。

ただし、それが大きく飛躍していくかどうかは、またべつの話です。そこには宿命的に競争があり、いったんビジネスを始めたのならば、その競争に打ち勝っていかなければいけません。

この記事では残念ながら「勝ち方」まで解説することはできません。それはまったく人それぞれのものだからです。

しかし、その競争に加わるのが決して夢物語ではないということは、わかりました。あなたがアパレルブランドを立ち上げるという夢を持っていて、それを「立ち上げの難しさ」から夢のままにしているのであれば、挑戦してみるのもまた人生ではないでしょうか。

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この記事を監修した人

ビジネスのノウハウを実践ベースで徹底的に追求するのがアクシグ。
世界で最も専門的で網羅的なコンテンツを提供し、ノウハウを惜しげもなく提供していきます。

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