会社を経営するとは?経営に必要な知識も解説!

この記事では、会社の経営について解説します。そもそも「経営とは何か」、「経営者はどうあるべきか」といった理念的なことから、会社を経営する上で必要になる基本的な知識など、これから会社経営を始めたいと思っている人に有益な内容となっています。

基本的には、これから会社を起こす人に向けた内容が多くなっていますが、会社経営に悩んでいる既に会社を経営されている方にも参考になる内容も含んでいますので、そういった方も是非参考にしてください。

目次

そもそも経営とは何か

まずは「経営とは何か?」から考えていきます。合わせて経営に関わる重要な概念などについても、色々と解説します。

会社を経営するために必要な2つのもの

商品を販売したり、サービスを提供したりといったことは、一人で始めることもできます。しかし、一人でできることには限界があります。

そこで、一人ではできないことをやるために、「会社」というものがあります。つまり、会社を経営するということは、人の力を集めることといえます。

人が集まると、そこには費用が発生します。従業員に給料を支払う必要があるのは当然ですし、働く場所(社屋)を用意したり、机や椅子、パソコンなども用意したりしなければいけません。

会社を経営するということは、こういった会社にまつわる経済面を整えるという側面があります。これが会社を経営するために必要なことの1つ目です。

そして、もう1つは、精神的な面です。人が集まって構成される会社は、誰かがしっかりと方向を示さないと十分に機能しません。会社のメンバーが、勝手に自分がやりたいことをやっていたのでは、その会社は極めて非効率な組織になってしまいます。

会社が目指す方向を定めること、それが会社を経営するために必要なことの2つ目です。会社の経営者は、この経済面と精神面の両面を支える存在でなければならないのです。

会社経営におけるモラルの重要性

経営者は、会社の精神面を支える存在であると書きました。会社を経営するにあたっては、経営者は従業員の倫理観の確立にも気を配らなければいけません。

モラルハザードという言葉があります。日本語でいうと、倫理観の欠如といった意味の言葉ですが、会社でモラルハザードが起こらないようにすることは、経営者の務めです。

具体的にどんな事態が起こりえるのかは業種によって変わりますが、自分の会社の従業員が社会のモラルに反するような業務を行っていないかは、経営者が常にチェックをしておく必要があります。

ちなみに、モラルハザードという言葉は、本来は保険業界で使われていたもので、保険があることによって、むしろ秩序や注意が失われることを意味しています。

例えば、交通事故による被害を保障するための保険があることで、事故を起こさないようにしようとする注意がむしろ散漫になって、事故の発生率が上がるといった事態のことです。

経営の場面で言えば、金融機関の破綻を防ぐために公的資金を投入する仕組みがあることで、金融機関がかえって放漫経営に走りがちになるといった事態は、モラルハザードの例です。

このような典型的なモラルハザードではないにせよ、会社のモラルが低下する危険は常にあります。経営者は、率先垂範して、会社のモラル維持に努めましょう。

経営戦略を立てることは必須

これから会社を経営しようとする場合、少しでも経営状態を良くすることを誰もが考えているはずです。

しかし、漠然と「経営を良くしよう」と思っているだけでは、経営状態は良くなりません。具体的な経営戦略を立てる必要があります。

この記事では、経営戦略について深く踏み込むことはできませんが、マーケティングの基礎について、後で解説します。

リスクマネジメントを意識しよう

会社経営にリスクはつきものです。リスクを小さくする努力はすべきですが、リスクを完全になくすことは不可能といって良いでしょう。

そこで、重要なのは、リスクを組織的に管理することです。避けられるリスクは事前に回避し、避けられない場合でも被害を最小限にする。こういったリスク管理のプロセス全体のことをリスクマネジメントといいます。

日本語では危機管理が近い言葉ですが、危機管理といった場合は一般的に危機が起こってしまった後の対応のことを言うので、リスクマネジメントとは少し違います。物を作るメーカーの場合の製造物責任、個人情報を扱う企業の場合の情報の漏洩など、経営上のリスクには様々なものがあります。会社を経営するにあたっては、想定されるリスクを挙げて、事前にリスクを小さくし、損害を小さくする対策を講じなくてはいけません。

その際に重要になるのは、リスクや損害を隠すことがないよう従業員を教育することです。従業員が失敗を隠そうとする会社は、経営者のところに情報が上がってくるまでに時間がかかり、適切な対処ができません。常日頃から、リスクや損害については、包み隠さず上司・経営者に報告が上がってくるような会社の雰囲気にしておくことが大事になります。

間違った企業風土は作らない、変える

企業風土というのは目に見えるものではありませんが、確かに存在します。複数の会社に勤めたことがある人なら、それぞれの会社に独特の雰囲気があることに気が付いているでしょう。それが企業風土です。

先ほど挙げた、リスクや損害を隠すというのも、その企業の体質、企業風土である可能性があります。これから会社を起こす場合は、間違った企業風土が作られてしまうことがないように気をつけましょう。経営者や従業員の一人ひとりの心構えで、どんな企業風土が作られていくかが決まります。

もし、間違った企業風土が既にあるのであれば、断固として変革していく必要があります。企業風土というのは無意識に形作られているものなので、直ちに変えることは難しいかもしれませんが、経営者の強い意思があれば次第に変っていきます。

そして、企業風土というのは、内部の人間にはそれが自然なものと感じられている場合があるので、そもそも間違っていると気付かない場合もあります。ときには、外部の人の意見を聞く機会を設けるようにするといいでしょう。

先人に学ぶ

会社の経営者は、最終的には自分が決定を下す必要があります。周囲の人に相談することはできますが、最終決定をするのは経営者自身です。

運よく、身近に尊敬できる経営者、見習いたいと思える経営者がいる場合は、その人の意見を聞くのも良いですが、そういった人がいない場合の方が多いでしょう。

そんなときには、先人の経営哲学を参考にすべきです。例えば、松下幸之助は、現在のパナソニック、松下電気器具製作所の創業者です。「経営の神様」と呼ばれる偉人です。彼は、多くの著作を残してくれています。経営に悩むことがあったら、彼の著作を紐解いてみるといいでしょう。

実際のところ、経営者の悩みは、その立場になった人でなければ理解できない場合が多くあります。経営に関しては、人に相談するよりも、本から得るものの方が役に立つことも多いのです。

起業する前の準備

起業する前に行うべき準備にも色々あります。その中でも1つ盲点になりかねないことをご紹介します。

業界の事情をよく調べる

起業する際には、その業界のことをよく調べておきましょう。同業他社の成功事例や失敗事例など、自分が起業した後で参考になりそうな情報をできる限り集めておくことが、その後の経営に必ず役に立ちます。

また、将来のお客様になってくれそうな顧客層についても調査をしておくことが必要です。これらの調査の際には、できる限り直接あたってみることをオススメします。

将来競合することになるお店に実際に行ってみたり、そこで他のお客様に話を聞いてみたりするとよいでしょう。統計などの数字だけでは分からない生きた情報が得られるはずです。

マーケティングの基本となる考え方

ここからは、マーケティングの基本的な考え方について解説します。マーケティングというのは広い概念で、使う場面によって色々な意味を持ちますが、ここでは商品の製造・販売を行う際の戦略といったことを指しています。

誰に何を売るか

まずは商品を製造する際の考え方ですが、誰にどんな商品を売りたいのかをイメージして、そこから外れないものを製造するようにしましょう。およそ商品というのは、誰かの願望を実現するものであったり、誰かの悩みを解決するものであったりするものです。商品を買ってくれるお客様を具体的にイメージして、その人にとって役立つ商品を作ることを心がければ、売れる商品が作れます。

商品をいくらで売るか

上とも関係しますが、商品をいくらで売るかも重要なポイントになります。

「商品の製造原価に利益を足したものが商品の価格」というのは、値段の本質を見誤っているといえます。なぜなら、この考え方には、商品を購入するお客様の視点がないからです。

お客様にとっても、売る側にとっても最適な売値を考え、決めることは経営者の仕事です。このことは、京セラの創業者である稲盛和夫さんが語っておられます。気になった方は、「値決めは経営」と検索してみてください。

商品をどう広めるか

優れた商品が作れたとしても、それをお客様に知ってもらえなければ、商品は売れません。どうやって商品を知ってもらうのかは、経営上の大きな問題です。

商品の性質にもよりますが、最近ではSNSなどを使って、消費者に直接商品をアピールすることも難しくなくなってきています。SNSを活用すれば、商品を買ってくれたお客様が、他の人に更に情報を発信してくれるといったことも可能になります。

商品を製造する会社を起業する際には、商品の広め方や売り方も検討事項の一つに含めておいてください。

会計の基本も知っておこう

経営者には、会計の知識もある程度は必要です。専門的なことは税理士などに依頼することもできるので、自分ひとりで決算書類を作れるようになる必要はありませんが、少なくとも決算書を見て、大体の意味は分かるようになっておく必要があります。

なぜなら、決算書の見方も分からないようでは、例えば銀行にお金を借りに行ったり、出資者に出資を求めたりする際に、説得力を持った話をすることができないからです。

決算書の基本

ここでは、決算書の基本的なことを簡単に解説します。

まず決算書というのは、法律上の用語ではないことは一応知っておきましょう。会社法上は計算書類、金融商品取引法上は財務諸表という言葉が使われます。法律によって、要求される書類には若干の違いがあります。

決算書の中でも重要なものは、貸借対照表と損益計算書です。貸借対照表は、左に「資産」、右に「負債」と「純資産」が記載されます。右欄と左欄のそれぞれの合計額は一致しなければならず、この性質からバランスシートとも呼ばれます。

資産の部には、会社が使えるお金や、会社経営のために調達した財産(例えば、机や椅子、パソコン)などが記載されます。現金化しやすい資産である流動資産、現金化するのに時間が必要になる固定資産といったように資産の性質ごとに分類して記載します。

これに対して、負債の部には、借入金などのいずれは返済しなければならないお金が記載されます。純資産の部には返済不要の資本金や過去に蓄積した利益が記載されます。簡単にいうと、負債の部と純資産の部の金額を比較して、負債の部の比率が高いほど、財務状況が良くないということになります。

そして、損益計算書は、一会計年度における収益と費用を記載した書面です。簡単にいうと、「いくらお金を使って、いくら儲けたか」が書かれたものです。損益計算書を見るときは、売上高に対して利益がどのくらい上がったのかを示す「売上高総利益率」が重視されます。

長期的な視点で資金調達を

経営者にとっての重要な仕事は、資金を調達して、上手く回すことです。一般に「資金繰り」と呼ばれるものです。ここでいう資金というのは、直ぐに支払いに使える現金や預金のことです。

書類上は黒字経営を続けていたとしても、手元の資金が不足すれば、従業員に給与が支払えなくなったり、借金の返済が滞ったりすることもあります。

こうなると、倒産の危機に陥ることになります。決算書類の数字も重要ですが、手元の資金のことも常に考えておく必要があります。不測の事態に備えて、長期的な資金調達を心がけてください。

雇用関係の知識も必要

会社を経営すると、ほとんどの場合、人を雇うことになります。人を雇う以上、経営者には法律に従って、正しい雇用契約を結ぶ必要があります。

経営者として、雇用関係の最低限の知識は身につけるようにしましょう。

雇用契約を結ぶ際の書面

従業員を雇う場合、雇用契約を結ぶことになります。一般的には、雇用契約書を作成します。

もっとも、雇用契約書の作成は法律上の義務ではなく、書面を作成せずに口頭で契約することもできます。ただ、法律上も「できる限り書面により確認」することが求められているので(労働契約法4条2項)、基本的には雇用契約書を作成すべきです。

一方、労働契約の期間や更新の有無、勤務時間、賃金の決定方法や支払の方法など、労働条件について明示しなればならない事項が法律で定められています(労働基準法15条1項、同法施行規則5条1項)。これらついては労働条件通知書という書面にして、交付するか電子メール等で通知する必要があります。労働条件通知書の作成は法律上の義務です。

そのため実務上は、労働条件通知書に記載すべき内容を雇用契約書に記載して、両者を兼用した書面を作成することが多く行われています。

雇用保険等の手続を忘れずに

従業員を雇った際には、雇用保険等の手続を行う必要があります。雇用保険の場合は、正社員はもちろん、パート従業員の場合も週の労働時間数などの条件を満たした場合は、加入させることが必要になります。

労災保険は、従業員が1人でもいれば加入が必要になります。

社会保険(健康保険、厚生年金、介護保険)については、会社の役員も加入対象です。したがって、経営者1人だけで人を雇っていない会社でも加入手続が必要になります。

雇用保険や社会保険の場合、適用除外になる場合が定められていますので、それをよく調べて、適用除外にならない人を雇った場合は、漏れなく手続を行うように気をつけましょう。

雇う人が増えたら、就業規則の準備も

常時10人以上を雇用するようになったら、就業規則を作成する義務が生じます。作成した就業規則は、労働基準監督署長に提出します。

就業規則というのは、労働条件などの会社のルールをまとめた文書です。会社側が一方的に作成するのではなく、作成にあたっては従業員の代表者に意見を聞く必要があり、提出にあたっては代表者の意見書を添付する必要があります。

作成義務が生じるのは、常時10人以上を雇用するようになったときですが、それ以下の従業員数の場合でも、後のトラブルを避けるために就業規則を作成しておくことができます。

就業規則については、ネット上にモデルになるものが公開されているので、それをそのまま使うこともできますが、会社の実情に合わせて適宜変更した上で使用することをオススメします。

まとめ

「そもそも経営とは何か」という話から始めて、経営者として身につけておくべき知識など、総合的に解説してきました。この記事だけで経営の全てを語り尽くすことはできないのですが、少しでもこれから経営者になろうという方の参考になれば幸いです。

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この記事を監修した人

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