海外のワサビ事情と海外輸出戦略

欧米を中心に、海外では空前の日本食ブームが到来しています。代表例はお寿司です。

そして、お寿司に欠かせない「ワサビ」も海外で流行ってきています。そこで今回は、海外のワサビ事情とワサビの海外販売戦略について解説します。

目次

ワサビの種類

まず最初にワサビの種類について解説します。

一口にワサビと言っても、厳密には沢ワサビと畑ワサビの2種類があります。

沢ワサビ(水ワサビ)

沢ワサビは水田で栽培されるワサビです。一般的に言われる本ワサビとは沢ワサビのことを言います。

沢ワサビの栽培に肥料などは必要ありませんが、代わりに大量のきれいな水が必要です。水が綺麗な場所でないと沢ワサビは育たないため、栽培できる場所が限られています。沢ワサビの栽培条件を以下に示します。

水温:10~15℃(16℃以上になると育成障害が起きる)
水質:中性(湧水は弱アルカリ)
夏の気温:31℃以下
冬の気温:-10℃以上

畑ワサビ(陸ワサビ)

それに対して畑ワサビは、ある程度の湿度があって夏涼しい場所であれば、直接流水がなくても栽培できます。沢ワサビと比べると品質は落ちますが、栽培しやすいため価格は安いです。

ワサビの3大効能

続いて、ワサビの効能を紹介します。

日本のワサビには、外国人(特に女性)の心を掴む効能がたくさんあります。代表的な効能を3つ紹介します。

血流改善

まず1つ目は、血流改善です。

ワサビに含まれるアリルイソチオシアネートという辛味成分には、血流を促進する効果があります。冷えやむくみに悩む外国人女性には魅力的な効能です。

アンチエイジング効果

2つ目は、アンチエイジング効果です。これまた女性には魅力的な効能です。

ワサビに含まれるスルフィニルには活性酸素の発生を抑える効果があります。この抗酸化作用によりアンチエイジング効果が期待できます。

アンチエイジングといえばポリフェノールが有名ですが、スルフィニルの方が効果は高いです。つまり、コーヒーやお茶を飲むより、ワサビを食す方が美肌になるのです。

デトックス

3つ目は、デトックス効果です。

ワサビの成分6-MSITCには、体内に蓄積された老廃物の解毒・排出を促進する効果があります。他にも様々な抗菌作用を持っており、1日あたり3g以上食することで以下のような効果が期待できます。

  • 花粉症の予防・緩和
  • 食中毒の予防
  • 胃の病気の予防・緩和
  • 便秘解消

海外で食されている西洋ワサビ「ホースラディッシュ」

ここからは海外のワサビ事情について解説します。

アメリカで食されているワサビはホースラディッシュ

アメリカを始め、現在世界中でワサビが食されています。しかし、海外で流通しているワサビのほとんどは、実は日本のワサビではありません。

海外のワサビの約99%は、西洋わさびと呼ばれる「ホースラディッシュ」です。

ホースラディッシュと本ワサビの違い

ホースラディッシュは元々北欧原産の植物です。日本のワサビと区別するために「西洋ワサビ」「山ワサビ」「根ワサビ」などと呼ばれています。日本では主に北海道で栽培されていて、粉ワサビの原料に使われています。

日本の沢ワサビが栽培に1~2年かかるのに対して、ホースラディッシュは7~8ヶ月程度で収穫できます。そのため、日本のワサビより価格が安いです。

そして、ホースラディッシュと日本の本ワサビとの最大の違いは色です。本ワサビは緑色ですが、ホースラディッシュは白色です。

また、ホースラディッシュはそのままだと辛くありません。すり下ろすと辛味を帯びてきますが、味はハーブに近く、本ワサビより甘味があります

日本のチューブワサビにもホースラディッシュ?

このホースラディッシュ、実は日本で市販されている一部のチューブわさびにも含まれています。

ワサビの原料欄に「本わさび、西洋わさび・・・」と表示されている場合は、ホースラディッシュが使われています。安いチューブわさびは、ホースラディッシュが使われていることが多いです。

日本のチューブワサビの海外レビュー

日本のチューブワサビ(ホースラディッシュ入)は海外でも販売されています。

今までホースラディッシュしか食したことがない人からすると、日本のワサビの方が辛く感じるそうです。しかし、本ワサビ100%の味を知っている食通外国人からすると、ホースラディッシュは偽物と感じるようです。

ホースラディッシュのその他の用途

ホースラディッシュは、海外ではよくサンドイッチのソースとして使われます。日本のサンドイッチソースはからし&マヨネーズが定番ですが、海外ではホースラディッシュ&マヨネーズが定番です。

ホースラディッシュ&マヨネーズのソースは、他にもローストビーフのお供など、様々な用途で使われてます。

海外のワサビ栽培事情

日本のワサビの海外需要は徐々に高まっています。特に沢ワサビの需要が高いです。

しかし、沢ワサビは前述の通り大量のきれいな水を必要とするため、栽培できる場所が限られています。需要が高まっても、日本で栽培できる沢ワサビには限度があるのです。

そこで最近は、海外で沢ワサビの栽培が試みられています。

アメリカのワサビ栽培

代表例はアメリカです。アメリカはワサビの栽培に適した土地が多くあります。例えば、オレゴン州の沿岸部は、きれいな水も多く、ワサビの栽培に理想的です。

他にも、カナダやオーストラリアでもワサビ栽培が広まりつつあります。

イギリスのワサビ栽培

また、最近ではイギリスでもワサビが栽培されています。

2010年に大手野菜栽培会社のハンプシャー・ドーセット・クレソン・ベビーリーフがワサビ栽培に参入して以降、ワサビ栽培が広がっています。

ワサビを輸出する際の販売戦略

最後にワサビの海外輸出について解説します。

海外でもワサビ栽培は広まりつつありますが、それでも日本とは栽培歴が違います。長年栽培されてきた日本の本ワサビは、海外のそれより評価が高いです。そのため、輸出用の商品としてワサビは魅力的です。

そこで、日本のワサビを海外輸出する場合の販売戦略を解説します。

女性をターゲットにする

まず、海外の女性にターゲットを絞りましょう。

前述の通り、本ワサビには「冷え・むくみ解消」「デトックス効果」「便秘解消」「美白・美肌アンチエイジング効果」など女性に喜ばれる効能がたくさんあります。これを全面にアピールしていきましょう。

ホースラディッシュとの違いを明記

2つ目は、ホースラディッシュとの違いをアピールすることです。

日本のワサビはホースラディッシュより価格が高いです。そのため、「ホースラディッシュより本ワサビの方が良さそう」と思ってもらえなければ買ってもらえません。上記の効能に加えて、色・味などの違いもしっかりアピールしましょう。

食文化に合ったワサビの使い方を提案

3つ目は、食文化に合ったワサビの使い方を提案することです。

販売する国の食文化を事前に調べておき、現地の人の好みに合ったワサビの使い方を見つけて提案しましょう。

今後はワサビの需要が増える

コロナ感染症の影響により開催が2021年に延期となりましたが、オリンピックが東京で開催されることもあり、世界中の人々の注目が日本に集まっています。そんな中、日本の伝統食材であるワサビの需要が世界規模で高まることが予想されます。輸出ビジネスをされている方は、ぜひワサビ輸出も検討してみてください。

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この記事を監修した人

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