eBayは世界中の人が利用する超大型ECサイトなので、良識あるバイヤーばかりとは限りません。中には悪質なバイヤー、いわゆるクレーマーと呼ばれる人たちも一定数存在します。
セラーとしてクレーマーにまで対応していたら時間と労力の無駄ですし、売上も伸び悩んでしまいます。そんな時はブラックリストを始めとしたeBayのシステムに頼りましょう。
今回は、eBayで物販事業を行っていれば遭遇するであろう悪質ユーザーから身を守るための方法について解説します。悪質ユーザーとの遭遇はeBayでビジネスを続ける限りは避けて通れない問題なので、ぜひ目を通してみてください。
ブラックリストを活用する場面
ブラックリストとは、指定したバイヤーが自分の商品を購入できなくなる仕組みのことです。ブラックリストを活用すれば、悪質ユーザーからの理不尽なクレームを防止できます。ただ、バイヤーを手あたり次第にブラックリスト入りしてしまうと、購入者を自ら減らすことになってしまいます。そのため、ブラックリストの活用は慎重に行うべきです。
では、どんな時に活用すべきなのでしょうか。
以下では、ブラックリスト入りさせた方がいいバイヤーの特徴をご紹介します。
1.イタズラ目的の購入者
最初からイタズラ目的で商品を購入し、取引が完了した後にキャンセルの要求をしてくるバイヤーがいます。このようなバイヤーと取引しても何ら得るものがないのは明らかです。したがって、この手のバイヤーは即ブラックリスト入りさせるべきです。
2.正当な理由もなく返品の要求をしてくる購入者
商品を発送した後に、「他に良い商品が見つかった」「もう必要なくなった」といった個人的な理由でキャンセルを要求してくるバイヤーもブラックリスト入りを検討すべきです。自分勝手な理由でキャンセルを要求してくるバイヤーとの取引は後々のトラブルになる可能性が高いからです。
3.アンダーバリューを要求してくる購入者
アンダーバリューとは関税を抑えるために実際の購入金額より低い値段で購入したかのようにインボイスに表示させる行為で、この行為は事実上の脱税にあたります(関税額は商品の購入価格をもとに算出されることになるので、購入金額を低くしたほうが税額を抑えられるのです)。れっきとした犯罪行為であるにもかかわらず、購入時にアンダーバリューを要求してくるバイヤーはいます。
中には商品購入後にキャンセルすることをほのめかしてアンダーバリューを要求してくる非常に悪質なバイヤーも存在します。こういったバイヤーとはまっとうな取引ができるとは思えませんので、即ブラックリスト入りさせるのが賢明です。
4.商品説明を読まずに何度も質問してくる購入者
バイヤーの中には商品説明を全く読まない人が一定数います。このような人は、商品説明欄を読めばわかることを何度も質問してきます。一度説明すればそれで理解してくれる人ならまだしも、何度回答しても似たような質問を繰り返すバイヤーも少なくありません。
こういったバイヤーは、例え購入に至ったとしても、結局返品要求してくるケースが多いです。単に質問が多いだけなら問題はないのですが、こちらとコミュニケーションがとれないバイヤーとは取引しない方が後々のトラブルを避けられます。
eBayで悪質ユーザーをブラックリストに登録する方法
ブラックリストの有用性をご紹介したところで、続いてはブラックリストの登録方法について解説していきます。
なお、間違ってブラックリストに登録してしまったときのために、ブラックリスト登録を解除する方法についても併せて解説します。ブラックリストを使いこなすためにも、ぜひ登録方法と解除方法の両方を覚えておきましょう。
悪質バイヤーをブラックリストに登録する方法
今回ご紹介する方法は、eBay Seller Hubを利用した方法です。無料で導入できるので、導入がまだの人は先に下記のサイトからeBay Seller Hubの導入を済ませておいてください。
導入が済んだら、eBayのトップページを開きます。
トップページから「My eBay」→「Selling」の順にクリックしてください。
表示されたページをスクロールし、ページ中段の左側にある「Shortcuts」内の「Block bidders」をクリックします。
続いて、表示された画面内の「Manage Blocked Buyer List」をクリックしてください。
すると下記の画面に切り替わりますので、画面下部の空きスペースにブロックしたいバイヤーのIDを入力しましょう。
入力が完了したら、画面下部の「Submit」をクリックしてください。これで手続きは完了です。登録されたバイヤーは、あなたの商品に対する入札・購入が不可能となります。
参考:eBay
複数の悪質ユーザーをまとめてブラックリストに登録する方法
先ほどご紹介した「バイヤーのIDを入力する箇所」に複数のIDを入力すれば、まとめてブラックリストに登録することができます。入力の際は以下のように、IDとIDの間に(カンマ)を挟んで入力してください。
これで入力したIDのバイヤー全てがブラックリスト入りします。全て入力が終わったら、先ほどと同様「Submit」をクリックしてください。
ブラックリスト入りさせたバイヤーの登録を解除する方法
ブラックリストに登録したバイヤーのブラックリスト登録を解除したい場合は、先ほどIDを入力した欄から該当バイヤーのIDを削除すればOKです。
なお、削除後に「Submit」をクリックしておかないと変更が保存されないので気を付けてください。
ブラックリスト登録を一時的に解除する方法
ブラックリストには登録と解除だけでなく、一時的に解除するといった選択肢もあります。再度ブラックリストに登録する可能性があるバイヤーがいる場合に活用してください。
まずは、先ほどの「Buyer Management」画面内の「Manage Buyer Exemption List」をクリックします。
画面下部の空欄に、ブラックリスト入りを一時的に解除したいバイヤーのIDを入力します。入力が終わったら「Submit」をクリックして完了です。
悪質バイヤーからセラーを保護するためのeBayの取り組み
セラーとバイヤーでは、どうしてもセラーの方が立場が低くなりがちです。eBay側からのサポートなしには悪質クレームの全てを自力で突っぱねるのは難しい場合もあります。
ということで、ここからはeBayがセラーや悪質ユーザーに対して行っている取り組みについてご紹介していきます。自力ではどうにもならなくなったときは、eBay運営の力を借りるのも1つの方法です。
そもそもトラブルが発生するのを防止する
eBayは、そのドロップシッピングポリシーに基づき、在庫を確保した上で販売しているセラー(もしくは、卸売業者から商品を直送しているセラー)の商品を優先的に検索結果の上位に表示するようにしています。このような販売手法で事業を行っているセラーのほうがバイヤーとのトラブルが少ない傾向にあることに照らし、セラーを有在庫販売へと誘導しようとしているのです。トラブルの発生を事前に防止しようというわけです。
逆に、小売業者や他のマーケットプレイスを介してバイヤーに商品を送っているセラーの商品は、検索結果に表示されなくなります。
eBayからセラーへの配慮について
eBayでは、バイヤー側に落ち度がない限り、基本的にはバイヤーの要求が通ることが多いです。しかし、場合によっては各種の事情を考慮してもらえる場合もあります。例えば、セラー側がその責務を果たしていると考えられる場合や、天災による配送の遅延といったセラー側ではどうにもできない事情がある場合は、返金やキャンセル対応を受け入れなくても良いケースもあるのです。
他にも、商品の状態によっては全額返金ではなく一部返金での対応を認めてもらえる場合もあります。必ず認められるわけではありませんが、セラーがバイヤーの言いなりにならずに済むだけの配慮は最低限なされているのです。
セラーがeBayからサポートを受けられない場合
下記に該当するセラーは、eBayからのサポートを受けられない可能性があります。どれも普通にビジネスをしている分には関係ない事柄ですが、該当する箇所があるセラーは十分注意してください。
- eBay以外で取引を行っている
- 小売業者や別のマーケットプレイスで販売を行っている
- Service MetricsがVery highになっている
- サポートの権利を濫用している(バイヤーを過剰に悪く報告しているなど)
- 一部返金とすべきでないケースで一部返金対応をしている
eBayの悪質バイヤー対策
ここでは、eBayが行っている悪質なバイヤー対策のポイントをまとめました。どの項目もセラーとして活動する以上知っておかなければならないことばかりですので、しっかりと目を通しておいてください。
1.悪質バイヤー該当性の判断基準
eBayでは、バイヤーが行った行為の重大性や頻度、意図を審査して悪質バイヤー該当性を判断します。審査の結果、バイヤーの行為に誠意がないとみなした場合、eBayでは該当バイヤーに対して返品リクエストの拒否といった対応をとります。
より悪質なバイヤーに対しては、アカウントの一時停止処分を行うこともあります。なお、悪質バイヤーに当たるか否かの判断はeBay側が行うことになっているので、セラーとしては悪質と思われるバイヤーに遭遇したら遠慮なく報告すべきです。
2.悪質バイヤーについての報告の方法
悪質バイヤーのeBayへの報告は、カスタマーサービスの「Report an issue with a buyer」のページから行います。下にページへのリンクを記載しているので、そちらも参考にしてください。
トップページ右上の「Help&Contact」から、カスタマーサービスを開きます。
カスタマーサービスを開いたら、検索窓に「Report an issue with a buyer」と入力しましょう。サジェストに「Report an issue with a buyer」ページが出てくるので、クリックするとページが開きます。
ページ内の「Report a buyer」をクリックし、悪質バイヤーの行動や主張を出来るだけ具体的に報告してください。
参考:Report an issue with a buyer | eBay
3.悪質バイヤーに下された措置をセラー側が知ることはできる?
悪質バイヤーに行われた措置に関しては、セラーに影響を与える範囲で通知されます。例えば、現在のトラブルや不当評価については、その改善状況を把握することができるようになっています。
一方、悪質バイヤーのアカウント停止処分に関しては、プライバシーの問題もあるため、セラーにまで通知されることはありません。
4.悪質バイヤーをブロックするとどうなる?
こちらが悪質バイヤーをブロックしても、その事実がバイヤー側に通知されることはありません。そのセラーから再度商品を購入しようとして失敗した際に初めて自分がブラックリスト入りさせられたことを知ることになります。
なお、バイヤーとの間に未解決の問題があるにもかかわらず、そのバイヤーをブラックリスト入りさせてしまうとトラブルに発展することは避けられないので注意してください。
5.悪質ユーザーが行った不当な評価は削除される?
悪質バイヤーが残したセラーに対する不当な評価については、eBayに報告すれば、バイヤーが悪質だと認められた段階で削除されます。不当な評価はそのままにしておくと他の取引にも影響するので、すぐにeBayに報告して取り消してもらいましょう。
6.eBayのドロップシッピングポリシーについて
eBayには、ドロップシッピングポリシーといって、在庫を抱えずに商品を販売する行為(いわゆる無在庫販売)に関するルールが存在します。
そこでは、注文を受けた商品を卸売業者から直接出荷する方式での無在庫販売のみ許可されています。一方で、小売業者や他のマーケットプレイスから出荷するスタイルは認められていません。これを行ってしまうとeBayからペナルティを科される可能性があります。
ペナルティを受けると販売に影響するばかりか悪質バイヤーへの対応も優先順位が落ちてしまうので、ドロップシッピングポリシーは必ず順守しましょう。
まとめ
eBayで物販ビジネスを行っていれば、遅かれ早かれ悪質バイヤーと遭遇することになります。ですが、ブラックリストを始めとしたeBayの各種システムを利用すれば、ダメージを負うことは避けられます。
eBayもセラーの権利を認めているので、こちらに落ち度がないかぎり悪質バイヤーのクレームをはねつけることは可能です。売上のために泣く泣く悪質バイヤーの言いなりになる必要はないのです。
悪質バイヤーには毅然とした対応をとることが大切です。一方で、eBayから万全のサポートを受けるためにも、eBayのポリシーに違反しないように気を付けてください。