会社を立ち上げるときに必要なものとは?会社設立までの流れをくわしくご紹介!

「会社を立ち上げたい!」

そんな夢はあるが、実際のところ、どうやって立ち上げれば良いのかわからない…という方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、株式会社を立ち上げるときに必要なものや、その手順をくわしくご紹介しようと思います。

目次

本当に会社を立ち上げるべき? まずは4つのポイントを検討しよう!

会社設立には多くの手間や時間、資金などがかかります。さらに、社会的な義務や責任も、個人で事業を展開するときよりも大きくなります。

そのため、会社の設立を考える前に、まずは「本当に会社を立ち上げるべきなのか」をしっかり検討しましょう。

その際に検討すべきポイントを「4つ」ご用意しましたので、ぜひ参考にしてください。

1.事業資金

最初のポイントは「事業資金」です。

個人事業主の場合、税務署に開業届を出せばすぐに事業を始められますが、会社を設立する場合は、登録免許税15万円、定款認証代3~5万円、印紙代4万円など、最低でも22万円ほどの費用がかかります。さらに従業員を雇えば、その分人件費もかかってくるでしょう。さらに、会社の経営が赤字であっても、毎年最低7万円ほどの法人税が課されます。

このように、会社は個人事業主よりも資金的な負担が大きくなります。そのため、売上げや利益計画が不透明な場合は、まずは個人事業主から始める方が良いでしょう。

2.事業経営

会社形態で事業を経営するには、多くの知識やノウハウが必要です。

たとえば、商品の企画、仕入れ、在庫管理、資金調達、集客活動、顧客管理、営業、マーケティング調査…などなど、さまざまな分野の業務をスピード感を持って行う必要があります。

事業経営の知識が乏しいにもかかわらず比較的規模の大きい会社を設立する場合は、共同出資者や従業員を集めて設立する方が望ましいでしょう。

3.事業拡大

まずは個人事業主から始め、事業が軌道に乗った時機を見計らって会社設立を目指す方もいます。しかし、このパターンだと、軌道に乗る前に失敗してしまうリスクもあるでしょう。

それよりも会社としてスタートし、その組織力を活かして早期に事業の拡大を目指したいという方にとっては、最初から会社を設立した方が有利でしょう。

4.事業内容

訪問介護や通所介護(デイサービス)など、会社を設立していないと許認可が下りない事業があります。このような事業内容での起業を目指している方は、会社の設立を目指さざるを得ません。

ところで、基本的に会社とは「永続的に存続させ、発展させるための社会的なシステム」であるため、個人事業のようには簡単に廃業することはできません。会社を廃業することは、取引のある企業や顧客に金銭的・社会的ダメージを与えてしまうことになり、多大な迷惑をかけることにもなります。そのため、会社の立ち上げには「事業を永続的に発展させて社会に貢献する」という覚悟も必要なのです。

以上4つのポイントを検討した上で、それでも会社を立ち上げる方が「メリットが大きい」と言えるのであれば、会社設立を考えるべきでしょう。

会社の種類とは

一口に「会社」と言っても、その種類はさまざまです。それぞれくわしくご紹介しましょう。

株式会社

「株式会社」は、株式を発行して資金を集め、事業を行う会社です。

株式会社の社長や経営陣は、会社の持ち主である「株主」たちから委託されて具体的な経営を行います。そのため、法的には株式会社は社長ではなく「株主」のものであり、信頼がなくなれば社長といえども株主によって解任されることもあります。

合同会社

経営者と出資者が同じになる「合同会社」には、より柔軟な経営を行いやすいというメリットがあります。また、経営上の事務作業も株式会社に比べるとスムーズです。

また、株式会社よりも登記に必要な書類が少ないため、早く簡単に設立できます。

さらに合同会社は、出資者全員が出資額以上の責任を負わなくてもよい「有限責任社員」という点も大きな特徴です。

合資会社・合名会社

【合資会社】
合資会社は、「無限責任社員」と「有限責任社員」が各1名以上ずつ、合計2名以上からなる会社です。

ちなみに、無限責任社員とは、会社が事業を行う過程で負った債務をすべて自己の債務として負担しなければならない社員で、有限責任社員とは、責任が自己の出資額に限定される社員のことです。つまり、会社の債務を負担するにあたって「限界が無い社員」と「限界が有る社員」ということです。

【合名会社】
合名会社は、「無限責任社員」だけで構成される会社です。

合質会社、合名会社はどちらも登録に必要な書類も少なく、設立までの手続も比較的簡単です。

会社設立のメリット・デメリット

会社を立ち上げると、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。それぞれくわしく見ていきましょう。

会社設立のメリット【信用を得やすい】

会社設立の最も大きなメリットは、「信用を得やすい」という点にあります。

会社を設立するには、本店の住所や代表者名、資本金、役員名などを登記しなければなりませんが、そのおかげで、個人事業主よりも信用を得やすい側面があります。

法人でなければ取引しないという企業もあるほどです。

会社設立のメリット【節税対策になる】

会社を設立すると、以下のような節税対策が可能になります。

【給与所得控除が使える】
会社は役員報酬として給与をもらえば、給与所得控除が使えるので、課税される所得を小さくすることができます。

【法人税が一定税率】
累進課税の個人事業主に対して、法人の税率は原則一定税率です。そのため、売上が大きいほど節税効果は高くなります。

【経費の幅が広がる】
個人事業主の場合、自宅用と事業用の線引きが曖昧になりがちで、事務所や車などの費用が経費として認められない場合があります。しかし会社の場合、原則としてすべて事業用の支出とみなされるので、経費として認められる幅が広くなります。

その他にも、「欠損金を10年間繰越できる」「家族への給与支払が可能」などのメリットがあります。

会社設立のメリット【資金調達がしやすい】

金融機関から融資を受けようとする場合、法人の場合は個人事業主に比べて財産管理が厳格なため、金融機関も明確な融資判断が可能になります。

このため、融資を受けやすくなり、資金調達が行いやすくなります。

会社設立のデメリット

一方、会社設立にはデメリットもあります。

会社の場合、以下のような個人事業主にはない税金や費用を支払わなくてはなりません。

【法人住民税】
法人の場合、年間約7万円の法人住民税が課せられます。事業が赤字の場合でも関係ありません。

【社会保険料】
法人は、健康保険と厚生年金保険に加入しなければならず、これらの保険料は会社と本人が折半するので、従業員が多く、その給料が高いほど会社が支払う金額が多くなります。

【設立・解散費用】
個人事業主と違い、会社を設立するためには定款の作成や登記が必要です。それらの諸経費に最低でも20万円は必要です。さらに、会社を解散する際にも、清算のための費用が必要になります。

会社設立までの流れ

設立すべき会社形態が決まり、その準備も整ったら、いよいよ会社の立ち上げです。

そこで、実際に会社を立ち上げるまでの流れをご紹介します。ぜひ参考にしてください。

1.会社名を決める

まずは、「会社名」を決めます。業務の内容がよく分かり、すぐに覚えてもらえるような会社名を心がけましょう。

ただし、会社名はどんな名前でも良いわけではなく、決める際には以下のような注意点があります。

【会社の種類を明記する】
会社名の前後に、会社の種類を明記しましょう。

(例)
株式会社○○○
○○○合同会社

【使える文字には制限がある】
会社名で使える文字には、原則的に制限があります。くわしい内容は、以下の法務省のサイトで確認してください。

参考:法務省:商号にローマ字等を用いることについて

【他社とは違う名前にする】
他社と同じ、または似たような名前をつけてしまうと、顧客や取引先が判別しづらくなる場合があります。

また、他の会社と同一の名前をつけてしまうと、営業妨害で訴えられるリスクもあります。そのため、会社の候補名を考えたら、同じまたは似たような名前がないか、インターネットなどを使って確認しておきましょう。

なお、会社のホームページを開設する場合は、その会社名でドメインが取れるかどうかも事前に確認しておくのもおすすめです。

2. 本店所在地を決める

本店所在地とは、会社の主たる営業所のことで、「会社の住所」にあたります。

住所地としての実態があれば、自宅(持ち家・賃貸)をはじめ、テナント、レンタルオフィス、コワーキングスペースなども登記できます。

ただし、賃貸の一軒家や、マンションなどの集合住宅の場合、商用利用や会社登記ができないことがありますので、大家さんや管理組合に事前に確認したり、契約書や管理規約をチェックしておきましょう。

また、金融機関から資金の借り入れを考えている場合、レンタルオフィスやコワーキングスペースを本店所在地にすると断られる可能性もあります。そのため、こちらも事前に各金融機関に問い合わせておきましょう。

3. 事業目的を決める

続いては「事業目的」を決めます。

事業目的とは、「どのような事業を行う会社なのか」を対外的に明らかにするものです。

何をやっているのかわからない会社と取引してくれる人はまずいないでしょう。そのため、事業目的には事業内容がすぐにわかるような「具体性」を持たせなくてはなりません。

さらに、当然ですが、行う業務が「適法」であること、そして出資者により多くの配当を与えられる「営利性」があることも重要です。

とは言え、事業目的に「あれもこれも」と多く入れ過ぎると、かえって顧客や取引先にわかりづらくなり、不信感を持たれる可能性もあります。そのため、まずは中心となる事業に絞って事業目的を作成しましょう。

4. 資本金を決める

次に会社の資本金の額を決めます。資本金額は基本的に自由であり、いくらでもかまいません。2006年5月に「最低資本金規制」が撤廃されてからは、資本金が「1円」でも会社を設立できるようになりました。ただし、一般的には対外的な信用を考え、300万円~500万円のケースが多いようです。

しかし、金融機関から融資を受ける際は、融資先が指定する資本金が必要な場合もあります。そのため、将来的な資金調達なども考慮して決定しましょう。

5.事業年度を決める

会社には「決算」という、税務署に会計申告するための一年ごとの区切りがありますが、事業年度は、この決算期間にあたります。

事業年度は自由に決めることができますが、日本の会社は、国の予算期間に合わせた「3月決算」が多い傾向にあります。

6.機関設計

会社の「機関」とは、会社の意思決定や運営・管理などをする地位や機構を指します。

具体的には、「取締役」「監査役」「株主総会」「取締役会」などが挙げられます。どの機関を設置するかと各機関を担当する人数を決めることを「機関設計」といいます。

株式会社を設立する場合だと、取締役と株主総会は必ず置かなければなりません

初年度の決算で注意するポイント

会社は、決算日から2か月以内に税務署に決算申告を行います。決算は非常に手間がかかるだけでなく、決算内容によって税額が決まるため失敗も許されません。そのため、初めて決算申告を行う時は何かと不安を感じる方も多いでしょう。

そこで、初年度の決算で注意するポイントを2つご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

事業開始日は「登記申請をした日」

初めて決算申告を行う時に間違えやすいのが「事業開始日」です。

事業開始日とは、会社が事業を開始した日ではなく、「登記申請をして法務局が書類を受理した日」のことです。

もし事業開始日がわからない場合は、登記簿謄本の「会社設立の年月日」で確認しましょう。

帳簿はきちんと付けておく

決算申告には、日頃からのこまめな帳簿整理が欠かせません。

経営者の中には、帳簿は申告に間に合うようにまとめてつければ良いと考えている方がいます。しかし、1年分の領収書や請求書をまとめて整理するのは案外時間がかかる上に、証拠書類を紛失している場合もあります。

また、たとえ領収書などがあったとしても、その支出目的が曖昧だったり、忘れてたりする可能性もあるのです。

正しい決算のためには、日頃からきちんと帳簿を付けるように心がけましょう。

会社を立ち上げるには、慎重な準備と手続きが必要!

今回は、会社を立ち上げるために必要なものとそのステップをご紹介しましたが、いかがでしたか?

会社を設立すると、信用を得やすくなる、節税ができるなど、さまざまなメリットがあります。しかし、デメリットもあります。

そのため、まずは本当に会社を設立するべきなのかよく検討しましょう。そして、いざ会社を立ち上げるとなった時は、準備や手続きを慎重に進め、万全な形でスタートできるように心がけてください。

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この記事を監修した人

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