コンセプトに悩んでいる人、必見!書き方や具体例紹介します

この記事のテーマは、コンセプトです。よく使う言葉ではありますが、言葉の意味を改めて聞かれると、よく分からない言葉でもあります。

良いコンセプトとはどんなものなのか、コンセプトはどのように書けばよいのか、良いコンセプトの具体例など、コンセプト作りに困っている人に参考になる内容を解説していきます。商品のコンセプト、お店のコンセプトなど、コンセプトにも色々なものがありますが、総合的に解説していますので、是非参考にしてください。

目次

コンセプトの定義について考えてみよう

そもそもコンセプトとは何なのでしょうか。まずはこの点を明らかにしましょう。

辞書的な意味を調べてみると

まずは、辞書的な意味を調べてみましょう。goo辞書に掲載されているデジタル大辞泉によると、コンセプトの意味として「1 概念。観念。」とあります。英語をストレートに和訳すると、こういった意味になるのでしょう。

ただ、私たちがコンセプトという言葉を使用する際のニュアンスは、概念・観念という言葉では表現しきれていないのではないでしょうか。そこで更に見ると「2 創造された作品や商品の全体につらぬかれた、骨格となる発想や観点。」とあります。こちらの方が、私たちが使っているコンセプトの意味に近いようです。

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辞書的な理解では不十分

しかし、このように理解したところで、実際にコンセプトを作る際に具体的に役立つかというと、そんなことはありません。実際に役に立つ「コンセプト」の考え方としては、実体と概念を組み合わせたものと考えるというものがあります。

例えば、あなたがハウスメーカーの社員だったとして、顧客にプレゼンをする際のコンセプトは、「家族が笑顔でいられる、一生住み続けることができる家」といったものです。ここには、「」という実体を表す「家族が笑顔でいられる」「一生住み続けることができる」といった概念が付け加わっています。

実体に概念を組み合わせることで浮かび上がってくるものが、コンセプトなのです。

コンセプトを作る際の根本になる指針

コンセプトがどんなものなのか、ある程度のイメージができたとして、次に問題になるのは、「どんな方針でコンセプトを立てていくか」です。ここでは、個別の商品のレベルのコンセプトではなく、もっと根本的なブランドコンセプトを例に考えます。

この場合、自分が情熱を持って取り組めるものであることが絶対に必要になります。そして、そのコンセプトが実現されることで、経済的な利益が得られることも必要になります。

自分のブランドを育てていくということには、長い時間が必要になります。その際、自分が情熱を持って取り組めないものであれば、長続きしません。そして、長く続けるためには、お金が稼げることも極めて重要です。

「○○がやりたい」だけではダメですし、「とにかく、お金を儲けたい」だけでもダメです。あなたの情熱と経済的な利益の双方が満たされるようなコンセプトを考えましょう。

例えとしては、あまり適当ではないかもしれませんが、ドラクエⅢの遊び人というキャラクターは、好き勝手遊んでいるうちに、レベルが上がると賢者に転職できるようになります。好きなことを続けているうちに、実益も兼ねた存在になるわけです。

自分が好きなことだから情熱を傾けることができる。そして、それが実益も兼ねている。これがコンセプトの一つの理想です。

参考: SQUARE ENIX

企画としてコンセプトを表現する際のポイント

話があちこちに飛んでしまって申し訳ないのですが、ここでは企画書にコンセプトを表現する際のポイントについて解説します。

あなたがワンマン経営者でもない限り、あなたが思いついたコンセプトは企画書にまとめて、しかるべき上司に承認してもらわない限り、実際のプロジェクトとしては動き出しません。

また、ライバル会社と競うような場合は、お客さまに理解してもらえる形でコンセプトを提案できなければ、企画を採用してもらえません。どんなに優れたコンセプトであっても、それを上手く表現することが絶対に必要になるのです。

この際のポイントですが、大きく3つにまとめることができます。

  1. 企画を出す相手にとってのメリットを明らかにすること
  2. そのメリットが具体的にイメージできるようにすること
  3. 企画が実施された場合の結果を具体的に示すこと

この3つが表現されたコンセプトであれば、相手の興味を引いて、企画が通りやすくなります。3つ全てを含めることは難しい場合もあるでしょうが、その場合も、1つ2つ入れるようにするとよいでしょう。

具体的な企画提案の際には、コンセプトを短くキャッチコピーのような形でまとめる方が適している場合もあれば、5W1Hを意識して、丁寧に文書でまとめた方が良い場合もあります。それらを組み合わせてコンセプト提案を行う場合もあるでしょう。

いずれにしてもポイントは、上に挙げた3つですから、これを意識するようにしてください。

商品コンセプトはブランドコンセプトに反しないように注意

コンセプトを考えたり表現したりする際には、注意点もあります。それは、商品コンセプトは、ブランドコンセプトに反しないように、ブランド全体の中に位置づけるということです。

商品コンセプトを考える際には、「画期的な商品にしたい」と思って、ブランドコンセプトにそぐわない内容を提案してしまいそうになる場合があります。しかし、そのような商品が開発・販売されたとしても、そのブランドのお客さまの嗜好には合っていないものになるはずです。

ブランドコンセプトは、長期的な視点から作られているもので、長い時間をかけて実現していくものです。商品一つ一つのコンセプトは、ブランドコンセプトを実現する形で提案されなくてはなりません。この点に注意しましょう。

もし、ブランドコンセプトとは明らかに反するコンセプトの商品を作る必要があるというのならば、それはブランドコンセプトから見直す、あるいは別に新規のブランドを立ち上げるべきということになります。例えば、化粧品メーカーの場合なら、資生堂は、SHISEIDOブランドの他に、ELIXIRやMAQuillAGEといった様々なブランドを展開しています。それぞれのブランドコンセプトに合った商品がラインナップされているわけです。

商品コンセプトを考える際には、ブランドコンセプトに沿ったものにすることを意識してください。

参考:資生堂

「コンセプト」という言葉を言い換えたいときは?

この記事の冒頭でも書きましたが、コンセプトという言葉は、よく分からない言葉でもあります。企画を提案している際などに、コンセプトという言葉だけでは意味が通じにくいと感じる場合は、他の言葉に言い換えることも考えましょう。

辞書的にはコンセプトと同義「概念」

この記事でも書いたようにコンセプトは、辞書的には「概念」と同義です。そこで、概念についても調べてみると「物事の概括的な意味内容」とされています。出展は、先ほどと同じgoo辞書のデジタル大辞泉です。

ただ、「物事の概括的な意味内容」という説明が、コンセプトの説明になっているかというと、違和感を覚える方が多いのではないでしょうか。コンセプトの言いかえとしては、単に概念という言葉にするのでは足りず、「既成概念を打ち壊す商品」とか、「全く新しい概念に基づいた商品開発」といったように多少の修飾語を付ける必要がありそうです。

使い方によってはコンセプトに近い「理念」

「理念」という言葉もあります。同じくgoo辞書のデジタル大辞林によれば、「ある物事についての、こうあるべきだという根本の考え」です。根本の考えというのは、コンセプトに近い意味合いになるでしょう。

もっとも、少し大げさな感じがする表現ですし、個々の商品の理念といった形で使うのは、言葉として不自然です。ただし、「企業理念」という言葉は、場合によってはブランドコンセプトと近い意味合いで使えるかもしれません。また、「このブランドの基本理念は~」といった形でなら、ブランドコンセプトの言い換えとしても使えそうです。

本来は使う場面が違う「テーマ」

テーマ」も、コンセプトと近い使い方をすることがある言葉です。辞書的には、「行動や創作などの基調となる考え。主題。また、論文の題目、楽曲の主旋律など。」とされています(出展:goo辞書 デジタル大辞林)。

ただ、テーマという言葉は、本来は芸術作品などの表現物で使われるものです。使う場面が違います。例えば、ブラントコンセプトをブランドテーマと言い換えることはできません。

もっとも、それによって表現したい主題のことをテーマというので、「この商品のテーマは」といった形で使う場合、コンセプトと近い意味でも使えます。

ただ、コンセプトには、「全体をつらぬく骨格となるもの」といった意味があり、このニュアンスはテーマという言葉では表現できません。安易に言い換えると、意味合いが変わってきてしまうので、コンセプトとテーマは混同しないように気をつけましょう

コンセプトの具体例その1【商品コンセプト】

ここからは、コンセプトの実例を見ていきます。最初は商品コンセプトからです。どんなコンセプトに基づいて商品開発がなされたのか、見てみてください。

音楽の楽しみ方を変えた「iPod」

1000曲をポケットに」というキャッチコピーで有名な「iPod」、持っている全ての音楽を持ち運び可能にすることが商品コンセプトです。

コンセプトが明快で、かつ魅力的で、キャッチコピーも非常に分かりやすいものとなっています。

参考:Apple

履くだけでトレーニング「イージートーン」

靴底が意図的に安定しないように作られていて、バランスを取りながら歩く必要があるシューズ「イージートーン」。履いて歩くだけで、足や尻の筋肉を鍛えることができるシューズというのが、商品コンセプトになっています。キャッチコピーは、「履くだけのジム」。

この商品からは、コンセプトを考える際に重要となる、「サイレントマジョリティーのニーズを掴む」ことの大切さを学ぶことができます。サイレントマジョリティーというのは、「物言わぬ大衆」の意味で、具体的な声にはなっていないけれども、潜在的な需要があることを指しています。この商品の場合は、「トレーニングをしたいけど時間がない」、何らかの理由で「ジムに通うことはできない」という声にならないニーズを上手く捉えたことで大ヒットしました。

参考:リーボック オンラインショップ

ライフスタイルも変えた「ルンバ」

改めて説明するまでもないかもしれませんが、ロボット掃除機の元祖と呼べる存在が、iRobot社の「ルンバ」です。

ルンバに限らず、iRobot社のロボットは、3Dコンセプトに基づいて開発されています。

3Dとは、「Dull(つまらない)」「Dirty(汚い)」「Dangerous(危険)」の3つのDのことで、3Dコンセプトとは、「3Dの仕事はロボットに担当させよう」というものです。人間のライフスタイルの変革さえももたらす、コンセプトです。

参考:アイロボット公式サイト

コンセプトの具体例その2【お店のコンセプト】

コンセプトの具体例の2つ目は、飲食業などのお店のコンセプトです。

売るのは場所「スターバックス」

スターバックスは、おしゃれなカフェとして日本でも人気がありますが、スターバックスが店舗設計などにこだわり快適な空間作りに注力している理由は、そのコンセプトを知ればよく分かります。スターバックスのコンセプトは、家でも、職場でもない「第三の場所(サードプレイス)を提供」することにあります。

コーヒーショップでありながら、コンセプトとして掲げているのは美味しいコーヒー等ではなく、快適な空間の提供です。このようにコンセプトというのは、お店の営業戦略などにも大きく影響するまさに「骨格となるもの」なのです。

参考:スターバックス コーヒー ジャパン

サイレントマジョリティーの声を掬い上げた「ドミノピザ」

ドミノピザは、日本でも有名なピザチェーン店です。そのコンセプトは、「ハンドメイドならではの味を食卓に届ける」、「焼きたてのピザを30分以内にお客さまに届ける」といったものです。アメリカ発祥のお店ですが、「家庭で、出来たてのピザが食べたい」という潜在的なニーズに着目して、それを提供できるシステムを開発したところ、世界でも受け入れられるピザショップとなりました。

参考:ドミノピザ

業界の常識を破った「俺のイタリアン」

俺のイタリアンに始まって、「俺の○○」シリーズは、現在14店舗あります。それぞれのお店が、高級店にも負けない味をリーズナブルな価格で提供していることで、大変人気があります。

そのコンセプトは、「ミシュラン星付き級の料理人が腕をふるい、高級店の3分の1の価格で提供すること」です。非常に明快なコンセプトで、実現できれば人気店になること間違いなしといった感じのものです。しかし、実際にこれを実現できる店は少なく、だからこそ「俺のイタリアン」は大人気店になりました。

その仕組みは、価格を下げて料理の原価率が上がっても、その分は客の回転率を上げることでカバーするというものです。このように一言でまとめてしまうと、大したことではないようにも思えてくるのですが、これはそれまでの業界の常識を破る画期的な発想でした。このように斬新なコンセプトを打ち出して、それを実現できる仕組みが構築できれば、大きな利益を生み出すことも可能なのです。

参考:俺のイタリアン

コンセプトの具体例その3【ブランドコンセプト】

コンセプトの具体例紹介の最後は、ブランドのコンセプトです。個々の商品ではなく、ブランド全体のコンセプトなので、やや理念的なものが多くなっています。

女性のためのファッションブランド「シャネル」

シャネルのブランドコンセプトは、2つ。「女性の服の開放」と「古い価値観にとらわれない自由で独立した女性像」というものです。

現在の視点からでは若干コンセプトの理解がしにくくなっているかもしれませんが、これらのコンセプトには、男性の理想に合わせた服を女性が着ていた時代に、女性自身のために服を作るという意味がありました。古い価値観から女性を解放するという意味合いまでも含めたブランドコンセプトだったのです。

参考:シャネル 公式サイト

伝統的なスタイルに大胆さをプラス「ポール・スミス」

シャネルが主にレディースのブランドであるのに対して、ポール・スミスはメンズを中心とするブランドです。そのコンセプトは「ひねりのあるクラシック」と表現されます。

ベースは英国の伝統的なスタイルに置いていながら、大胆なカラーリングやプリントが特徴です。遊び心を感じさせるデザインの商品が多く、ブランドコンセプトが見事に表現されています。

参考:Paul Smith

世代や国境も越えたエンターテイメント「ディズニーランド」

ディズニーランドには、いくつかのコンセプトがありますが、その基本となるものが「ファミリー・エンターテイメント」です。大人も子供も楽しめる場所であることが、ディズニーランドの目指すものであるわけです。

この考え方は現在では、世代のみならず、国境も越えて、あらゆる人々が楽しめる世界を提供するという考え方に広がっていっています。

参考:ディズニーランド・リゾート

まとめ

様々な観点から、コンセプトについてご紹介してきました。コンセプトを考えるのは簡単なことではありませんが、コンセプトがしっかりしていれば、ブランドを発展させたり、商品を開発したりする際に、方向性がぶれることがなくなります

お客さまにも、あなたのブランドや商品を理解してもらいやすくなり、コンセプトに共感してもらえれば、ファンにもなってもらえます。この記事をきっかけにして、自分なりのコンセプトを作れるようになってください。

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この記事を監修した人

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