eBayでセラーをしていると、購入者から返品リクエストが届くことがあります。アメリカのセラーなら専用の返品ラベルを発行し、それを使って購入者に返品してもらうことができます。ところがeBayでは、アメリカ以外の国で返品ラベルを発行するシステムがないため、日本のセラーはこの方法が使えません。
しかし、「ZipX」を使うと、eBayに頼らずに日本からでも返品ラベルが送れます。しかもとても簡単に利用できるので、とくにeBayでせどりをしている方や、これから始めようと考えている方におすすめです。
そこで今回は、eBayで返品依頼がきた際の対処の仕方と、ZipXの使い方を詳しくお伝えします。
eBayで返品リクエストが来た時の確認事項
突然返品依頼が届くと、最初は誰もが戸惑うでしょう。しかし、eBayに限らずECサイトでセラーをしていると、決して珍しいことではありません。
そこで、ZipXの説明の前に、返品依頼がきた時の確認事項や考え方について伝授いたします。返品を回避するコツについてもお伝えしますので、チェックしてください。
自分のビジネスポリシーを見直そう
eBayでは、出品する商品ごとにビジネスポリシーを設定します。まずは、商品の編集画面で自分が返品についてどのようなポリシーを設定しているかを見直しましょう。
返品ポリシーは具体的に以下のいずれかになっているはずです(一部のカテゴリーについては例外的に14日以内の返品設定もあり)。
- 返品不可
- 返送料金セラー負担で返品可能→30日または60日以内の返品
- 返送料金購入者負担で返品可能→30日または60日以内の返品
「返品不可」に設定している場合は、基本的に返品に応じる必要はありません。しかし、注文と異なる商品を送った場合は、eBayより強制的に返金を迫られます。
返品に応じる設定をしている場合は、基本的にその通りにしなければなりません。
返品理由を確認しよう
返品ポリシーで返品可能としている場合でも、有無を言わずに応じなければならない、というわけではありません。なぜ返品したいか、という理由を確認して、納得できなければ購入者と話し合うこともできます。
- 商品が壊れていた
- 注文とまったく違う商品が届いた
- サイズやカラーが違っていた
以上の理由であれば、セラー側に非がある(運送会社も含めて)ので、返品に応じる必要があります。
しかし、「壊してしまった」「気が変わって要らなくなった」などの理由であれば、購入者側の事情のため、どのような条件で応じるかについては交渉の余地があるでしょう。
返品を回避する方法
返品リクエストを100%無くすことは難しいかもしれません。しかし、出品や発送の際に以下の点に気をつければ、多くの返品は回避することができます。
動作確認をしっかり行う
特に中古のガジェットやデバイス、家電などが対象です。電源や各機能に問題がないか、必ず確認しておきましょう。
正直な商品説明をする
画像では見えにくいキズや色あせ、色むらなど、クレームの原因になりそうな点は正直に記載しておきましょう。説明が曖昧だと、読み手によって解釈が異なるケースがあります。期待が大きいとトラブルの元になるので要注意です。
品番説明を正確に行う
商品の品番を誤らないように注意しましょう。同じメーカーから類似品が多数販売されている場合は、品番も似通っていることが多いです。表記に間違いがないか、良くチェックしてから出品しましょう。
返品リクエストへの4つの対処法
実際に返品リクエストへの対処を行う際、具体的な選択肢は4つあります。一つずつ順を追って説明します。
Accept the Return
Accept the Returnは、「全額返金のうえ返品に応じますよ」という意思表示です。返品依頼が来るということは、購入者からそれなりの不満を持たれている可能性があります。今後のビジネスを考えると、少々理不尽な理由でも素直に返品に応じ、全額返金する方が得な場合もあるでしょう。
Give a full refund
Give a full refundは、「全額返金しますが、返品はしなくて結構です」という意味です。一見損するように感じるかもしれませんが、そうでもありません。とくに安価な商品なら返品送料を払う方が高くつくこともあります。
完全には使えないものを「そちらで処分しておいて」と頼むのは購入者からすると心証が悪いかもしれません。しかし、使おうと思えば使える状態ならそのままプレゼントしてしまうのもアリです。最も手早く解決し、双方にとって後味も悪くなく、評価も落とさずに済む可能性が高いです。
Offer a partial refund
Offer a partial refundは、「返品は不要で、一部の返金に対応します」という意味です。この場合の購入者の反応は、大まかに2通りに分かれます。
1つは「返さなくていいのに、代金の一部を返してもらえてラッキー」というもの、もう1つは「こんな状態なのに、一部しか返金されないのは心外」というものです。
Offer a partial refundの場合、相手の出方を見ながら交渉し、適切な落としどころを見つけることが大切です。
特に高額商品の場合、全額返金はセラー側の負担も大きいので、Offer a partial refundで少しでも損失を抑えることができれば良いでしょう。
また、選択肢として「Send the buyer a message」もあります。これは、相手の言い分が良く分からなかったり、どう返答して良いか分からなかったりする場合などに、とりあえずメッセージを送るために使います。返品依頼しているのに無視された、と思われるのはよくありません。時間稼ぎのために、取り急ぎレスポンスを返しておいて、その間に対処法を考えるという使い方も可能です。
eBayの返品ラベル作成は日本郵便が資本提携しているZipXを使おう
この項目では、ZipXがどのようなサービスなのか解説していきます。また、Zpixを利用する際のメリット・デメリットについても併せてご紹介します。
ZipXとは
「ZipX」は、日本郵便が資本提携している香港の物流企業・Lenton Group(レントングループ)が行う、海外向け返送サービスです。eBay専用の返品ラベルが使えなくても、ZipXのラベルを購入者に送って、最寄りのZipXの倉庫に商品を送ってもらうだけで済みます。購入者にとっては送料を支払う必要もありません。
越境ECビジネスでは、購入者からの返品要求は、決して珍しくありません。そして、セラーなら返品対応することは、当然のマナーとも言えるでしょう。
というのも、国土の広いアメリカでは、同じ国内でも商品を現地まで買いに行くには相当の時間とお金がかかることが珍しくありません。そのため、直接商品を見ずに通信販売で済ませる文化が古くからありました。それで、届いた商品に問題があったり、想定と違うものが届いたりした場合に返品するのは当然という考え方が強いのです。
通販文化が浸透していたからこそ、eBayやAmazonといった巨大ECプラットフォームがアメリカから生まれたと言えます。しかしそれゆえに、とくにアメリカの購入者からの返品依頼は珍しくない上、eBayなどのECモールが返品対応に厳しいルールを設けているのも事実です。
以上のような背景があり、かねてよりアメリカ以外の越境ECセラーからの返送サービスへの需要は少なくありませんでした。これに応える形で、2017年に登場したのが、日本郵便が資本提携している香港の物流企業・Lenton Groupが運営する「ZipX」です。
ZipXに依頼すれば、以下のようなサービスを受けることができるので、eBayセラーにとっては送料の返金対応も非常に楽になります。
- 購入者から最寄りのZipXの倉庫に返品したい商品を送ってもらう
- ZipXの倉庫に到着したことを確認したら返金
- 商品を日本へ転送してもらう
従来の方法は、以下のように面倒な手続きが必要でした。ZipXを利用した場合は、ZipX側にPayPalで決済するだけで済むので、非常に簡単です。
- 返送料金を大まかに計算する
- 購入者にPayPalで払う
- 商品を日本へ送ってもらう
- 送ってもらった後の明細の画像をメールで送ってもらう
- 明細を確認後、返送料金に不足があれば、さらにPayPalで追加料金を支払う
ZipXのメリット
ZipXについての大まかな説明で、既にどれだけお得なサービスかはご理解いただけたでしょう。Zipxを利用するメリットは、前項で挙げたもの以外にもたくさんあります。
- 返品ラベルが発行できないことをいちいち購入者に説明しなくていい
- 通常の返送料金よりもZipXの方が安い場合が多い
- 専用サイトで登録したらすぐに利用できる
- 返送料金を水増し請求されない
- 購入者にあまり負担をかけなくていい
- セラーの作業効率が良くなる
以上のように、ZipXのメリットは数多くあるので、ぜひ積極的に利用してください。
ZipXのデメリット
数多くのメリットがある一方で、ZipXにはデメリットも存在します。具体的には、以下の2点が挙げられます。
- 中身を確認する前に返金しなければならないことがある
- 他のメジャーなサービスに比べて発送回数が少ないため、商品が届くまでに時間がかかる
ZipXでは、eBay購入者からの荷物がZipXの倉庫に届いたら6日以内に返金しなければならないため、多くの場合、手元に商品が届く前に返金することになります。1件につき100円で画像を送ってもらえますが、もし画像を見ることをせずに中身を確認しなければ、購入者が違う商品を送ったとしても、それに気づかずに返金に応じてしまうリスクがあります。特に返金額が高額な場合は、100円を払ってでも中身を確認する方が良いでしょう。
ZipXで返送してもらう時の注意事項
購入者にZipXで返送してもらう際に注意すべきことは、以下の2点です。
- 最初に商品を送った際の送り状とインボイスを、必ず荷物に同封してもらう
- 梱包するダンボールなどのケースの外側に「Return Shipment」と紙に記載して貼ってもらう
ZipXへの登録方法
ZipXは、アカウントを登録し、初期設定を済ませれば、すぐに利用することが可能です。この項目では、Zipxへの登録手順について詳しく解説していきます。
アカウントを登録
まずは、以下のリンクからZipXのトップページへアクセスし、「新規登録」をクリックしてください。初期状態では英語表記になっていますが、言語切り替えで日本語表記に変更することができます。
メールアドレスとパスワードを入力したら、パスワードの再入力を行い、自分の住んでいる国を選択しましょう。入力が完了したら、「REGISTER」をクリックしてください。以後は、メールアドレスとパスワードでログインすることができます。
参考:ZipXBusiness
初期設定を行う
管理画面の左側にある「アカウント設定」の下の「My ZipX住所」を選びましょう。
「配送先住所のご登録はこちら」という表記の下にある「Click」を押してください。
続いて「新住所の追加」をクリックします。
表示された画面の空欄に日本国内での返送先の住所を英語で入力しましょう。入力が完了したら、「保存」をクリックしてください。
規定住所が登録されたら、初期設定は終了です。
ZipXの返品ラベルの作り方
初期設定が完了したら、eBayへの返品ラベルを作成することが可能になります。この項目では、Zipxで返品ラベルを作成する方法について、順を追って説明します。
アメリカの購入者用に返品ラベルを発行する場合
ZipXが利用できるのは、アメリカ、台湾、香港、中国、オーストラリア、イギリス、フランス、インドネシア、シンガポールなどです。
今回はもっとも返品依頼が多いと考えられるアメリカを例にとって説明しましょう。
まず管理画面左のメニュー欄にある「米国国内ラベルの印刷」をクリックします。
購入者の情報を入力する
続いて、各空欄に返品を依頼してきた購入者の名前や住所を入力していきます。
内容品情報を入力する
次に、「+内容品情報の追加」をクリックし、表示された画面に返送する商品の情報を入力していきましょう。入力が完了したら、「確認」をクリックしてください。
「ラベルを印刷する」をクリックする
入力が終わったら最下部にある「ラベルを印刷する」をクリックします。
完成したラベルをスクリーンショットで撮影する
以上で返送ラベルの完成です。返送ラベルを購入者に送信するために、スクリーンショットで撮影しましょう。
画像を購入者と共有
返送ラベルの画像は、eBayの「Upload your own label」から購入者宛に送ります。
「Select the shipping carrier」で「USP」を選択します。「Add the tracking number」に、返送ラベルに記載されている追跡番号を入力して、購入者に送信してください。これで、購入者は返品作業に入ることができます。
なお、先述した「Return Shipment」を購入者にパッケージに貼ってもらう説明書きも必ず送ってください。
以上でZipXを使った返送ラベルの作成と返送依頼作業は終了です。
まとめ
今回の記事では、eBayで返品リクエストがきたときの対処法について解説しました。
eBayでは日本から返送ラベルが発行できないため、面倒な手続きが必要でした。しかし今は、日本郵便が資本提携している香港の物流企業・Lenton Groupが運営する「ZipX」を使えば、簡単に返品リクエストに対応できるようになりました。
登録して初期設定をしておけば、いつでもすぐに使えるのでとても便利です。返品はないに越したことはありませんが、万一のために備えておくと安心ですので、ぜひZipxをご利用ください。