仕事をする中で、何回しても仕事が覚えられないと思ったことはありませんか?
なかなか覚えられないことや、覚えてもすぐ忘れることを、1度は経験したことがあるのではないでしょうか。
この記事では、もの忘れが起きる理由やオススメの記憶法をお伝えします。シーン別オススメ対処法や認知症ともの忘れの違いについても解説しますので、覚えたはずのことをすぐに忘れてしまう・記憶するという行為が苦手という人は参考にしてください。
仕事内容を忘れてしまう人の8つの特徴
勉強やスポーツと同じで、仕事を覚えるスピードにも個人差があります。しかし、同期の人達がすぐに仕事を覚え、自分だけ取り残されてしまうのは辛いものです。仕事をすぐに覚えられる人と、覚えられない・覚えてもすぐに忘れてしまう人の違いを探っていきましょう。
ここでは、仕事内容を忘れてしまう人によくある特徴を8つ紹介します。自分に当てはまっていないか、考えながら読んでみてください。
能力が不足している
どれだけ熱心に仕事に取り組んでいても、なぜか覚えられないという場合があります。その場合には努力不足ではなく、物事の理解や情報処理の能力が不足している可能性があります。
ですが、一生懸命覚えようとしている姿勢を持ち続けて、覚えようと努力していることが何よりも大切です。その姿勢さえ持ち続けられたら、何度も経験を積んだりじっくり覚えられるように時間を取ったりすることで、少しずつ改善していくでしょう。
指示された仕事の意図を把握していない
与えられた仕事内容だけではなく、仕事の全体像や意図を把握することが大切です。たとえば、「このアンケートをまとめておいて」とだけ指示された場合、足りない部分は質問で補ってから作業に取り掛からなければいけません。
指定フォーマットがあるのか、社内で閲覧する資料なのか、社外に流す資料なのか、全体像がわからなければ仕事のやり直しになってしまいます。全体像がわからないというのは、地図がない状態で目的地にたどり着け、というようなものです。仮にうまくできたとしても、次同じ指示を受けたときに再現できなくなってしまいます。与えられた指示だけで仕事を進めようとしないこと、マニュアル暗記ではなく現場で使える知識として目的別に対処法を考えることで、芋づる形式に仕事がつながり、効率よく身につけることができるでしょう。
コミュニケーションが不足している
仕事をしていく中で、人と一切かかわらないという事はまずありません。
職場の人と関わる中で、仕事を身に付けていくものです。そのため、コミュニケーションが不足していると仕事内容がそもそも身に付かず、いつまでたっても仕事内容が覚えられない状態になってしまいます。
コミュニケーションが不足していると、報告・連絡・相談ができなくなってしまい、そもそも仕事を頼まれない可能性もあります。また、分からない時に相談できる関係性を作っておくことは、仕事を覚えるためには欠かせません。
仕事の内容でも日常の会話でも、周りの同僚や上司と積極的に会話をして、関係づくりを意識的にしていく必要があります。
覚える努力をしていない
自分の仕事に責任を持ちましょう。確かに、同じ空間には同僚も先輩も上司もいます。やむを得ずあなたが業務をできないとなっても、代わりの人材がいるのが会社です。しかし、自分がミスしても誰かがフォローしてくれる・わからなくなったら人に聞けばいいという甘えは、いつまで経っても仕事を覚えられない事態につながります。
また、教えてもらった内容は、必ずメモをとるようにしましょう。これくらいならメモをとらなくても覚えられる、と思ってもきちんとメモしてください。一言一句すべてをメモする時間がないケースも多いので、要点を抑えてスッキリ書く技術が必要です。
仕事の重要度を区別できていない
絶対にミスしてはいけない仕事・ミスしても後でやり直しができる仕事など、業務の重要度は一定ではありません。仕事を与えられた順番で処理していく・すべての業務に100%の力を注いでいると、大切な仕事でのミスにつながります。
仕事には優先順位をつけ、大事な仕事からしっかりと覚えるようにしていきましょう。優先順位は、仕事内容・期限・自分の立ち位置などによって変動します。常に重要度を考えながらタスク管理することが大切です。
業務内容に関心を持てない
「仕事大好き」とまではいかなくとも、職種はある程度興味関心がある分野を選ぶことが大切です。学校の勉強は覚えられないけど、大好きな漫画のキャラ名はすぐに覚えられる、などといった経験は誰にでもあるものです。記憶力と興味関心には、深い関係性があります。
今している仕事に興味を持つ努力をすることが、仕事を早く覚えることにつながります。
仕事内容が合っていない
例えば、機械の操作が苦手な人がAIデータの処理をする仕事を担当する場合、どうしても覚えられないということが自然です。このように、自分にとって合っていない仕事内容を選んでいる可能性があります。
無理して苦手分野の内容を覚えようとすると、ストレスや苦痛を感じやすくなります。自分にとって苦手意識のあるような職種を選んでいる場合には、その分野について学び直したり、そもそも仕事を変えたりすることも検討すると良いでしょう。
生活習慣が不規則である
残業が多かったり、朝が早かったりすると、生活習慣が乱れて睡眠時間が短くなってしまいます。記憶の定着のためには、睡眠時間を十分にとることが欠かせません。
もし残業が多すぎて休める時間がない場合には、転職も検討しましょう。また、徹夜で覚えるために勉強している場合には、逆効果である可能性があります。ゆっくり眠る時間を確保することで、仕事の間に効率よく覚えられるようになります。
忘れてしまうのは、ワーキングメモリに頼りすぎているから
「覚えられない=一度も記憶できない」ではありません。多くの場合、なかなか物事を覚えられない人は、「覚えたはずなのに忘れてしまった」という状況に陥っています。記憶をワーキングメモリに頼っている証拠です。
ワーキングメモリとは、知識が一時的に保管されるための記憶領域のことです。いつでも引き出したいときに記憶を引き出せる長期記憶と違い、ワーキングメモリ内の記憶はすぐに忘れてしまいます。ワーキングメモリの容量はとても少なく、新しい情報が入ってきたときに古い記憶が消えてしまうからです。
1つのことだけを覚えておくのならば、ワーキングメモリで事足ります。たとえば、「14時になったら、タカナシ電気の林さんに電話しておいて」と指示されたとします。これが13時50分くらいに与えられた指示であれば、問題なく遂行できるかもしれません。しかし、朝イチに出された指示だとして、記憶だけでなんとかしようと思ったら、難しいものがあります。
職場では、次々と新しい情報が入ってきます。そのたびにワーキングメモリの記憶は入れ替わり、先に入れておいた重要な事柄を忘れていってしまうのです。ここでは、ワーキングメモリに頼らずに記憶に留めておくための方法をお伝えします。
大切なのはメモに残すこと
指示された内容・思いついたアイデア・タスクなど、覚えておく必要があることをすべて、メモに残しましょう。
ワーキングメモリに留めておける知識量は多くありません。また、記憶だけでなくタスク管理の役割も担っているため、ワーキングメモリに負荷をかけることは作業効率の低下にもつながります。いかにワーキングメモリ内の情報を少なくするかが重要です。メモをとる時間や見返す時間を無駄だと思って記憶に頼る人もいますが、それによってワーキングメモリの容量を圧迫してしまうほうが非効率です。
人の記憶力は曖昧で不確かなもの、と割り切って、メモなどのツールを有効活用していきましょう。
自分用のノートを作る
どれだけ優秀な人でも、学んだことを全て覚えておくことはできません。全て覚えようとすると、かえって覚えることに必死になって失敗してしまうこともあるでしょう。
そこで、今までに学んだことをノートにしてまとめておきましょう。今までの自分の経験をまとめておくことで、学んだことのある内容なら全てが書かれているマニュアルのような役割を果たしてくれます。
ノートを書く時には学んだことを思い出す必要があります。そのため、ノートを書くことで復習ができ、書いていく中で分からないところが分かるので、より深い記憶に繋がります。また、マニュアルがあるという事が自信につながるというメリットもありますので、ぜひ取り入れてみてください。
オススメの記憶法「場所法」
メモをとることも重要ですが、メモを見ることなく記憶を引き出せるようになれば、作業効率が上がります。ここでは、世界記憶力選手権のトップ選手も使っている記憶術、場所法のやり方についてお伝えします。
場所法のやり方
場所法とは、馴染みある場所と記憶したい事柄を結びつけてイメージで覚える記憶法です。場所の記憶は長期記憶に保存されやすい性質があるため、それを利用して記憶します。
《場所法のやり方》
(1)記憶する場所・アクセスポイントを決める
(2)覚えたい事柄をイメージに変える
(3)覚えたい事柄と場所を紐付ける
《例1》事柄を決められた順番で覚えたいとき
・覚える順番:クライアントにメール→プレゼンの資料を作る→事務所内の清掃
(1)アクセスポイントは、通勤路など特定の順番が存在するものが好ましいです。自宅から最寄り駅の景色・最寄り駅から職場までの駅など、思い出しやすい場所を設定してください。
(2)覚えたい事柄をイメージに変えます。
(3)1と2を結びつけていきます。玄関先のポスト:クライアントにメール→駅前の映画館:プレゼンの資料を作る→駅構内の清掃ポスター:事務所内の清掃など、自分が思い出しやすいように設定しましょう。その場所を思い出したときに連想しやすいものにするか、意外性がありすぎて強烈に印象に残るものが好ましいです。
《例2》事柄を順番関係なく覚えたいとき
・覚える事柄:歯磨き粉・紅茶・じゃがいも・大根
(1)アクセスポイントは何でも良いです。例では自分の体のパーツを思い浮かべてみます。
(2)覚えたい事柄をイメージに変えます。歯磨き粉は口、紅茶は香りが良いから鼻、などです。
(3)口を触りながら歯磨き粉・鼻を触りながら紅茶・右手で握りこぶしを作ってじゃがいも・足を差し出して大根、などイメージと事柄を結びつけます。このように動きをつけながら覚えるのも効果的です。
「忘れてしまう」のパターン別対処法14選
ひとくちに「忘れてしまう」といっても、物忘れが起こるシチュエーションはさまざまです。記憶力が備わっている人なのに、体調や勉強法の不一致によって力を発揮しきれない、ということもあります。
ここでは、14種類のパターン別に効果的な対処法をお伝えします。単純に覚えることが苦手、という人だけでなく、暗記だけ苦手・人の名前と顔が一致しない・集中力がきれやすいといった人にも役立つ内容になっているので、ぜひ参考にしてください。
物覚えが悪い人は適切な睡眠時間を確保する
記憶力と集中力を維持するためには、良質な睡眠が必要不可欠です。目安としては、一日6時間半~7時間半、少なすぎても多すぎてもよくありません。寝ている間に記憶が定着するので、寝る前に勉強をして起きてから復習をすると効果的です。
仕事量が多くて頭がパンクしがちな人は瞑想時間をとる
キャパオーバーが理由で記憶力の低下やもの忘れが生じているのなら、10分程度の休憩をはさみましょう。目をつむって深呼吸をするだけでも良いですし、昼寝できる環境があるのならば寝てしまってもかまいません。
覚えることがたくさんあるなら優先順位を作る
覚えることがたくさんある場合、一気に全てのことを覚えようとすると、何からしてよいか分からず、最終的に何も身に付いていない可能性があります。
そこで、まず絶対に覚えるべきことを決め、次に覚えるべきことを決めるというように、何を覚えればよいのかを整理する時間を取りましょう。
順序立てて覚えることで、今自分は何をせねばならないのか、どれだけの時間を掛ければよいのかが分かり、効率よく確実に覚えられます。
暗記が苦手な人はグループ化で覚える
単語や数字は、単体では暗記しづらいものです。単語は、文章にして覚える・類義語や対義語とセットで覚える方法が効果的です。桁数の多い数字は、3~4桁に区切って塊を作り、覚えましょう。郵便番号や電話番号を覚えるのと同じ感覚です。
そもそも記憶力が少ないなら食事にもこだわる
記憶力アップにつながる食品を摂ることも効果的です。記憶力を高める栄養素には、レシチンやコリンが挙げられます。また、糖質も脳のエネルギー源となります。
《おすすめ食品》
・納豆:レシチンが含まれる
・卵:レシチンとコリンが含まれる
・ご飯やバナナ:糖質
集中力の低さが問題ならポモドーロ法を活用
人間の集中力は、そもそも長時間保つように作られていません。学習時間を30分に区切り、25分全力集中で学習・5分休憩をワンセットにして繰り返す「ポモドーロ法」が効果的です。5分休憩を挟むことで脳の疲労が軽減されますし、「あと25分頑張れば休憩できる」と思うことで精神的な負担も少なくなります。
覚えたことをすぐに忘れてしまうならテスト形式で確認
教科書をただ読んでいるだけでは覚えられなかったものが、問題集を解いたらすんなり覚えられたという経験はないでしょうか。アウトプットを前提としたインプットは記憶に定着しやすい、という性質があります。覚えたと思ってもすぐに忘れてしまう、という人は、覚えたい内容をテスト形式にしてみましょう。
記憶が定着しないなら珍しい環境で勉強してみる
場所やイメージ、感情と紐付けて覚えると、記憶が定着しやすくなります。行ったことのないカフェや、初めて見る景色など、感情が揺さぶられる経験とともに勉強してみましょう。勉強していたときの情景を思い出す際に、その場で覚えた知識も芋づる形式で引き出すことができるようになります。
知識が浅いと感じるなら友達や家族に説明してみる
理解したと思っていても、実際に業務にあたるときに手が止まる・疑問点が浮かぶなら知識が浅い証拠です。覚えたい事柄を友達や家族に話してみましょう。自分の理解が足りない部分を把握できますし、人に教えることで脳が活性化し、記憶の定着につながります。説明して終わりではなく、友達や家族から質問を受けつけることで、さらに知識を深めることができます。
本の内容を覚えておきたいなら読書日記をつける
感情と記憶は結びつきやすい性質があります。本の内容と読んだときの感情をセットにして覚えれば、長期に渡って記憶が残りやすいです。本を読んだら、自分はどう感じたかをアウトプットするクセをつけましょう。日記帳・ブログ・Twitterなど、手段は問いません。
重要なのは、目的意識をしっかりと持つことです。「本を読む」ことを目的にしてしまうと、読んだ時点で目標達成となり、内容が記憶に定着しません。反対に「本の要約を人に伝える」と意識して読めば、内容を理解しようと脳が働きます。
人の名前を覚えられないなら名前を呼ぶ回数を増やす
覚えたい内容は、何度も繰り返しインプットしましょう。インプットの回数が増えるほど、脳が重要な事柄だと認識して、長期的に記憶に留められるようになります。
そこで、人の名前を覚えたいのなら、相手との会話中に何度も名前を呼びましょう。「〇〇さんは、どう思いますか」「〇〇さんは、読書が趣味なのですね」など、こまめに会話に入れ込みます。1対1でも名前を呼ぶことは不自然ではないので、積極的に使ってください。心理的に相手に好印象を持ってもらうことにもつながりますので、一石二鳥です。
また、初対面の人の名前を事前に覚えておきたい場合、名前からイメージを膨らませておくこともおすすめです。イメージと違ったとしても、意外性を感じることで記憶に残りやすくなります。
自分で調べても分からないならすぐに質問する
どんな些細な事であっても、分からないことは分からないままにせず、積極的に質問するようにしましょう。
質問をすることを、相手の時間を奪うから控えたいと思うこともあるでしょう。ですが、分からないままにしていることの方が、時には大きな損害に繋がることがあり非常に危険なことです。そのため、分からないことはすぐに聞く習慣を付けておくのがおすすめです。
ただし、調べればわかること(漢字の読み方など)は、毎回聞いているとうんざりされてしまいますし、聞いているだけでは成長には繋がりません。必ず最初に自分で調べて、それでもわからないことを聞くようにしましょう。
覚える意味が分からないならコミュニケーションをとる
覚えられない人は、仕事現場で上司が求めていることが分からない人が多いです。その場合、ただ言われたことを淡々とするだけで、結果的に何も身に付いていないということがあります。ですが、相手が求めていることが分かると、何をすればよいかが分かるようになるので、自然と覚えられるようになります。
相手の要求を知るには、何よりもたくさんコミュニケーションをとることが重要です。コミュニケーションと言っても、報告・連絡・相談の徹底や、積極的に質問すること、感謝を伝えることなど、誰でもできることばかりです。
意識的にコミュニケーションをすることで、自然と意図を持って行動でき、結果的に記憶の定着に繋がっていきます。
さらにレベルアップしたいならコツを尋ねる
同じ職場に仕事をサクサク覚えている人がいるなら、積極的にコツを尋ねましょう。効率よく覚えられる人は自分なりの覚え方が定着していたり、自分なりに整理して覚えていたりするので、その手法を取り入れてみるのがおすすめです。
今自分が実行している覚え方がもし効率的でも、実際にはもっと覚えやすい方法があったり、自分に合った手段があったりすることもあります。コツを聞くことで新たな覚え方が見つかることもあり、非常に有効です。
同じ「忘れてしまう」でも違う-もの忘れと認知症の差
あまりにもの忘れが頻繁だと、認知症なのではと不安になることもありますよね。教えてもらってもすぐに忘れてしまう、前は簡単に思い出せたのにテレビを見ても俳優の名前が思い出せなくなった、など、日常の中で自分の記憶力に自信をなくすシーンは数多く存在します。ここでは、通常のもの忘れと認知症の違いを、具体例を上げて解説します。
もの忘れと認知症の違いは「行動そのもの」を忘れているかどうか
通常のもの忘れであれば、ヒントから答えを見つけ出すことができます。「今日のご飯、何を食べたっけ?」となっても、「和食だったよね」「冷蔵庫の残りを使っちゃおうって話していたよね」などヒントを出せば思い出せるのが、もの忘れです。認知症の場合、「食べた事自体」を思い出せないので、いくらヒントをもらっても意味がありません。
記憶をアウトプットするには、覚える・脳に保管する・引き出すという3つのステップがあります。もの忘れは、一度覚えたことを脳の引き出しから「引き出せない」状態です。認知症は、覚えたことそのものがすっぽり無くなってしまう、引き出すべき知識が脳の中から消えてしまっている状態です。
体験を忘れてしまうのは認知症の可能性が高い
「この前読んだ本の内容が思い出せない」は、もの忘れの範囲です。しかし、「本を読んだ」という体験ごと記憶からなくなってしまうのは、認知症の可能性が高いといえます。認知症の場合、忘れているという認識すらないので、他者から指摘を受けて気づくことになります。自分で「認知症かも!」と思えるうちは、ただのもの忘れであることもあるので、過度に心配する必要はありません。生活に支障をきたすようになってきたら、病院に行ってみるなどの対策を考えましょう。
もの忘れと認知症それぞれの「忘れてしまう」シーン例
《もの忘れ》
特徴:体験の記憶はあるが、詳細を思い出せない・ヒントによって思い出す場合がある
・通帳の保管場所が思い出せない
・買う予定だったものを忘れる
・電話で話した内容を忘れる
・小説のタイトルが思い出せない
・知人の顔を見ても名前が思い出せないが、ヒントをもらえば思い出せる
《認知症》
特徴:体験自体丸ごと記憶からなくなっている・ヒントを出してもらっても思い出せない
・通帳をしまったことを忘れている
・買い物を済ませたことを忘れて何度もスーパーに行く
・電話をしたことを忘れる
・小説を読んだことを忘れる
・知人の顔を見ても、「初対面だ」と思う
どうしても物事が覚えられない障害
今までのどの内容にもあてはならない場合、障害による影響の可能性があります。以下の内容に心当たりがある場合には、一度専門機関で相談してみるのをおすすめします。
アスペルガー症候群・自閉スペクトラム症(ASD)
アスペルガー症候群・自閉症スペクトラム症は、うまくコミュニケーションが取れなかったり、いつもと違うことに苦手意識があったりすることが特徴の能機能障害です。中でも、いつもと違う物事が苦手であることが、記憶を阻害してしまうことがあります。
例えば、Aという機械を使った後にBを取りに行くという作業があるとします。その作業を覚えた状態で、「今日からはAとBの順番を逆にする」と言われたら、順序が変わるので何からしてよいか分からなくなります。そのため、自分の順序と違うことをする時にストレスを感じてしまうことも多いです。
また、相手が言ったことをそのままの意味で受け取ってしまう傾向があります。「もうちょっと」や「適当に」と言われても分からないなども、ASDの人によく見られます。
注意欠如・多動症(ADHD)
注意欠如・多動症は発達障害の一種で、注意力が持続しないことや、計画通りに物事を進めるのが苦手なことが特徴です。
物事を順序立てて進めることが苦手なため、工程を飛ばしてしまったり、異なった順序で覚えてしまったりすることがあります。また、物事を覚える際に集中力が続かないことで定着しにくいこともあり、記憶するのに時間が掛かってしまいます。
この他にも、話を聞いていないように見られたり、約束を忘れてしまったりすることもあり、周囲の人との関係性が作りにくいことも、不利に働いてしまうことがあります。
学習障害・限局性学習症(LD)
学習障害・限局性学習症の人は、特定の学習場面において、人よりも覚えにくいという特徴があります。聞く・読む・書く・話すなどの覚えるために欠かせない要素のどれかに障害がある場合が多く、それが原因で物事を覚えにくくなってしまうことがあります。
仕事現場では、上司からの口頭の指示だけで、仕事内容を理解しないといけなかったりする場面が存在します。そういった場面で苦手があると、自分がすべき事を理解できないことがあります。
LDの場合には、読める資料と言葉による解説を併用するなど、複数の方法で情報を見ることで対処は可能です。ですが、このような障害を理解している人は少なく、対応してくれる方は多くありません。
周りの理解があることが何よりも大事
障害が原因で覚えられないといった場合に、それを理解してくれる人と努力不足だと思う人がいます。努力不足と捉える人の下で働くというのは、なかなか理解してもらえず辛いものです。
もしも今の職場の居心地が良くない場合には、無理して居続けるのではなく、休職や転職も考えておくのをおすすめします。どうしてもうまく覚えられないことで周りからの目が気になったり、注意されて鬱になってしまったりする可能性があるからです。
もしも辛いと感じているのなら、専門機関で相談してみるとよいでしょう。通院しながら今の職場で働いたり、就労支援を受けられたりするため、負担やストレスが減るかもしれません。
障害があるからこそ得意なこともある
障害イコール良くないという印象を持つ人が多いですが、障害があるからこそのメリットもあります。
例えばLDの人は、読みは苦手だが聞くことは人よりも得意など、苦手がある一方で得意なことがあります。ADHDの人は、じぶんの好きなことに対する探究心が強いので、人よりも学びに意欲的になれます。
このように、得意なことをうまく活用していくことで、自分にしかできない仕事ができることもあります。
まとめ
記憶を定着させるには、対象への興味関心や目的意識が必要になります。自分の記憶力に頼らずにメモを活用する・記憶力や集中力持続のための生活習慣を身につける・自分に合った記憶法を見つけるといったことも大切です。記憶法にも、場所に関連付ける・感情と結びつける・単体ではなく類似グループでひとまとめにして覚えるなど、さまざまな手段がありますので、いろいろ試して自分に合った手法を選びましょう。
ただ、毎日のルーティーンや上司の名前など、脳が重要だと判断したことは自然と覚えられるものです。仕事関係において記憶力がないと嘆く人も、自分に合った職種・取り組み方に巡り会うことですんなり解決することもあります。今の環境で努力することも大切ですが、場合によっては転職も視野にいれると良いでしょう。
また、認知症はもの忘れと異なり、体験そのものを忘れてしまう特徴があります。通常のもの忘れと認知症とでは忘れ方に違いがあるので、もの忘れが多いからといって過剰に心配する必要はありません。