ロット数での管理とは?正しい理解で仕入れに役立てよう

仕入れする時によく聞く「ロット」。何となく分かっているけど、しっかり分かっているかどうかは自信がない…。そんな人のために、今回はロットにおける基礎知識と、仕入れのノウハウ、さらにはロット管理の重要性などを解説していきましょう。

目次

ロット数とは?仕入れで重要な3つのポイント

みんな、仕入れをする時にどんなところを意識しているのだろう…。こう思いませんか?周囲に相談できる人がいれば違いますが、ほとんどの人は失敗を繰り返して工夫していくものです。でもやっぱり、失敗しないことに越したことはありません。

仕入れの時に意識するべき3つのポイントを覚えていきましょう。

「掛け率」を理解しておこう

仕入れで必ず出てくる「掛け率」ですが、非常に重要な専門用語になっています。小売予定価格(定価)に対する卸値の割合で、「卸率」とも言います。商品ごとに掛け率が違ったりもします。

・1,000円の掛け率60=600円
・1,000円の6掛け=600円

ということですね。商品の定価に対して何%の価格で仕入れられるのかを表しており、それぞれのジャンルにおいて相場があったりします。

仕入れはロット数が基本

個人事業主であるほど、大量で仕入れずに、まず少ない量で仕入れ、足りなくなる前に追加仕入れしていきたいものです。しかしメーカーや問屋が、商品に対し、注文単位を1個からで設定しているということはほとんどありません。ロットという発注単位があり、その商品ごとに定められたロット数でないと仕入れをすることができません。仕入れる際にロット数を必ず確認しておきましょう。

支払方法を確認しておこう

支払方法はさまざまです。

・現金支払い
・掛売り(都度払い)
・掛売り(締め払い)
・デポジット払い…仕入れ代金を前もって預ける方式

現金払いは金額が少なめだったり、滅多に購入しない場合は向いています。しかし、毎月一定以上仕入れを行うのであれば、掛売りの方がやり取りが1度で済み、業務の手間が省けます。自分に合う方法を見つけて先方と相談しましょう。

管理はロット単位で!「ロット管理」を解説


メーカーや問屋が商品ごとに定めた、商品に対する最低発注数である「ロット」ですが、この製品単位であるロットごとに在庫管理をすることをロット管理と呼びます。

ロットでの管理はトラブルを抑える

ロット管理は、仕入れから始まり、在庫管理、出荷まで商品をロット単位ごとに管理していく方法です。ロットごとにロット番号が振り分けられます。

・ロット番号
・有効期限
・数量

在庫管理する時に、単に数量のみで管理しているようでは、「有効期限切れのものを出荷してしまった」あるいは「有効期限切れのものと合わせて出荷してしまった」などのトラブルが発生しかねません。様々な情報を重ねてロット管理をすることでトラブルを最小限にするメリットがあります。

トラブル対応もしやすいロット管理

ロット管理している商品は、品質の不具合が発生した場合に迅速に対応できることがあります。製造された製品ごとにロット単位でまとめていると、どのロットに不具合が出ているかによって、そのロットの他の製品の品質はどうなのか、再発注するべきなのか、すぐに対応することが可能になります。

ロット管理で不良品の見分けも可能に

例えば、ロット管理された部品で製造した機械があったとします。それに不具合が出た場合、問題だと思われる部品と同じロットの部品を使って製造した製品を特定することが可能になります。回収作業や注意喚起の提案もしやすくなります。

仕入れに対する3つの不安を払拭しよう

初めて仕入れをしようとしている初心者の人は、仕入れに対して不安に思っていることが多いです。しかし仕入れに難しいやり取りはいりません。1つ1つ不安を払拭していきましょう。

仕入れ交渉は不要!

1円でも安く仕入れるのが成功の秘訣ですから、ここは先方と交渉をしっかりしなければならないと思っていませんか?まず、相手が大手メーカーであっても、自社製品を購入したいというお客様を拒むことはありません。さらに、日本のメーカーや問屋は掛け率が設けられているので、基本その掛け率に沿った価格で販売します。

大手企業の購買部でもない限り、「1円でも安く仕入れろ」という義務を課せられたりはしません。先方だって、そう簡単に値下げを検討できないのが本音です。取引を地道に継続し、信頼関係が築けてきた、またはキャンペーンなどで大量購入するなどの状況があれば、交渉次第で値下げしてもらえることがありますが、基本は交渉は必要ないと考えておきましょう。

個人事業主だと仕入れが難しい?

自分が個人事業主であり、相手が大手メーカーとなると、何だか相手にしてもらえそうにないですね。実際に法人取引しかしないメーカーなども存在しますが、仕入れ先のほとんどは少数社員で成りたつ零細企業、あるいは個人事業主です。しかも物を売るのは大変ですから、購入意思を持つこちらをおろそかにすることはありません。

勝手な固定概念で諦めてしまう前に、1度は取引依頼をしてみましょう。

販売ロット数が多くて仕入れが困難な時は

仕入れの取引をしている企業から非常に多い数量での仕入れを促されたら、どう対応すれば良いのでしょうか。個人事業主だと、多量の仕入れをすることはとてもつらいですね。これがまだ売ったことのない商品で、売れるかどうかもよく分からない場合だとなおさらです。

・10個程度の数量でテスト販売をしたいと提案する
・サンプルを購入して商品そのものを確認したいと申し出る

最初はこのような形で工夫しながら交渉してみて下さい。交渉する際は、自分の考えをより詳細に伝えましょう。「テスト販売である程度の成果が出たら、このように売り出したい」など、販促プランなどを説明するのも良いですね。先方が思わず「テスト販売を許可してみようかな」と思ってしまうような伝え方を考えていきましょう。

小ロット数で仕入れる際の3つのポイント

ロットで仕入れをする場合、ロットの数量が大きいほど1つの単価が安くなる傾向にあります。しかし小ロットの方がありがたい場合もあります。特に個人事業主だと、このあたりはよく考慮して仕入れを行わなければならないのです。

小ロットだと、やはり割高になるのは避けられません。どのくらい仕入れ資金を用意できるか、販売計画をどのように立てているかなど、様々な観点から自分に合った仕入れを確立させていきましょう。

自分のショップの強みや特徴を確立させる

自分が作りたいショップ」「自分が売りたいもの」「自分が作りたいもの」でビジネスができたら理想です。でも、まずは自分のショップがライバルたちのショップと比較して、「ここだけは絶対に負けない!」という強みを作ることが大事です。ライバルたちとの差別化を意識しましょう。

例えばケーキ屋を営んでいたとします。

・味重視にする
・ヘルシーさ重視にする
・価格重視にする
・地域の産物だけを原材料にするなど、原材料重視にする
・似顔絵ケーキなど、個性重視にする

選択肢は様々です。自分のショップの強みや特徴を確立させていれば、仕入れの方法も確立させていけるはずです。

強化する商品・しない商品を決めてロット数を調節

自分で作るショップですから、自分の好みや考えをできる限り反映させたいのは誰でも一緒です。しかし、自分の好みや考えは、顧客にとってどこまで必要とされているものなのかを見極める必要があります。売れないと判断されるものを仕入れる必要はありませんが、需要があって頻繁に売れないものは小ロットで入荷するべきです。

ビジネスは、やればやるだけ利益が残るわけではありません。ビジネスの展開を考え、創意工夫し、目標を持って行動しながら利益を残すのです。原材料を仕入れる際でも、商品を仕入れる際でも、とにかく「強化すべき仕入れ」と「おさえるべき仕入れ」を的確に判断していく力が必要になります。

信頼を築くには定期仕入れのロット数を提示

強化すべき仕入れ」と「おさえるべき仕入れ」を上手く判断できるようになってきたら、今度はそれを仕入れに活かしていきましょう。

・定期的に仕入れが出来る間隔やロット数を先方に明確に提示する
・ビジネスの展望などがあれば、公開していく

この2点を明確にすると、先方も安心して取引を開始できるはずです。信頼関係が早く築けると、それだけ仕入れの取引がスムーズになるのです。

また、仕入れ先を1つに決めてしまわないようにしてください。他にも良い条件の取引先があるかも知れません。あるいは今、条件が良くなくても、この先条件が良くなるかもしれないのです。1つ仕入れ先が決まったと言って、他の取引先を一切見ないのは危険です。常に仕入れ先はリサーチし続けることをおすすめします。

商談のために覚えるべき仕入れ用語と例文

仕入れに交渉なんていらないとお伝えしましたが、商談をしてみたい、または検討している人もいることでしょう。仕入れするなら是非覚えておいてほしい「仕入れ用語」と「商談例文」を解説していきましょう。仕入れ作業がスムーズになること間違いなしです!

仕入れの基本用語を覚えよう

【掛売り・掛払い】

掛売りとは、代金を後で支払うことを前提に商品を受け渡すことです。信頼関係が築けていないうちは現金払いを指定されることが多いです。定期的に決まったロット数を注文するのなら掛売りが向いています。毎月決まった日に支払いをすれば済む掛払いにすると、取引もスムーズです。事務作業も減ってお互い助かります。

【掛け率】

小売予定価格(定価)に対する卸値の割合をいいます。商品やメーカーによっても掛け率は変わりますが、大量購入などでも変わります。長らく取引を継続し、信頼関係が築けてくると、交渉次第では掛け率を良くしてくれる場合もあります。

【ロット数】

仕入れる時の単位であり、1ロット12個など、1ロットに対する数量が決まっています。

【上代・下代】

上代…小売価格(定価)
下代…仕入れ価格

【委託販売】

在庫ありの販売ではありません。小売店がメーカーから商品を預かり、ショップで販売し、売れた金額の数パーセントは本人に支払われます。在庫リスクがなく、返品も可能であることがメリットです。

【オープン価格】

メーカーによって商品の価格設定がされておらず、小売店が自由に決定できる価格をいいます。メーカーが設定するのは卸価格であり、小売価格は小売店に任せているのです。

【赤伝】

すでに処理済の伝票を訂正するために、発行される伝票のことをいいます。例えば「1000円」で仕入れた商品が壊れていて返品した場合に、プラスマイナスゼロにするための「-1000円」の伝票を発行します。この伝票のことをマイナスという意味から、通常は赤字で記載するものなので、赤伝と呼ばれています。

仕入れに対する専門用語が分からないと、商談も進みません。ここにある基本的な用語だけでもおぼえておきましょう。

商談のイメトレ!ロット数などの条件確認は必須

商談するとなると、何だか難しくてどうしたら良いのか、何から話せば良いのか分からなくなってしまいそうですね。難しいことは考えずに、まず話しかける時は「名刺を交換させていただけないでしょうか」「御社のカタログを確認したいのですが」と気軽に話しかけてみましょう。

1.「○○(ショップ名)の○○(名前)と申します。是非お取引させていただきたい商品がございます。名刺を交換させていただけないでしょうか」と、このような感じで話しかけてみます。

2.カタログを見ながら、取引条件などを確認していきましょう。
・最低発注ロット数
・取引条件の詳細
・支払方法
・掛け率

今後取引することになるかも知れない相手ですので、失礼のないように最低限の条件などを聞いておきましょう。自分が出店したいエリア、ショップのコンセプトなどを詳細に伝えると、先方もイメージしやすいです。難しいことは考えずに、簡単にコミュニケーションをとるようなイメージで話してみることをおすすめします。

商談の必需品は忘れないように

商談をするための必需品を忘れないようにしてください。

・大量に配るであろう名刺は多めに用意する
手帳メモ
・カタログ類が入る大きめのバッグ
・開店祝いのパーティの招待状(あれば)
・開業予定のショップの間取りやイメージ写真などの資料(あれば)

無くても商談が出来なくはないですが、やはりあった方がスムーズに話すことができるはずです。小道具を駆使しながら、良い取引先を探すようにしてください。

ノウハウを覚えてロット管理に役立てよう

製造業や販売業におけるロット管理の重要さが分かってきました。ロット管理は、もはや当たり前に行われていることでもあります。しかし、ロット管理の方法次第では、あまり意味をなさないことがあるのです。これからロット管理をしようとしているなら、ノウハウを身につけておきましょう。

ロット数で管理するメリットとは

ロットは、生産・出荷の最小単位を呼びます。

・受注でのロット…受注の簡素化やコストを最小限にする目的で最小のロットを決定する
・製造でのロット…同一条件で製造したものをロットでまとめる

ロットがあると受注もしやすく、製造における原料・材料の発注に対する無駄なコストを削減することも出来るのですね。また、ロットでまとめていると、不具合が発生した場合に原因究明がしやすくなり、顧客への対応も迅速に行えるメリットがあります。

ロットで管理することで、管理がスムーズになり、作業の効率化になります。しかし、ロット管理をしていても、クレームが起こることもあるのです。ロット管理を正しく行えているのかどうかを考えていきましょう。

クレーム防止にはロット数以外に期限も注意

ロット管理をしていても、クレームになってしまうのはどうしてだと思いますか?よくあるのは「有効期限切れのロットを出荷してしまった」「前回の出荷よりも古いロットを出荷してしまった」というものです。こうなる原因として考えられるのは、ロット管理を「数量だけ」でしているということです。

数量だけで在庫管理している企業は意外に多く、注文ロット数だけを見て、品質や内容を確認せずに出荷してしまうのですね。この場合は、ロット番号と数量に加えて「有効期限も一緒に管理するようにしましょう。取引先への出荷履歴などと照らし合わせて管理すると、より一層効果的です。

ロット数の管理だけではなく工程の一元化が重要

ロット管理は、ただ単に数量が分かれば良いのではないのです。原料・材料の納入から製造、出荷まで、すべての工程を1つのシステムで一元化し、追跡していくことが大事です。何かトラブルがあった場合でも、どのロットに問題があったのかが分かるだけで、どの原料・材料に問題があったのか、すでに出荷した製品のどのロットに問題があるのかが分かるようになります。

ロット管理は、数量だけを把握するものではなく、原料・材料納入の時点から追跡し、「どの時点で問題があったのか」を特定できるようにしなければならないのですね。こうすることで、顧客への対応がスムーズになり、今後の問題解決に向けての対策もとれるのです。

まさに、ロット管理が正しく行えているかどうかは、会社の信頼性にも繋がると言っても過言ではありません。

正しいロット管理で作業を効率化しよう

仕入れで「ロット」という言葉は頻繁に耳にします。仕入れをする上で、欠かせない用語でもあります。受注にしても、発注にしても、商品管理にしても、ロットで管理することは非常に重要なポイントであることが分かりました。商品をロットで管理することで、作業の効率化や改善ができるのですから、やらない手はありません。

商品管理にありがちな「数量のみの管理」は意味をなしません。正しいロット管理で、ビジネスを上手く発展させていきましょう。

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この記事を監修した人

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