輸出入をするには、必要な書類とコンテナピックの流れを正確に把握しておく必要があります。
そこで今回は、輸出入に関わる用語や必要書類・コンテナの流れについて解説します。
海上コンテナの基礎知識
最初に海上コンテナの流れを掴む上で、最低限押さえておくべき用語の意味を解説します。
コンテナ・貨物
一般的に、貨物が入った状態のコンテナを実入りコンテナ、貨物が入っていないコンテナを空コンテナ(空バン)と呼びます。
また、コンテナ1つを満たすほど大きな貨物をFCL貨物(Full Container Load)、コンテナ1個分に満たない小さい貨物をLCL貨物(Less than Container Load)と言います。
コンテナ置き場
実入りコンテナの置き場所をコンテナヤード(CY)、空バンの置き場所をバンプール(V/P)と呼びます。
同じ実入りコンテナでも、FCL貨物の場合はコンテナヤード(CY)で貨物の受け渡しが行われますが、LCL貨物の場合はCFS(コンテナフレートステーション)で貨物の受け渡しが行われます。
船荷証券(B/L)
船荷証券(B/L)は、船会社が輸出事業者から貨物を受け取った際に発行する証明書類です。発行後すぐに輸出事業者が輸入事業者に船荷証券(B/L)を送ります。船荷証券(B/L)を受け取った輸入事業者は、これを引換券として貨物を受け取ることになります。
船荷証券(B/L)のフォーマットや項目名は船会社によって若干異なりますが、内容はほとんど変わりません。
- 船荷証券番号(B/L No.)
- 差出人の情報
- 受取人の情報
- 着荷通知先
- 船舶の名称、登録記号
- 出港場所
- 入港場所
- シッピングマーク(荷印)
- 貨物の情報(品名、数量、重量、コンテナ数)
通関
海外へ商品を輸出するには、税関へ輸出申告を行い許可をもらう必要があります。また、海外から輸入した商品を引き取る場合も、税関に申告する必要があります。この税関への申告手続きを通関と呼びます。
通関には船荷証券(B/L)・インボイス(I/V)・パッキングリスト(P/L)・保険証券(I/P)・原産地証明書(C/O)などの書類が必要です。手続きが面倒なため、通関業者に委託するのが一般的です。
保税運送
輸入した貨物(外国貨物)は保税地域に引き上げられ、通関手続き後、内国貨物として国内へ運送するのが一般的です。
ただし、税関から許可をとれば、保税地域から外国貨物のまま運送することも可能です。これを保税運送と言います。保税運送の場合は運送期間に制限があります。
輸入したコンテナが運送可能となるまでの流れ
- 船荷証券(B/L)の提出
- コンテナ取扱い料金(THC、CHC)の支払い
- コンテナヤード(CY)にピックアップオーダーを連絡
- 通関手続きの履践
輸出する際の空バン受け取りの流れ
- 船会社に予約する
- ターミナルオペレータにピックアップオーダーを連絡して空バンの場所を聞く
- バンプール(V/P)から空バンを取る
フリータイム
輸入したコンテナはコンテナヤード(CY)に置かれますが、フリータイム期間が過ぎると、コンテナを取り出すのに保管料を支払わなければならなくなります。
また、コンテナから貨物を取り出した後は空バンを返却する必要がありますが、この返却が遅れた場合も別途料金が徴収されます。
CY OUT
輸出する貨物を積み込んだコンテナは、通常船が港に到着する1日前までにコンテナヤード(CY)に搬入しないと、予約した船に積むことができません。この搬入期限を「CY OUT」と言います。
輸出申告の書類
輸出する商品が20万円以下の場合は輸出申告は必要ありません。郵便局にある「税関告知書」を添付して発送すれば問題なく輸出できます。
しかし、20万円を超える商品を輸出する場合は申告が必要です。申告に必要な書類は次のとおりです。
基本書類
- 輸出申告書
- インボイス(I/V)
- パッキングリスト(P/L)
- 輸出関連法令の許可書、証明書等
- 輸出免税物品輸出証明申請書、もしくは輸出申告書付表(消費税の輸出免税を受ける場合)
輸出申告書は税関のHPからダウンロードできます。
参考:輸出申告書
輸出申告書では、主に以下の内容を申告します。
- 貨物の記号、番号、品名、数量、価格
- 貨物の仕向地
- 仕向人の住所、氏名
- 貨物を積み込む船舶、航空機の名称、登録記号
- 貨物の蔵置場所
通関業者に依頼する場合
前述の通り、通関作業は素人が一人でやろうとするとかなり大変であるため、通関業者やフォワーダーに輸出申告の代行を依頼するのが一般的です。
通関業者に依頼するには、上記の申告書類に加えて以下の2種類の書類が必要になります。
- 船積依頼書(シッピングインストラクション)
- 委任状
シッピングインストラクションとは、簡単に言うと通関・船積み等の手続きやB/L(船荷証券)・D/R(貨物受取証)の記載事項に関する指示書です。
FCL貨物の流れ
ここからは、輸出国・輸入国それぞれにおけるFCL貨物の流れを解説します。
FCL貨物のコンテナは貸し切り
前述の通り、FCL貨物とはコンテナ1個分を満たす大きな貨物を指します。そのため、FCL貨物の入ったコンテナは1人の荷主の貸切状態です。
したがって、FCL貨物は輸入後もコンテナごと輸送することができます。
FCL貨物の流れ(全体図)
- コンテナに貨物を積み込む
- CYに搬入
- CYから輸出通関
- 海上輸送
- 輸入通関
- コンテナごと配送
輸出国におけるFCL貨物の流れ
- フォワーダーに船積手続き依頼
- 船会社から空バンを借りる
- コンテナに貨物積み込み
- フォワーダーがドックレシートなどの必要書類を作成
- CYに搬入
- フォワーダーが税関に輸出申告
- CYのオペレーターに輸出許可書を提出
- コンテナが船に積まれ、船会社から船荷証券(B/L)が発行される
輸入国におけるFCL貨物の流れ
- 船入港
- CYにコンテナが降ろされる
- フォワーダーが輸入許可申請
- 船荷証券(B/L)を船会社に提出して、荷渡し指図書(D/O)をもらう
- CYのオペレーターに荷渡し指図書(D/O)を提出
- コンテナを配送する
LCL貨物の流れ
続いて、コンテナ1個分に満たないLCL貨物の流れについて説明します。
LCL貨物の場合は同じコンテナに複数の送り主の物品が積み込まれているため、FCL貨物とは貨物の流れが若干異なります。
LCL貨物の流れ(全体図)
- 輸出通関
- CFSに搬入
- CFSでコンテナに積み込む
- コンテナをCYに搬入
- 海上輸送
- 輸入通関
- コンテナから貨物を取り出し配送
輸出国におけるLCL貨物の流れ
- フォワーダーが通関手続き
- フォワーダーがドックレシートなどの必要書類を作成
- 貨物をCFSに搬入
- CFSにで他の貨物とともにコンテナに積み込む
- CYに搬入
- コンテナが船に積まれ、船会社から船荷証券(B/L)が発行される
輸入国におけるLCL貨物の流れ
- 船入港
- CFSにコンテナが降ろされ、荷主ごとに仕分けされる
- フォワーダーが輸入許可申請
- 船荷証券(B/L)を船会社に提出して、荷渡し指図書(D/O)をもらう
- CFSのオペレーターに荷渡し指図書(D/O)を提出
- コンテナをフォワーダーの倉庫に運ぶ
- 貨物を引き取る
海上コンテナの流れが大事
輸出入をする上で大事なことはいくつかありますが、まず抑えておくべきは海上コンテナの流れです。これが分かっていないと、貨物を送ったり受け取ったりすることができなくなってしまうので、十分に理解しておきましょう。