今の世の中は電化製品で溢れかえっています。そんな電化製品が身近にある生活を送っていても、PSEについて知らない方は多いですよね。実際にAmazonに出品されている電化製品を見てみても、意外にもPSEについての表記が無い製品って少なくありません。
実はこれ、違法なんです。
電化製品は種類が多いため、PSEマークについて見逃しがちです。
今回はそんなPSEマークについて、表示が必要なのか、そしてどのような手続きをしなければならないのかなど、様々な観点から解説をします。
PSEについて知らない方はもちろん、知識があると思っている方も、こちらの記事を読んでPSEに関する知識を深めてください。
PSEマークとは?
そもそもPSEとは「電気用品安全法」のことです。この法律は私たちが日常でよく使うテレビやスマートフォンなどの電化製品による火災や感電等の事故を防ぐために制定されたものです。そして、PSEマークとは、PSEが要求している諸条件を満たして安全であることを示す表示のことです。
国内の100Vコンセントに接続して利用する電化製品のほとんどがPSEの対象となります。
PSEマークの表示が義務付けられている電化製品をPSEマーク抜きで販売したり、基準を満たしていないのにPSEマークを付けて販売したりすることは違法です。
また、PSEマークは、その電化製品が事故を起こす危険度から「丸形」と「ひし形」の2種類に分けられます。
以下ではそれぞれのPSEマークについて解説します。
丸形のPSEマークは特定電気用品以外の電気用品
丸形のPSEマークは特定電気用品以外の電気用品に付けられます。特定電気用品以外の電気用品には、冷蔵庫やエアコン、加湿器、炊飯器などの私たちが日常で利用するものが該当します。電化製品を中国から輸入する際は、特にこのマークに気を付けておかなければなりません。
ひし形のPSEマークは特定電気用品
ひし形のPSEマークは特定電気用品に付けられます。特定電気用品とは、ケーキ屋さんでよく見かける冷蔵用のショーケースや自動販売機、電気サウナバスなどのより高い安全性が求められる電化製品のことです。ほとんどが壁や天井にある100Vや200Vのコンセントに繋げて利用されます。
リサーチした商品にどちらのマークが適用されるか分からない場合
自分がリサーチした商品にPSEマークを付ける義務があるのか、そしてどちらのマークを付けなければならないのかを自分で判断するのは危険です。
経済産業省の公式ホームページに詳細が記載されているので、まずはそちらをご覧になり、それでも分からなければ直接問い合わせてみましょう。
参考:経済産業省ホームページ
PSEマークが無くても輸入は可能?
PSEマークが無い商品は輸入してはいけないと思いがちですが、マーク無しの商品を輸入することは禁止されていません。なので、輸入自体は可能です。
ですが、輸入は可能でもPSEマーク無しの商品を販売することは、上記の通り違法です。販売している人もいるかもしれませんが、この記事を見ている方はそのようなことはしないようにしましょう。
以下では、PSEマークが無くても販売することのできる製品をご紹介していきます。
USB給電式の製品は対象外
数ある電化製品の中でもUSBケーブルはPSEマークが無くても販売できる製品です。なぜでしょうか?
その理由は、USB接続だからです。PSEの対象となるのは「100V以上を必要とする電化製品」となっています。しかし、USBケーブルで必要となる電圧はたったの5Vです。そのため、USBケーブルはPSEマークが無くても販売ができるのです。
ですが、電源プラグが付いている製品は100Vのコンセントに繋ぐことができるので、販売するにはPSEマークの添付が必須です。ご注意ください。
電池で使用できる電化製品も対象外
上で紹介したUSBケーブル以外にも、電池で動く製品も対象外となっています。その理由もUSBケーブルと同じです。つまり、必要となる電圧が低いのです。電池で必要となる電圧は1.5Vです。
ですが、リチウムイオン電池など、電池の種類によっては販売するのにPSEマークが必要となる場合もあるので、事前にしっかりと確認しましょう。
必要電圧が低く変圧されたものも対象外
PSEの対象となるのは「100V以上を必要とする電化製品」ですので、変圧により必要な電圧が100V未満に変圧された製品は対象外となります。
例えば、スマートフォンやゲーム機などの充電器。多くが電源プラグのある部分とケーブル部分に分離できますよね。電源プラグのある部分は、交流という電気の流れを直流に変換し、さらに必要な電圧に変換します。電源プラグのある部分に関しては、直接コンセントに接続するためPSEの対象製品となります。しかし、最初に紹介したUSBケーブルと重なるところがありますが、ケーブル部分は必要とする電圧が低い場合が多いので、多くはPSEの対象外となります。もちろん、ケーブル部分でも必要な電圧が100Vよりも大きい場合はPSEの対象となりますのでご注意ください。
ここで、「変圧さえすれば問題ない」と誤解される方がおられます。充電器のケーブル部分でも100V以上の電圧が必要ならば、すべてPSEの対象となります。例えば、私の使ってるノートパソコンの充電器は電源プラグのあるACアダプターとケーブル部分に分離できますが、ケーブル部分が必要な電圧は125VなのでしっかりとPSEマークが付いています。もし変圧器をセットにしてケーブルを販売しても、ケーブルの必要電圧が100Vを超えているのにPSEマークが付いていない場合はその時点で違法となります。しっかりと確認して販売しましょう。
PSE違反による罰則
PSEのルールに違反した場合、一年以下の懲役または100万円以下の罰金またはこの両方を罰則として課せられます。法人に至っては1億円以下という厳しい罰金が課せられます。
といっても、販売先となっているECモールからの警告に従って違反商品の出品を取り下げれば、すぐに罰せられるということはあまりありません。ただ、警告を無視し続ければ販売停止命令やアカウント停止、製造品回収命令などが課されることになります。
これらの処分を課されると、残りの在庫の分だけ損失が出るだけでなく、製造品回収命令に至っては、既に売れた商品を自分で購入者に連絡して返品してもらうという対応をしなければならなくなります。
PSE対象の製品を販売するときの流れ
海外製の電化製品を転売する場合、丸形のPSEマークが必要なのか、ひし形のPSEマークが必要なのかによっても手続きや販売までの流れは異なります。
以下で、それぞれの場合の流れを詳しく解説していきます。
海外の製品を輸入して自分でPSEマークを付けて販売する場合
1,丸形のPSEマークとひし形のPSEマークのそれぞれどちらが必要かを判断します。前述のとおり、まずは経済産業省のHPをチェックし、確認しても分からない場合は直接問い合わせましょう。決して自分の判断で行動してはいけません。
2,製品の製造場所を確認し、工場の検査を依頼します。これが結構骨のかかる作業となります。
3,検査機関に対して適合性検査を依頼します。製造している工場がその検査をしている場合もありますので確認しましょう。
4,製品を第三者の検査機関に依頼して自主検査と呼ばれる複数の検査をします。検査の完了には多大な費用と時間がかかります。
丸形のPSEマークを付ける場合は2、3の手続きは必要ありません。
海外の製品にPSEマークを付けて販売する場合
海外から製品を輸入する場合、工場の確認や自主検査を海外の製造業者に依頼するという方法もあります。その場合、日本での諸々の検査をパスすることができるので、輸入した製品をすぐに販売することができます。
しかし、製造元がこの手続きを拒否した場合は、先ほど紹介した方法でPSEマークを付けなければなりません。
海外製品でPSEを取得していると書いてある製品は?
中国などの海外で販売されている製品には「PSE取得」「PSE認証」などの謳い文句が書かれている場合があります。これらの商品は、確かに「PSE」と書かれているものが多いです。本当にこれらの商品は大丈夫なのでしょうか?答えは「NO」です。
そもそもPSEマークというのは「取得」するものではなく、「日本で申請した後に自ら表示」するものです。つまり、販売時にPSEマークが付いているということは、PSEについての手続きや内容を理解しておらず、さらには何も検査していない可能性すらあります。
検査もなしにPSEを表示していることに驚く方もいらっしゃるでしょうが、PSEの表示は簡単にできます。というのも、PSEの表示は、極端な例でいうと、製品に直接ペンか何かで書き込んでも一応は問題ないんです。つまり、PSEの表示がある製品は、結局のところ、製造元の誠実さ次第となります。販売して事故などの問題が起きた場合はすべて自分の責任となるので、しっかりと確認しましょう。
CEマークやULマークはPSEマークの代わりになる?
結論を先に言うと、代わりにはなりません。
PSEマークは日本で販売される電化製品において諸条件を満たした場合に付けられるマーク。
ULマークはアメリカで流通している電化製品に付けて安全性を示すマーク。
CEマークはヨーロッパで販売される指定製品に付けなければならないマーク。
それぞれの検査で共通している部分はありますが、それぞれマークが有効となる地域や目的が違っています。
もし、輸入する商品にULマークやCEマークの証明があったとしてもPSEとは関係がないので気を付けましょう。
丸形のPSEマークの表示に必要な手続きを紹介
中国製品の電化製品を取り扱う場合は、PSEマークが必要な場合が多いです。特定電気用品以外の電気用品であれば、自主検査をすることによってPSEマークの表示が可能となります。忘れたり無視したりしがちな手順ですが、これは販売する者の義務なので責任をもって行いましょう。
1,届け出を出す
事業の開始日、つまり輸入をした日から30日以内に経済産業局等に届け出を出さなければなりません。
2,基準適合確認をする
事業者が届け出に関係する製品を製造または輸入する場合、その製品を国が制定する技術基準に適合させなければなりません。これはもちろん日本で行うことができますが、海外でも認証機関で行うことができます。
海外で行う場合は、その認証機関の基準が日本の基準に合うかどうかの確認が必要となります。
3,製造と輸入
上で述べた適合確認を経た製品を製造、輸入します。
もちろん、海外での適合証明も可能です。
4,自主検査を行う
届け出を提出した事業者は、その電化製品の製造や輸入を行う場合、国の制定した方式に則って第三者の検査機関に依頼して、複数の検査を行わなければなりません。
検査記録の保存期間は、検査の日から3年間のみとなっています。
経済産業省によると、検査記録に記載すべき事項は、以下の6項目となります。
- 電気用品の品名及び型式の区分並びに構造、材質及び性能の概要
- 検査を行つた年月日及び場所
- 検査を実施した者の氏名
- 検査を行った電気用品の数量
- 検査の方法
- 検査の結果
参考:経済産業省
5,PSEマークの表示
上で述べた1~4の手続きをパスできれば、PSEマークの表示が可能となります。その後は製造元に連絡してPSEマークの表示をしてもらいましょう。
PSEマークが必要な電化製品に注意!
中国をはじめとする海外から輸入した電化製品を販売するには、これまでに紹介した通り、日本ではPSEマークの表示が義務付けられています。
PSEマークを表示できるようになるまでには、面倒な手続きが多く、多大な費用と時間を要します。海外輸入初心者の方は、PSEマークの表示を自力でしなければならない製品は取り扱わない方が賢明と言えるでしょう。
初心者の方はもちろん、PSEマークについての知識に自信があるという方も、この記事を参考にして電化製品の取り扱いには十分に注意を払いましょう。