仕入れるとは?知らないと損をする!意味と専門用語を解説

いざ仕入れをしようとネットリサーチしてから気づく「仕入専門用語」。

そもそも「仕入れる」とはどういう意味なのでしょうか。

仕入れに関する専門用語は多くありませんが、理解していないと仕入れそのものに影響することもある重要なポイントです。

一度覚えれば、仕事もスムーズになるはずです。仕入れに関する用語や必ずと言っていいほど出てくる「掛け率」について解説していきましょう。

目次

そもそも仕入れとは?

仕入れ」とひと言で表現していますが、辞書によっては奥の深い解釈をしている場合もあります。改めて仕入れとは何かを解説します。

【goo辞書】の仕入れとは?

基本的に、商品や原料を買い入れること、教え込むことです。

【コトバンク】の仕入れとは?

一般的には販売するための商品や原料の調達を表現するという見解ですが、情報を仕入れるなどのほか「仕込む」「訓練する」などの表現にも使うと解釈しています。

【weblio辞書】の仕入れとは?

Weblio辞書の「仕入れ」の意味の見解は、実に奥が深いです。

そして「小売業者や卸売業者が、再販売を目的として商品を購入すること」という私たちがこれからしようとしている、もしくは始めているネットビジネスに当てはまる表現をしています。

さらに、消費者を詳細に分析しながら商品を選定することなど、仕入れに対して重要な心構えまで解説してくれているのです。

思い付きではいけない。分析して適量仕入れることが大事」という言葉は胸に刺さる表現ですね。いかに仕入れが成功のカギを握っているのかが分かります。

仕入れの専門用語「上代」「下代」「注残」とは?

仕入れ専門用語で聞きなれないもの3つをご紹介しましょう。

一般ではなかなか聞かない表現ですので、必ず覚えるようにしてください。

①上代(じょうだい)とは

上代とは、ズバリ「定価」のことで、よく出てくる「メーカー希望小売価格」のことでもあります。

「定価」と言えば早いのですが「上代」なんて知っている素人はほとんどいませんから、取り引きの際「上代」という言葉を使うだけで初心者感はぬぐえます。

取引相手に足元を見られないように、取引相手として不安だと思われないように、この言葉を使用するようにしてください。

②下代(げだい)とは

上代が小売店での販売価格なのに対し、下代は小売店や問屋が商品などを仕入れる時の卸値に使われる言葉です。

上代→定価
下代→卸値

難しくは考えなくても大丈夫です。ただ意味を逆に取り違えないように、しっかり覚えてください。

③注残(ちゅうざん)とは

通常、例えば100個発注すれば、取引先が100個受注します。
しかし在庫切れや不良品などを理由に90個のみ納品されたとしたら、残りの10個は注文残となり、これを「注残」と呼ぶのです。
後日納品分として注残処理をします。

仕入れの発注や支払いに関する専門用語とは?

仕入れの発注や支払いにも専門用語が存在します。

こちらも頻繁に出る用語なので覚えておきましょう。

①発注単位(はっちゅうたんい)とは

仕入れる場合、1つからの単品仕入れが出来るところも増えてきましたが、まだほとんどは「発注単位」というものが存在します。

発注単位とは、仕入れの最低単位のことを言います。

例えば20個入りのものが1箱あったとします。
発注単位が最低3箱からとなると、20×3=60個が実際に納入する最低の発注入数となります。

②元払い(もとばらい)とは

元払いとは、発送する立場の人が送料を負担する場合のことを呼んでいます。

通常、品物を送付する際、発送する人が送料を支払います。ですから一般ではわざわざ「元払い」なんて表現しません。

しかし、仕入れなどの取引に際して「元払い」かどうかは非常に重要です。

①商品元払い→発送する側(販売した人)が送料を負担

②商品着払い→購入した側(仕入れた人)が送料を負担

仕入れる際に送料をどちらが負担するかということは、非常に重要な部分ですね。

多くは「50,000円以上なら送料無料」「それ以下なら送料〇〇円」などの条件をつけています。

多く仕入れた方が割引の可能性がある上、送料まで無料になるのですから、仕入れ量は適切に判断しなければなりません。

③赤伝(あかでん)とは

赤伝とは、すでに処理している伝票の取り消しを行うために発行する伝票を呼び、通常は赤字で記載を行うことから、このように表現されているようです。

  • 黒伝…通常の仕入れや売り上げに使用される伝票で、敢えてこの呼び方はあまりしない
  • 赤伝…黒伝で処理されたものを取り消す伝票

というわけですね。

返品があった場合に使われることが多く、事務処理が誤っていた場合にも使用されます。

黒伝は通常の取り引きに使われるのに対し、赤伝は一度計上した伝票を取り消すための伝票のことです。

企業間の仕入れに関する専門用語とは?

次は、知っているようで詳しく知らない3つの専門用語について掘り下げていきます。

①発注書(はっちゅうしょ)とは

発注書と注文書、何か違うのだろうか?そう思ったことはありませんか。

注文書…すでに形のある品物を注文(例えば木材)

発注書…加工や作業を伴う取引を注文(例えば木材を机に加工)

厳密に言うとこのように分かれているようですが、一般的には区別されることは少なく、多くは「発注書」として使用するようです。

FAXで注文を受け付ける企業であれば、もちろん発注書をFAXするのですが、メールで注文する際も、発注書として添付し送信することがほとんどのようです。

②口座(こうざ)とは

「口座なんて、誰でも知っている。銀行口座でしょう?」と思っていると、仕入れの世界では完全に素人扱いされてしまいます。

ここで言う口座は、銀行口座ではありません。企業間の取引である「取引口座」を指します。相手のリストに載るというイメージです。

大企業が中小企業、さらには個人事業主と取り引きする際、取引対象として適切か審査します。そして審査が通れば、取引先として登録されるのです。

それが取引口座なのです。

③掛け(かけ)とは

私たちの普段の買い物は、商品をその都度現金を支払って購入することがほとんどです。

掛けとは、現金で売買するのではなく、決まった日など後日清算する方法を呼びます。

  • 売る側→「掛け売り」
  • 買う側→「掛け買い」

このように表現されることが多いです。

企業間の取引は、その都度現金支払いをする方が珍しく、決まった支払日に清算するため、必然的に掛けの状態になるのです。

仕入れの仕方に関する専門用語とは?

仕入れの仕方にも専門用語があります。次の3つをご紹介します。

①買い取り(かいとり)とは

仕入れ方法には大きく分けて3つありますが、ほとんどの仕入れ方法が「買い取り」であり、仕入先から買い取るので、こう呼ばれています。

①買い取り…仕入れ先から買い取る方式で返品できないので在庫リスクがある。

②委託販売…店舗に商品を置く代わりに売れた分の販売手数料をもらえるので在庫リスクはない。


③消化仕入れ…委託販売のように店舗に納品された時点で仕入れ処理を行うのではなく、あくまで商品所有はメーカー側、消費者の手に渡ってから処理を行う。

②客注(きゃくちゅう)とは

客注と注文は、どう違うのかなと思いますね。

  • 注文…購入者が決定していない仕入れ
  • 客注…お客様からの注文があり、購入者が決定している注文

客注はお客様から直接いただいた注文であり、必ず売れることになる商品です。

仕入れ先に連絡する時は「客注」と伝えれば、優先して出荷してくれることもあります。

③取引(とりひき)とは

取引そのものの意味としては「商人と客との間の商業、または売買のこと」です。

  • 「仕入れをしたい」→「お取引させていただきたい」
  • 「契約出来た」→「取引が決まった」

など、取引という言葉で表現することがほとんどです。

仕入れにおいて絶対必須な掛け率とは?

仕入れで「掛け率」は必ず出てくる言葉でもあります。

掛け率は利益に直結しており、非常に重要です。意味と計算方法をしっかり身につけておきたいものです。

詳しく解説していきましょう。

掛け率の意味とは

掛け率とは、小売予定価格である定価に対する卸値の割合を言いますが、小売店から見た「仕入原価率」と同じものです。

もっと簡単に表現するなら、定価に対して何%の価格で仕入れが出来るかを表すものです。

  • 過去の取引実績により変動することもある。
  • 取引先で掛け率に差があることがある。
  • 購入する量でも変動することがある。

掛け率はどんな顧客でも同じとは限らないのです。

掛け率の計算方法をマスターしよう

仕入れる時に、メーカーや問屋から掛け率を提示されることがありますが、これを理解していないといくらで購入できるのかも分からず困ってしまいます。

取引先との話の中で、掛け率を知らないというのは問題です。

  • 「7掛けで」と言われたら→小売予定価格1,000円×0.7=700円
  • 「掛け率70で」と言われたら→小売予定価格1,000円×70%=700円

1,000円で消費者が購入したとしたら、300円の利益であり、そこから経費を差し引いたものが純利益となるわけです。

計算方法は超簡単なものですが、間違いのないようにしっかり覚えておきたいものです。

掛け率に相場はあるの?

掛け率は、ある業界によって、ある程度の相場と言うものが存在します。

  • アパレル系…5~6掛け
  • 食品業界…7掛け

しかしこれは絶対ではなく、需要と供給のバランスで変動したり、仕入れの時期、仕入れの量などでも変わるので、一概には言えません。

しかし取引の年数、販売実績、さらには担当者同士の話し合い(仲の良さや相性含む)でも掛け率は変わります。いかに営業力があるかどうかが試されるのです。

仕入れの計上基準について

仕入れを計上するタイミングは具体的にいつなのでしょうか?

仕入れ計上をする計上基準は、以下の3つから任意で選択ができます。

1.出荷基準(商品を出荷した日)

2.納品基準(商品を入荷した日)

3.検収基準(商品を検収した日)

以上の計上基準から任意で選択できるのですが、一度選択した基準は毎期継続されなければならないというルールがあります。

これは、年度毎に正しい金額の比較ができるようにするためです。また株主に対して不確実な情報の提供や、会社にとって都合よく計上の時期を変えてしまうことを防ぐためにも法律で定められています。

会社に合った計上基準に関しては税理士などのアドバイスも参考にしながら、検討していきましょう。

1.出荷基準

最も一般的な方法が、出荷基準です。これは商品を出荷した日を計上します。

実際に商品が納品される前に計上される最も早い段階での基準なので、商品の取り扱い数が多い場合や、安定的、継続的な取引を行っている場合に採用されるケースが多いです。

2.納品基準(入荷基準)

納品基準(入荷基準)は、商品を入荷した日に計上する方法です。受取基準などとも言われます。

商品が納品された時点で仕入れを計上するため、現物と照らし合わせて帳簿の記録を管理することができるのがメリットです。

3.検収基準

検収基準は、商品の検収が終了した時点で計上します。納品された商品に問題がないか全てのチェックを終えた上で計上するので、最も遅い基準となります。

この基準は、商品の品質を重視するケースに向いています。

仕入れの仕訳と使用する勘定科目について

実際に仕入れに関する仕訳はどのように行われているのでしょう。以下の具体例を参考にしてください。

1.現金支払いの場合

まずは現金で商品の支払いを行った場合について見ていきましょう。現金支払いの場合はシンプルな仕訳になります。

例として、2023年3月1日に50,000円の商品を現金で仕入れた場合を紹介します。
計上基準を同じ日として考えるために、仕入れ側は当日に納品と検品まで済ませたこととします。

日付借方科目借方金額貸方科目貸方金額
2023年3月1日仕入50,000円現金50,000円

仕訳はこのようになります。

2.クレジットカードで支払った場合

では、仕入れ商品の代金をクレジットカードで支払った場合はどうでしょうか。

この場合間違いやすいとされているのは、基準とする日付をクレジットカードを使用した日を計上するのか、それとも実際にカードの引き落としがされる日を計上するのかという点です。正解はクレジットカードの使用した日を計上します。

それでは例を見ていきましょう。
あなたは2023年1月1日に10,000円の商品を送料500円付きでクレジットカードで支払い、仕入れました。
商品は1月5日に出荷、1月7日に入荷、1月8日に検収が完了したとします。
カードの引き落としは2月15日に行われました。
計上基準は検収基準とします。

日付借方科目借方金額貸方科目貸方金額
2023年1月1日仕入10,500円買掛金10,500円
2023年1月8日買掛金10,500円預金10,500円

この場合は以上のようになります。

注意点は2点、「計上する日付」「勘定科目」です。

計上基準を検収基準としているので、まずは検収が完了した日付で計上します。

次に、勘定科目はクレジットカードの貸方科目には買掛金として記載します。これはカードの使用日と実際の引き落とし日が異なるためです。

引き落とし日にはこの買掛金の消し込みを行う必要があります。(消し込みとは、仕入れ後の債権や債務の支払いが完了したときに、勘定科目の残高を削除すること)

また、買掛金と同じく掛け取引による代金支払い債務を表す「未払金」という勘定科目もありますが、こちらは商品や材料に関わるものではなく会社の備品などといった経費に関わるものを扱う場合に使います。

さらに、今回の例のように送料も商品代金に含めて、仕入れの勘定科目に記載することも覚えておきましょう。

一般的には、適用欄などに商品代金と送料を分けて記されることが多いです。

仕入れとは?意味や関連する用語を駆使しよう

仕入れに関する専門用語など、簡単な用語もありましたが、奥が深いものです。

しかし知っているのと知らないのとでは全く違います。

仕入れはネットビジネスにおいても非常に重要ですから、専門用語で困らないように、しっかり理解しておいてください。

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この記事を監修した人

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