「Facebook広告を利用したいけど、何から始めたらよいか分からない」という声をよく聞きます。
Facebookは、アメリカのIT企業メタ社が運営する世界最大のユーザー数を誇るSNSのため、上手く広告を利用すれば、その効果ははかりしれません。
しかしその一方で、どんな広告作ってどのように配信すればよいのか、その形式やターゲット、予算などを考えると、戸惑ってつい二の足を踏んでしまう方も多いかもしれません。
そこで今回は、Facebook広告を作成する際の考え方や成果が出るコツ、成功するためのポイントや成果の検証方法について詳しくまとめました。
Facebook広告のメリット
まず、Facebook広告を運用するメリットについて解説していきます。
ターゲティング精度が高い
Facebook広告を活用する利点は、「精度の高いターゲティング」の一言に尽きます。
全世界で25億人を超えるユーザーの数は、SNSの中でも群を抜いています。しかも、同じメタ社が運営するInstagramも10億を超えるユーザーが存在するため、合算すると莫大な数にのぼります。
しかし、ユーザーの属性は実に多岐に渡るため、ただ闇雲に広告を配信するだけでは、ほとんど意味をなしません。例えば、多くの生徒数が在籍する高校の正門前で、大々的に不動産の宣伝をしたとしたらどうでしょうか。無料で配るティッシュを受け取る生徒はいても、数千万円もする土地やマンションを購入する人は皆無といってよいでしょう。ターゲットの的を大きく外しているこのやり方では、決して成果は期待できず、お金と時間が無駄なことは、誰の目にも明らかです。
これと同じことが、ネット広告の世界でも起こりかねません。つまり、商品やサービスを必要とするターゲットに、どれだけ効率よく広告を届けることができるかどうかが非常に大事というわけです。
その点、Facebookは、SNSの中では珍しく実名での登録が基本です。しかも、年齢や性別のみならず、地域や勤務地、趣味に到るまで、様々な個人情報やWeb上の行動履歴をもとにターゲティングできるため、その精度が非常に高いのが特徴です。よって、Facebook広告を上手く活用すれば、無駄な広告費を削って費用対効果の高い広告配信をすることが可能となるのです。
広告作成に欠かせない3つの重要ポイント
この項目では、広告作成にあたって、必ず押さえておかなければならない3つの重要ポイントについて解説します。
広告フォーマットを決める
まず、広告を作成するならば、どのようなスタイルと形式のものにするか、フォーマットを決める必要があります。具体的には、以下の4つが挙げられます。
- 画像(バナー)
- 動画
- カルーセル
- コレクション
「カルーセル」は、複数の画像や動画をスライドしながら閲覧できる広告スタイルです。
「コレクション」は、メイン画像や動画の下に、複数の画像を同時に表示できる広告スタイルです。
もちろん、どれか一つに絞る必要はなく併用は可能ですが、自社のニーズや商品の特徴に合ったフォーマットをよく吟味して選択する必要があります。
ターゲットを絞る
次に、適切なターゲッティングを行うことも必須となります。
年齢や性別、勤務地など、どのようなユーザーに広告を配信したいかをよく検討して、出稿する前に適切なターゲット(オーディエンス)設定を行います。
ターゲットの特徴を細かく設定することもできれば、後述するように「カスタムオーディエンス機能」を利用する方法もあります。これは、自前の顧客リストとFacebookアカウントを照合し、合致した相手にピンポイントで広告を配信できるシステムです。これによって、より見込みの高い相手に無駄を省いて広告を届けることが可能になります。
予算を管理する
広告配信は、無料ではありません。その内容や回数などに応じたコストが必要です。
広告予算が少なければ、配信回数や範囲が限定されるため、広告効果が期待できなくなります。かといって、予算をつぎ込み過ぎると経営上の負担が増します。
そのため、広告効果がどれくらいあるのか、常に的確な検証と改善を行い、コスパの良い利用法を心掛けなければなりません。
広告で成果が出る3つのポイント
続いては、広告で成果が出るために押さえておくべき大事なポイントを3つ伝授いたします。
適切な「キャンペーン目的」の設定
広告を出稿するにあたって、まず何を目標とするかを明確にする必要があります。それは即ち、「広告を目にしたユーザーに何をして欲しいのか」を絞ることを意味し、それを「キャンペーン目的」として設定するのです。
かつては、11種類のキャンペーン目的がありましたが、2021年12月のアップデートで、6種類に簡素化されることが決まりました。2022年末までの完全適用を予定しており、四半期ごとに段階的に導入されていきます。具体的なキャンペーン目的は、以下の通りです。
- 認知
- トラフィック
- エンゲージメント
- リード
- アプリの宣伝
- 売上
例えば、ブランドを立ち上げたばかりであれば、最初の「認知」によって、認知度を上げる広告に注力する必要があるでしょう。Webサイトやアプリへのアクセスを促したければ、「トラフィック」となります。広告から商品購入に到るコンバージョン率を上げて、確実な売り上げを獲得したければ「リード」や「売上」になります。
キャンペーン目的によって、作成できる広告のフォーマットが異なるので、目的に合わせた広告設計を行ってください。
クオリティの高いクリエイティブの作成
広告作成の最重要ポイントは、クリエイティブ自体のクオリティです。何をおいてもこれが主役となるので、もっとも注力しなければなりません。
クリエイティブの種類は、「画像」と「動画」と「テキスト」の組み合わせです。
FacebookやInstagramのユーザーの多くは、投稿やフォロー、メッセージのやり取りが主な目的で、わざわざ広告を閲覧するためにアプリを開くわけではありません。
一つ間違えれば、広告は邪魔な存在で、ユーザーの気分を害してしまう恐れすらあります。よって、そのリスクを回避するためには、ユーザーの目を引く魅力あるコンテンツを配信することが求められるのです。
「その他大勢の一つ」という認識ではなく、「何か違う!」「もっと知りたい!」というインパクトや気づきを与えることが、広告の持つ大きな役割なのです。
成果の検証
どれだけ斬新な広告を打ち出したとしても、すべてのユーザーの心に刺さるものは絶対に作れません。
たとえ多くの支持を得たとしても、広告の置かれている環境は刻々と変化しています。トレンドの移り変わりや新しくリリースされる競合たちの広告により、常にあっという間にかき消されてしまう恐れがあると考えて間違いないでしょう。とくにFacebookはその傾向が強いと認識してください。
そのため、後述するように、ツールを使用しながら具体的な指標について広告効果を検証しましょう。そして結果が芳しくなければ、まめに、そして時に大胆に変更を加える必要があります。そこを躊躇するとタイミングを逃し、大きな損失につながることも十分に考えられます。
広告が成功する7つのポイント
この項目では、広告運用を成功に導くためのポイントを7つ紹介します。
1つの広告セットに欲張って広告を入れ過ぎない
広告を作成するにあたっては、オーディエンスや予算、配信スケジュールなどを広告セットで指定するところから始まります。
1つの広告セットには、好きなだけ広告を入れることができますが、あまり多く入れすぎると広告効果が薄れるので注意してください。
基本は1広告セットにつき、広告は1つがよいでしょう。決められた予算の範囲内で広告を10個も20個も入れると、当然1つの広告のインプレッション(表示回数)は少なくなります。するとユーザーへの訴求ポイントが薄れたり、印象が残りにくかったりするため、目に見えた効果が現れにくくなるのです。
ターゲット(オーディエンス)を絞り過ぎない
ターゲット項目は、年齢、性別、地域、言語、趣味、使用デバイスなど、多岐に渡ります。
そこで注意が必要なのが、最初からあまり細かく設定しすぎないということです。
例えば観葉植物を売りたい場合に、顧客のイメージを「30~40代の主婦」と限定したとしましょう。しかし実際には、これ以外の年齢層でも観葉植物に興味がある人は数多く存在します。女性とも限りませんし、個人ではなく全国で多店舗展開している法人のインテリア担当者が、観葉植物を全店に飾りたいと考えているケースもあるかもしれません。このように、意外なところから顧客を掘り起こせるのもFacebookを利用するメリットなので、あまり設定を絞り過ぎないのがおすすめです。
ただし、あまりにざっくりとした広すぎる設定だと、配信ボリュームが増えすぎてかえって非効率になる恐れがあります。そこで、ターゲットを設定する際に、画面右手に表示されるオーディエンスのインジケーターを目安とします。「狭い」を意味する赤と「広い」を意味する黄色ではなく、真ん中の「緑色」のエリアを針が指すように調整してみてください。
カスタムオーディエンスを有効活用する
手元にデータとして保有している購入経歴のある顧客や、FacebookやInstagramで「いいね!」をつけてくれたユーザーなどに絞って広告を配信する「カスタムオーディエンス」も非常に有効です。
加えて既存ユーザーだけでなく、その属性や特徴に似ている「類似オーディエンス」へのアプローチもできるので、精度の高い潜在顧客の掘り起こしが期待できるでしょう。
自動配置機能を使ってみる
とくに初めて広告を出稿する場合、どの配置面にどれくらいの広告を配置すれば効果が上がるのか、検討もつかないケースがほとんどでしょう。
そこで、おすすめするのが「自動配置機能」を使用することです。
「自動配置」はFacebookやInstagramだけでなく、他のAudience NetworkやMessengerも含めて、同じ予算内でもっとも露出機会を増やせるようにシステムが自動調整してくれる機能です。慣れない中で手動配置するよりも、効果が高いと期待できる面に広告が配信されるので、コスパがよくなります。
ライバルや大手企業の広告を参考にする
慣れないうちは同じ業界の競合や大手企業の広告を参考にして、画像の使い方やテキストの内容を研究するのもよいでしょう。
具体的には、「広告ライブラリ」というメタが提供しているサイトを使います。広告ライブラリを使うと、気になる企業のすべての広告が一度に閲覧できるだけでなく、各広告の掲載日や閲覧数、「いいね!」の数など、様々な情報を詳しく知ることができます。
これにより、人気のある広告の傾向やトレンドが掴みやすくなるので、余分な経費を使わずにクリエイティブのクオリティを上げることができ、作成時間を短縮することも可能です。
動画は最初が肝心
動画を使う場合は、「最初の3秒」が肝心です。よほど関心のある商品や興味のある企業の広告でなければ、動画を最後まで視聴してもらえることはほぼありません。そのため、アピールしたいポイントを後半にまわすと、その場面が映る前に離脱されてしまう可能性が高くなります。
場合によっては、3秒でも長すぎるかもしれません。最もインパクトのある場面を極力動画トップに持ってきて、ユーザーの気持ちを惹きつけることに最大限の工夫を凝らしてください。
広告は1日に3,000円以上を目安にする
Facebook広告では1日に数十億にものぼるオークションが行われており、ユーザーにとって有益で広告としてクオリティが高いものが優先して配信されます。
そして、広告費を安くし過ぎるとオークションに勝てず、配信すらしてもらえない場合があります。
オークションは独自システムで行われますが、あまりに低予算の場合は基準から漏れてセレクトされないことがあるのです。
そうならないためにも、1日に最低3,000円以上を目安とし、なおかつその予算を1日で使いきる設定にするのがよいでしょう。
成果検証の3つのポイント
広告を配信したら、必ずどれだけ効果があるかを検証することが大切です。この項目では、その際のポイントについて解説します。
1~2週間を目安に検証する
広告成果の検証は毎日するのが良いと思うかもしれません。しかし、平日か祝日かなど条件が異なると、広告が表示された回数に対してどれだけのユーザーがクリックしたか表す「クリック率」や、広告から商品購入に到った「コンバージョン率」などの指標に、ずいぶん開きが出ることも珍しくありません。検証する期間があまりに短いと、ただその数字に一喜一憂して振り回されるだけで、正しい検証ができない可能性があります。
そこで、少なくとも1週間、できれば2週間は様子を見てから検証する方が、広告効果を正しく確認することができるでしょう。続けていくうちに、適切な検証期間がつかめてくるので、それからは独自の判断で短くしたり長くしたりしても構いません。
「広告マネージャ」で検証する
「広告マネージャ」は、広告を作成したり管理したりするためのツールです。ただ、それらに加えて、広告効果を様々な指標をもとに検証するために使えるので大変便利です。
クリック数や広告の表示回数であるインプレッション、広告を一度でも見たことがある人の数を意味するリーチ、購入に至ったコンバージョンの数や割合など、必要な指標を設定すれば、つぶさに確認することができます。
画像などコンテンツの内容を別のパターンに変えた場合の効果も比較できるので、ぜひ試してみてください。
先ほど1~2週間の期間をおいて検証することをおすすめしましたが、カレンダーで選択すれば、過去から当日に到るまでの好きな期間のデータが閲覧可能です。
最初は項目の多さに戸惑うかもしれませんが、何度も操作しているうちに慣れてきます。ことあるごとに様々なデータを繰り返しチェックして、ぜひ広告効果の良し悪しに敏感になってください。
PDCAを速やかに繰り返す
前述のように、Facebook広告の環境は変化が激しいため、一度作成すれば安心というわけにはいきません。
不足が見つかれば、改善してリリースし直し、また検証しては改善するといったPDCAを何度も繰り返すのが、成功を掴むための地道で確実な方法です。
その意味では終わりがないのが、広告の世界ですが、回を重ねる度にアップグレードしたクリエイティブが作成できると信じて、コツコツと地道に続けていきましょう。
まとめ
Facebook広告の運用方法は、決して一つにパターン化されたものではありません。
広告内容や目的、オーディエンスに合わせて、幾通りにものアプローチが可能なため、ぜひ様々なやり方を試しながら、効果の高い広告配信を目指してください。