昨今ではYouTubeやInstagramといったSNS、企業のイベント・プロモーション、学園祭、パーティーやドキュメント企画などで、スマホを使って動画撮影するケースがとても増えています。
写真と違って動画は撮影時間が長く、撮り方にもさまざまな選択肢があるため、撮影者によって完成度にずい分と開きが出ます。スマホで撮ったとは思えないプロ顔負けの動画もあれば、素人そのものというクオリティの低い作品があるのも事実です。しかし、どんな人でもコツさえ掴めば、驚くほど上手に動画が撮れるようになります。
そこで今回は、動画撮影のコツと、動画が上手く撮れるスマホの選び方やおすすめの動画アプリ機能について解説します。
動画撮影を成功させるための7つのコツ
普段YouTubeなどで動画を観ていると、テレビ番組のように上手く撮影されているものがあります。その技術の高さゆえ、つい動画を見入ってしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。
「自分は素人だからこんなに綺麗な動画は撮れない」と決めつけてしまっているかもしれませんが、実際はそうでもありません。コツさえ掴めば、プロに負けないほど上手に動画を撮影することができます。この項目では、そのコツを7つご紹介します。
しっかりと準備を行う
内容にもよりますが、スマホだけを準備して動画を撮るのはおすすめしません。充分に気をつけているつもりでも、手ブレがあったり、画面が暗かったり、ターゲットがよく見えなかったり、見直してみると思いのほか迫力にかけることがよくあるからです。
後から後悔しても撮り直すのは難しいことも多いので、妥協した内容で公開するかボツにするしかありません。そこで、後述するように、三脚やジンバル、レンズ、照明などを用意すれば、同じシチュエーションでもかなりレベルアップした動画撮影が可能となります。安価なものでも使うのと使わないのとでは大きな差が生まれるので、ぜひ自分専用の機材をひと通り買い揃えるようにしてください。
ストーリーを考える
動画を撮る前に、全体のイメージやストーリーをできるだけ明確にすることも重要です。
再生時間や切り口、登場人物の役割、セリフ、メインとなる訴求ポイントのほか、場合によってはロケ地の下見や、天気・気温などの事前リサーチも必要でしょう。行き当たりばったりを売りにする場合でも、どこに何があり、そこにどのような人たちが暮らしていたり働いていたりするのかといった基本情報を把握していなければ、大事なポイントを撮り損ねて中身の薄い仕上がりになるおそれがあります。
ただ頭の中で考えるだけでなく、簡単でいいので紙にフロー図や台本を書いたり、人にアイデアを話したりすると、勘違いに気づくことができたり、新たな発想が生まれたりすることもあるのでおすすめです。
スマホの向きを考える
とても基本的なことですが、動画を撮影する際は、スマホの向きを決めておくようにしましょう。
撮りやすい方向で何気なく撮影してしまうこともありますが、 Instagramなら縦、YouTubeやFacebookなら横がおすすめです。公開するプラットフォームに合った方向で撮らないと、画面に余白ができて見た目がとても悪くなることがあるので注意してください。
手ブレを防止する
動画の場合は、写真撮影のとき以上に手ブレに気をつけるよう心がけてください。動画が安定していないと一気に素人感が増し、場合によっては最後まで視聴してもらえないこともあります。
撮影中、自分では大丈夫と思っていても、後で確認するとひどくブレていることはよくあります。できるだけ、専用の三脚やジンバルを使用してください。どうしても無理な場合は、脇を締めてスマホを持つと画面がブレにくくなります。
一度に撮影しようとしない
講演会や一部のドキュメンタリーの場合は別ですが、動画は一度にすべて撮影しようとしないよう気をつけましょう。後でいくらでも編集できるので、続けて撮るより、ぶつ切りでもあらかじめ構想していた内容を撮り損ねないようにする方が重要です。
一度の撮影時間は、20秒もあれば充分と考えてください。というのも、実際に編集して公開する際には、同じ画面を続けて見せるのではなく、長くても10秒、短ければ2~3秒で切り替える方が圧倒的に観やすく、評価も高まるからです。現にプロが編集しているテレビ番組や動画は、頻繁に画面が切り替わります。同じアングルから人や花、風景を撮るにしても、近づいたり引いてみたりと動きをつける方が、視聴者を飽きさせないのでおすすめです。
ズームを多用しすぎない
スマホ撮影では、ズームを使うと画像がブレやすくなるので要注意です。2本指で画面に触れるだけでできるので簡単ですが、あまり何度も繰り返すと観ている側も酔ってしまうので、極力避けてください。もし被写体を大きく映したい場合は、そのまま自分が近づくようにする方がよいでしょう。
写り込みに注意する
不特定多数の人たちがいる場所での撮影は、関係者以外の人物の写り込みに注意してください。動画の内容によっては、人物だけでなく、場所が特定される住所や電話番号、表札、会社の看板などにも配慮し、アングルを工夫したりモザイクをかけたりする方が好ましいでしょう。
アングルを工夫する
同じ被写体を撮るにしても、同じアングルだけでなく、左右、上下、遠近など、複数の方向から映すように撮影するのがおすすめです。編集の際に選択肢が増え、映像に迫力を持たせたり変化をつけたりできるので、動画のクオリティがアップします。
撮影の目的は公開すること
撮影を続けていると、つい撮ることに夢中になってしまうことがありますが、撮影の目的はあくまでも公開することです。この項目では、もっとも良い形で公開するために意識すべきことについてご紹介します。
編集を意識して撮影する
自分用であれば、自由に撮影しても何の問題もありません。しかし、今回ご紹介している動画の最終目的は、編集して公開することです。実際に編集する段階になって、「せっかく撮影したものの、画質が悪くて使えない」ということのないようにする必要があります。もちろん、プラットフォームで定められている規約に反した映像を流さないようにすることも大切です。
そのためにも、少し多めに動画を撮って差し替えができるようにしておいたり、時間に余裕があれば撮った動画をその場でチェックし、今一つの出来であれば撮り直したりしましょう。撮影中は常に予定のストーリーを念頭におきつつ、編集の際に素材が不足することがないかを意識するように心がけることが重要です。
動画に便利なスマホを選ぶポイント
この項目では、動画を撮影するのに相性が良くて便利なスマホを選ぶためのポイントについて解説していきます。
画素数と解像度
画素数や解像度が高いほど、より鮮明な動画が撮影可能です。
画像も動画も画面上に表示されているのは、小さな点(ドット)の集合体です。この点が多いほど、写真や動画はきめ細やかになります。この数を表すのが「画素数」です。1インチ(25.4mm)四方のスクエアにこの点がいくつ詰まっているかを表わすのが「解像度」です。そのため、画素数と解像度が高い方が、より鮮明な画像を撮影できるのです。
ただし、留意点が2つあります。画素数や解像度が高いと、それだけ容量が必要になるので、撮影ボリュームに耐えるだけのストレージが必要になります。また、配信する動画の画質がどれだけ良くても、視聴する側の端末のスペックが低ければ、画質は粗くなってしまいます。ただ近年に発売されたスマホやタブレットは、画素数も解像度も高いものが多いので、たいていの場合はこちらが想定した画質で視聴されると考えてよいでしょう。
ちなみにその逆もあって、こちらの画像が悪ければ、相手がどれだけ高スペックの端末で視聴したとしても、画質は低いままになります。そのため、そういった視聴者を想定して、できるだけ高画質で配信するに越したことはありません。
手ぶれ補正
手ぶれ補正機能がついているスマホもおすすめです。
後述する「ジンバル」に比べると補正力は劣りますが、それでも、内蔵のジャイロセンサーが揺れを検知して、それを打ち消すようにレンズを動かすので、かなりの補正が期待できます。特にジンバルを持ち合わせていない場合には、便利でしょう。
複数のカメラが搭載されている
スマホでは、カメラを経由した光がイメージセンサーに到達し、電子に変換されることで画像データとなるため、より多くの光を取り込む方が画質も良くなります。したがって、複数のカメラが搭載されている方が、高画質の動画を撮影できるでしょう。
F値が小さい
レンズから入る光の量、つまり絞りを意味する「F値」にも注目してください。このF値が小さい方が、絞りが開いてレンズに多くの光が通ります。F値が小さければ、背景をぼかしたり、明るく撮影することができ、動画にバリエーションを与えることができます。
動画アプリのおすすめ機能
完成度の高い動画を作成するには、動画専用アプリを活用するとよいでしょう。スマホにデフォルトで備わっている機能に比べて、バリエーションが非常に豊かなため動画の精度がグンとアップします。この項目では、その中でも特におすすめの機能を5つご紹介します。
BGMを挿入できる
動画アプリには、さまざまな無料音楽を挿入できる機能を持つものが多くあります。同じ動画でも、BGMがあるのとないのとでは、印象が大きく異なります。さらにどのようなタッチの曲にするかによっても、演出効果はずいぶん異なるでしょう。
著作権に触れない音源を自前で用意するのは大変ですが、動画アプリを使えばその面倒がなくなるので強くおすすめします。
フィルターをかけたり加工ができる
多彩なフィルターや加工が行えるのも、動画アプリの良い点です。トーンを暗くすれば、シックでおしゃれな雰囲気が演出できたり、レトロ感を醸し出したりすることができます。料理動画には、素材や湯気が綺麗に映るように加工できるとよいでしょう。
最初は、自分が素敵だと感じる動画を参考にして、そのタッチを真似てフィルターをかけたり加工してみましょう。
背景を変えられる
動画アプリを使えば、撮影した動画の背景を自由に変えることも可能です。自宅や室内の場合は、思い切って背景をまったく違うものにすると面白いかもしれません。写り込みがあって、加工やぼかしが面倒な場合でも、背景を変えれば簡単に解消するでしょう。
無音で撮影できる
シチュエーションによっては、無音で撮影したい場合もあるでしょう。赤ちゃんやペットが寝ていたり、演出上、音を立てて相手に気づかれたくないケースもあったりするかもしれません。そのようなときには、動画アプリの無音機能がおすすめです。スタートや停止の音がいっさい鳴らないため、周囲に気づかれる心配がありません。
手ぶれ補正ができる
手ぶれ補正を意味する「スタビライザー」機能がある動画アプリもおすすめです。補正前と補正後の動画を簡単に比較することができ、どこまで補正するかの選択や調整も含めて、すべてスマホだけで完結するので、慣れさえすれば時間もかかりません。
動画撮影に使える便利グッズ
この項目では、動画撮影に欠かすことのできない便利グッズをご紹介します。
三脚
動画撮影をするうえで最大の敵は、手ぶれといっても過言ではありません。画面が安定しないと観ている側にとっては思いのほかストレスが大きく、最後まで視聴してもらえないおそれもあるので、要注意です。
そこで三脚を使えば、定点で撮影できるので、いっさい手ブレの心配はありません。高さや角度を調整できるのはもちろん、不安定な場所でも脚をくねくねとフレキスブルに曲げることで安定させられるものや、手すりや木などに巻き付けて使用できるものなど、さまざまな種類があります。たためるうえ、とても軽いので、荷物にならず持ち運ぶ際にも大変便利です。
ジンバル
被写体が動かない場合は、三脚で事足りるかもしれません。しかし、動くものや人物、動物などを撮影する場合、スマホを持ちながら歩いたり走ったり、ジャンプしたりしなければならないこともあるでしょう。そのような場合にジンバルを使えば、自由に移動することができるので便利です。ジンバルがあれば、ショートムービーやコントの撮影にも苦労しません。
ジンバルには機械式と電動式があり、機械式は操作に慣れるまで時間が必要ですが、電動式はジャイロセンサーが揺れを検知して自動補正してくれるので、誰でもすぐに使えるようになります。バッテリーの充電が必要ですが、フルであれば半日から1日はもつため、さほど問題にはならないでしょう。
マイク
スマホにもマイクがあるので、わざわざ用意する必要があるのかと疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、専用マイクがあると雑音や余分な会話音を排除できたり、決められた方向の音のみを拾ったりすることができるので、非常に便利です。音がはっきり聴こえるのとそうでないのとでは、視聴者の満足度は大きく異なります。音声は映像以上に重要であると認識してください。
三脚でスマホを固定している場合は、集音しにくいことがあるので、ショットガンマイクがおすすめです。
スポーツ実況やライブ配信、一人ロケの場合は、ピンマイクがよいでしょう。
長時間にわたる屋外での撮影やスマホゲームのプレイ実況は、スマホ差し込み式のマイクがおすすめです。
歌の動画を撮影するのであれば、ハンドマイクを使用するとよいでしょう。
照明
室内で撮影すると、天気や時間帯によっては意外と暗く映ることがあります。そこでおすすめなのが、スマホ撮影用のライトです。
スタンド式のリングライトや、スマホに直接着けられるクリップ式などがあります。大きさやライトの数によって明るさが異なるので、使用する環境に応じて使い分けるとよいでしょう。
レンズ
スマホによっては、レンズの使い分けができるものもありますが、機能性を高めるなら別途レンズを用意する方がよいでしょう。
広角レンズ
広い画角の映像が撮影できます。
魚眼レンズ
広角レンズよりさらに広い画角の映像が撮れます。
望遠レンズ
遠くの建物や鳥などを撮影する時に便利です。スマホでズームをすると、映像が粗くなる場合がありますが、望遠レンズならそのようなことはありません。
マクロレンズ
昆虫やミニフィギュア、プラモデルなど、小さな被写体を撮る場合に便利です。
まとめ
スマホによる動画撮影は、コツをおさえて、専用のグッズを揃えれば、誰でも上達できます。最初は難しいと感じても、繰り返すうちに必ず上手くなるので、あきらめずに楽しみながら根気よく続けてください。