綺麗な映像を撮影するためには、それに適した環境を整えることが大切です。例えば、被写体や背景、機材などさまざまな要素が関係しますが、今回はその中のひとつである「ライティング」にフォーカスして解説していきます。ライトの持つ役割やおすすめの商品も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ライトがもたらす効果
映像の作成において、ライトが持つ役割とはどのようなものでしょうか。この項目では、ライトがもたらす効果について具体的に解説していきます。
明るさを保つ
曇りの日や室内で撮影する場合など、状況によっては明るさが不十分なケースがあります。十分な光量が確保できないと、見栄えのする映像を撮ることができないほか、ブレやすくなるなどの弊害もあります。
そこで、映像を綺麗に撮影したり、強調したい部分に視線を誘導するために照明が用いられるのです。
色を調整する
ライトが発する光は、白だけでなくさまざまな色を持っています。一般的に用いられる照明の中でも、蛍光灯や白熱電球、寒色系と暖色系のライトがあります。これらの色付きのライトは、物体の色の見え方や印象をコントロールするためにも用いられます。
例えば、学校や会社などでは、集中力を高める効果のある寒色系のライトが使われます。
一方、ダイニングや飲食店では、食べ物を美味しく見せる効果のある暖色系のライトが多く取り入れられています。
このように、色が持つ心理的効果を活用するために、色付きの照明が多くの場面で活躍しています。
印象をコントロールする
光の色や当て方によっても、大きく印象を変えることができます。例えば、白や暖色系の光で全体を明るく照らすと、元気な印象を与えることが可能です。
対して、寒色系の光などで抑えめに照らすことにより、悲し気な印象やクールな印象を与えられます。このように、同じシーンでも明るさや色味によって受ける印象がガラッと変わるのです。
立体感を強調する
被写体に対して正面から光を当てた場合、フラットでのっぺりとした印象になります。この方法は余計な影を発生させたくない場合などには効果的ですが、立体感を表現したい場合には適しません。
物体を立体的に見せるためには、正面からでなく、少し角度をつけて光を当てましょう。そうすることで、被写体を立体的に見せることができます。
このとき、影が濃すぎる場合には、ライトをもうひとつ使って影になっている部分を照らすと、影の濃さが抑えられ、ソフトな印象に仕上げることができます。
照明を選ぶ際のポイント
映像の撮影に使う照明を選ぶ際には、どのような点に着目すべきでしょうか。この項目では、照明を選ぶにあたって、意識すべきポイントを紹介していきます。
光の調整が可能なLEDライトがおすすめ
LEDの照明は、消費電力が少なく、調光機能がついているものが多いのが特徴です。明るさだけでなく、色味を変えることもできるため、さまざまな表現が可能となります。
他のライトに比べて発熱が少ないのも大きなメリットと言えるでしょう。発熱しやすいライトを扱う際には細心の注意を払わなければならず、時には専門的な知識が必要な場合もあります。LEDライトなら特別な知識を必要とせず、初心者の方でも簡単に扱うことができます。
光が当たる範囲
照明の用途により、光が当たる範囲が適切かどうかも考えなければなりません。
例えば、被写体を照らすメインの照明を選ぶ際には、特別な狙いがない限り、広い範囲を照らせるものを選ぶのが無難です。対して、被写体を強調したい時や、ドラマティックな演出がしたい場合には、ピンポイントで照らせるライトを選ぶとよいでしょう。
消費電力の大小
光量の多いライトは、それだけ消費電力も大きくなります。電力を多く消費すると、電気代が多くかかってしまうため、気になる方は注意してください。
また、屋外で長時間の映像を撮る際には、バッテリーが切れないかどうかも考えなければなりません。どのくらいの時間連続で点灯可能なのか、またバッテリーが切れた場合、予備のものに差し替えられるかなども確認しましょう。
明るさの単位
光の明るさを示す単位として、「ルーメン」や「ルクス」があります。ルーメンは光源が発する光の量を表し、ルクスは照らされた面の明るさを示します。
撮影用のライトの明るさを表す際には、主にルクスが用いられます。室内撮影のメイン照明として使用するのであれば、2000〜4000ルクス/1mあれば十分でしょう。
冷却用ファンの有無
発熱するタイプの照明には、冷却用のファンがついていることがあります。映像と同時に音声も収録する場合には、冷却ファンの音が大きすぎないかどうかも確認しなければなりません。
ファンの音が大きすぎると、音声を収録するときの邪魔になります。音声編集ソフトなどを活用すれば、ある程度のノイズを取り払うことは可能です。しかし、ノイズの大きさによっては、綺麗に修正できないケースもあるでしょう。はじめからノイズのない音声が取れていれば、苦労することなく簡単に編集作業が行えるのです。
LEDタイプなど、冷却ファンが必要ないものもあります。ライトを選ぶ際には、ファンの有無もよく確認しましょう。
正確な色表現が可能かどうか
正確な色を表現したい場合には、ライトの演色性にも注目してみましょう。演色性とは光源による色の見え方の性質です。また、色が正確かどうかを表す単位として、「CRI」などの演色評価数が用いられます。CRIは1〜100までの数値で表され、100に近づくほど正確な色であることを表します。
正確な色表現が可能なライトの目安は、CRIの値が90以上です。これに満たないライトは、正しい色の表現が難しいと考えてください。
おすすめの撮影用ライト
この項目では、映像の撮影におすすめの照明を紹介していきます。新たなライトを導入しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
Yarrashop 10インチLEDリングライト
「Yarrashop 10インチLEDリングライト」は、やわらかい光で肌が美しく見えるため、自撮りに最適です。色や明るさを調整することもできるので、状況に合わせたライティングが実現します。
参考:Yarrashop 10インチLEDリングライト – Amazon
Ulanzi LEDビデオライト
Ulanzi LEDライトは、色温度だけでなく、RGBモードでの色調整が可能です。色味の微調整だけでなく、雰囲気をガラッと変えてドラマティックな演出も楽しむこともできるでしょう。
もちろん、明るさの調整もできるほか、ライト同士を連結することも可能です。複数の照明をつなげて長さを出したり、色味を自在に変化させたりすることで、個性のある映像を撮影できます。
Luxsure リングライト
「Luxsure リングライト」は、スマホホルダー付きのスタンドライトです。スマホを使った自撮りがしやすくなっていて、動画の撮影だけでなく、生配信などにおすすめです。また、カメラが取り付けられるネジもついており、スマホとカメラの両用として活用できます。
さらに、色温度と明るさの両方が調整できるようになっていて、撮影シーンに合わせて適切なライティングを行えます。
NEEWER SL90 RGBビデオライト
「NEEWER SL90 RGBビデオライト」は、明るさや色温度の調整のほか、ライトのRGBカラーを変えることも可能です。さらには、雷やキャンドルの明かりを再現した光の演出効果や、音楽に合わせた光の変化を楽しむこともできます。多彩な表現が可能となるタイプです。
参考:NEEWER SL90 RGBビデオライト – Amazon
Aputure AL-MC RGB撮影用ライト
「Aputure AL-MC RGB撮影用ライト」は、CRIが96+と、高い演色性が大きな特徴です。とくに、正確な色を表現したい方におすすめです。
ライトの色味や明るさも自在に調整可能で、アプリによるカラーピッカー機能なども利用できます。この機能により、スマホカメラで好きな色味を取り込み、同じ色の光を作り出すことが可能です。思い通りの色味を感覚的に、そして、素早く表現できるでしょう。
参考:Aputure AL-MC RGB撮影用ライト – Amazon
ライティングのコツ
この項目では、被写体を美しく見せるライティングにするために意識すべきポイントを解説していきます。
適した撮影場所を選択する
光の向きや量は、環境や時間帯によって変わってきます。撮影場所を選ぶ際には、余分な光や影が画面に入らないように、撮影に適した場所を選ぶよう心がけましょう。
ホワイトバランスを整える
ホワイトバランスとは、白が正確に表現できているかどうかを表す指標です。多くのカメラには、このホワイトバランスを調整できる機能が備わっています。
正しいバランスに整えるには、白い紙などをカメラに映し、色が正確に見えるように調節します。すると、色調のバラつきが解消され、正しい色表現が可能となります。
光の位置を決める
立体感のあるプロらしいライティングに仕上げるためには、「キーライト」「フィルライト」「バックライト」といった、3つのライトを活用しましょう。それぞれのライトの役割は以下のようになっています。これらの照明を取り入れることにより、本格的な演出が可能となるでしょう。
キーライト
被写体を照らすメインのライト。
フィルライト
被写体にできた影を調節する。
バックライト
被写体を後ろから照らし、輪郭を強調する。
照明効果を高める道具
被写体を直接照らすライトの他にも、よいライティングを作り出すために役立つアイテムがあります。この項目では、照明の効果をより高めるためのアイテムを大きく分けて3つご紹介します。
スタンド
被写体を上から照らしたい場合には、照明を取り付けて固定するためのスタンドが必要です。
スタンドを選ぶ際には、安定感があるかどうかをチェックします。なお、ライトとスタンドがあらかじめセットで売られていることもあります。その場合は、別にスタンドを用意する必要はありません。ただし、応用を利かせたいのであれば、ライト部分が取り外せるものを選ぶとよいでしょう。
参考:Hemmotop T字型撮影スタンド – Amazon
アンブレラ、ソフトボックス
照明の光を被写体に直接当てると、コントラストが強くなりすぎる場合があります。そんな時には、アンブレラやソフトボックスといった道具を用いて、光をやわらかくしましょう。
アンブレラとソフトボックスはどちらも似た効果を持っています。両者の違いは以下の通りです。自身が伝えたいテーマに合わせて、適した方を選択しましょう。
アンブレラ
光が広範囲に拡散し、ふんわりとした印象になる。
ソフトボックス
光が広がりすぎず、立体感が表現しやすい。
参考:OMBAR ソフトボックス 撮影照明キット – Amazon
レフ版
ライティングのテクニックのひとつとして、光を直接当てるのではなく、反射させて間接的に照らすという方法があります。この際に用いられるのが、レフ板です。
レフ板が活躍する場面としては、屋外の撮影シーンなどが挙げられます。例えば、レフ板を使って人物の目に光を入れたり、逆光の際に被写体を明るく照らしたりなど、さまざまなシーンで役立つでしょう。
専用の道具を用意しなくても、白い紙や布を使って代用することも可能です。身近なアイテムを使って挑戦してみてください。
参考:Selens 5-IN-1 撮影用 丸レフ板 – Amazon
ライティングにこだわって美しい映像を撮影しましょう
光の当て方や色味などにより、同じ映像でも印象がガラッと変わります。逆に言えば、ライティング次第では、自分の届けたいイメージが正しく伝わらないということもあるのです。
ユーザーに映像のコンセプトを正しく理解してもらうためには、それに合ったライティングの設定が求められます。照明がもたらす効果をしっかり理解した上で、使いこなすことが必要とされるでしょう。
ぜひともこの記事で紹介した内容を参考にして、ライティングにこだわった映像を撮影してください。