ものを売り買いする販売ビジネスは、現在では企業のみならず個人でも多くの人がおこなっています。インターネット上での販売が簡単になったため、個人でもあらゆるものが販売できるようになりました。
中でも現在注目を集めているのが、カブトムシやクワガタといった昆虫を販売するビジネスです。子供から大人まで多くの人に人気があるため、うまく売れれば大きな利益が見込めます。
とはいえ、昆虫は生き物なので、他の商品と同じように仕入れて販売するわけにはいきません。生き物の売買は、厳格にルールが決まっているからです。
今回の記事では、カブトムシなどの昆虫を販売する方法や、仕入れ先などを紹介します。昆虫ビジネスに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
昆虫は販売できる?
結論から言うと、昆虫は販売先が限られています。例えば、フリマアプリ大手のメルカリやラクマでは、昆虫をはじめとした生き物全般の出品は禁止されており、販売することができません。
生き物はフリマアプリのガイドラインに抵触してしまうため、昆虫であっても取り扱いは不可能です。万が一発覚すれば、強制退会などのペナルティを受ける可能性があります。
ヤフオク!だけは例外として出品できる
フリマアプリやオークションサイトの例外として、ヤフオク!だけは昆虫の出品が可能となっています。すべての生き物が出品できるわけではありませんが、昆虫は基本的に出品できます。
一つだけ注意点として、特定外来生物に指定された昆虫は出品できないことが挙げられます。成虫だけでなく幼虫や卵も規制の対象になってしまうため、仕入れの際は確認を怠らないようにしましょう。
昆虫を販売する条件
昆虫は生き物ですが、基本的に許可や資格は必要ありません。誰でも販売に着手できるため、初心者にも手を出しやすいビジネスと言えます。
動物の販売には、「動物取扱業」の登録をおこない、申請が認められる必要があります。しかし、昆虫は動物には含まれないため、これらの登録をおこなわなくてもよいことになっているのです。
販売が違法になるケースもある
昆虫の販売に特別な許可は必要ありませんが、販売方法には注意が必要です。場合によっては法に触れて実刑を受けてしまうリスクがあるため、絶対に頭に入れておきましょう。
まず、昆虫の種類を詐称しての販売は違法です。詐欺罪に問われ、最悪の場合懲役刑になってしまいます。
次に、昆虫の中でも「希少野生動物」に含まれているものの販売も違法となっています。種の保存法に抵触するため、罰金または懲役の可能性があります。
種類に関しては、仕入れ先が偽っているケースもあるため、必ずよく確認してください。また、仕入れ前に希少野生動物でないか確認し、売ってはいけない昆虫を仕入れないようにすることが大切です。
昆虫の販売ルート
昆虫は一般的な商品と違い、販路が限られています。しかし、ある程度選択肢はあるため、自分の仕入れ状況や周囲の環境に応じて、販売先を決められます。
一つの販売先を試してみて合わないと思ったら、他の販売ルートも試してみましょう。また、場合によっては複数のルートを併用することで、効果的に販売ができます。
この項目では、昆虫の主な販売ルートについて紹介します。売り方について悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
ネットショッピングサイトを開設する
ネットショップは、自分だけのサイトを自由に作れる点がメリットです。そのため、自分で昆虫を販売するためのショッピングサイトを開設すれば、気兼ねなく昆虫の販売ができます。
例えば、ネットショッピング開設サイトのBASEでは、簡単な手続きで誰でも自分だけのネットショップが開設できます。昆虫類も合法的に販売できる種類であれば問題なく取り扱えるため、販売は容易です。
販売手段としては最も自由度が高いため、人気サイトに成長させれば安定して大きな利益を出すことも夢ではありません。一方、集客や発送などをすべて自分でおこなう必要があるため、継続に多大な労力が必要な点には注意が必要です。
ヤフオク!に出品する
前述したように、ヤフオク!では昆虫の出品が認められています。仕入れた昆虫をヤフオク!で販売すれば、最低限の労力で利益を得られます。
個人サイトと違い、ヤフオク!は既に知名度があるため、最初からある程度の売り上げが見込める点がメリットです。既存のサービスを利用するだけなので、複雑な運用や手続きも必要ありません。
一方で、安定した売り上げを出すためには、既に参入しているユーザーとの市場競争に勝ち残る必要があります。昆虫は一定の市場規模があるため、ある程度競争率が高い点は留意しておく必要があります。
地域のお店で売ってもらう
意外と穴場な販売経路が、地元の個人ショップや道の駅などで直接販売する方法です。交渉次第で商品を販売してくれたり、販売スペースを貸してくれたりするケースがあるため、実際に販売ができる可能性があります。
もちろん必ず販売できるわけではないため、スペースの確保には交渉力が必要です。しかし、道の駅は休日などに個人が出店を出している場合も多く、販売できる可能性は比較的高いと言えます。
インターネット販売と違いその場で売買するため、即金性がある点が強みです。お客と直接やり取りして販売するため、接客が得意な方にとってもおすすめの販売方法です。
販売する昆虫の仕入れ先
カブトムシやクワガタをはじめとした昆虫は、生き物である都合上販売先が限られています。そのため、安定した売り上げを出すためには仕入れ先の確率が必要です。
コストや安定性、労力など仕入れ先によってかかってくる要素が異なるため、自分の販売スタイルに合わせた仕入れ先を決めることが重要です。
この項目では、カブトムシなどの昆虫を販売する際の、主な仕入れ先について紹介します。もちろん併用も可能なので、仕入れをおこなう際の参考にしてください。
自力で捕まえる
カブトムシやクワガタは日本にも生息しているため、自分で山や林などに出向いて捕まえるといった選択肢も取れます。仕入れ原価がかからないため、一匹当たりの利益を高められる点がメリットです。
とはいえ、飛び回る昆虫を捕まえるのは容易ではありません。毎回捕まえられるとは限らないため、安定した仕入れをおこなうことも難しいです。 労力もかかるため、メインの仕入れ先にはしにくいでしょう。ただし、仕入れ方法の一つとして利用して、利益率を高めるには効果的です。
養殖する
長く安定して売り上げを出したい場合は、自分で幼虫から育て、養殖を繰り返す方法もありです。初期投資以外は比較的仕入れコストを抑えられるため、期間が長くなるほど高い利益を得られます。
養殖は種類を絞っておこなえるため、高く売れやすい種類を養殖すればそれだけ高く売れます。高価な種類の昆虫も幼虫は比較的安価で購入できるため、利益を出すのは十分に可能です。
常に飼育が必要なので、相応の労力は発生します。また、飼育方法を間違えると大きな損失を出してしまうため、飼い方の勉強も必須です。
仕入れ先を探す
販売用の昆虫や、繁殖用の幼虫を仕入れる場合は、ネットショップの活用が効果的です。費用こそかかりますが、手間をかけずに欲しい種類を確実に入手できるため、労力を節約できます。
また、ヤフオク!でもお得に出品されているケースがたまにあるため、こまめなチェックは欠かせません。安定した仕入れには向きませんが、不定期に高めの利益を出すチャンスが巡ってくるため、積極的に狙っていくべきです。
繁殖に自信があるなら、近所の昆虫ショップなどで成虫を購入し、増やしていくのが最も手軽に利益を出せるでしょう。
購入された昆虫の発送方法
この項目では、昆虫の発送方法について紹介します。カブトムシやクワガタをはじめ、昆虫は生き物である以上発送には細心の注意が必要です。通常の品物以上に、傷や揺れ、衝撃対策を実施しなければいけません。
また、発送方法も限られます。一般的な品物のように選択肢が多いわけではないため、利用できる発送方法を事前に知っておくことが大切です。損失を出さないためにはもちろん、命を粗末にしないためにも、発送には気を配ってください。
昆虫の発送に利用できる発送方法
昆虫の発送には、ゆうパックを使うのが最も便利です。他の発送方法では、利用が制限されていて使えない可能性が高いです。
ただし、発送中に湿度や換気の調整をおこなわないため、発送中の死亡リスクも相応にあります。また、発送中に餌が必要になるような昆虫は、発送できません。
高級な昆虫などで万全を期すのであれば、ペット輸送サービスの利用がおすすめです。手間や費用こそかかりますが、安定した環境で発送してもらえるため、損失の確率が大きく減少します。
運送業者との契約が必要
例えばヤマト運輸の場合、昆虫をはじめとした生き物を発送するためには、事前に契約が必要です。
無申請でバレずに発送できるケースもありますが、万が一死んでしまった場合でも、運送業者に責任は問えないため注意が必要です。
梱包について
発送する荷物には空気穴などがあけられないため、密封した状態で発送しなければいけません。発送中の負担を減らすためにも、発送期間は極力短くするべきです。
また、発送の際はクッション代わりに土やおがくずなどを敷いて、昆虫の負担を少しでも軽くすることが大切です。
加えて、昆虫本体はタッパーなどの容器に食用ゼリーなどと一緒に入れ、振動対策をしてください。ビニールなどの柔らかい物質は食い破られる可能性があるため、しっかりした材質の容器に入れましょう。
備品の仕入れ先
昆虫の飼育用ケースや餌、発送用の容器などは、昆虫が販売されているショップで購入できる場合が多いです。ショップであれば飼育や養殖のコツなども聞けるため、初心者の内はオンラインショップよりも現実のショップで購入することをおすすめします。
コストを抑えたい場合は、ケースなどが100円ショップで代用できるものもあるため、併用するのもよいでしょう。ただし、発送の際はある程度の強度が求められるため、代用品ではなく正規品を使用すべきです。
養殖や販売におすすめの種類
この項目では、初心者におすすめの種類について紹介します。同じカブトムシやクワガタでも、種類によって育てやすさや価格が大きく異なります。また、日本に生息している種類よりも、海外にしかいない種類のほうが、当然価格は高いです。
販売する昆虫を決める際は、価格だけでなく仕入れやすさや養殖の難易度なども加味して決める必要があります。販売実績を増やすために、あえて単価の低い種類を取り扱うのも有効です。
オオクワガタ
オオクワガタは、黒い光沢のあるボディと大きなサイズから、多くの人に親しまれています。仕入れが比較的安価で済むほか、場所によっては捕獲も狙えるため、非常にコストを抑えやすい点が特徴です。
温度変化に強いことから育てやすく、10か月程度で成虫になることから販売の回転率も良好です。万が一売れ残っても、3年程度は生きるため販売チャンスが長い点もメリットでしょう。
国産クワガタのなかでも人気があるため、長期的な利益が見込めます。クワガタの養殖が初めての方にとっては、入門用にもおすすめです。
国産カブトムシ
国産のカブトムシは人気がある点はもちろん、安価で育てるのも簡単なため、取り扱いやすい点が魅力です。
数を揃えやすいことから繁殖が容易で、単価こそ安いものの数をそろえて安定した販売をおこなうにはもってこいの種類です。
国産のカブトムシは長年親しまれて人気のある種類なので、安定した需要も見込めます。海外産を養殖する前の練習としても、非常におすすめです。
パプアキンイロクワガタ
パプアキンイロクワガタは小型サイズで繁殖が容易な点が特徴で、価格も安いため販売しやすいです。
3か月という短期間で成虫になるため、安い単価を回転率で補えます。比較的場所を取らないため、大量の養殖も容易となっています。
カラフルで色のバリエーションも豊富なため、養殖のモチベーションが保ちやすい点も大きな特徴でしょう。
ニジイロクワガタ
虹色に輝くボディが特徴のニジイロクワガタは、観賞用として非常に高い人気を誇ります。色によっては高値で取引されるケースもあるため、高い利益も狙える点が強みです。
養殖難易度は決して高くなく、10か月程度で成虫になるため回転率も良好です。また、見た目が鮮やかなので虫嫌いな家族がいても、飼育に反対されにくい点はささやかなメリットと言えます。
安価で仕入れつつ、高価格販売を狙っていきたい場合は、ニジイロクワガタのカラーバリエーションを増やしてみることをおすすめします。
ヘラクレスオオカブト
世界最大規模のサイズを誇るヘラクレスオオカブトは、人気が高く高価格販売が狙えるため、おすすめの種類です。
温度変化に強いため、養殖の難易度はそこまで高くはありません。また、サイズが大きいほど価格も上がっていくため、育て買いがあります。
成虫になるまでが1~2年と比較的長めなので、他の種類を販売しながら根気よく育てていく方針がおすすめです。
まとめ
カブトムシやクワガタは、案外育てやすく簡単に増やせるため、養殖して販売するビジネスが成り立ちます。もちろん生き物なので相応の労力はかかりますが、飼育が好きな人にとっては趣味と実益を兼ねた副業として非常に人気です。
昆虫はメルカリなどでは販売できないため、自分でネットショップを開設するか、ヤフオク!に出品するのが一般的な方法です。近くに道の駅などがあれば、交渉して販売スペースを貸してもらうのも有効です。
昆虫は発送にも気を配らなければいけません。梱包や緩衝材には細心の注意を払い、無事に届くように万全の状態で発送してください。