ネットビジネスの中でも比較的簡単に始められる「せどり」。しかし、多くの方にとって「せどり」という言葉は聞きなれないのではないでしょうか。
今回は、「せどり」の語源や今どきのせどりのスタイル、メリット・デメリット、注意点や違法行為についても解説します。ネットビジネスやせどりに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
「せどり」とは
まず「せどり」の語源や今どきのせどりの特徴について解説します。
「せどり」の語源
せどりとは、仕入れた商品に利益を上乗せして売る行為を意味します。
せどりは、一般的に「競取り」または「糶取り」が語源とされているというのが有力な説です。
前者については、古本の世界において、昔から業者が古書を購入する際に「競り」で落札するケースがあり、そこから「競取り」となったというものです。
後者は、糶が米を売り出すことや、その米自体を指し、業者が貯蔵している米を吟味しながら売ることを「糶取る」と表現しました。そこから価値あるものを選りすぐって販売することを「糶取り」というようになり、それが「せどり」と表記されるようになったという説です。
ちなみに、せどりは古本業者の中で使われ始めたため、「背表紙」を見ながら仕入れる本を決める様から「背取り」と言われるようになったという説がありますが、これは俗説です。
現在の「せどり」の特徴
今どきのせどりは、古本に限らず、ファッションや日用品、家電製品、ゲーム、ホビー商品、家具などさまざまなジャンルが対象になっています。
とくに2010年代に「メルカリ」をはじめとするフリマアプリが普及し始めたことにより、リサイクルショップや中古品販売店といった業者のみならず、個人が中古品をネットで簡単に販売できるる文化が広がりました。
Z世代といわれる若者の中でも、リユースやリサイクルという考えが浸透し、中古品に抵抗を示さない人たちが目に見えて増えています。この流れで、今どきのせどりは多くの人たちから支持され、副業で始める人たちも相当数にのぼります。
そのスタイルは、大きく「実店舗せどり」と「電脳せどり」にわかれます。
リサイクルショップやディスカウントショップ、家電量販店、古本屋といった実店舗で仕入れた商品をネットで販売するのが「実店舗せどり」。
かたや、ネット経由で仕入れた商品を、同じくネットで販売するのが、「電脳せどり」です。
せどりのメリット・デメリット
続いて、せどりのメリットとデメリットについて見ていきましょう。
メリットは、以下の3点です。
・特別なスキルが要らない
・仕組みがシンプル
・スキマ時間を利用できる
デメリットは、以下の2点になります。
・ライバルが多い
・仕入れが大変
【メリット1】特別なスキルが要らない
せどりは、パソコンやスマホ、プリンターといったデジタル機器があれば、特別なスキルがなくても始めることができます。
資格や許可、専用の研修や設備などもとくに必要ありません。この手軽さは、かなり大きなメリットといえるでしょう。
【メリット2】仕組みがシンプル
せどりのビジネスモデルは、非常にシンプルで分かりやすいです。
仕入れた商品に利益を上乗せして販売するだけなので、複雑で理解するのに時間がかかるという心配はありません。
後ほど始め方について紹介しますが、プロセスはほぼ型にはまっているため、慣れれば機械的にこなせるようになるでしょう。
【メリット3】スキマ時間を利用できる
せどりは、ベッタリと業務に張り付かなくても、スキマ時間を利用して続けることができます。
メイン業務は、商品のリサーチと仕入れ、商品の発送、問い合わせへの返信などですが、慣れれば短時間でこなせるでしょう。
そのため、仕事から帰宅した後や週末、休日の空いた時間で対応可能です。専業主婦や子育て中、学生の方でも、家事や育児、勉強の合間をうまく活用しながら続けている方が数多く存在します。
【デメリット1】ライバルが多い
続いてデメリットに移りましょう。
まずライバルが多い点が挙げられます。
せどりは、楽天やAmazon、メルカリ、Yahoo!オークションなどのプラットフォームを使って出品します。あるいは自身でネットショップを開設する方法もあります。いずれにしてもこれらを使って出品している個人や法人は相当数存在するため、その中で生き残っていくのは決して容易ではありません。
【デメリット2】仕入れが大変
せどりを続けるには、仕入れを継続的に行う必要があります。
ビジネスモデルが定まり、安定した収益が得られるようになれば、定期注文や自動注文ができて楽かもしれません。
しかし、最初からそのようなケースは稀なため、実店舗を回って商品を見つけ、購入して持ち帰り、また別の店を訪問し・・・となると、かなりの手間がかかるでしょう。
加えて、中古品は常に同じものがあるとは限らないため、種類やはもちろん、年代や使用歴の異なる様々な商品を見つけ出しては仕入れるという行為を繰り返さなければなりません。
そのため、よほど好奇心が強くて、根気がある人でなければ続けるのは難しいでしょう。
せどりの始め方
それではここから、せどりの始め方について詳しく解説します。
ちなみに、せどりの必須アイテムであるパソコンやスマホ、プリンター、通信環境は整っていることを前提に説明していきます。
出品方法を決める
まずどこに商品を出品してせどりを行うかを決めなければなりません。
初心者がもっとも手軽に始められるのは、「メルカリ」「Yahoo!フリマ」「ラクマ」といったフリマアプリでしょう。
すでにアクティブユーザーが、数百万〜千万人単位で存在するため、集客の苦労がありません。売るための仕組みもすべて用意されているので、アカウントさえ登録すれば、スマホで画像を撮ったり、プロフィールや商品説明を作成したりしてすぐに出品できます。
「Amazon」や「楽天」を使う手もありますが、手数料が高かったり、審査にパスしなければならなかったりと、素人にはハードルが高いのが難点です。
また、ECサイトを独自で立ち上げる方法もありますが、一から作成するのはプログラミングやサイトデザインなどの専門スキルが必要です。
あるいは「BASE」や「カラーミーショップ」といったECサイト開設サービスを利用する手もあります。こちらもネット販売するための機能は揃っていますが、一部の機能は有料で、集客も一から自分で行わなければなりません。この点もよく理解しておかなければ後々かなり苦労する可能性があるため気をつけてください。
商品をリサーチして仕入れる
続いて、商品のリサーチと仕入れに移ります。
リサーチの要点は、以下の通りです。
・売れやすい商品を見つける
・その商品がどこで買えるかを探す
・売れている価格相場を調べる
仕入れの要点は、
・仕入れ先を複数確保する
・仕入れにかかる経費(交通費や送料など)を調べる
といった内容になります。
仕入れ先が限られていると、売りたい商品が枯渇したり、値上がりしたりした場合に仕入れが滞るとかコスト面で損をするので、複数の仕入れ先を確保しておくのがおすすめです。
販売して発送する
商品を出品し、購入されたら梱包のうえ、すみやかに発送します。
このプロセスで大事なことは以下のような点になります。
・その商品がもっとも映える画像や相手に大切な情報が伝わる商品説明、タイトル、使用上の注意事項などを掲載する
・商品を間違えずに送る
・破損や荷崩れしないように、商品の形状や材質に合った梱包をする
・発送した旨を購入者に通知する
・購入に対するお礼メールを送る
ちなみに、発送通知にはさまざまなメニューがあります。商品を追跡できるとか、紛失や破損への賠償が付いているもの、またフリマアプリなら出品者と購入者が互いの氏名や住所などを相手に知られずに取引できる「匿名配送」という安心なサービスがあります。
料金だけでなく、それ以外の付帯サービスについても詳しく調べて総合的にもっとも適したものを選ぶようにしてください。
せどりの注意点
せどりをする上での注意点を紹介しましょう。
具体的には、以下の3点です。
・副業でも確定申告が必要なことがある
・古物商許可を取得しよう
・リスクは最小限でスタートする
副業でも確定申告が必要なことがある
せどりは、本業として個人で行うなら確定申告が必要なのはいうまでもありません。しかし、副業であっても一定の条件を満たすと確定申告をしなければならないので注意が必要です。
その条件とは、せどりによる年間所得が20万円を超えた場合です。
年間所得とは、全体の売上額から仕入れ代金や送料、備品代、光熱費、交通費、通信費といった経費を差し引いた額を意味します。売上額ではないので気をつけてください。期間はその年の1月1日〜12月31日までです。
確定申告は、最寄りの税務署で行いますが、スマホからでも申告できるe-taxが便利です。
古物商許可を取得しよう
せどりで中古品を仕入れて販売する場合は、最寄りの警察署で「古物商許可」を取得する必要があります。これは法的義務なので、避けられません。
身分証明書などの必要書類を提出し、19,000円支払うと、だれでも取得できます。
せどりや転売の世界では、昔から盗品やコピー品が多数取引されてきました。ときには、海外を巻き込む大事件に発展することもあります。そのような犯罪を取り締まったり、未然に防いだりするために、古物商許可の取得が義務付けられているのです。
もし盗品や偽造品と思しき商品が見つかったら、すみやかに警察に通報し、捜査にも協力しなければなりません。わかっていながら見過ごすと、犯罪に加担していると疑われかねないので注意してください。
ちなみに古物商許可を取得せずに営業すると、「3年以下の懲役」あるいは「100万円以下の罰金」および「5年間古物商の許可取得ができない」の両方の罰が科される恐れがあるのでくれぐれも気をつけてください。
リスクは最小限でスタートする
せどりを始める目的が今よりもっと稼ぎたいというケースは非常に多いでしょう。かといって、スタートから手を広げすぎると失敗する可能性が高まるので要注意です。
・満足に管理できない高級品や、専門知識が必要な商品を無理して仕入れてしまう
・借金をして大量に仕入れる
・最初から多くの種類の商品を販売する
といったようなことは、くれぐれも控えてください。
それよりも、売れる分だけをこまめに仕入れるくらいの堅実なやり方の方がよいでしょう。
そして、売り上げが上がった状態で安定してきたら、徐々に品目を増やしたり、仕入数をアップさせたりします。それも一気に増やしすぎるのは危険です。少しずつ増やすことを心がけてください。その方が急に売れにくくなった時に、すぐに仕入れをストップさせて過剰在庫を回避することができるからです。
違法行為に注意
最後にせどりで注意しなければならない違法行為について解説します。
チケット転売
ライブやスポーツ観戦などのチケットの転売は、法律で固く禁じられています。
違反した場合は、「1年以下の懲役」か「100万円以下の罰金」、またはその両方が科せられるので気をつけてください。
盗品・偽造品の販売
先ほど古物商許可の項で説明しましたが、盗品や偽造品の販売は、重大な罪になります。偽造品については知らずに売っても犯罪です。
無許可の酒類販売
酒類を販売するためには、「酒類販売業免許」が必要になります。販売拠点を管轄している税務署長に許可申請します。
違反した場合は、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」になります。
無許可の医薬品販売
医薬品も酒類と同様、販売するためには「医薬品店舗販売業許可」が必要になります。
これも違反した場合「3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方が処されます。
本人確認をしない仕入れ行為
中古品販売は、仕入れに際して相手の本人確認が必要なことが、古物商取引法で定められています。
これは、実店舗せどりでも電脳せどりでも同じです。
ただ電脳せどりはオンラインで仕入れるので、本人確認が難しいです。なりすましの場合、見破るのは簡単ではありません。
そこで、この場合は警察で定められている非対面取引における確認に従う必要があります。
複数の方法があり、複雑でもあるので、詳しくは以下のサイトを参考にしてください。
まとめ
せどりは、パソコンとスマホ、プリンターがあればだれでも始められるので、副業にする人も多いです。
ただし、商品ジャンルによってはライバルが多く、そう簡単には利益が出ない恐れもあります。
そのため、とくに初めは慎重にスタートし、売れる分だけ仕入れるくらいがよいでしょう。売れないとなれば、いつでも仕入れをストップする勇気も必要です。
うまくいくかどうかが心配な方は、仕入れるのではなく、不要品をフリマアプリで売るところから練習してみるのもおすすめです。相場をつかみ、値決めして、商品を梱包・発送するなど、初心者がせどりの感覚を養うにはうってつけです。
まずは副業から、ぜひ楽しみながら始めてみてください。