「せどりは儲からない」と言われることが少なくありません。果たしてこれは事実なのでしょうか。
だとすれば、これからせどりを始めると後悔することになるのでやめておいた方がよいでしょう。しかし実際には、かなり儲けている人たちも存在します。
そこで今回は、せどりが儲からないと言われる理由や儲けている人の特徴、またせどりのメリットや注意点について解説します。
せどりが儲からないと言われる理由
この項目では、せどりが儲からないと言われる理由を8つご紹介いたします。
1つや2つならまだしも、8つもあるわけですから、儲からないというのはあながち嘘とも言えません。どのような点が儲からないと言われる所以なのか、しっかりと把握しておきましょう。
利益確保が難しい
せどりは、自身で商品を製造して売るのではありません。メーカーや個人が作った商品を仕入れ、利益を上乗せして販売するビジネスです。
自身が製造者ではないため、小売価格の決定権はありません。すでに一定の価格がついている商品をどこかから仕入れます。
しかし、利益を出すために仕入れ値よりも高く売ると、一般の消費者には「他よりも高い」と思われる可能性があります。
そうならないためには、利益を度外視して薄利で売らなければならないことが多く、売れたとしても高額な利益を確保することが難しいケースがよくあります。そのため、せどりは儲からないと言われるのです。
中には、新発売の商品をいち早く入手して高額で販売する人もいますが、これはいわゆる「転売ヤー」として批判の的になっています。このやり方で長く稼ぎ続けるのは、極めて困難でしょう。
ライバルが多い
せどりは、自身で商品を製造するわけではないうえに、特別な資格も必要ないため参入障壁が低いです。したがってライバルが非常に多いです。
よほど何らかの形でオリジナリティを出さなければ生き残っていくのが大変という面があることは確かでしょう。
需要が急減することがある
せどりには、実店舗で仕入れてネット販売する「実店舗せどり」と、オンラインで仕入れてそのままネットで売る「電脳せどり」の2種類があります。
いずれにしても販売するのはオンラインになり、ネット販売はトレンドに大きく左右される傾向が強いです。
急激に高騰する例もありますが、逆によく売れていたものがまったく売れなくなったり、安値でしか買い手がつかなくなったりもします。すると、予定売上を大きく下回り、継続していくのが難しくなるケースがあるのです。
アカウント停止になるリスクがある
せどりを行う場合、自身でネットショップを開設するケースもありますが、多くはECプラットフォームを活用することになるでしょう。
その場合、規約に則って利用しなければなりません。故意であってもなくても、規約に違反すると出品停止やアカウント停止などのペナルティが科されます。中には、何が悪かったのかさっぱり分からないまま厳しく処分されるケースもあります。
そうなると、それまでどれだけ売り上げがあっても没収されたり、その先は無収入になってしまったりするので、非常に大変です。
業務に疲弊する
せどりは自己で生産するわけではありませんから、常に仕入れ先を見つけなければなりません。
せどりはライバルが非常に多いので、良い仕入れ先は人気が集中します。すると狙った商品が入手しにくくなるといった事態も起きるでしょう。
また、せっかく仕入れても高く出品しすぎると買い手がつかなくなるので、高級品やレア品などでない限りライバルより1円でも安く売るほかなくなります。
さらに、売れればすぐに梱包して発送しなければなりません。もし送った商品が破損していたとなれば、返品や返金、クレーム対応なども必要になるでしょう。
こうしたことをひっきりなしに繰り返していると、作業がハードな割に儲けがない現実に疲れてしまうことがあるのです。
せどりに飽きる
せどりそのものが大好きで、いくら続けても飽きないという人もいます。
しかし、実際に始めてみると思った以上にハードで、仕入れては売り、また仕入れ……といった単純作業に飽きが来て、結局満足のいく儲けが出る前に辞めてしまうケースも少なくありません。
家族から不満が出る
せどりを続けていると、家族の不満が強くなることも考えられます。
仕入れた商品は、曜日や時間帯に関係なくひっきりなしに届くようになるため、その対応は思いのほか面倒です。しかも売れるまでは自宅で保管しなけれなならないことも多いです。
また、売れたら売れたですぐに梱包しなければなりません。当日配送や翌日配送といったサービスの場合は、夜中とか早朝、休日でもすぐに梱包のうえ発送しなければならないでしょう。
梱包作業はガムテープを剥がしたり、段ボールを組み立てたり、プチプチなどの梱包資材も多用します。これらの音は家中に響き、就寝中やくつろぎたいときには、特に不快に感じるものです。
こうしたことが積み重なると家族から反対され、自宅で続けづらくなります。といって、オフィスを借りるとなると経費がかかるため、成果が出る前に断念せざるをえないケースもあるのです。
予想以上にコストがかかる
すべてとは言えませんが、せどりは予想よりもコストが多くかかって、負担になることがあります。
特に単価の高いブランド品や限定品などは、仕入れるだけでも相当の金額を用意しなければなりません。ECプラットフォームで販売する場合、販売金額に応じた手数料を支払う必要があり、これも思いのほか利益を圧迫します。
他にも仕入れ時の交通費やガソリン代、商品を発送する際の送料、梱包資材費用といったさまざまなコストがかかってきます。
もちろん売れなければ在庫となり、1円の収入にもならないので、場合によっては貯金を切り崩したり、融資を受けたりしなければならなくなるでしょう。
資金繰りが厳しくなれば、続けたくても途中で辞めざるを得なくなります。
せどりで儲けている人の特徴
前項では、せどりが儲からない理由をご紹介しましたが、せどりで儲けている人がいないかというと、決してそうではありません。実際にせどりで大きな利益を得ている人たちは存在します。
では、儲からない人と儲けている人の違いはどこにあるのでしょうか。続いては、せどりで成功している人に共通する特徴について詳しく解説していきます。
リサーチに注力している
せどりでしっかりと儲けている人たちは、リサーチを入念に行っています。
「何が」「いくらで」「どれくらい」「どのECサイトで売れているか」といったことをリサーチツールを使って常にチェックしています。
よく売れている商品を、もっとも安く仕入れることができるショップから入手し、もっとも高く売れるECサイトで売るわけです。
市場の動きを見て、売れにくいと思ったらセット販売したり、割引セールをしたりといった工夫にも余念がありません。
商品の人気や価格のみならず、消費者心理についても深く研究しながら売れる仕組みづくりをしっかりと行っているのです。
よい仕入れ先を確保している
せどりで儲け続けるためには、新たな商品をコンスタントに仕入れなければなりません。儲けている人たちのショップは、商品の回転率が非常に高いです。そのため、仕入れては売り、また仕入れて……の繰り返しになります。
このプロセスを高速で維持するためには、よい仕入れ先を豊富に確保しておく必要があります。
信頼できる仕入れ先が複数あれば、ひとつの仕入れ先で商品が枯渇しても他で代替したり、ある仕入れ先が値上げをしたら、他の安いところから仕入れるといったことが可能になるでしょう。
利益率の高い商品を販売している
せどりで成功している人たちは、利益率の高い商品を販売しています。いくら数多くの商品を売っても、利益率が低ければ経営状態は苦しくなる一方だからです。
一定の利益が確保できれば、それを仕入れに回すことができるので、貯金を切り崩したり、銀行から融資を受けたりする必要もありません。
販売する時期を工夫している
せどりでは季節を意識することが非常に重要です。時期に関係なく常に需要がある商品も多いです。しかし、通年でいつでもまったく同じように売れているかというと、案外そうでもありません。
せどりで稼いでいる人たちは、春や秋といった季節やカレンダー上のイベント(クリスマスやハロウィーンなど)、新入学シーズンなどを狙って高く売れる商品をタイミングよくチョイスして出品しています。
シーズン後半になると、セールやセット販売を行って、不良在庫にならない工夫もしています。
カスタマー対応が丁寧
せどりで稼ぐには、リピーターやファンの存在が欠かせません。その時限りのクライアントだけで一定の収益を上げ続けていくのは極めて難しいからです。
継続して贔屓にしてもらおうと思えば、親切で丁寧な接客態度が欠かせません。他では味わえない心地よさやお得感があれば、「またここで注文しよう」と思ってもらえるでしょう。
口コミにポジティブなコメントを残してくれることもあり、それがさらに集客につながるという好循環も生まれます。
せどりのメリット
この項目では、せどりをおこなうメリットについて詳しく解説いたします。
誰でもすぐに始められる
せどりは、特別な資格がなくても始められるので、参入障壁が低いです。
中古品の仕入れ販売を行う場合は、古物商許可が必要ですが、これも最寄の警察署に申請すれば、基本的に誰でも取得できます。
パソコンとスマホ、プリンター、通信環境があれば、自宅でもできるため、他の自営業と比べるとかなりとっつき易いでしょう。
副業に適している
せどりは、副業におすすめです。会社に勤めながら、スキマ時間で行うことができ、学生や主婦でも学校や家事の合間に行えます。
特に電脳せどりなら、わざわざ仕入れのために店舗に出向く必要がなく、仕入れも販売もネットで完結するので、在宅副業としてうってつけでしょう。
初期費用が少なくて済む
せどりは、初期費用が少なくて済む点も魅力です。
一般的な自営業の場合、設備投資や人件費、オフィス賃料、什器備品など多額のイニシャルコストがかかります。そのために借金をすることも珍しくありません。
せどりはそこまでせずとも、パソコンやスマホなどがあれば後は仕入れに必要は資金を準備してスタートできます。借金を返済するプレッシャーに悩まされずに済む点も非常に大きなメリットでしょう。
いつでも辞められる
副業でせどりを始めた場合は、いつでも辞めることが可能です。
特に自宅で行なっている場合は、在庫さえ処分すれば、残るのはパソコンやプリンターなどせどりを行う前とほぼ何も変わりません。少し休んで自分の都合でいつでも再開することができる点も、せどりならではの利点でしょう。
本業にシフトしやすい
せどりは、副業でうまくいったら、そのまま本業にシフトしやすいです。もちろん扱う商品が増えたり、一部の作業を外注したりすることはあるかもしれません。
しかし、基本的な流れは、副業でしてきたことと大きく変わらないため、抵抗なく本業にすることができるでしょう。
せどりの注意事項
この項目では、せどりをおこなう上で注意しておくべき点についてご紹介いたします。
在庫過多に注意
せどりでは、在庫が増え続ける状況に陥ると危険です。仕入れるにはお金がかかりますが、売れなければ収入は増えません。そのため在庫過多になると貯金を切り崩すなどして対応せざるを得なくなります。
会計上でも、その年度に売れなかったものは経費として計上できないため、支払う税金も増えてしまいます。こうなると経営が苦しくなって、やがて続けられなくなる恐れがあるので注意しなければなりません。
価格競争の注意
せどりではライバルが非常に多いため、どうしても価格競争に巻き込まれがちになります。ユーザーは1円でも安いところから買おうとするので、売れるためには価格を落とさざるを得なくなるからです。
そうなると、資金に余裕のある大手が有利となり、特に経験の浅い個人のせどり業者は生き残るのが難しくなるでしょう。
そのため、できるだけ価格競争の少ないプラットフォームを選択したり、利益率の高い商品を見つけたりするのがおすすめです。
偽造品に注意
せどりでは、偽造品や海賊版などを売らないように注意する必要があります。分かっている場合は問題ありませんが、そうとは知らずに売ってしまうケースがあり、それでも販売すれば刑事罰の対象になります。
知らなかったでは済まされないため、コピー品が多く出回っているブランド品やキャラクターグッズなどを扱う場合は、十分に注意してください。
出品禁止商品に注意
Amazonや楽天などのECプラットフォームを利用する場合は、上記の偽造品を含め、出品が禁止されている商品が多くあります。
チケットや医薬品、農薬、アダルトなど、各プラットフォームで細かく規定されているため、確実に遵守する必要があります。
違反した場合は、即アカウント停止処分になることもあり、そうなるといっさいせどりが出来なくなるので、くれぐれも注意してください。
まとめ
「せどりが儲かるというのは嘘」というのは、当たっている面もあれば、そうでないとも言えます。
単なる場当たり的なやり方では、長く続けていくことは確かに難しいかもしれません。しかしノウハウを研究し、独自の工夫を凝らしていけば、儲けることも可能です。
これからせどりで稼げたいという方は、ぜひしっかりと準備を行なってから無理なくスタートするようにしてください。