USPSを利用してアメリカから日本に荷物を発送する方法とは?

アメリカ版AmazonやeBayなどの国外通販サイトで商品を購入すると、「USPS」という単語をよく目にします。

USPSは、アメリカ本土から発送される商品の配送方法として一般的に利用されています。

今回は、USPSを利用してアメリカから日本へ配送する方法や商品が届かないときの対処法などについて解説したいと思います。

目次

アメリカ合衆国郵便公社「USPS」の基本情報

「USPS」とは、アメリカ合衆国の郵便公社「United States Postal Service」の頭文字を取った単語を指します。

英会話では郵便局を「Post Office(ポストオフィス)」と言いますが、組織名としては「USPS」という表記が一般的です。

アメリカから荷物を発送する際に「USPS」を利用するため、通販サイトにも「USPS」に関する記載があるというわけです。

さっそく、「USPS」の基本情報をご紹介したいと思います。

USPSとは?日本の郵便局との違い

USPSはアメリカの郵便局のことを指しますが、日本の郵便局が行っているゆうパックや普通郵便のサービスとは異なる点があります。

USPSでアメリカから日本に届いた荷物は税関にてチェックが行われ、そこで問題がないと判断されたものが日本の各地に配送されるシステムとなっています。

USPSの窓口は、平日や土曜日に営業している店舗が多く、日曜日・祝日は休業であることがほとんどです。

日本の郵便局と同じく、配送業務は基本的に毎日行われます。

アメリカからUSPSを通した日本への郵送料は円安の影響で2倍に!

USPSは、もともと料金が安いほうではありません。それに加えて、現在は円安の影響を受けて、アメリカから日本への郵送料は日本からアメリカへの送料と比べて約2倍になっています。

重量日本→アメリカ(EMS)アメリカ→日本(ExpressMail)
1kg5,300円93.55ドル(13,190円)
2kg7,900円106.35ドル(14,995円)
3kg10,300円119.10ドル(16,793円)

(注)1ドル=141円(2023年12月15日現在)で換算

上記のように、1kgの荷物の場合は2倍以上、3kgの荷物の場合は1.5倍程度の差があります。

参考:USPS料金表

Priority Mail Express InternationalなどUSPSを通す時の配達日数

USPSから日本への配送方法は全て航空便となっています。

クラス分けされている配達日数について見てみましょう。

クラス詳細配達日数の目安
First Class Mail International日本の普通郵便(定形郵便・定形外郵便)2週間以内
Priority Mail International日本の国際郵便小包(航空便)10日以内
Priority Mail Express International日本のEMS(国際スピード郵便)5日以内
Global Express GuaranteedPriority Mail Express Internationalよりも送料が高いサービス3日以内

Priority Mail Express InternationalなどUSPSの追跡サービス

USPSの追跡サービスは、通常は毎日夕方に更新されますが、土曜日・日曜日・祝日は更新が行われません。更新されない期間中は、荷物の正確な現在地を知ることができません。

もっとも、追跡サービスは利用できなくとも配送業務が停止しているわけではないので、そこまで心配する必要はないでしょう。

USPSの日本への配送が遅延するシーズン

USPSから発送された荷物は、シーズンによって配送が遅延することがあります。

例えば、クリスマスや年末年始、大統領選挙などアメリカにとって重要なイベントがある期間は遅延が珍しくありません。

また、ゴールデンウィーク・シルバーウィーク・お盆など、日本の高速道路が混雑するシーズンにおいても、通常よりも配達日数がかかりがちです。

送料が高いUSPSのメリットとは?

この記事でも紹介したように、USPSは比較的送料が高いです。しかし、それでもUSPSを利用する人は少なくありません。

その理由として、USPSには2つのメリットが考えられます。

関税がかからない可能性ある

海外から日本へ商品を輸入する場合、通関手続きのときに関税が発生します。しかし、郵便の荷物は関税がかからず、税関を通ることがあります。

郵便は、DHLやFedEXなどの業者とは、通関手続きが異なるからです。この通関手続きの違いをうまく利用して、関税率が高い革製品などを輸入する場合にUSPSを利用する人が増えています。

ただし、郵便は関税がかからないという保証はないので、関税がかかるケースもあります。

大雑把な商品説明でも通関できる

USPSは商品の内容が大雑把でも通関できることがあります。一般的に国外へ配送するときは、コマーシャルインボイスにその商品の原産国や正味重量・素材などを詳しく書く必要があります。

例えば、食器などのギフトセットをFedEXなどの配送業者に依頼する場合は、中身の食器を詳しく記載しなければいけません。

ところが、USPSの場合はGlass setで通関することがあります。ただし、あまりに大雑把すぎると、詳細不明で戻ってきてしまうこともあるので注意しましょう。

USPSの各種配送方法について

USPSの配送方法は数種類あります。

それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

First Class Mail International

定形郵便・定形外郵便など、日本郵便の普通郵便に該当するサービスであり、最も郵送料金が安く設定されています。

アメリカから発送されてから日本に到着するまで、最大2週間ほどかかります。

日本郵便の普通郵便と同じく、日本国内に荷物が到着してからは追跡が不可能となります。

Priority Mail International

日本郵便の国際小包(航空便)に該当するサービスであり、USPSの配送方法の中で最も多用されています。

配送日数は最大で10日ほどかかります。

追跡は、First Class Mail Internationalと同じくアメリカ国内のみ可能です。

Priority Mail Express International

Priority Mail Express Internationalは、日本郵便のEMS(国際スピード郵便)に該当する速達サービスであり、送料が高めに設定されています。

Priority Mail Express Internationalを利用すると、アメリカから日本までの配送日数は最大で5日程度です。

Priority Mail Express Internationalは日本に到着してからの税関手続きが他の配送方法よりも優先されるため、状況に応じて利用すればとても便利な配送サービスです。

Priority Mail Express InternationalとGlobal Express Guaranteedの違い

Priority Mail Express Internationalよりも送料が高い、USPSならではの配送方法です。

アメリカから日本までの配送日数は最大で3日程度ですが、送料が高額であるためネット通販ではあまり利用されていません。

しかし、アメリカはもちろん、日本国内でも荷物を追跡できるという強みがあります。

Priority Mail InternationalとPriority Mail Express Internationalの違い

送ることのできるサイズに違いはなく、どちらも、長さが60インチまで、横周りが108インチまで、重さが66ポンドまでです。

大きな違いは、料金と配送日数です。Priority Mail Internationalと比べて、Priority Mail Express Internationalの方が30ドル程度高い料金がかかります。その代わり、Priority Mail Internationalが6~10営業日かかるのに対し、Priority Mail Express Internationalは3~5営業日で到着します。

加えて、Priority Mail Express Internationalは、先述の通り、国内に到着すると他の方法よりも税関手続きが優先されて扱われるため、配送依頼日によっては、Priority Mail Internationalよりもかなり早く到着する可能性があります。

サービスを重視するなら、少し高くてもPriority Mail Express Internationalを

それぞれ配送方法によってメリット・デメリットが変わるため、何を重視するかによって選択するものは変わってきます。もし、料金を最重視するのであれば、間違いなくFirst Class Mail Internationalが良いといえます。ただし、配送に時間がかかったり、追跡できなかったりなどに注意する必要があります。

もし、サービス内容を重視するのであれば、やや料金が高くなりますが、配送にかかる日数が短く、ある程度のサイズまで配送可能なPriority Mail Express Internationalを選ぶのがおすすめです。

アメリカから国際郵便を出す方法

アメリカから日本へ国際郵便(ハガキ・手紙を除く)を出す時は、以下の必要書類を荷物と一緒に提出する必要があります。

First-Class Mail International重量15.994オンス以下の場合は不要。税関申告書類「PS Form2976」を添える
Priority Mail International税関申告書類「PS Form 2976-A」を添える
Priority Mail Express International税関申告書類「PS Form 2976-B」を添える
Global Express Guaranteed専用の送り状「GXG International Air Waybill」と宛先によっては税関申告書類「PS Form 6182」が必要。

USPSの追跡方法と追跡トラブル対処法

アメリカのUSPSから発送された荷物が届かない・遅延している場合は、一体どうするべきでしょうか?

続いては、USPSの追跡方法や追跡時のトラブル対処法についてご説明します。

USPSで発送された荷物の追跡方法

USPSで発送された荷物は、USPSの公式サイトと日本郵便の公式サイトを利用した2種類の方法で追跡できます。

いずれの方法でも、荷物の差出人から通知された「UA 000 000 000 US」などのトラッキングナンバー(追跡番号)が必要となります。

最初の英字は配送方法の種類、最後の2文字は発送地を表しているため、トラッキングナンバーは荷物によって異なります。

USPS公式サイトでの追跡方法

USPSの公式サイトにアクセスし、トップページの「Search or Track packages」にトラッキングナンバーを入力し、右の段ボールと虫めがねのアイコンをクリックしてください。

アメリカから日本までの配達状況が追跡できます。

日本郵便公式サイトでの追跡方法

日本郵便公式サイトにアクセスし、トップページの「郵便・荷物の追跡」にトラッキングナンバーを入力し、右の虫めがねのアイコンをクリックします。

荷物が日本に到着してからの配達状況が追跡可能です。

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USPSの追跡結果が示す英文の意味

USPS公式サイトでは、追跡結果が英語で表示されます。それぞれの言葉の意味と日本語訳をご紹介します。

Electronic Shipping Info Receivedインターネット上で発送を受け付けたことを意味し、荷物の差し出しは行われていない状況
Acceptance発送元からUSPSに荷物が差し出された状況
Dispatched to Sort Facilityアメリカの小さい郵便局から大きな郵便局(区分局)に荷物が到着している状況
Processed at USPS Origin Sort Facilityアメリカの区分局から荷物を発送する準備に入っている状況
Depart Sort Facilityアメリカの区分局から荷物が発送された状況
Arrived at Sort Facilityアメリカの国際交換局に荷物が到着している状況
Processed Through at Sort Facilityアメリカの国際交換局にて区分けが終わった状況
Customs Clearanceアメリカの国際交換局にて通関手続きが行なわれている状況
Customs Clearance Processing Complete国際交換局から日本に荷物が発送された状況
Arrival at Post Office日本の配達担当郵便局に荷物が到着した状況
Out for Delivery荷物が日本の郵便局から配達先に向かっている状況
Delivered配達が完了した状況

荷物を追跡できない場合の対処法

USPSの公式サイトで荷物をチェックしても「NOT FOUND」と表示され、追跡番号が反映されない時があります。

そもそも、リアルタイムに配達状況を反映している日本郵便の追跡システムとUSPSの追跡システムのサービスレベルは同等ではありません。

そのため、追跡結果にタイムラグがあったり、一部の追跡結果が反映されなかったりすることはよくあることです。

発送連絡から1週間以上経ってもUSPSの追跡状況が利用できない場合は、荷物の差出人に連絡することをおすすめします。

USPS発送の荷物が届かない時の問合わせ先

USPSから発送された荷物が不着や配送遅延、または破損していた場合の問い合わせ先について解説します。

USPSの問い合わせフォームについて

USPS公式サイト内の「File a Claim」というページに問い合わせ先が記載されています。

「Claim(クレーム)」の意味合いは、日本とアメリカではやや異なります。

日本では「苦情」「抗議」といったネガティブな印象がありますが、アメリカでは「問い合わせ」や「申し立て」のような意味合いを指しています。

USPSでは国内郵便と国際郵便の問い合わせ窓口を分けており、国際郵便の問い合わせは基本的にアメリカの発送者しか開始することができません。

なお、問い合わせには13桁のトラッキングナンバーが必要となります。

オンラインでの問い合わせが不要な発送方法

オンラインでの問い合わせサービスが対象外となる郵便物は以下のようになっています。

◆Global Express Guaranteed
◆First-Class Mail International
◆First-Class Package International Service

First-Class Mail、First-Class Packageで発送された荷物は、日本郵便に調査を依頼できます。

Global Express Guaranteedを含む、その他の問い合わせ方法を見てみましょう。

配送方法に応じた問い合わせ方法

USPSでは配送方法に応じて問い合わせ方法が定められています。

◆Global Express Guaranteed

発送者もしくは受取予定人が問い合わせ可能

問い合わせ受付期間:発送日から3~30日

問い合わせ先:電話(1-800-222-1811)での受付

◆Priority Mail Express International

オンラインでの問い合わせは、アメリカの発送者のみ可能

問い合わせ受付期間:発送日から3~90日

到着予定日から3日以上経った場合に問い合わせましょう。

◆Priority Mail Express International with Money-Back Guarantee

発送者もしくは受取予定人が問い合わせ可能

問い合わせ受付期間:発送日から3~30日

紛失・破損・内容物の不足については90日以内であれば問い合わせ可能です。

◆Priority Mail International

発送者もしくは受取予定人が問い合わせ可能

問い合わせ受付期間:発送日から1週間~6ヶ月

オンラインでの問い合わせはアメリカの発送者しかできません。

◆Registered Mail Service

発送者もしくは受取予定人が問い合わせ可能

問い合わせ受付期間:発送日から1週間~6ヶ月

到着予定日から7日以上経った場合に問い合わせましょう。オンラインでの問い合わせはアメリカの発送者しかできません。

問い合わせフォームへの入力方法

配送方法に応じた問い合わせ条件を確認したら、さきほどご紹介した「File a USPS Claim」のページの「International Shipments」タブをクリックしてください。

表示されたページ中の「Create an Inquiry」というボタンをクリックしてログイン画面を表示させましょう。

ユーザー名とパスワードを入力し、サインインしてください。アカウントがない場合は、アカウントを作成する必要があります。

下記項目を入力して「Search」をクリックしてください。

Tracking Number:追跡番号
Destination Country:発送先の国名
Shipping Date (mm/dd/yyyy):発送日

以下のようなサーチ結果が表示されます。

入力番号が正しければ荷物の情報が表示されます。

続いて、下記項目を入力していきましょう。

Select Service Type:発送方法の種別
Reason for Inquiry:問い合わせ理由
Package Weight:荷物の重さ
Package Value:荷物の内容品の価格
Package Contents Description:内容品の情報・説明
Postage Paid:配送料
Additional Insurance Fees Paid:保険料
Additional Fees:その他にかかった郵送費用

Mailer’s Address:差出人の住所
Addressee’s Address:受取人の住所

Describe Package Wrapping:荷物の外観や特徴に関する記載(写真も添付可能)
Additional Information:追記欄

「terms and conditions(規約と条件)」にチェックして、「Submit Inquiry」をクリックすれば問い合わせ完了となります。

まとめ

USPSのシステムを知っておくと、アメリカのサイトで商品を購入した際も安心です。

荷物が日本に到着するまでの期間を調べたり、未着の荷物について問い合わせたりするときは、ぜひこの記事を参考にしてください。

また、この記事でご紹介した知識はeBay輸出などの転売ビジネスでも役立ちます。

輸出ビジネスでバイヤーとの不要なトラブルを避けるためにも、USPSに関する知識を身につけておきましょう。

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この記事を監修した人

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