AmazonのFBAを利用する際、倉庫に納品する送料は必要経費ですが、無駄に高い送料を支払っていないか見直す必要があります。送料を抑えられれば、その分利益が増えるからです。
この記事では、AmazonのFBA倉庫へ納品する際の送料を安くする方法を解説します。Amazonで出品を考えている人は是非参考にしてください。
Amazonが提供するサービス、FBAとは?
FBAは、「フルフィルメント by Amazon」の略で、商品の保管、注文処理、配送、返品に関するカスタマーサービスまでを一貫して提供するAmazonのサービスのことです。
このAmazonのサービスを利用すると、出品者は業務の多くをAmazonに任せることができ、大幅に省力化できます。FBAを利用するには、Amazonの倉庫に商品を納品しておく必要があります。
このときにかかる送料について、この記事で解説していきます。
FBAパートナーキャリアについて
Amazonに納品をする際に、FBAパートナーキャリアというサービスを利用することができます。Amazonに納品する商品の配送業者をパートナーキャリア(日本郵便またはヤマト運輸)に指定すると受けられるサービスです。
このサービスを利用すると、配送ラベルを簡単に印刷できたり、配送料を出品者のアカウントに請求してくれて手続きが簡単になったりといったメリットがあります。
また、以前はAmazonのFBAパートナーキャリアを使うと送料が無料になるサービスがありました。送料無料サービスが終了してからも、割安の料金で発送できるサービスが提供されていました。
失われていくFBAパートナーキャリアのメリット
便利でお得だったAmazonのFBAパートナーキャリアですが、現在の配送料はゆうパックの基本運賃と同額に改定され、送料に関してFBAパートナーキャリアを使うメリットが失われてしまいました。
また、かつてはAmazonの納品先倉庫を固定できるというサービスもありましたが、これも廃止されました。
メリットがなくなったかと思われていましたが、2021年4月22日よりヤマト運輸がAmazonのFBAパートナーキャリアに参加しました。
FBAパートナーキャリア・ヤマトオプションは、同社基本運賃と比べて最大67%の割引率となる特別料金で利用可能になります。
FBAパートナーキャリアは、配送スピードが遅い?
FBAの送料無料のサービス期間は配送スピードが遅く、多くの荷物がパートナーキャリアに集中したため、配送日数が長くなるというデメリットがありました。Amazonで発送をしてから受領まで1週間程度かかった時期もありました。
現在では、送料の改定でFBAパートナーキャリアを使うメリットが小さくなり、荷物が集中することは解消されました。しかし、配送が早くなったわけではないので、FBAパートナーキャリアをあえて利用する必要性が高くなったとはいえません。
AmazonのFBA倉庫への納品はどの配送業者を使えば送料が抑えられていいのか?
現状、amazonのFBA倉庫への納品は、どの配送業者を使うのがベストなのでしょうか。順番に検討してみます。
近距離限定の割安宅配「エコムー便」
続いてFBA倉庫への納品で配送料が魅力的なのはエコムー便です。エコムー便は、配送地域を近くの都道府県に限定することで、配送料の安さを実現しているサービスです。
サービスの特性上、残念ながら沖縄と離島はサービス対象外となっています。配達可能地域は同社のホームページで調べることができ、例として東京都の場合は下図になります。
送ることができる荷物は、3辺合計160cm未満、重量30kg未満です。配送地域は限定されますが、料金はかなりお得です。
AmazonのFBAパートナーキャリアでもあるヤマト運輸は多様な送料割引サービスがある
国内最大手のヤマト運輸では、多様な送料割引サービスが展開されています。中でも、クロネコメンバーズカードの電子マネー機能を使うと割引になる「クロネコメンバー割」は10%〜15%引きと割引率が大きいのが魅力です。
その他にも、荷物の持ち込みをすると割引を受けられる「持込割」があり、通常100円の割引がクロネコメンバーであれば150円の割引になります。クロネコメンバーズカードの発行費や年会費は一切かからないので、とりあえず持っておくのをおすすめします。
ヤマト運輸はAmazonのFBAパートナーキャリアでもあるので、FBAを利用するなら選択肢から外せません。
大型商品なら佐川急便
佐川急便はヤマト運輸と肩を並べる大手配送業者です。
FBA倉庫に納品時の料金はクロネコメンバー割などが充実しているヤマト運輸に軍配が上がりますが、ヤマト運輸では対応してくれない3辺合計260cm以内、重さ50kgまでの商品を配送してくれる「飛脚ラージサイズ宅配便」があります。
Amazonで大型の商品を送りたいときは佐川急便を利用しましょう。
契約をしている場合はプライスター急便も
商品リサーチや利益計算ツールでおなじみのプライスターが提供するプライスター急便もおすすめです。
AmazonのFBA専門の物流サービスで、プライスターと契約していれば誰でも利用できます。サイズは3辺合計160cm以内、30kgまでとやや小さめですが、利用料金も安く簡単に使えます。
実はあなどれない、ゆうパック
条件によってFBA倉庫へ納品時の送料はゆうパックが一番安くなるケースがあります。先程も紹介しましたが、AmazonのFBAパートナーキャリアの送料はゆうパックの基本運賃と同額です。FBAパートナーキャリアも選択肢に入りますね。
実は、ゆうパックの料金は躊躇するほど高くありません。ゆうパックの基本運賃表によれば、東京から東京に送った場合の価格は以下の通りです。
東京から周辺地域(東北・関東・信越・北陸・東海)に送った場合の料金は、以下の通りです。
ゆうパックを使って、AmazonのFBA倉庫へ納品時の送料を安くする方法
ゆうパックの送料は他と比べると安いです。近場の郵便局やコンビニから荷物を送れる手軽さもあります。ゆうパックで送料を抑えて安くAmazonのFBAへ荷物を送れる方法についてご紹介します。
ゆうパックの安さを検証
ゆうパックの料金について確認しておきましょう。
参考:ゆうパック運賃・料金計算
下記はヤマト宅急便の料金検索ページです。
参考:料金・お届け予定日検索
ここでは、ゆうパックとヤマト運輸の宅急便料金と比較してみます。例として、東京から小田原倉庫がある神奈川へ100サイズの荷物を発送する場合の料金を調べてみます。
ゆうパックは、1,500円(税込)でした。
ヤマトは、キャッシュレス決済1,529円(税込)、現金支払1,500円(税込)です。
ゆうパックの方が若干安いという結果になりました。
ここで、「クロネコメンバー割」や「クロネコメンバー割BIG」を使えば、ヤマト宅急便の方が安いのではと思われるかもしれません。確かに安くなりますが、クロネコメンバー割は荷物を送るのに制限があり少し不便です。
クロネコメンバー割を使うには、クロネコメンバーズに会員登録して電子マネーカードを作る必要があります。このクロネコ電子マネーカードはヤマト運輸のサービスのみ使用可能で、他では使えません。
またメンバー割を受ける場合、コンビニや取扱店では受付できずヤマトの直営店(営業所)に持ち込む必要があります。セールスドライバーに集荷を依頼することもできますが、持込割の適用外となります。
直営店が近くにあれば不自由はないかもしれませんが、継続的にヤマト運輸中心で利用する人以外は、クロネコメンバー割はあまりおすすめできません。
ゆうパックをお得に使う方法
前述のヤマト宅急便に対して、ゆうパックには手軽に使える割引サービスがあります。以下のような、「持込割引(120円引)」、「同一あて先割引(60円引)」、「複数口割引(60円引)」です。
「同一あて先割引」と「複数口割引」は併用できないので、送料が割引になるのは合計180円までですが、ヤマトの場合のように直営店に限るというものではなく、ゆうパック取扱所への持ち込みで大丈夫です。もちろん、メンバーズに加入するといった手間もありません。
お住まいの地域によってはヤマト宅急便の方が便利な場合もあるでしょうから、ゆうパック一択とまでは言いませんが、是非割引を利用してください。
梱包の方法について
梱包を工夫することで、結果的に配送料を下げることもできます。ここでおすすめするのは、緩衝材を使った梱包です。
CDやDVDのような商品を送る際には、緩衝材でくるむことでダンボールの中に、多くの商品を詰めることができます。
下記のURLにあるような最初から袋状になった専用の包装材もありますから、それらを利用してもいいでしょう。
参考:Amazon
商品を緩衝材で包まずに箱に入れ、隙間を新聞紙や緩衝材などで埋めて梱包すると無駄なスペースができます。その結果、商品同士がこすれててキズや破損の原因になります。
多少手間はかかっても個別に包む方が、多くの商品を箱に詰めることができ、キズや汚れによる返品のリスクを下げられます。
レンタル倉庫を使ってAmazonのFBAへの配送料を安くする
ここでご紹介するのは、「サマリーポケット」というレンタル倉庫のサービスを使った方法です。
サマリーポケットのサービス内容
サマリーポケットはレンタル倉庫のサービスの一種です。倉庫に預けた荷物を、宅急便を利用して自由に出し入れできます。
預けた荷物を取り出す際の送料(取り出し送料)は全国均一で、880円~1,320円です。この送料と保管料を足した金額が、別の配送業者を使用した場合の送料よりも安い場合にはお得です。
料金プランについて
サマリーポケットには、スタンダードプラン、エコノミープラン、ブックス、大型アイテムプランがあります。
おすすめはボックスごとで管理するエコノミープランです。
他のプランは一点ごとに管理できてレンタル倉庫として利用するなら便利ですが、AmazonのFBA倉庫に納品するために一点ずつ取り出して送っても送料の節約にはなりません。
なお、この方法は初月の保管料が無料だったころにはかなり有効でしたが、初月保管料や早期取り出し料金がかかるようになった現在では、利用できる場面は限定的です。この点は頭に入れておいてください。
初月保管料と最低保管期間
現在では、サマリーポケットを配送料の節約に使うのは難しくなっています。
理由は、初月保管料と最低保管期間が設定されたことです。以前は初月保管料がなかったので、荷物を預けた月のうちにFBA倉庫へ発送してしまえば、月額保管料はかからず全国一律の配送料のみで送れました。
しかし現在では、荷物を預けた月にも日割りで初月保管料がかかり、最低保管期間の2ヶ月以内で荷物を取り出す場合は、早期取り出し料金がかかるようになりました。早期取り出し料金は入庫月に取り出した場合は2ヶ月分、入庫月の翌月に取り出した場合は1ヶ月分の保管料相当額がかかります。
したがって、エコノミープランでも最低550円は料金がかかり、配送料が加わって最低でも1,650円のコストとなります。
サマリーポケットの利用規約では、「保管サービスの用途の範囲から逸脱する入庫してから短期間での出庫を繰り返す行為」は禁止事項となっています。あからさまに送料節約のため利用していると判断されると、会員登録を抹消される可能性もあります。
サマリーポケットを利用するべき場合とは
それでもサマリーポケットを利用する場合を考えてみると、配送距離が長いケースが該当するでしょう。
サマリーポケットのボックスサイズは、レギュラーボックスの場合で幅43cm×奥行37cm×高さ33cmで、120サイズです。沖縄からAmazonの九州の倉庫に納品する場合なら、120サイズのゆうパックの料金は、2,130円なので、サマリーポケットを利用すると安く済みます。
AmazonのFBA倉庫までの距離が近く、送料節約のメリットがあまりない場合、利用規約の違反につながる恐れもあるのでサマリーポケットを使うメリットがありません。
サマリーポケットから配送するデメリット(その1)
サマリーポケットを利用する際には、以下のようなデメリットもあります。
デメリットの一つは、配送に時間がかかることです。AmazonのFBA倉庫へ送るまでにサマリーポケットを間に挟むことになりますから、どうしても時間がかかります。
倉庫に到着して入庫作業が行われ、それから取り出しを依頼してFBA倉庫への配送になるので、直接FBA倉庫へ送る場合よりも時間がかかります。集荷から登録完了まで最大1週間程度かかる場合もあります。
ボックスごとで管理するエコノミープランは他のプランほど登録作業に時間はかかりませんが、登録作業が終わるまで取り出しの依頼はできません。商品を一刻も早く売りたいような場合は、サマリーポケットを利用するのは難しいといえます。
サマリーポケットから配送するデメリット(その2)
サマリーポケットには、そもそも預けることができないものもあります。具体的には以下のURLに掲載されています。
食品は預けられませんし、液体物も預けられません。液体がNGなので、シャンプーや化粧水といったようなものはすべて不可となります。
禁止物には「壊れやすい物品」と記載があるので、送ることができる商品は限られてしまいます。エコノミープランは箱ごと預けるので実際には問題にならない可能性もありますが、預けられないアイテムと判断された場合は返送され、送料と手数料を支払うことになります。
サマリーポケットを利用したAmazonへの納品方法
ここからは、実際にサマリーポケットを利用してAmazonのFBA倉庫に納品するまでの手順について解説していきます。
まずは、サマリーポケットに会員登録します。以下のURLのトップページにある「はじめる」をクリックすると登録できます。
参考:サマリーポケット
無料のボックスを取り寄せる
サマリーポケットでは、箱を無料で送ってくれます。アカウントを登録したら、送付を依頼しましょう。下の写真のような箱が届きます。
ただし、箱を取り寄せてから1ヶ月以内に荷物を入庫しないと、箱の代金が発生しますから注意しましょう。
Amazonの納品プランを作成する
サマリーポケットから箱を依頼すると共に、AmazonのFBA倉庫への納品プラン作成も進めておきます。Amazonセラーセントラルで納品プランを作成しましょう。Amazonで納品プランを作成したら箱に貼るラベルを印刷して、FBA倉庫へ出荷する準備を整えていきます。
ヤマトに集荷を依頼、または持込
サマリーポケットはヤマトが集荷を行っています。集荷を依頼してもいいですし、近くに直営店や営業所があれば持ち込むこともできます。
箱には品名の記入欄があります。ここに自分が作成したFBAの納品プランと紐付けする情報を記入しておくと便利です。
箱にはFBAの配送ラベルを貼っておきます。
サマリーポケットに入庫
サマリーポケットの入庫作業が終了するのを待ちます。入庫が終わると、以下のような通知が届きます。
入庫が終わった後の作業
AmazonのFBA倉庫に発送する際には、箱の指定場所に納品番号や出庫予定時期を書いておくと、記録されるので便利です。あとはFBA倉庫に送付したいタイミングで、サマリーポケットに取り出し・発送の依頼をします。
注意点として、納品プラン作成から60日以上経つと、FBAのステータスが「納品準備完了」から「完了」になり、配送ラベルが使えなくなる可能性があります。
実際には3ヶ月程度でステータスが「完了」になってしまうケースが多いようなので、それまでにサマリーポケットから出庫をする必要があります。出庫手続きが終われば、FBA倉庫に到着するのを待つだけです。
【まとめ】AmazonのFBAへ納品する送料を安く抑えよう
AmazonのFBAで倉庫に納品する場合を中心に、送料を安く抑える方法について解説してきました。
送料は必ず必要な経費ですが、少しでも安く抑えることができれば、その分利益を増やせます。意識することが大事です。この記事を参考に、方法を検討してみてください。