「台湾にネットショップを出店したい」、「越境ECビジネスを台湾で展開したい」、この記事をご覧のあなたは、このような悩みをお持ちではありませんか。台湾は九州ほどの面積でありながら、高い経済力を持っていて、今後も経済が成長していくと予想されています。また、現地でのECサイト利用率はとても高いことが特徴的です。
そのような台湾で、ネットショップを出店する方法について詳しく解説していきます。記事内では台湾人ならではの行動や、出店する際に参考にしたいサイトなども触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
越境ECビジネスが拡大し続けている理由
今、越境ECビジネスが発展を遂げています。市場が拡大することになった4つの理由を詳しく見ていきましょう。
そもそも越境ECとは?
越境ECを知る前に、まずECについて理解しておく必要があります。ECとは「電子商取引」のことで、インターネットを活用した商品やサービスの売買を指します。
そして越境ECとは、「国境を超えた電子商取引」のことです。インターネットを通じて、国内の商品を海外の顧客に販売することを目的としたビジネスになります。
越境ECの市場が拡大することで、日本国内のみならず海外の購入者を獲得しやすくなってきています。日本のECモールが海外に出店したり、海外のECモールが日本に出店したり、ユーザーが国境を超えてショッピングをできる環境が作られています。
また、越境ECをサポートする企業なども増加しているため、これからも越境ECビジネスは加速していくことになるでしょう。では、越境ECビジネスが拡大し続けている理由を解説していきます。
理由その1.スマホユーザーの増加
越境ECが拡大している一つ目の理由は、「スマホユーザーの増加」です。インターネットが発達してスマートフォンユーザーが増えました。これによりネットショップを利用するユーザーも増加して、多くの人が海外のECサイトを閲覧できる環境に変化しています。
自国のネットショップと他国の商品を比較検討して、より良いものを購入することが容易になりました。さらに、自宅の近くにショッピングモールがない人でも、手軽に商品を購入できるようになったため、ECサイトはより拡大していくことでしょう。
安価なスマートフォンの出現により、今後もスマホユーザーがどんどん増えています。インターネットの普及率は全世界の57%なので、発展途上国のインターネット普及率が増えていけば、よりスマホユーザーが増加していくと考えられます。
理由その2.外国人観光客のリピート率増加
二つ目の理由は、「外国人観光客のリピート率増加」です。日本に訪れた観光客が、日本国内で商品を購入して自国へ帰ります。実際に使ってみて商品を気に入ったため、リピート購入をするというケースが少なくありません。
目当ての商品が店頭で取り扱いされていない場合でも、越境ECサイトであれば簡単に購入することができます。このように、実際に購入した商品をリピートするために、越境ECが使われることもあります。
他には、日本に来たことがない外国人が、お土産としてもらった商品を気に入ったという場合もあります。そのような時でも越境ECを利用することで、お目当ての商品を手軽に購入することができるようになります。
理由その3.出店コストを抑えることができる
三つ目の理由は、「出店コストを抑えることができる」ことです。ECサイトであれば、実際に店舗を構える必要はありません。現地の人を雇わなくても、出店するための家賃を払わなくてもビジネスを展開することができます。
ただ、越境ECを構築するためには、「サイトの立ち上げ」や「多言語化」などをする必要があります。しかし、費用は数十万円あれば十分なため、実際に現地で出店するよりもはるかにコストを抑えることができます。出店に関わるコストが低いことも、越境ECビジネスが拡大している理由です。
理由その4.ネット上で海外市場を開拓できる
四つ目の理由は、「ネット上で海外市場を開拓できる」ことです。越境ECなら海外に出店することは簡単なので、日本にいながら海外の市場を開拓していくことができます。
たとえ日本国内の消費が低下したとしても、顧客数の多い海外に向けて商品を販売することが可能になります。世界的に商圏を広げていくことで、ビジネスの規模を大きくしていくこともできるでしょう。
越境ECビジネスで注意するべきポイント3選
越境ECビジネスで注意するべきポイントは、以下の3つです。
・配送料などのコストが国内よりも高くなる
・販売先の法律に従わなければいけない
・日本とはルールや規制が異なる
もし越境ECを考えているのであれば、上記のポイントを必ず理解しておきましょう。
ポイント1.配送料などのコストが国内よりも高くなる
越境ECには、日本国内よりも配送料などのコストが高くなるという特徴があります。日本から海外へ商品を送るので、国際配送料が割高になったり、関税を支払ったりする必要があるからです。そのため、低価格で勝負するということが難しくなります。
また、為替レートによっては商品の価格に大きな差が生まれる可能性もあります。現地通貨で決済されることがほとんどですので、円高や円安を確認する必要があるでしょう。
ちなみに、越境ECでは低価格の商品を販売するよりも、日本独自の商品や日本のブランド品を販売した方が売り上げを見込めます。ほかにも外国人に人気な商品はたくさんあるので、海外ユーザーが欲しがっているものをリサーチしてください。
ポイント2.販売先の法律に従わなければいけない
越境ECでは、販売先の国の法律に従わなければいけません。たとえ日本で常識的に行なっていることでも、他国では法律違反とみなされるケースもあります。
とくに中国の場合だと、電子商取引を行うためには「ICP」というライセンスが必要になります。このライセンスを取得せずにインターネットやサイトを開設するのは違法行為です。
ライセンス未取得であると判明すれば、サイトの運営停止、罰金刑を科せられてしまうでしょう。トラブルを未然に防ぐためにも、その国々の法律はしっかりと確認する必要があります。
ポイント3.日本とはルールや規制が異なる
越境ECでは、日本とはルールや規制が異なります。どうしても国をまたぐため、商品の輸出入に厳格なルールが決められていたり、関税を支払ったりする必要性が出てきます。
国によっては輸入や輸出が禁止されている商品もあり、販売そのものを禁止されている商品もあります。たとえば、中国は環境保全などの理由により、古着の輸入を禁止しています。
このように、国々で独自のルールや規制があるケースも少なくありません。取り扱う商品が輸出入を禁止されていないかどうかなど、必ず確認してください。
台湾人ならではのネットショップ事情
ここからは、「台湾人ならではのネットショップ事情」を見ていきましょう。買い物に対する価値観や決済方法、物流事情などについて詳しく解説していきます。日本と同じ点、もしくは異なる点があるので、台湾にネットショップを出店しようと考えている人は是非、参考にしてください。
台湾人の買い物に対する価値観
台湾人の買い物に対する価値観として、「高品質かつ長く使えるもの」を好む傾向にあります。多少、値段が高くても品質の良い日本製品の需要が高いです。
また、台湾人と日本人は「肌の質」が同じため、高品質な日本製の化粧品はとても人気です。他にも、日本製の調味料やお菓子などの食品も、台湾人からの需要が高いです。
とくに化粧品の人気がとても高く、台湾のECサイトで「日本製化粧品」のカテゴリーが作られるほどです。このように、多くの台湾人が日本で作られた高品質な商品を求めています。
台湾人の多くが利用する決済方法
台湾人の多くが利用する決済方法は「コンビニ払い」です。コンビニ払いの中にもいくつか種類があり、台湾人の多くが「コンビニで商品を受け取りその場で決済する」という決済方法を利用しています。次いで、「代金引換」による決済方法が利用されています。
実は台湾は日本と比べて、クレジットカードの普及率がそれほど高くありません。観光スポットであればクレジットカードを利用できるところもあります。しかし、多くの台湾人は現金で支払いを行う人がまだまだ多いです。その理由は、「台湾のコンビニの数」にあります。
台湾のコンビニ密度は世界一を誇る
台湾のコンビニの密度は、世界一を誇っています。いたるところにコンビニが店を構えていて、台湾人の生活に密接に関わっているのです。また、台湾のコンビニのほとんどに「ibon(アイボン)」と呼ばれる、便利な決済システム(端末)が設置されています。
この端末ひとつで、新幹線やバスのチケット、税金の支払いやタクシーの予約など、さまざまな決済をすることができます。たとえば、新幹線のチケットを予約した場合、ibonで発券したあとにレジで支払いをすることになります。バスのチケットや税金の支払いも同じです。このように、台湾では便利な決済システムがコンビニに集中しているため、クレジットカードの普及率が低くなっています。
台湾における物流事情とは?
台湾における物流事情は、日本の運送会社が参入したことにより、目覚ましい発展を遂げています。以下の3社が台湾に進出したことで、物流システムが向上していきました。
・日本通運
・佐川急便
・ヤマト運輸
現地の運送会社と提携して、運送サービスを提供しています。これまで日本国内で蓄積されてきた物流のノウハウや技術が、台湾の物流事情をより良い方向へ進めています。
これからも、さらに物流システムの質が向上していくことが考えられます。また、日本と台湾の距離は近いため、技術が発展すれば、よりスピーディーな物流が可能になる可能性も高いです。
台湾むけの越境ECビジネスを始める方法3選
台湾むけの越境ECビジネスを始める方法は、以下の3つです。
・自社サイトを多言語・多通貨化する
・海外のショッピングモールに出店する
・購入代行業者を使って商品を販売
上記3つの方法について、詳しく解説していきます。
越境ECビジネスを始める方法1.自社サイトを多言語・多通貨化する
一つ目の方法は、「自社サイトを多言語・多通貨化する」ことです。世界の国々のユーザーが使いやすいように、さまざまな言語や通貨に対応できるようサイトを構築します。
この方法のメリットは、自社で独自の方針を決められることにあります。決済方法や配送システムから、プロモーション戦略まで自由度の高い選択をすることができるでしょう。
デメリットは、自社サイトを多言語・多通貨化するための費用と時間がかかってしまうことです。どうしても初期コストが高くなってしまうため、ある程度の資金力が必要になります。
越境ECビジネスを始める方法2.海外のショッピングモールに出店する
二つ目の方法は、「海外のショッピングモールに出店する」ことです。すでに構築されているECモールに出店するため、初期の段階から集客しやすいというメリットがあります。
また、ECモールでは決済方法や配送方法が用意されていることが多く、システムを間借りすることも可能です。集客の面、そして便利なシステムを使えるのがメリットと言えます。
ただし、出店するためには自社での多言語化、商品の海外発送、カスタマーサポート設置などを行わなければいけません。また、ECモールへの出店料や手数料を支払うことがほとんどですので、経費の面では「自社サイトの多言語・多通貨化」とそれほど変わりません。
越境ECビジネスを始める方法3.購入代行業者を使って商品を販売
三つ目の方法は、「購入代行業者を使って商品を販売」することです。自社サイトを多言語化しなくても、代行業者が顧客に代わって注文や決済をしてくれます。具体的には以下の画像のような流れとなるでしょう。
まず海外の顧客が日本にあるECサイトで、欲しい商品を探します。次に目当ての商品を代行業者に伝える、もしくは代行業者が用意している商品ページで注文します。最後に代行業者が、海外の購入者に向けて商品を発送するという流れになるのがほとんどです。
この方法のメリットは、多言語化・多通貨化の部分を代行業者が担ってくれることです。初期費用を圧倒的に低く抑えられるため、三つの方法の中で一番始めやすいと言えるでしょう。
台湾市場にECサイトを出店する際のポイント
ここでは、台湾ECサイトに出店する際のポイントを解説していきます。現地ならではのポイントを理解して、売り上げを上げやすいショップ作りを目指してください。
台湾人の顧客が購入に至るまでのプロセス
台湾人の顧客が購入に至るまでのプロセスは、以下の通りです。
1)目当ての商品を店舗で確認
2)他の店舗でも金額を確認する
3)ECモールでの販売価格を調べる
4)ECサイトのクーポンやセール品をチェック
5)実際に購入する
現物を見て比較検討してから、お得な購入方法を選択しています。台湾ECモールの出品数と成長率を見てみると、圧倒的にPChomeが優位に立っていることがわかります。
※画像は2017年時点でのデータです
台湾のECモール市場における3つの特徴
台湾のECモール市場における特徴は、以下の3つです。
・取り扱い商品数がとても多い
・配送時間が24時間以内のケースがある
・ほぼ一年中、セールを開催している
まず、台湾のECモールは出品されている商品数がとても多いです。台湾最大級のECモールである「PChome」は、約170万件以上の商品を取り扱っています。
配送時間の短さも特徴的で、PChomeは注文から24時間以内に配送してくれることが多いです。Yahooモールであれば、台北市内に限り8時間以内での配送に対応しています。
さらに、台湾のECモールでは一年中セールが開催されています。この理由はセールを開催することで購買意欲を上げることを目的としています。他には、ネット上で商品を購入した方がお得だと意識づけることを目的としています。
台湾のECモール出店には法人が必須なの?
「台湾のECモール出店には法人が必須なの?」という疑問を持っている人もいるはずです。結論から言うと、出店するECモールによって法人が必要、不要な場合があります。
たとえば、台湾最大のECモール「PChome」に出店する場合、現地法人は特にいりません。ただし、企業が出店する場合は現地法人が必要なので覚えておきましょう。
また、「Yahoo奇摩」などのYahooモールに出店する場合は、現地法人が必要になります。現地法人がなければ、代行会社を用意する必要があります。
このように、出店先によって法人が必要かどうかが決められているので、必ずルールに従うようにしましょう。
台湾のECモールに出店するメリット
台湾のECモールに出店するメリットは、大きくわけると以下の4つです。
・ECモールによって強いカテゴリーがある
・ECモールはターゲット層が分かれている
・ECサイトの利用者がとても多い
・インターネット広告費が安価
一つ目は、「ECモールによって強いカテゴリーがある」ことです。台湾で最大級の規模を誇る3つのECサイトの売れ筋ジャンルを見ていきましょう。
Yahoo奇摩(キモ)であれば「化粧品」、PChomeであれば「家具・インテリア」、momoであれば「アパレル・ファッション」のように、それぞれ強いカテゴリーを持っています。
二つ目は、「ECモールはターゲット層が分かれている」ことです。こちらも、ユーザーの性別、年代ごとにまとめた表を見ていきましょう。
Yahoo奇摩(キモ)は高校生や大学生の年代のユーザーが多く、女性の割合が高くなっています。PChomeは35〜44歳の利用者が多く、男女はほぼ同じ割合となっています。momoであれば、55歳以上の利用者が多く年齢層が高くなっています。
三つ目は、「ECサイトの利用者がとても多い」ことです。台湾では共働きが主流のため、買い物に多くの時間を使うことができません。そのため、ネット上で手軽に購入できるECサイトの利用者がとても多くなっているのです。
四つ目は、「「インターネット広告費が安価」ということです。日本と比べて台湾で広告を出す場合は、費用を抑えることができます。自社サイトでプロモーションする際などに大きなメリットとなるでしょう。
越境ECを行う際に参考にするべき台湾ECサイト2選
越境ECを行う際に参考にするべき台湾ECサイトは、以下の2つです。
どちらも台湾では最大級のECサイトです。越境ECにチャレンジする前に、台湾のECサイトで事前リサーチをすることをオススメします。
参考サイト1.PChome
PChomeは台湾で最大級のECモールの一つです。取り扱っている商品の数は「170万点以上」で、Yahoo奇摩(キモ)の約5倍ほどの出品数を誇っています。
利用ユーザーは働いている年代の人が多く、男女比はほぼ同じ割合となっています。利用者の多くは働いている人たちのため、生活必需品から衣料品など様々な商品のニーズがあります。
日本製品はとても重宝されていますが、ユニークで変わったものよりも高品質な商品に大きな需要があります。クオリティーで勝負する戦略であれば、高い売り上げを望めるでしょう。
また、商品を24時間以内に配送できる「PChome24h購物」や、「PChome線上購物!」のECサイトなどを幅広く展開しているのが大きな特徴です。300社以上もの日本企業と提携をしていて、今後はさらにその数を増やしていく方針とのことです。
ちなみに、24時間以内に配送できなかった場合、ユーザーに対して100台湾ドルのポイントを付与する「ポイント補償」を実施しています。配達はとてもスピーディなのが特徴で、台北市内であれば6時間以内に配送できるよう試験的に運用しています。
出品したい場合や、問い合わせがある場合は、以下のページから連絡してください。
すると、以下のような画面に切り替わります。
ここで会社名や部署名、販売する商品ジャンルや出品数などを入力してください。
参考サイト2.Yahoo奇摩(キモ)
Yahoo奇摩(キモ)は、台湾のYahoo!が運営しているショッピングサイトです。ユーザーの割合としては、男女が半々といったところです。メインのターゲットはサラリーマン、働いている年代の人たちです。
日本製の化粧品がとても人気で、資生堂やメディキュットなどのコスメを多く取り扱っています。他にも日本のお菓子や食玩などの人気が高いことから、Yahoo奇摩の利用ユーザーは日本製品に強い興味を持っていると言えます。
日本企業ではMUJIやPanasonicなどと取引をしていますが、もしYahoo奇摩に出店を考えているのであれば、「現地法人」または「代行会社の経由」が必要となります。
また、販売が禁止されている商品があるので、事前に販売可能かをリサーチしておきましょう。販売が規制、もしくは禁止されている商品を以下にまとめました。
【販売を規制されている商品】
・タバコやタバコに関する商品
・アルコール度数0.5%以上の飲料
・医薬品やメガネ
・銃やナイフなどの危険物
・生きている動物
・可燃物や廃棄物
・放射線物質や毒性のある物質
・お金、証券、宝くじ
・ゲームアカウントやゲーム内通貨など
・ポルノや暴力に関する商品
・人権や商標権などの権利に違反している商品 など
【法律によって販売が規制されている商品】
・航空券、ツアーチケット
・クーポン券、ギフト券
・アダルトグッズや年齢制限のある商品
・ダイエット食品、乳児加工食品及や幼児離乳食 など
参考:Yahoo奇摩(キモ)公式ホームページ「出品の禁止と制限」
日本では許可されているものでも、台湾では販売できない商品もあります。知らなかったでは済まされないので、必ず販売禁止品または規制品について確認しておきましょう。また、規制についてのルールが変わることもありますので、随時チェックすることをオススメします。
もしYahoo奇摩に出店を考えているのであれば、公式ページから問い合わせをしてください。
ページを開くと、以下のような画面に切り替わります。
出店までのステップとしては、「資料請求→審査→出店」という流れになります。
まとめ
今回は台湾にネットショップを開く方法について解説していきました。記事内で紹介した「出店するための3つの方法」を参考に、自分にぴったりの出店方法を選んでください。
また、日本と台湾は近いとは言え、文化や歴史、価値観には大きな差があります。例えば、決済方法ひとつを取っても、日本とは違いコンビニで支払う人がとても多いです。このように、台湾人ならではの行動をしっかりと理解して、ECサイトを構築してください。