タオバオ、アリババ、アリエクスプレス、eBayなど、個人でも中国から仕入れができるサイトが増えてきました。中でも注目したいサイトが「アリババ」です。
アリババの特徴は、メーカーや工場の直営店が多いため、比較的安く仕入れられる点です。この記事では、アリババを利用する際の流れや支払い方法などを紹介します。
なお、アリババには中国本土向けのサイトと全世界向けのサイトの2種類があります。中国輸入の場合、現地の工場やメーカーが多く出店しているため、前者の中国本土向けのサイトのほうがオススメです。ロットが小さいうえ、品揃えも申し分ありません。
中国最大級の通販サイト「アリババ」とは?
まずは、アリババというサイトそのものの概要について紹介します。人口の多い中国最大級の通販サイトであるため、世界的に見ても最大級のサイトのうちの1つです。
バイヤーとサプライヤーをつなぐリーディングカンパニー
1999年に設立したアリババドットコムは、インターネット上の国際BtoB プラットフォームサービスとして、今や世界中のバイヤーとサプライヤーをつなぐ存在です。アリババのサービスは、先述の2種類のサイトに小口取引向けの卸売サイト「アリエクスプレス」を加えた3つのサイトを軸としています。
その利用者数はグローバルトレード・マーケットである国際サイトで190カ国約3,670万人、中国国内取引のための中国サイトで約7,770万人と膨大です。アリババドットコムの事業所は、中国、インド、日本、韓国、ヨーロッパ、アメリカなど70以上の都市に広がっています。
中国でもっともアクセスの多い総合オンラインショッピングモール
アリババグループには2つのモールがあります。個人間取引(CtoC)用サイトの「淘宝網(タオバオワン)」と、企業と個人の取引(BtoC)用のサイトの「天猫Tmall」です。
天猫Tmallは、安さよりも確かな価値を求めるようになった中国の消費者のために、2008年に設立されました。中国でもっともアクセスの多い総合オンラインショッピングモールにまで成長し、2011年6月に独立事業化、2012年1月に中国語名称を「天猫(ティエンマオ)」に改名しています。
天猫Tmallの出店者は約5万、取り扱いブランド数は約7万にもおよびます。ユニクロやP&G、レイバンなど、中国内外を問わず幅広いブランドメーカーが天猫Tmall上でオフィシャルオンラインショップを運営中です。取扱い製品は家具や家電、書籍に衣類と多岐にわたり、それぞれ家電モールや書籍モールなど独立したモールに分類されます。
2018年の天猫Tmallの流通総額は日本円で45兆円、タオバオマーケットプレイスは48兆円を突破しました。これはAmazonグローバルの28兆円超を大きく引き離す額です。
このように、世界的に見ても巨大な市場を展開しているため、中国輸入の仕入れ先として使いやすいというメリットがあります。また、アリババには日本語サイトがあることも、日本人から見た使いやすさに拍車をかけています。日本には、ソフトバンクグループ株式会社と中国のアリババグループの合弁により設立されたソフトバンクグループの企業、「アリババ株式会社」があるため、日本語サイトがあります。
アリババで購入する3つのメリット
タオバオはCtoC、アリババはBtoB向けの要素が強いサイトです。中国輸入を行うのであれば、商品点数が多くて購入価格は安く、工場直営であるため大ロット仕入れも可能なアリババはとても魅力的な仕入れ先と言えるでしょう。ここからは、アリババの持つ強みをさらに掘り下げて紹介します。
メリット①:低価格
アリババの商品価格は、eBayやタオバオなどの他サイトより2~3割も安いことが特徴です。工場やメーカーなどの生産者からの直接買い付けができるため、このような低価格が実現できます。
個人でも生産者と直接取引するOEM(製造委託)などを行うことはできますが、大手サイトが生産者から直接買い付けて最初から安く売っているのであれば、それを利用するに越したことはありません。安い商品を手間なく仕入れられるという点は、どのような人にとってもメリットとなります。
メリット②:高品質でサポートも万全
中国輸入を始めるにあたって、紛れ込む不良品が心配だという人もいますが、アリババならその点は心配ありません。どの商品も値段相応の品質は備えており、中国系サイトから仕入れる商品としては品質が良いというメリットがあります。
ほかのサイトではとても販売できないような不良品が紛れ込むことも少なくありませんが、アリババならその可能性は低いです。しかも、ほとんどの商品に1年間の保証がついています。初期不良品やユーザーからクレームがついた商品は交換対応されるため安心です。
メリット③:簡単な取引
中国輸入では、仕入代行業者がほぼ必須とされています。それはアリババも同様ですが、とくにアリババからの仕入れでは、信頼できる仕入代行業者に依頼することで仕入れは格段に楽になります。
希望する商品ページのURLと希望数量(ロット)、商品ページからの参考価格を伝えることで、その条件に合った商品を仕入れて送ってくれます。仕入れ代行業者は日本語に対応しているため、連絡は至ってスムーズです。
希望の商品URLを代行業者に送ると、見積書や請求書が届きます。銀行振替やPayPalでのクレジット送金などで支払いを済ませれば、先方が入金を確認次第作業が開始され、契約成立です。このように、仕入代行業者への依頼も通常の通販とさほど違いありません。
ただ、送金料という概念は、海外送金に馴染みのない人にとっては聞き慣れないという場合もあるでしょう。安くても1,000円程度は毎回必要であるため、仕入代行業者にまとめてお金を預けておく人も多いです。
ただし、信頼できない仕入代行業者の場合、お金を持ち逃げされてしまう事例も少なからず発生しています。とくに契約を交わしてまだ日が浅いうちは、あまり大きな金額は預けない方が良いでしょう。
このように、信頼できる仕入代行業者か否かで、中国輸入におけるリスクは大きく変わります。お金の持ち逃げなどのケースもあることを肝に銘じて、安さではなく信頼性を第一に、慎重に仕入代行業者を見極めることがポイントです。
これだけは気をつけよう!アリババ仕入れの注意点
以上のように、メリットの多いアリババですが、やはり仕入れの際には注意点があります。国際取引であるため日本の仕入れサイト以上の注意が必要であるほか、不良品など中国輸入ならではの気をつけておきたいポイントも多いです。安全に利益を生み出せるよう、以下の点には注意しておきましょう。
サンプルとして少量のみ購入する
信用度の高いアリババであっても、参入している業者の質はさまざまです。必ずしもその商品が良品だとは限らないため、まずは最小ロットのみ発注して業者や商品の質を試してみましょう。
中国輸入にも使えるアリババの中国本土向けサイトは、その特性上中国国内の工場で製造している商品も多いため、不良品はあって当たり前と考えておいた方が自然です。また、アリババに限らず中国のECサイトは、商品ページやその写真に誇大表現が多い傾向にあります。
問い合わせる際は、サンプル仕入れを行う旨を必ず伝えておくことがポイントです。最初から500や1000個など大ロットでの仕入れを行うと、不良品が紛れていた際の対応が大変です。すべて粗悪品という目も当てられない事態が発生する可能性も踏まえて、本格的な仕入れに入る前のサンプル仕入れは必ず行っておきましょう。
検品業者を通す
中国輸入商品は検品を行っていない場合もあるため、仕入れた商品は到着後に自分でも検品を行うのがベターです。しかし、アリババドットコムを使って直接日本に発送してもらう場合、中国国内での検品ができないというデメリットがあります。出荷時の状態をそのまま信じるか、どこか検品業者に送ってもらい、検品業者を経由して日本まで送ってもらうかの二択です。
もし商品に不具合があったとして、それに対処することは、日本にまで到着してしまった場合は難しいと言わざるを得ません。中国に送り返す際に中国側の税関が通らなかったり、店舗側が受取拒否をして対応がないまま戻ってきたりすることがあります。そうなると大きな送料だけがかかるため、損失となってしまうことがほとんどです。
もし直接日本に発送してもらう場合は、本当に品質が保証されている商品のみとした方が良いでしょう。あるいは、面倒でも検品業者を通しておいた方が賢明です。
安価取引を提案する詐欺師に注意
近年では数こそ減りましたが、仕入れ業者に詐欺師が紛れ込んでいる可能性は依然としてあります。彼らの手口としては、販売業者を装って他の仕入代行業者より安価な取引を提案してくるものが多いです。マネーグラムやウエスタンユニオンで送金させるだけ送金させたのち、音信不通となるのです。
有名で信頼できる仕入代行業者を選んだり、テスト仕入れを行ったりなど、商品選びと同様の方法で対策できます。少しでも不安があれば本格的な取引はしないなど、慎重に行動することが大切です。
特に気をつけたい犯罪行為、著作権侵害
偽ブランド品などの著作権を侵害した商品の販売は、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金が科される重大な犯罪です。意図的に行った場合は論外ですが、知らずに仕入れて販売した場合も犯罪となるため注意が必要です。
このような商品を扱うとすぐさまアカウント停止処分になり、場合によっては実際に刑罰が下る可能性もあります。今一度税関の輸出入禁止・規制品目リストを読んだり、扱っている商品を確認したりして、間違っても取り扱うことがないよう注意しておきましょう。
アリババの商品購入フローを細かく解説!
アリババで商品を購入する際も、基本的な流れは通常の仕入れと大して変わりません。ただし、FOB価格の確認や商品価格の交渉などの概念があるため、慣れていない人からすると複雑だと感じることもあるでしょう。しかし、実際は至ってシンプルであることをここで紹介します。
①:商品検索
検索欄と、販売数量の多い順や価格順、配送スピードなどさまざまな項目でのソート機能があります。商品名の検索は中国語で行うほか、日本語や英語での検索も可能です。
日本語以外で検索する際は、Google翻訳を活用しましょう。また、画像検索にも対応している点は特徴的です。
日本のAmazonなどの画像を使うことで、言語の違いがあっても正確に商品がヒットします。商品リサーチは中国輸入ビジネスにおいても要となるため、自分に合った検索方法を探しましょう。
②:FOB価格・支払い方法の確認
アリババの商品ページに記載されている価格は、あくまで目安です。ここから交渉を通して実際の価格を決めていくため、この時点ではまだ購入ボタンは押しません。以下紹介する点を確認し、納得のいく内容であればお問い合わせフォームから問い合わせを行います。
FOB価格とは、国際貿易におけるもっとも一般的な取引条件の一つで、輸送費や通関費用などをすでに織り込んでいる価格です。これが価格の目安となり、納期やロット数で変化します。
最小ロット数と納期は、それぞれOEM時のものです。最小ロット数はあくまでメーカー希望のため、交渉次第では変更も狙えます。相手側の対応能力は、返信率70%以上、平均対応時間24時間が目安です。
③:商品価格の交渉
お問い合わせボタンをクリックすると、希望数量と価格を記入できます。交渉は英語で行いますが、英語に自信がなくてもGoogle翻訳や例文集を使えば十分意思疎通が可能です。
同じ商品を同時に大量購入したり、継続して同じセラーから購入したりすると、より安い価格での交渉に持ち込むこともできます。あとは先方の返信を待ちましょう。
④:商品代金の支払い
アリババでの支払い方法は、カード決済やT/T決済、L/C決済などの中から選べます。アリババ内だけで完結する方法も多いので、安心かつ便利です。
届いた商品は、念のため必ず検品しておきましょう。納期や問い合わせ内容との相違点があった場合、返金保証がついているのもアリババを利用するメリットの1つです。
アリババで選べる支払い方法とその概要
アリババではどのような人にも対応できるよう、数種類もの決済手段を設定しています。お互いの求めるメリットや取引実績などによって最適な支払い方法は違うため、しっかり確認しておきましょう。ここでは、主な支払い方法とその概要を紹介します。
販売者によっては非対応の支払い方法もある
アリババのシステムとしては対応していても、サプライヤーによっては使いたい決済手段が未対応であるケースは少なくありません。サプライヤーが対応している決済手段は、このように商品ページに一覧として表示されています。
この部分はサプライヤーによって異なるため、別の商品を仕入れる際には対応していたとしても、自身が希望する支払い方法に対応しているのか、改めて確認しておきましょう。
オンライン決済とオフライン決済
アリババで用意されている支払い方法は大きく分けて2種類、オンライン決済とオフライン決済に分類されます。アリババ上のサイトで支払いが完結するものがオンライン決済、そうでないものがオフライン決済です。オンライン決済はオフライン決済と比べて取引上のリスクが抑えられています。
アリババでの主要な支払い方法3種
アリババの決済手段の中でも主要なものが、クレジットカード決済(ペイパル決済)、T/T決済、そしてL/C決済です。このうちのいずれかが使えれば、基本的にはどの取引であっても事足りることでしょう。
クレジットカード決済はオンライン、L/C決済はオフライン、残りの2つは両者に属しています。たとえばT/T決済であれば、シティバンク経由でアリババが指定する銀行へ送金すればオンライン、サプライヤーの銀行口座へ直接送金すればオフラインとして区別できます。
①:クレジット決済
クレジットカードは、VISAとMasterCard、JCB、American Express、Diners Clubに対応しています。ほかのECサイト同様に便利に使えるため、すでに仕入れ用のクレジットカードを持っている人などにオススメです。
②:PayPal(ペイパル)決済
とくに中国輸入においては、代行業者がクレジット決済に対応していないことも少なくありません。そこで、クレジットカードの代わりとして使える有効な決済方法がPayPalです。銀行口座情報やクレジットカード情報を提示せずに決済できるため、アリババの支払い方法の中でも安全性が高い方法です。
PayPal決済の安全性が高い理由は、
1. 代金の支払いがメールアドレスを伝えるのみ
2. 短時間で終わる
3. 世界で使われるツールの一つだからです。
クレジットカード決済と同様、支払いをまとめて先延ばしにできるため資金繰りがよくなることも、とくに資金が少ない方にとっては大きなメリットとなります。さらに着金はほぼリアルタイムで行われるため、商品が早く手配されやすいことも特徴です。決済手数料が約3.6%かかることはデメリットですが、それくらいしか目立ったデメリットがないということでもあります。
③:T/T決済
T/T決済と書くと馴染みがない人もいるかもしれませんが、要は銀行振込のことです。日本にある自社または自分の口座から、サプライヤーの銀行口座に直接振り込みます。
サプライヤーではなく、アリババの指定するシティバンクを通して送金すると、後に紹介する買い手保護の保証の適用対象となります。取引上の問題が発生した際もお金の持ち逃げを防止できるため、国際取引のリスクを軽減するうえで効果的です。
T/T決済時には以下の銀行口座情報が必要になります。
SWIFT/BIC コード(国際銀行間金融通信協会/バンクアイデンティティコードの略で国際標準化機構が承認している金融機関識別コードになります。)
IBANコード(インターナショナルバンクアカウントナンバーの略で国際規格の34桁のコードになります。)
CNAPSコード(中国内決済システムの略で中国の方に送金する際に必要な12桁のコードになります。)
④:L/C決済
一回で数百万円から数千万円のお金が動くような、大きな取引の際に有効な決済方法です。買い手と売り手の間に2つの銀行を通して決済します。どの決済方法よりも高い安全性を誇る支払い方法であるため、巨大な取引では欠かせません。
デメリットとしては、2社の銀行を通すため決済手数料が高くなってしまうことが挙げられます。L/C決済では買い手側にも与信力が必要となるため、銀行からの一定の信頼がなければL/C決済ができない可能性もあります。
かなり大規模な取引をしなければ、あまり利用することはない決済方法です。オンライン取引の際は、アリババがL/C決済における銀行のような安全性を保証する役割を果たします。
アリババの安全性を保障する「Trade Assurance」規定
アリババを通した貿易は「Trade Assurance」という貿易保証規定によって保護されています。4つの貿易保証によって、取引終了までに起こりうるすべてのリスクを軽減する仕組みです。
まず1つは、アリババが指定する方法で支払われた代金をすべて保証対象とする支払い保証です。次いで、サプライヤーによる期日通りの船積みを保証する船積み保証(Shipping protection)があります。買い手と売り手の契約によって取り決められた「船積み日」に間に合わない場合は、返金処理の対象とします。
さらに、サプライヤーが提供する商品の品質を保証しているのが品質保証(Product quality protection)です。製品と契約書に相違点がある場合に買い手を保護します。
保証期間(Protection period)も定められており、買い手の注文は、商品を受け取ってから30日以内まで保証の対象です。以下の2つの条件の条件を全て満たす際に、この保証が受けられます。
条件①:Trade Assurance対応サプライヤーからの購入
以下の画像のように、サプライヤー詳細ページに「Trade Assurance」マークの表示があるサプライヤーから購入した商品はすべてTrade Assurance保証の対象です。表示はページ左上のサプライヤー名の横にあります。
条件②:アリババが指定する支払い方法の適用
商品代金をクレジットカードかe-checking、T/T決済のいずれかの方法で支払うことで、Trade Assurance保証が受けられます。
日本からの仕入れであれば、クレジットカードかT/T決済を選ぶことが多くなるでしょう。T/T決済の場合、この内、アリババが指定するシティバンクの口座に振り込むオンライン決済でなければ保証が受けられません。いわゆるダイレクト送金として、相手先の指定口座に送金するオフライン決済を行った場合は、T/T決済であってもTrade Assuranceの対象外となるため注意しましょう。
まとめ
アリババは大手である分、支払い方法や保証がしっかりしていて、安心して使えるサイトです。また、系列のタオバオも個人間取引がメインとなりますが、小ロットならば利用価値の高いサイトです。用途や価格で使い分けると良いでしょう。
まだ利用経験のない人は、サンプル仕入れがてら試しに使ってみることをオススメします。信頼できる仕入代行業者とともに、ぜひアリババを活用してビジネスを成功に導きましょう。