「販売価格はどのようにして決める?」
「販売価格の正しい決め方はあるの?」
「販売価格を決めるポイントを知りたい!」
このようにお悩みはお持ちではないでしょうか。
値決めに悩むこと自体は間違いではありません。「販売価格を決める」ことは、ビジネスにおいて最重要ポイントの1つであり、そんな大切な事を簡単に決められるわけがないからです。
その商品に対して、色々な角度からフォーカスし、様々な立場を想像してみる。これが、「販売価格を考える」ということです。ここを省いて安易な決め方をすると、あなたのビジネスは上手くいきません。
実は、価格設定にもスポーツのように「型」や「テクニック」が存在します。
そこでこの記事では以下の内容について解説していきます。
・販売価格を決める際に知っておくべき基本用語と計算方法
・販売価格の計算例
・販売価格を決める際の5つのポイント
この記事を読んで、値決めの本質に一歩近づいていただければと思います。
販売価格を決める際に知っておくべき基本用語と計算方法
販売価格の決め方にはさまざまな方法があります。また、販売価格を決める際には基本的な用語を理解しておく必要があります。
そこでここでは、販売価格を決める際に知っておくべき基本用語と計算方法を解説します。
原価について
原価とは、商品やサービスを作る際にかかる費用の総額を表したものです。
原価は大きく分けて「材料費」「労務費」「製造経費」の3つに分類されます。
材料費は、商品を製造する際にかかる費用です。細かく分類すると「原材料費」「消耗品費」「購入部品費」などに分けられます。
労務費は、商品の製造に関わった人にかかる費用です。細かく分類すると「給与」「賞与」「福利厚生費」などに分けられます。
製造経費は、商品を制作するためにかかる工場の賃貸料や光熱費などの費用です。細かく分類すると「水道光熱費」「修繕費」「減価償却費」「交通費」などに分けられます。
上記のように、商品を販売するまでにかかるすべての費用を合計したものが原価となります。
原価率について
原価率とは、シンプルに売上に対しての原価の割合のことを指します。
計算式も非常にシンプルで、「原価 ÷ 売上金額 × 100 = 原価率」で簡単に算出が可能です。
もし、売上金額が500万円で原価が200万円の場合は40%と算出できます。
利益率について
利益率とは、売上に対しての利益の割合のことを指します。
原価率と同様に計算方法は非常にシンプルで、「利益÷売上=利益率」で簡単に算出できます。
商売としてうまくいっているかを確かめるには、利益率がどれだけ高いかでわかります。
目標設定をする際にも利益率を使用するといいでしょう。
ここまでは販売価格を決める際に知っておくべき基本用語と計算方法を解説しました。
販売価格の決め方にはさまざまな方法が存在しますが、最低でも利益が出るように価格を設定して、仕入れ価格と原価を合計した金額を超える必要があります。
そのためには、市場価格や競合の価格などを考えて決めるといいでしょう。
売値の決め方とは?
ビジネスで大事なことと言えば、「値決め」です。
当たり前ですが、値段が高ければ売れないし、安ければ儲かりません。「たくさん売りたい気持ち」と「たくさん儲けたい気持ち」、この2つの心理の間でバランスを保った値決めが、いい値決めであり、いい経営といえるでしょう。
売れないと安くしたくなりますよね。しかし、安くし過ぎると利益率が下がるため儲けが圧迫されます。
「利用者が納得できる最も高いギリギリの値段」。ここを見抜く感覚を養うことが必要となります。
「値決め」とは、文字通り「商品の価値を決める」作業であり、自らのブランドやビジネスに対する態度を示すものとなるので慎重に行わなければいけません。
販売価格の決め方、計算方法
一般的な値段を決める計算式がこちらです。
・値段(販売価格)=原価÷原価率
・値段(販売価格)=原価÷(1−予定利益率)
この2つの計算式、実は視点を変えているだけで同じ意味です。ここで重要なのが「原価」。値段を考えるうえでは、この原価という概念がすべての基本となります。
計算が必要な理由
なぜ値段の計算が必要となるのか?
結論は、正確に店舗の売上や資産状況を把握するためです。
数字の管理がしっかり出来ていれば、セールやポイント還元などの販促戦略もたて易くなります。
例えば、「広告費にいくら費やせるのか?」とか「タイムセールは何割引きまで出来る?」、「ポイント還元は何パーセントまで?」なんてことは、常にお金の流れを把握しておかないと答えが出せないですよね。
ですから、計算もせずに商売をすることは危険です。面倒なようですが、日頃から店舗としての売上や資産状況を「数字として」把握しておくことが必要不可欠です。
価格・原価を20%改善で利益が倍増
ビジネスにおける最大の目的は利益を出すことです。そして、その利益は販売価格や仕入れ原価から大きな影響を受けます。
ここでは商品価格が変わるとどの程度利益に影響がでるか、具体例をあげて解説していきます。
<具体例>
・4,000円で仕入れた商品を5,000円で売ると、5,000円−4,000円=1,000円(利益)
・販売価格を20%アップして6,000円で売ると、6,000円−4,000円=は2,000円(利益)となります。
販売価格が20%アップすると、利益(1,000円⇒2,000円)が2倍になりましたね。販売価格を下げれば同様に利益が大きく下がります。このように価格によって利益が倍増することもあれば、全くゼロになることもあるということです。
また、「原価を下げる」というのも利益を増やす手段の1つで、
・多くの業者から見積もりを取ることで、競合させる
・大量に買う
・人脈を利用する
などの方法で仕入れることで原価を下げることが出来ます。
では、原価を下げた場合の利益への影響をみてみましょう。
<具体例>
・仕入れ原価10,000円の商品を12,000円で売ると、12,000円−10,000円=2,000円(利益)
・大量購入したおかげで仕入れ原価が20%ダウンの8,000円にできた場合、12,000円−8,000円=4,000円(利益)となります。
仕入れ原価が20%ダウンすると、こちらも利益(2,000円⇒4,000円)が2倍になりましたね。
このように、販売価格や仕入原価などを工夫することにより、利益は大きく変わってきます。利益が出ないと悩んでいる方は、販売価格と仕入原価をしっかり見直すことが、解決の糸口となるでしょう。
販売価格の計算例
実際に販売価格を決めてみましょう。
・仕入れ原価3,000円の商品で25%の利益率となるような価格設定をする場合
販売価格の計算式は、販売価格=原価÷(1−想定利益率)なので、4,000円=3,000円÷(1−0.25)となり、販売価格は4,000円となります。
では、この販売価格をもとに、利益率が25%になるか確認してみましょう。
まず利益をだします。利益の計算式は、利益=販売価格−原価なので、1,000円=4,000円−3,000円となり、利益は1,000円となります。
そして、利益率は、利益率=利益÷販売価格なので、25%=1,000円÷4,000円となるので、この計算が正しいことがわかります。
プラットフォーム利用時の販売価格の算出方法
ここでは、プラットフォームを利用した場合の販売価格の計算方法について解説していきます。
プラットフォームとは、多くの商品や情報を売買する「場所」のことで、「Amazon」や「楽天市場」などが有名です。プラットフォームの魅力は、集客やブランディングだけでなく、ポイント割引や大幅値下げなど1社だけではなかなか出来ないサービスを提供できることです。
プラットフォームでの販売には、販売手数料がかかります。この手数料を含めたうえで、想定利益率を元に販売価格を算出する方法が以下の計算式です。
販売価格=原価÷(原価率−販売手数料率)
販売価格=原価÷(1−想定利益率−販売手数料)
ここからは、具体例を挙げて「販売手数料を含めて原価から販売価格を出す方法」を確認していきましょう。
<具体例>
楽天市場で出店した場合で、販売手数料は10%とします。
※実際はジャンルによっても手数料率が異なりますが、ここでは一例として販売価格✕10%を販売手数料として計算します。
・「原価2,000円の商品で25%の利益率を確保した販売価格の設定」をするとしたら、
販売価格=原価÷(1−想定利益率−販売手数料率)のところ、3,076円=2,000円÷(1−25%−10%)なので、販売価格は3,076円と出ました。
それでは、利益率が本当に25%になるか確認してみましょう。
まず、利益を出します。利益=販売価格−原価−(販売価格✕販売手数料率)なので、769円=3,076円−2,000円−(3,076円✕10%)だから、利益は769円となり、利益率=利益÷販売価格なので、0.25=769円÷3,076円だから、利益率は25%となりましたね。
販売価格の算出でよくある間違い
ここでは、多くの人が間違う販売価格の出し方についてご紹介します。
・「原価1,500円の商品で利益率を20%とする価格設定」をする場合
<間違い例>
単純に、「販売価格=原価✕1.2」と考えて、「1,800円=1,500円✕1.2」としてしまい、販売価格は1,800円と結論づけるのは間違いです。
それでは、この販売価格を元に利益率を確認してみると、
まず利益は、300円(利益)=1,800円−1,500円となり、利益率16%=300円(利益)÷1,800円(販売価格)となりました。
利益率は20%のはずなのに、16%になってしまったのでこの算出方法は間違いだったとわかります。
<正解例>
販売価格=原価÷(1−想定利益率)なので、1,875円=1,500円÷(1−20%)となり、販売価格は1,875円。
利益が375円なので、20%=375円÷1,875円だから、利益率は20%となったので正解ですね。
こういった数字の勘違いは、大きな損失につながる可能性があるので、くれぐれも気をつけましょう。
小売業の適正な利益率
経済産業省の「商工業実態基本調査」によると、小売業における売上総利益率は、小売業平均で27.6%となっています。
規模別にみると、中小企業が29.1%、大企業が26.4%で中小企業が大企業を上回っています。
この結果から、20%台後半が小売業では適正な利益率と言えるでしょう。
店舗トータルでの利益率を意識
利益率は、店舗トータルで考えることも重要です。商品単体の利益率ばかりに意識がいってしまうと、「木を見て森を見ず」の状態になってしまいます。ときには、一歩下がったところから全体を眺めるようにしましょう。
たとえば、「集客目的のセール商品」と「定価販売のプロパー商品」とでは、利益率は大きく異なりますし、それで当然です。したがって、仕入れの段階からセール商品とプロパー商品のバランスをしっかり考慮し、店全体の利益率を意識することが大事です。
販売価格を決める要素
販売価格を決める要素は、原価だけではありません。商品独自の価値にも目を向けなければなりません。
例えば、自社の技術でしか作れない商品があったとして、それを競合の類似商品と同じような値段で売るでしょうか。そんな事はしませんよね。そこには「他社では真似できない」という付加価値があるはずです。そういった事情があれば思い切った価格設定も可能です。
それ以外にも、
・自社の類似商品の価格
・ライバル会社の販売価格
・販促費
・消費税
など、販売価格を決める際に考慮しなければいけない要素はたくさんあります。
安易に原価のみで販売価格を決めるのは危険なので注意しましょう。
ハンドメイド商品の原価とは
ハンドメイド商品の原価を算出するうえで見逃してはいけないポイントが、「原価=材料費」ではない、という点です。
商品が出来上がるまでの過程を思い出してみましょう。材料費以外にも、色々な費用がかかっているはずです。
ハンドメイド商品の原価を算出する際、多くの場合、以下の項目が挙げられます。
・作業場の家賃
・光熱費
・材料費
・材料を買いに行くための交通費
・試作の費用
・パッケージ代
・自分の人件費
注意したいのが、あなたの人件費も原価に含まれるという事です。ハンドメイドですから時間も労力もかかってますよね。人件費に関しては、具体的な数字が出しづらいですが、一個あたりの制作時間を計算してみると考えやすいです。
営業費・販売費とは
製造以外でかかった費用(原価)は「営業費」と呼ばれ、「販売費」や「一般管理費」という項目に分類されます。
要するに、「営業費」=「販売費」=「一般管理費」と考えればOKです。
これらの費用の具体的な内容を挙げると、
・経理担当者や営業マンの人件費
・運送費
・広告宣伝費
・通信費
・役員報酬
などがあります。
このように、「本業に関わる費用ではあるけれど、製品を作るために使った費用ではない」原価も存在するので、覚えておきましょう。
総原価の定義
総原価とは、製造過程で発生する費用(製造原価)と、それ以外の費用(販売費・一般管理費)とを合わせたすべての費用のことです。
ここに自分の想定した利益率分の金額を上乗せしたものが、販売価格となります。
計算式は、
総原価=製造原価+販売費+一般管理費
となります。
商品やサービスは、この「総原価」を考慮して価格設定されているので、商品を購入することは、その一部を負担していることになります。
オンラインショップでの販売価格の決め方については下記の記事で詳しく解説されています。あわせてご確認ください。
参考:「オンラインショップでの販売価格の決め方|オンラインショップ KUSCS
これで解決!値段の決め方5つのポイント
世の中のすべての商品には値段がついていますが、値段の付け方に絶対の正解はありません。
多種多様な商売のスタイルがあり、それぞれに適した価格設定の仕方があります。ですから、おおよその相場価格はあっても、これが正解という明確な数字は存在しません。
基本的には、試行錯誤しながら自分で適正価格を発見すべきものですが、知っておいて損はない値付けのテクニックがあるので、そちらをご紹介していきます。
(1)需要を知ることで、商品の価値を知る
値段を決めるうえで、需要を無視することは絶対にできません。需要とは、商品を求める人々の欲求のことです。
コストを積み上げただけの価格設定は、企業側の都合しか考えていません。需要という顧客側の都合も考慮した価格設定を採用することが重要です。
需要を明確にする手段として、どの程度の価格なら顧客が納得するかを判定する「PSM分析」と呼ばれる方法があります。この方法では、ある商品に対して「高過ぎて買えない値段」、「少し高いと感じる値段」、「少し安いと感じる値段」、「安過ぎて品質に不安を感じる値段」の四つの値段をアンケートして、購入につながると予想される価格帯を算出します。
このように、需要を知ることで商品の価値が見えてくるのです。これが値段を決めるうえで大きなポイントとなります。
(2)市場価格に追随する
競合他社の価格と比較して、意図的にそれよりも価格を安く設定する方法があります。これは、価格重視の利用者には大きな効果がありますが、その一方でライバルとの価格競争に突入することになるため、すべての商品に当てはまる最善の戦略とは言えません。
値段を下げるということは、利益率を下げることを意味します。そうなると、数を売らなければならなくなります。しかも、安くしたからといって多く売れるとは限りません。利用者は必ずしも価格だけを見て商品を選んでいるわけではないからです。
逆に、他社の類似商品より品質面や知名度で勝っていると判断できるなら、値段を上げてみるのも有効な手段です。
ただし、値上げするときは、慎重にならなければなりません。値段が上がって喜ぶ利用者はいないですからね。品質の向上など、利用者が納得できる理由をしっかり説明できることが大切です。
また、パッケージデザインを変更すれば、イメージの変化により値上げのインパクトをやわらげることが出来るのでおすすめです。
(3)シンプルにコストに利益を上乗せする
これはコストプラス法と呼ばれ、原価に利益を加えて算出する方法です。
こうすれば、シンプルに原価と想定利益から逆算して販売価格を出すことができます。
「販売価格=原価+想定利益」
上記の販売価格の決め方は、製造業でよく使われています。家電製品などの希望小売価格は、この方法で決められた価格です。
(4)その他の基本的な販売価格の決め方
上記では代表的な値段の決め方を3つ挙げてきましたが、ここからはそれ以外の7つの方法をまとめてご紹介します。
1.プライスリーダーを参考にする
その市場でトップに位置するリーダー的企業の価格を参考にする方法。ただ、リーダー企業は大手の場合が多いので、そこと価格で勝負するのは得策ではありません。
2.慣習的に設定された価格にならう
ずっと昔から慣習的に設定されてきた価格にならう方法。「おにぎり100円」とか「カップラーメン110円」など。
3.原価の中に販売費や人件費を含めて計算する
主に卸売業者が利用する方法で、コストプラス法と同じ計算式で、原価に販売費や人件費を含めます。
「販売価格=原価(+販売費+人件費)+想定利益」
4.少しだけ価格を下げる
端数価格と呼ばれ、スーパーや量販店でよくみかける「98円」や「1,980円」といった価格のこと。あえて少しだけ値段を落とし大台に乗らない価格にすることでお得感を出し、利用者の購買意欲をあおる方法。
5.メイン商品とサブ商品をセットで販売
メインとサブの商品をセットで販売することで、個々で買うより安くする方法。例えば、牛丼屋で「牛丼と味噌汁と生卵」をそれぞれ単品で注文するより、セットでいっぺんに頼んだ方が安いですよね。こういったセット価格を、抱き合わせ価格と呼びます。
6.プレミアム感を出して相場より高い価格を設定する
高級感を出し商品の差別化をはかる戦略で、相場より高い価格設定が可能。この手法では、商品価値をいかに伝えるかがポイントになります。
7.3段階の価格を設定する
有名な「松竹梅の法則」です。人の心理として、3種類の値段の商品が並んでいると真ん中を買いたくなります。これを利用して一番売りたい商品が真ん中になるように価格設定する方法。
(5)価格の枠組みの設定
個々の商品の価格設定ができたら、店舗がどういったターゲットに向けて、どの程度の価格帯で勝負していくのかのバランスを考えていく必要があります。
その際に意識しておきたい要素は3つです。
・プライスゾーン
・プライスライン
・プライスポイント
以下で、解説していきます。
プライスゾーンは、「商品ごとの販売価格の範囲」のことです。例えば、最安値の商品が1,000円で最高値が9,000円なら、プライスゾーンは1,000円から9,000円となります。プライスゾーンを設定する目的は、「来客の絞り込み」にあります。庶民的な価格で多くの利用者に来てもらうのか、高級感を出して富裕層をターゲットとするのか、それぞれのビジネスプランに応じて設定します。
次にプライスラインですが、これは「商品の販売価格の種類」のことです。1,000円、2,500円、5,000円、7,500円、9,000円の5種類の価格帯の商品があるとしたら、プライスラインは5つです。
そして、このプライスラインの中で一番売れている価格帯が、プライスポイントとなります。例えば、上記の5つのプライスラインの中で5,000円が一番売れているのなら、プライスポイントは5,000円となります。
プライスゾーンは狙い通りの幅になっているか、プライスポイントを中心にそれぞれのプライスラインが展開されているか、などを確認していくことで、価格の枠組みが明確になります。
価格を決める際の必要知識
販売価格を決める際に知っておくべきポイントは以下のとおりです。
・最初に決めた価格がネックになる場合がある
・販売価格で客層が決まる
・ナンバーワンが相場価格を決める
最初に決めた価格がネックになる場合がある
最初の価格を安くし過ぎてしまうと、値段を上げていくのが大変になります。
ずっと当初の価格で売り続けるつもりならそれでもよいのですが、不景気の影響やビジネスモデルの変更などで、どうしても値上げが避けられない場合もあります。しかし、利用者に値上げは歓迎されません。値段を上げるというのは、非常に危険なことなんです。
ですから、「安く始める」より、「高く始めて価格を下げていく」方が楽だということです。値下げを嫌がる利用者はいませんからね。
最初からできるだけ利益の出やすいビジネスモデルを考えて値段を決めておく方が、後で楽になります。
販売価格で客層が決まる
販売価格によって客層が変わってきます。
高い価格帯のものを購入する顧客は、商品の価値を重視します。安い商品より高い商品のほうが、自分の望みを叶えてくれる可能性が高いと考えるのです。
ですから、高い価格帯のお店には「迷ったら高い方を買う」といったマインドを持った顧客が集まる傾向にあります。
一方で、低価格は集客力はありますが、客層を低下させる特徴があります。
安い価格帯のお店に来る利用者は、商品の価値に無頓着な場合が多々あります。要するに何となく買い物をしているわけで、商品を吟味するモチベーションが低い場合が多いです。
価格を設定する際には、売上や利益を考えるだけでなく、客層についても考えましょう。
ナンバーワンが相場価格を決める
相場価格を決めるのは、それぞれの市場や地域のナンバーワン企業です。
ナンバーワン企業は非常に大きな影響力を持っているので、他社はそこに合わせて価格を決めるしかありません。
逆に言えば、ナンバーワンになってしまえば価格決定権を獲得できるので、あれこれ悩む必要はなくなります。
「自動車ならトヨタ」「ハンバーガーならマクドナルド」のように、特定の分野の代名詞的存在になることができれば、多くのメリットが得られるでしょう。
値決めこそがビジネスのキモ
ここまで様々な値決めの方法について解説してきました。
私達が何気なく購入しているすべての商品には値段が付いていて、そこには販売者の意図が込められています。
値段には、利用者の都合に寄り添ったものもあれば、ただコストを積み上げただけのものもあります。
しかし、この記事をご覧になったあなたであれば、もう適当に値段を決めることはないでしょう。
ぜひ、こちらで学んだことを参考にしつつ、試行錯誤しながら適正な価格を探してください。