「ニッチ商品」とは、特定の消費者の限定的なニーズにマッチする商品のことです。つまり、少数の限られた人に向けて販売される商品です。
ニッチ商品を扱う市場は規模が小さく、大企業が参入しづらいという特徴があり、ヒット商品をひとつでも出せば市場を独占できる可能性もあります。
また、ニッチ商品は実店舗よりもECサイトの方が売れやすい傾向にあり、ネットビジネスで稼ぎたいと考える方にとっておすすめの商材と言えます。
そこで今回は、ECサイトを使った物販ビジネスで成功したい方に向けて、ニッチ商品で稼ぐ方法についてご紹介します。
ニッチ商品の基礎知識
まずは、ニッチ商品について詳しく解説します。
ニッチ商品とは
「ニッチ(niche)」とは、英語で建築物のくぼみや隙間などを表します。
ニッチ商品とは、需要やニーズが隙間のように狭く小規模な商品のことです。需要は小さいながらも、必ずその商品を必要とする消費者がいるため、継続的な販売が可能です。
ニッチ商品の具体例
ニッチ商品の具体例を列挙しましたので確認していきましょう。
人生のある時期のみ必要な商品
- 結婚式関連商品(ウェディングドレス、結婚指輪など)
- 妊娠、出産関連商品(マタニティ服、ベビー服、ベビーベッド、ベビーカーなど)
- 子どもの行事やお祝い関連の商品(お宮参り、七五三の着物やドレスなど)
- 学校関連商品(ランドセル、上靴、体操服など)
- 成人式関連商品(振袖など)
- 葬式関連商品(喪服、墓石など)
スポーツ、趣味、専門職に関する商品
- スポーツ用品(登山、剣道、弓道など)
- 車の改造パーツ
- 人気アニメの限定商品
- 鉄道模型
- 専門職が使う業務用品
高額商品
- 不動産
- 高級着物
- 高級車
- 美顔器具
- ソーラーパネル
- 暖炉
ニッチ商品のメリット
他の商品に比べ市場規模が小さいニッチ商品ですが、その分メリットも多くあります。主なメリットは以下の通りです。
- ライバルが少ない
- 価格競争になりにくい
- 大手企業が参入しづらい
- 確実な需要がある
ニッチ商品を販売するコツ
次に、ニッチ商品を売るコツについて解説します。
ペルソナを設定する
ニッチ商品を売るには、まずどんな人がなぜその商品を欲しているのかを把握し、「ペルソナ」と呼ばれる商品のユーザー像を設定することが重要です。そして、ペルソナの対象となる顧客層に対し、積極的にアプローチを図るのです。
「ランドセル」を例にして考えてみましょう。
ランドセルは、小学校に入学する前の1年間だけニーズがあるニッチ商品です。ランドセルを求めるペルソナは、「入学する子供の両親」「祖父母」「親戚」などが挙げられます。
また、購入の判断材料としては、
- ランドセルの素材やデザイン、重量
- ランドセルの価格
- ブランドイメージ
- 売れ筋ランキング
などが考えられます。
ニッチ商品を販売するには、以上の要素と、商品の特性やセールスポイントを総合的に分析した上でペルソナへの販売促進活動を行うことが重要です。
ユーザーの心理を理解する
先ほどのランドセルのように、ニッチ商品には一生に一度しか購入しないという商品が数多くあるため、多くのユーザーは購入に際して「失敗したくない」という気持ちを抱いています。そのため、このようなユーザーの心理をしっかり理解することが重要です。
ニッチ商品を販売する際は、商品の魅力をアピールする前に、どのような商品を選ぶと間違いがないかを丁寧に説明し、ユーザーの気持ちに寄り添い、不安を解消してあげましょう。
そうすれば、ユーザーは安心感や信頼感を覚え、商品に興味を持ちやすくなります。
SNSを利用して潜在客にアピールする
ニッチ商品は一般的な商品と違い潜在客が少ないため、確実に潜在客に向かって商品をアピールする必要があります。
しかし、不特定多数に対して行うテレビやラジオ、新聞などのマス媒体での販促は、ターゲット層に伝わりにくく、コストもかかりがちです。
その点、InstagramやFacebook、Twitter、LINEなどのSNSやブログを用いた販促は、拡散性の高さも手伝って商品やキャンペーン情報などを効果的に広めることができます。
また、ターゲット層に向けた情報発信を行いやすいため、固定ファンを獲得しやすいのも魅力です。さらに、一般的な広告よりも低予算でフォロワーを自社サイトへ誘導することもできます。
ユーザーからの相談や問い合わせに積極的に応じる
消費者に商品購入に関するアドバイスをするためにも、自社サイト上で「問い合わせ」や「無料相談」のコーナーを開設しましょう。
その商品のプロとして、メールや電話で真摯かつ丁寧に購入のアドバイスをすることで、より誠実さや親近感をアピールでき、売り上げにつなげることができます。
ニッチ商品の販売戦略「ロングテール」
ニッチ商品の販売戦略のひとつに、「ロングテール」と呼ばれるものがあります。この項目では、ロングテールについて詳しく解説します。
ロングテールとは
ロングテールとは、ニッチ商品をより多く販売することで、全体の収益をアップさせる戦略のことです。つまり、ヒット商品に依存しない販売方法です。
具体的な例として、Amazonのロングテール戦略が挙げられます。
実は、Amazonの全売り上げの約8割は、売り上げランキング4万位~230万位のニッチ商品群で占められています。
Amazonは、ほとんど売れないようなニッチ商品でも積極的に取り揃えることで、ヒット商品以上の売上を達成しているのです。
ロングテールが普及した理由
ロングテールが普及した理由には、インターネット販売の急速な広がりが挙げられます。
インターネット販売が登場する前は、実店舗に陳列されていたのはヒット商品ばかりでした。なぜなら、売り場面積に限りがあり、売れ上げの少ないニッチ商品を置く余裕がなかったからです。
しかし、ネットショップには売り場の制限がないため、ニッチ商品の取り扱いも積極的に行えます。これにより、ロングテール戦略が普及したのです。
ロングテール戦略のメリット
ロングテールには、主に以下のようなメリットがあります。
より多くの商品を販売できる
商品ページさえ増設すれば、ヒット商品だけでなく、数多くのニッチ商品も販売できるので売り上げがアップするだけでなく、検索時に表示されるチャンスも高くなります。
収益が安定する
ヒット商品だけではなく、複数の商品によって売上げが構成されているので、1つの商品の売上げが落ちても全体に及ぼす影響が抑えられ、結果として収益が安定します。
ロングテールのデメリット
一方で、ロングテールにもデメリットがあります。
商品ページの運用に手間やコストがかかる
ロングテール戦略は、消費者が検索した際に商品が上位に表示されるように、コンテンツを充実させる必要があります。また、商品ページは実店舗における売り場そのものなので、消費者が訪問しやすいページ作りを常に心がけなくてはなりません。さらに、集客人数や訪問ユーザーの行動を把握するなど、集客につながるサイト分析や改善も必要です。
このような事情もあって、サイト運営に自信がない場合は運営担当者を雇ったり外注したりする必要が出てくるため、コストがかかる可能性があります。
短期的な売り上げが期待できない
ニッチ商品は年に数回しか購入されないものが多く、売り上げにつながるまでに時間がかかります。つまり、短期的な売り上げが見込めないというデメリットがあります。
ロングテール戦略のポイント
ロングテール戦略を行う上でのポイントをご紹介します。
長期的なビジョンを持つ
ロングテール戦略では、継続して購入してもらえるニッチ商品を選択する必要があります。そのため、長期的なビジョンで商品アイテムや商品数、予算などを検討し、販売計画を作成しましょう。
市場の問題を戦略に生かす
ニッチ市場の問題を戦略に生かすのも良い方法です。たとえば、音楽配信サービス「iTunes Store」は、世界的人気歌手から無名歌手の曲まで幅広くダウンロードできることから、開始わずか1週間で100万曲以上のダウンロードを達成しました。
つまりiTunes Storeは、「無名歌手の曲は入荷数が少ない」という市場の問題を戦略に生かすことで、売り上げアップにつなげたのです。ぜひ参考にしてください。
大企業に負けない商品力を持つには
大企業が独占する市場で中小企業や個人ビジネスが売り上げを伸ばすのは容易なことではありません。
しかし、従来とは異なる「ニッチ商品やサービス」を開発し、その価値を的確にターゲットに伝えることができれば、大企業に勝つことも夢ではありません。
どうすれば大企業に負けないニッチ商品ができるのか
大企業に負けないニッチ商品をつくるには、既存の市場から商品を探すのではなく、自分の力で「ニッチ商品」を作り出すことが大切なポイントです。
たとえば、中高年向けの女性専用フィットネスクラブ「カーブス」の創業者であるゲイリー・ヘブン氏は、母親を40歳という若さで亡くしました。そこで、母親と同世代の女性の健康を守りたいと考え、中高年女性用のフィットネスクラブの設立を決意したのです。
当時は中高年女性を対象にしたフィットネスクラブなど存在せず、まさに「ニッチ」からの出発でした。しかし、カーブスは中高年女性のニーズに見事にマッチし、2021年現在、世界で1万店舗以上を出店し、日本でも2,000店舗以上を展開しています。
このように、ありそうでなかった商品やサービスを自分で探し出し、特定のターゲット層のニーズに合わせて上手く商品化していくことで、大企業に負けない商品力を持つことができるのです。
ヒットの予感大!新しいニッチ商品のご紹介
この項目では、今後ヒットしそうなニッチ商品をご紹介します。さっそくチェックして、ライバルに差をつけましょう。
防犯・監視カメラ
防犯グッズ市場が高まりを見せる中、防犯・監視カメラは、大切な資産や家族の安全を守るアイテムとして需要が高まっています。
特に赤ちゃんやペットの様子をスマホで確認できるタイプに人気があり、今後も売り上げが期待できるでしょう。
レインボーフラットウェア
キッチン用品は、実用性とデザイン性を両立した商品が人気を集めています。レインボーフラットウェアは、オーロラのように輝く美しい光沢が魅力のカトラリーです。フォーク・ナイフ・スプーン・ティースプーンのセットで販売されることが多く、食卓をおしゃれに演出します。InstagramやFacebookなどのSNS上で映えやすいのも魅力です。
ダイエットイヤリング
ダイエット商品は常に人気ですが、ファッションと減量を両立したニッチ商品に注目が集まっています。
このダイエットイヤリングは耳に挟むだけで、耳のツボを刺激してダイエットをサポートしてくれるアイテムです。また、磁石の効果で血流の促進も期待できます。
パーソナルエアコン
大容量のクーラーで部屋全体を冷やすという従来のようなタイプではなく、自分専用のミニクーラーが人気を集めています。省スペースで設置できるだけでなく、消費エネルギーも抑えることができるので、環境にも配慮しています。
ダイヤモンド型製氷器
女子会や婚活イベント、婚約パーティー、結婚式など華やかなシーンにぴったりのダイヤ型の製氷器です。ブライダル市場のニッチ商品を扱いたい方に特におすすめす。Instagramでの販促にも適しています。
再利用できるストロー
環境問題への意識が世界的に高まっていることから、環境に配慮したニッチ商品は高い価値を生む可能性があります。
特に、世界的なプラスチック製ストロー利用禁止の流れに伴い誕生した再利用できるストローは、より一層のニーズの拡大が期待できます。
木製の目覚まし時計
スマホのアラームを使用する人が多い中、木の温かみを感じられる木製の目覚まし時計の人気が高まっています。デジタルにはない素朴で落ち着きのあるテイストに癒される人が多いようです。おしゃれなインテリアとしてもおすすめです。
ニッチ商品は努力次第で市場を独占できる可能性もある
今回の記事では、ニッチ商品で稼ぐ方法についてご紹介してきました。
ニッチ商品は、特定の消費者の限定的なニーズを満たす商品なので市場規模が小さく、大企業が参入しづらい傾向があります。そのため、ありそうでなかったニッチ商品やサービスを開発できれば、市場を独占することも可能です。
ぜひ、当記事を参考にしつつ、大企業にも負けない新たな商品を発見・開発してください。