特定商取引法に基づく表記について徹底解説!住所は省略できる?自宅の住所を掲載したくない場合は?

ネットショップを運営する上で守らなければならないルールが、特定商取引法です。ルールなので、破れば当然罰則があります。

「知らぬ間に破ってしまった」なんてことにならないように、今回の記事では特定商取引法に基づく表記について、重要ポイントを徹底解説していきます

また、表記が必要な項目に「住所」があるものの、自宅の住所を掲載するのは抵抗があるという方も多いと思います。

そんな方たちのために、住所の表記は省略できるのか自宅の住所を掲載したくない場合の対策にはどんなものがあるのか?といったことについても紹介していきます。

目次

特定商取引法に基づく表記はどんなときに必要?

まずは、特定商取引法に基づく表記がどんなときに必要となるかを押さえておきましょう。

取引の種類によって適用される法律も変わってくるので、自身の事業がどの取引に該当するかも併せて確認しておきましょう。

特定商取引法に基づく表記が必要な7種類の取引

特定商取引法に基づく表記が義務付けられるているのは、以下の7つの取引です。

  • 訪問販売
  • 通信販売
  • 電話勧誘販売
  • 連鎖販売取引
  • 特定継続的役務提供
  • 業務提供販売誘引取引
  • 訪問購入

ネットショップで商品を販売するのは「通信販売」

特定商取引法ガイド」では、新聞や雑誌、インターネット等で広告を行い、郵便や電話で申込を受ける取引が「通信販売」に当たると定義されています。

そのため、ネットショップで商品を販売するのは、上記で紹介した7つの取引のうち「通信販売」に該当することになります。

特定商取引法に基づく表記として必要な記載項目と重要ポイント

では、特定商取引法に基づく表記として何を具体的に記載する必要があるのか、1つずつ見ていきましょう。

ただ書けばよいというものではなく、各項目について押さえておくべきポイントがありますので、しっかりチェックしながら読み進めてください。

事業者の氏名

まずは何より「誰が販売を行っているのか」を明確にするため、事業者の氏名の記載が求められます。

その際は、商業登記簿に記載されている会社名もしくは個人名を正しく表記する必要があり、通称名やサイト名では特定商取引法に基づく表記とはならないので注意してください。

住所

住所の記載も必要です。実際に活動の場となっている住所でなければならない点に注意しましょう。また、住所の一部を省略することも認められていないので注意してください。

連絡先

連絡先として、電話番号やメールアドレスの記載も必要になります。

対応できる時間帯が決まっていたり、連絡手段によって繋がりやすいものや繋がりにくいものがある場合は、その旨も記載しておくと良いでしょう。

特に電話番号の場合は、24時間365日対応できるわけではないと思いますので、時間帯を忘れずに明記しておきましょう。

商品の価格

商品を販売するなら当然のことではありますが、価格の表記も必要です。ただ、取り扱う商品が多いと1つのページに表示しきれないこともあるかと思います。

その場合は「各商品ページを参照ください」と明記した上で別のページに表記させることも認められています。

商品以外の料金

配送料や手数料など、商品代金以外に料金が発生する場合は、その旨も記載する必要があります。

注意すべき点としては、金額を具体的に記載しなければならないことです。購入者がいくら負担する必要があるのか、その数値を具体的に記載するように心がけましょう。

たとえば、配送料であれば「メール便〇〇円、宅急便△△円」、手数料であれば「代金引換☓☓円、コンビニ決済□□円」といったように金額を具体的に記載することで、購入者との間で認識のズレが起きないようにしましょう。

支払い方法

支払い方法も明記してください。利用可能な支払い方法は全て表記する必要があります

今は、現金、クレジット、銀行振込、キャッシュレスなど、支払い方法が多様化しているため、記載漏れがないようによく確認しましょう。

支払いのタイミング

購入者が代金を支払うタイミングも明記しなければなりません。支払い方法が複数ある場合は、それぞれの方法についていつ支払うことになるのかを記載してください。

こちらについても、支払い方法が多いと記載漏れや記載ミスが起きやすくなりますので、注意しましょう。

商品を発送するタイミング

これは、注文を受け付けたあと、販売者が商品を発送するタイミングに関する記載です。

注意すべきポイントは、具体的な日数を示すことです。「注文確認後に発送します」のような曖昧な表現をするのではなく、「注文を受け付けてから○営業日以内に発送します」といったように、日数を明記しましょう。

返品・交換の条件

購入した商品の返品や交換を認めているかに関する記載も必要です。返品や交換を認めている場合は、その条件や送料に関するルールも記しておかなければなりません。

こちらについても、購入者との間で認識のズレが生じないよう明確な表記を心がけましょう。たとえば「その都度相談に応じます」といった表記では後々トラブルになりかねません。

  • 「返品・交換の条件は何か」
  • 「返品・交換の期限はいつまでなのか」
  • 「送料の負担者は誰なのか」

これらの事項を予め明記しておくことで、余計なトラブルを起こさないようにしましょう。

特定商取引法に基づく表記を行わなかった場合はどうなるのか?

特定商取引法はその名の通り法律なので、違反した場合は罰則が科されます。ここでは、どんな罰則が科されるのかについて確認しておきましょう。

業務改善の指示

まずは、業務内容の改善の指示を受けることがあります。この場合は、指示通りに業務内容を改善することが義務付けられます。

業務禁止命令

業務改善の場合は指示通りに改善すれば業務を続けることができますが、場合によっては業務を行うこと自体が禁止されてしまうケースもあります。いわゆる業務禁止命令です。

罰則

さらに業務改善の指示や業務禁止命令を無視した場合は、懲役や罰金が科されることがあります。

罰則の内容については特定商取引法ガイドに記載されています。もちろん違反しないことが一番ですが、どんな罰則があるか予め理解しておけばその知識が歯止めになることもありますので、ぜひ一度確認しておくことをオススメします。

特定商取引法に基づく表記に関するよくある質問

特定商取引法に基づく表記に関しては、多くの人が共通して抱く疑問や質問があります。ここでは、そんなよくある質問にお答えしていきます。

住所や電話番号は省略できるのか?

まず、住所や電話番号などの連絡先を省略することは可能なのか、という質問に関してです。結論から言うと、省略すること自体は可能です。

スペースが限られていて表記できない場合や、無理に表記することでかえって情報が分かりにくくなってしまう場合には省略できます。

ただ、省略する場合は、満たすべき条件があります。

それは「お客様から問い合わせがあった場合は、遅滞なく情報を開示できること」です。ここでいう「遅滞なく」とは、およそ一週間と言われています。

そのため、やむを得ず住所や電話番号に関する表記を省略する場合は、問い合わせを受けたらすぐに開示できる状態にしておきましょう。

屋号は掲載しなくてよいのか?

特定商取引法に基づく表記として記載する必要がある項目に「事業者の氏名」がありましたが、屋号についても気になったという方もいらっしゃるでしょう。

屋号は掲載しなくてよいのか、した方がよいのかについてですが、屋号の掲載は特定商取引法上あまり重視されていません

それよりは、前述したように、法人名や個人名を明記して責任の所在を明確にしておくことの方が重要です。

本名を載せたくない場合は?

個人事業主の場合、個人が代表者となるので、「事業者の氏名」の項目には事業主本人の本名を記載する必要があります。しかし、本名を記載したくない方もいらっしゃるでしょう。

その場合は商号登記を行えば、本名を掲載しなくて済むようになります。商号登記とは、屋号を法務局へ登記することです。

これを行うことで、個人の本名ではなく屋号を掲載することで特定商取引法に基づく表記として認められるようになるのです。

住所を掲載したくない場合の対策3選

特定商取引法に基づく表記のうち、記載するのに最も抵抗があるのが住所ではないでしょうか。

特にネットショップの場合、特定のオフィスを持たず自宅を活動拠点としている人が多いことから、自宅の住所を掲載する必要に迫られている人は少なくありません。

しかしながら、自宅の住所を不特定多数の人に公開するのは気がひけるものです。そこで、自宅の住所を掲載しないで済ます方法をここで3つ紹介します。

1. オフィスを借りる

自宅以外の場所にオフィスを借りてそこを活動拠点とすれば、自宅の住所を記載する必要はなくなります。仕事用の作業空間も確保できるので、プライベート空間と仕事空間を明確に分けたい方に対してもおすすめの方法です。

ただ、家賃や光熱費などのコストが追加で必要になってくるので、ある程度資金に余裕がある方向けの対策ではあります。

2. 他のお店に委託販売してもらう

続いては、他のお店に委託販売してもらう方法です。委託販売であれば販売主は委託先になるので、自分の住所ではなく委託先の住所を記載できることになります

ただし、委託販売のルールについて委託先としっかり調整しておかないと、後々トラブルになってしまう可能性がある点には注意が必要です。

手数料の額だけでなく、発送や在庫管理の方法まで、お互いが納得できるまでしっかりと話し合いましょう。

3. オフラインで出店する

ネットショップでの販売をやめ、リアル店舗での販売にシフトするのも一つの手段です。

イベントでの出店などであれば特定商取引法に当てはまらない販売方法となるので、住所を明かす必要もなくなります。

お客さんや他の出店者と直接つながれる機会にもなるため、長期的に事業を発展させるうえでも有効な方法です。

しかし、リアル店舗の出店は準備が大変な点や、天候などの影響でイベントが中止になってしまう可能性がある点には注意が必要です。

「知らなかった」では済まされない!

今回の記事では、ネットショップを運営する上で注意すべき、特定商取引法に基づく表記に関して重要なポイントをお伝えしてきました。

本文中でも述べましたが、特定商取引法は法律なので、当然守らなければなりません。違反すれば、罰則が科されます。

つまり、「知らなかった」では済まされないのです。ルールに対して無知であるが故に、知らないうちにルールを破っていた、なんてことになってしまっては悲しいですよね。

「無知は罪」という言葉があるように、ルールに対して無頓着であること自体が、すでに罪への一歩と言えるのです。

この記事を読まれているような情報感度の高い皆さんであれば問題はないと思いますが、ぜひ今後もアンテナを張り続けて知らぬ間にルールを破っていたという事態が起きないようにしていただきたいと願うばかりです。

特定商取引法に限らず、ビジネスの世界には多くのルールがあります。そして、時代の変化に応じてルールは変化していきます。その流れに取り残されないためにも、常に情報感度を高くし続ける必要があります。

さらに言うならば、今後はさらに変化が激しい時代に突入していきます。そんな時代にあっては、世の中の変化を敏感に察知し、刻一刻と変化する状況に対して臨機応変に対応していく必要があります。

それにもかかわらず情報を得ることを怠り、知らない間にルールを破ってしまうような人は、遅かれ早かれ競争の世界からのドロップアウトを余儀なくされるでしょう。

激しい時代の変化に怯まず自ら事業を行っていくという選択をしたあなたなら、特定商取引法を遵守することくらい朝飯前のはずです。

ルールを守るという「守り」の部分に時間を割くのではなく、いかに売上を上げていくか、いかに事業を拡大させていくかといった「攻め」の部分に時間を割くためにも、ぜひ今回の記事で特定商取引法に基づく表記に関して理解を深めていただければと思います。

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この記事を監修した人

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