Amazonマーケットプレイスで商品を販売する際には、さまざまな手数料がかかります。Amazonは世界一のECサイトだから上手くいけば存分に儲かる、とお考えかもしれません。しかし、商品のカテゴリーやFBAサービスの利用などのオプションも含めると、思いの外手数料が差し引かれることがあります。
そこで今回は、Amazonで出品した際の手数料をカテゴリー項目別に解説していきます。これからAmazonでせどりをしようと考えている方は、よく読んで理解を深めてください。
Amazonの手数料は高い?
Amazonマーケットプレイスで商品を売ると、例外なく販売手数料がかかります。これは、売れた商品にだけ請求されるシステムで、基本的にはカテゴリー別に8%、10%、15%の3種類に分かれています。ただし、例外的にAmazonデバイス用アクセサリーには45%の販売手数料が請求されます。
これらのカテゴリーごとに決まっている販売手数料率は高いのでしょうか。その評価は人によってさまざまですが、いくつかの視点で掘り下げてみましょう。
出品プランを決める
Amazonマーケットプレイスで出品する際は、まず出品プランを決める必要があります。具体的には、「大口出品」と「小口出品」の2種類です。
大口出品は月額登録料4,900円を支払えば、どれだけ販売してもコストはかかりません。一方、小口出品の場合、月額登録料は無料ですが、1商品売るごとに100円の販売成約手数料がかかります。
自分のビジネススタイルに合ったプランを自由に選択でき、いつでも何度でも変更可能です。ちなみに大口出品はAmazonカタログに新商品を追加できたり、FBAが利用できたりするので、大口(50品以上)の規模で本格的にビジネス展開を考えている方にはおすすめです。100個売っても、1,000個売っても、月額4,900円のみですから1個分に換算すると安いと言えるでしょう。
一方、小口プランをチョイスして300円の商品を5個販売したとしたら、1,500円の売上額に対して500円の成約手数料がかかるので、手数料は安いとは言えないかもしれません。もちろん、大口プランで同じく300円の商品が5個しか売れなければ、月額手数料(4,900円)が売上額を優に上回るので完全な赤字となり、手数料は高いという結論に至ります。
Amazonマーケットプレイスはコスパが良い
Amazonには約5,200万人にものぼる多くのユーザーが存在します。そのため、仮にある程度手数料がかかったとしても、その分を広告料として捉えると必ずしも高くありません。
例えば、Amazonマーケットプレイスでテントを売るとしましょう。その場合、後述する販売手数料が10%+消費税分かかります。もし、20,000円のテントであれば、手数料は2,200円(消費税10%で計算)です。仮に50個売れたら、100万円の売上に対して11万円の販売手数料がかかります。ここに大口プランの月額登録料4,900円(+消費税)が加算されます。
しかし、もし一からホームページを作成したり、ネット広告を出したりして自分で営業するとしたら、おそらくこの程度の経費では済まないでしょう。そう考えると、Amazonの手数料はコスパが良いと言えるかもしれません。
他のサイトと比べてみる
参考までに、国内ではAmazonと並んで覇を競う楽天の手数料について見てみましょう。
楽天では、「がんばれ!プラン」「スタンダードプラン」「メガショッププラン」の3つの出店プランがあります。例えば、スタンダードプランなら、月額手数料だけでも50,000円(税別)かかり、システム手数料として月額売上高の2.0~4.5%がかかります。Amazonのカテゴリーごとに決まっている販売手数料率と比べると低めの設定ですが、月額手数料がAmazonの大口出品の10倍以上のため、ビギナーにはハードルが高いかもしれません。また、国内最大のフリマアプリ「メルカリ」は、基本手数料が10%です。
こう考えると、Amazonの手数料は決して高いとは言いきれないでしょう。
Amazonマーケットプレイスの手数料の仕組み
ここからは、Amazonマーケットプレイスの出品でかかる手数料について、さらに詳しく掘り下げていきましょう。自分が出品することを念頭におきながら読み進めてみてください。
手数料は「月額登録料」+「販売手数料」+「配送料」
Amazonの出品手数料は、最低でも「月額登録料」+「販売手数料」+「配送料」がかかります。
販売手数料
Amazonの販売手数料は、カテゴリーごとに決まっている販売手数料率を売上高に乗じて算出します。
詳細は後程お伝えしますが、カテゴリーは全部で32種類に分かれています。販売手数料率は、8%、10%、15%です。ただし、Amazonデバイス用アクセサリーは例外で、販売手数料率は45%になります。
また、全てではありませんが、多くのカテゴリーで最低販売手数料(30円)も設定されていて、販売手数料率を乗じても29円以下の場合は自動的に30円が請求されます。
FBA手数料
大口出品でFBAサービスを利用する場合は、別途手数料が発生します。FBAとは、「フルフィルメント・バイ・アマゾン」の略で、注文が入ると梱包、配送、カスタマー対応、返品対応などをAmazonが責任もって請け負うサービスです。
実際にビジネスを始めると、数量不足や不良品、破損、遅延など、ユーザーとの間でのトラブルは付きものです。しかし、その一つ一つに対応していると手間と時間がかかり、肝心の商品開発やマーケティングなどのコアな業務に集中できません。
そうした中では、トラブル対応も含めてAmazonに一任できるFBAは大変優れたサービスです。現にこのサービスを活用した出品者のうち、75%が商品の売上が向上したと答えています。
出品プラン別手数料の決め方
これまでもご説明しましたが、Amazonで出品登録する際に、まずは「大口出品」か「小口出品」を選択する必要があります。その手数料の決め方について解説していきます。
大口出品・小口出品のプラン内容
「大口出品」は月額登録料4,900円が固定で、どれだけ販売してもこれ以上の手数料はかかりません。メリットとしては多く売るほど割安になり、商品広告を出せるようになるほか、検索上位表示や商品詳細ページへの掲載などが可能になります。本格的なビジネス展開をお考えなら、ぜひ大口出品を選びましょう。
「小口出品」は月額登録料が無料ですが、販売成約手数料として1商品販売につき100円が請求されます。
出品プランを決める目安
小口出品は1個につき100円ですから、49個までの販売であれば大口出品の月額登録料の4,900円と同額です。しかし、50個以上販売するとなると5,000円以上かかるため損になります。50個以上の大口を想定して出品する場合は大口出品、49個以内で小規模に考えている場合は小口出品がおすすめです。
カテゴリー別販売手数料
先ほどご説明したAmazonの販売手数料について具体的にお伝えしていきます。販売手数料は売上額に販売手数料率を乗じて算出しますが、カテゴリーによってその率は異なります。さらに、カテゴリーによっては売上額の違いでその率が変化するものもあるので注意が必要です。
カテゴリー別手数料率一覧
Amazonのカテゴリー別の販売手数料率を一覧でご紹介します。
【6.5%】
・ビール
【8%】
・エレクトロニクス(AV機器&携帯電話)
・カメラ
・パソコン・周辺機器
・大型家電
・ドラッグストア ※1
・ビューティ ※1
・食品・飲料商品 ※1
・ペット用品 ※2
・ベビー&マタニティ ※2
・電子辞書
・業務用医療薬品 ※1
【10%】
・付属品(エレクトロニクス、カメラ、パソコン)
・スポーツ&アウトドア
・カー&バイク用品
・おもちゃ&ホビー
・ジュエリー ※4
・楽器・オーディオ
・健康家電・理美容家電
・TVゲーム本体
・浄水器・整水器
【12%】
・服&ファッション小物
【15%】
・本
・CD/レコード
・DVD
・ビデオ
・TVゲーム
・PCソフト
・文房具、オフィス用品
・ホーム(インテリア・キッチン)
・ホーム(家具) ※3
・ホームアプライアンス
・DIY、工具
・産業、研究開発用品
・腕時計
・シューズ&バッグ ※6
・その他のカテゴリー
【45%】
・Amazonデバイス用アクセサリ
※1 1商品あたりの売上合計が1,500円を超える場合は10%
※2 1商品あたりの売上合計が1,500円を超える場合は15%
※3 1商品あたりの売上合計が20,000円を超える部分には10%
※4 1商品あたりの売上合計が10,000円を超える部分は6%
※5 1商品あたりの売上合計が3,000円を超える部分は8%
※6 1商品あたりの売上合計が7,500円を超える場合は6%
Amazonのカテゴリー成約手数料
Amazonでは、販売手数料とは別に、一部メディア系商品には「カテゴリー成約料」も加算されるので注意が必要です。
【カテゴリー成約料】
書籍:80円
CD/レコード:140円
DVD/Blu-ray:140円
ビデオ(VHS) :140円
商品にもよりますが、これらのアイテムは1円からでも販売されることが多いので、多数になるとカテゴリー成約手数料だけが膨大に加算されることにもなりかねません。採算を考えるなら、Amazonのカテゴリー成約手数料など十分に考慮し、出品の仕方には十分注意しましょう。
手数料には消費税もかかる
ここまでご紹介してきたAmazonマーケットプレイスの手数料には、すべて消費税が課税されます。
具体的には、月額登録料、販売成約手数料、販売手数料、カテゴリー成約料、FBAにからむ各種手数料(消費税込み)です。
消費税を計算してみよう
例えば、先の例でも取り上げた20,000円のテントを1個販売すると仮定して消費税の計算をしてみましょう。
テントの販売手数料率は10%のため、販売手数料は2,000円です。小口プランで登録したとすると、販売成約手数料は100円です。
これらの合計が2,100円で、消費税(10%)は210円となります。
その他の手数料も要チェック
そのほか、FBAサービスの手数料もかかるので注意しましょう。
FBAの手数料その1「在庫保管手数料」
FBAの手数料は、「在庫保管手数料」と「配送代行手数料」の2つからなります。まず、在庫保管手数料について見てみましょう。
在庫保管手数料は、「1〜9月」と「10~12月」で価格が変わります。また、「服&ファッション小物」「シューズ&バッグ商品」とそれ以外のカテゴリー、さらにサイズによっても計算式が異なります。(※計算式で算出した金額には、10%の消費税が含まれます。)
まず、「服&ファッション小物、シューズ&バッグ」以外のカテゴリーから説明しましょう。
【小型/標準サイズ】
1~9月 5.676円×〔商品サイズ(㎤)〕/(10㎝×10㎝×10㎝)×〔保管日数〕/〔当月の日数〕
10~12月 10,087円×〔商品サイズ(㎤)〕/(10㎝×10㎝×10㎝)×〔保管日数〕/〔当月の日数〕
【大型/特大サイズ】
1~9月 4,370円×〔商品サイズ(㎤)〕/(10㎝×10㎝×10㎝)×〔保管日数〕/〔当月の日数〕
10~12月 7,760円×〔商品サイズ(㎤)〕/(10㎝×10㎝×10㎝)×〔保管日数〕/〔当月の日数〕
続いて「服&ファッション小物、シューズ&バッグ商品」の在庫保管手数料です。
1~9月 3.10円×〔商品サイズ(㎤)〕/(10㎝×10㎝×10㎝)×〔保管日数〕/〔当月の日数〕
10~12月 5.50円×〔商品サイズ(㎤)〕/(10㎝×10㎝×10㎝)×〔保管日数〕/〔当月の日数〕
FBA手数料その2「配送代行手数料」
続いては、「配送代行手数料」です。FBAでAmazonが代行してくれる梱包と配送の手数料になります。
寸法(梱包された商品の長さ・幅・高さの合計)と発送重量(商品重量+梱包重量)で決まり、「小型/標準サイズ」「大型サイズ」「特大サイズ」に区分されています。
【小型/標準サイズ】(寸法/発送重量:手数料)
・25×18×2.0cm未満/250g未満:288円
・35×30×3.3cm未満/1kg未満:318円
・40cm未満/2Kg:434円
・50cm未満/2kg:465円
・60cm未満/2kg:485円
・80cm未満/5kg未満:514円
・100cm未満/9kg未満:603円
【大型サイズの商品】(寸法/発送重量:手数料)
・60cm未満/2kg未満:589円
・80cm未満/5kg未満:712円
・100cm未満/10kg未満:815円
・120cm未満/15kg未満:975円
・140cm未満/20kg未満:1,020円
・160cm未満/25kg:1,100円
・180cm未満/30kg未満:1,532円
・200cm未満/40kg未満:1,756円
【特大サイズの商品】(寸法/発送重量:手数料)
・200cm未満/50kg未満:2,755円
・220cm/50kg未満:3,573円
・240cm未満/50kg未満:4,496円
・260cm未満/50kg未満:5,625円
Amazon Payの手数料も出品者負担
ユーザーがAmazon Payで決済をした場合、その手数料も出品者負担となります。
具体的には以下の通りです。
・デジタルコンテンツ以外(物理的商品・サービスなど):3.9%
・デジタルコンテンツ:4.5%
ちなみに、初期費用と月額費用は振込手数料が無料です。
まとめ
Amazonマーケットプレイスの出品する際に必要な手数料について詳しくお伝えしました。
Amazonはとても便利な人気ECサイトですが、カテゴリー成約手数料など細かな手数料が複数あります。そのため、出品にあたっては手数料について正しく理解しておく必要があります。まずは大口か小口か、自分のビジネスプランに応じて出品プランを決めましょう。大口ならFBAも活用できますが、それなりの手数料がかかるのであらかじめその予算も確保しておいてください。また、Amazonの販売手数料率はカテゴリーによって細かく規定されているので、手数料をきちんと確認することが重要です。
最初は戸惑うことも多いかもしれませんが、慣れれば決して複雑ではありませんので心配無用です。もっとも大切なことは、Amazonユーザーのお眼鏡にかなう素敵なアイテムを出品することです。そして、多くのファンができれば、手数料についてはさほど気にならなくなるでしょう。