AliExpressは、中国の巨大企業・アリババ(阿里巴巴)グループが運営しているECサイトです。数多くのショップが出店し、ありとあらゆる商品が販売されています。
何と言っても魅力なのは、日本にはない珍しい商品、日本ではまだ発売されていない商品が買えることと、それが中国の安い物価に合わせた値段であることです。個人的な買い物はもちろんのこと、個人で輸入ビジネスをするうえで、仕入れ先として重宝している方も多いことでしょう。
AliExpressは送料も安く抑えることができます。もっとも安い配送方法を選ぶと無料となり、商品の安さの恩恵を存分に受けることができます。しかし、安さには必ず裏があるものです。この場合、無料であることと引き換えに、商品の到着は1ヶ月~2ヶ月後とかなり遅くなり、また商品が届かないといったトラブルにも見舞われやすくなります。それなりに高価な商品を購入した際には、もう少し質の高い発送方法を選びたいものです。
この記事では、そんなAliExpressにおいて用意されているさまざまな発送方法を紹介すると同時に、特にオススメの方法であるEMSについて、具体的に解説していきます。
AliExpressの発送方法いろいろ
冒頭でも述べたとおり、AliExpressの商品は、発送方法によっては届くまでにかなりの時間がかかることになります。1ヶ月~2ヶ月は当然に見積もっておくべき期間であり、場合によってはそれが3ヶ月ほどに伸びることもないわけではありません。
その仕組みは、まず、中国の内陸部にあるショップで商品を注文した場合、中国国内の輸送に長い時間がかかります。ショップから港までは物理的にも流通的にも距離があり、商品はそれなりの旅をしなければならないからです。そして港に着いたからといって、すぐに荷物が出発するわけではありません。
送料無料の発送方法を選択した場合、規定のコンテナがいっぱいになってから船便が出発する仕組みになっています。したがって、あなたの荷物が港に着いたのが、ちょうど前回分のコンテナが出発した直後であった場合、新たにコンテナが荷物でいっぱいになるまで待たされることになります。このタイミング次第では、さらに大きく遅れが出てしまうわけです。
こういった事情から生まれるあなたの待ち時間は、日本人の通常の感覚からすると、配送事故と区別がつかないような長さなので、初めて利用する方は焦ってしまいます。そして、実際に何かトラブルが起こっている可能性も、日本国内で商品を注文する場合よりずっと高いのです。商品の追跡情報をしっかりチェックし、現在荷物がどこにあるのかを確認することが、そういったトラブルを少しでも早く察知するうえでは大切になってきます。
それでは、各種の発送方法についてみてきましょう。
China Post Ordinary Small Packet Plus
AliExpressが使用する発送方法としては、もっとも安いものです。それゆえに到着まで時間がかかるのが常で、1ヶ月以上は当たり前に考えておかなくてはなりません。
平均すれば20日~40日くらいです。中国の内陸側や、流通システムの整っていない地域にあるショップで購入した場合、そこからの発送になるため、いっそうの時間がかかります。
どうしても安く早く商品を手に入れたい場合には、ショップが存在する地域についての情報や、中国のどのあたりの流通システムが良いのか、あるいは悪いのか、といった情報を知っておく必要があります。しかし、よほどの中国通でない限り、そこまで考えて買い物をするのは現実的ではないので、実際には運任せのようなかたちになるでしょう。
荷物のトラッキングは中国国内のみ可能で、日本に到着してからは把握することができません。しかし、日本に着いてからの動きは速いので、その点を心配する必要はないでしょう。
荷物は原則としてポストに投函されます。日曜日および祝祭日の配達はありません。
China Post Air Mail
上記のChina Post Ordinary Small Packet Plusを多少グレードアップさせたような発送方法です。比較すると、多少早めに商品を手に入れることができます。早ければ2週間~1ヶ月といったところでしょうか。
荷物は日本においては書留扱いとなるため、日本国内に入ってきて以降もトラッキングが可能となっています。
書留扱いの性質上、ポストにただ投函されて終わりということはなく、直接受け取り、サインをすることが必要になります。
国際書留となり、日曜日や祝祭日においても配達があります。
China Post Ordinary Small Packet Plusの荷物に紛れて、サインなしでポストに投函されていた、といった事例も報告されており、発送方法としてはラフな部類に属します。
ePacket
e-EMSという表記がなされることがあり、EMSと区別がつきにくいのですが、これはePacketという、EMSとは異なる発送方法です。届くまでの早さは、China Post Ordinary Small Packet Plusよりやや上といったところです。中国の国際郵便局を出るまでは早いのですが、そこから日本の国際郵便局までは時間がかかる、という点に特徴があります。
e-EMSというのは中国の代理店を経由したEMS委託便のようなのですが、e-EMSを選択して送料が無料であった場合は、このePacketになることがあります。逆に送料がEMSのそれに近かった場合は、EMS便が選ばれる可能性があります。表現が紛らわしいので、発送方法を選択する際には注意深くチェックする必要があります。
商品のトラッキングについては、中国国内だけでなく、荷物が日本に到着してからも可能となっており、荷物はポストに投函されます。発送から到着までの時間は、おおむね10日~30日くらいです。日曜日および祝祭日の配達はありません。
AliExpress Standard Shipping
ショップ側が商品をいったんAliExpressの物流倉庫に発送しておき、その後AliExpress側に発送を委託するというシステムです。AmazonでいうところのFBAをイメージすると、わかりやすいでしょう。商品を発送する責任がショップではなくAliExpressにあり、少なくとも商品の実体が確認されていると考えられるぶん、安心度は高いと言えます。
AliExpressの物流倉庫に配送するという手順のぶんだけ到着が遅くなるかというと、そうではなく、むしろ到着は早めです。通常はだいたい14日~20日ほどで届きます。ただし、タイミングが悪いとなかなか荷物が中国を出発しないというデメリットがあります。
SunYou Economic Air Mail
中国を出発した荷物が、いろいろな国を経由したのち日本に届く発送方法であると言われています。そのため、他国のラベルが何枚か荷物に貼られていることがあります。
荷物が届くまでの日数は、だいたい40日~50日と長めです。ポストに投函される仕組みで、受け取りのサイン等は要りません。
Yanwen Economic Air Mail
上記SunYou Economic Air Mailと同じく、中国を出発した荷物が海外を経由して日本に到着するタイプの発送方法です。ただし到着までの時間にはかなりの違いがあり、こちらはおおむね3週間ほどで到着します。
AliExpressの採る発送方法の中では、優秀なほうに属します。ポストに投函される仕組みで、受け取りのサイン等は必要ありません。
EMS(国際スピード郵便)
郵便の中ではもっとも早い発送方法です。Chinaポストに荷物が渡されるまでに5~6日ほど、そして渡されたあとは2~3日で届きますので、合計で7~9日ほどしかかかりません。荷物はゆうパックと同じ扱いとなり、ゆうパックの配達員が届けてくれますので、受け取りのサインが必要になります。
FedEx
次に紹介するDHLと同じく、世界的に有名な民間の配送業者です。だいたい1週間ほどで荷物が届くので、感覚的には日本国内で注文するのとそれほどの違いはありません。
ただし、お住まいの地域が「リモートエリア」でないかどうかは確認しておいてください。リモートエリアとは、FedExや後述のDHLが直接配送をせず、提携業者に荷物を引き継いで、その業者が実際に購入者のもとに荷物を配達する仕組みをとる地域のことです。
地方に行くほど、このリモートエリアに該当することが多いです。この場合、AliExpressにおいては料金を上乗せされることがあるので、その額もあらかじめ計算に入れておく必要があります。
DHL
FedExと同じく、世界的に有名な民間の配送業者です。荷物が届くまでの早さも、同じくらいです。
高価なものを購入した場合や、少しでも安全に届けて欲しい場合、事情があって早急に届けて欲しい場合などには、こういった発送方法を選んでおくのがよいでしょう。ただし、消費税や関税なども計算され、請求されるので、それなりにお金がかかることは念頭に置いたうえで利用するようにしてください。
SYD+JCEX
こちらがお願いしたのとはべつの手段で荷物が送られてくることもあります。実際に報告されている事例としては、FedExで発送するようにお願いしたら、実際には中国国内はSYDexpress、国際はJCEXexpressという風に引き継がれて届いたというものがあります。しかし、これらもFedExとほぼ変わらないスピーディーな配送なので、余計な料金がかからないのであれば、発送方法を変更されても実害はないと言えるでしょう。
EMSは郵便として最速の発送方法
ここまで紹介してきたとおり、AliExpressからあなたの自宅まで荷物を送る方法にはいろいろなものがありますが、その中でももっともオススメできるのがEMS、国際スピード郵便です。
EMSをトラッキングする
先述のとおり、EMSの配送速度は、Chinaポストに荷物が渡されるまでに5~6日ほど、そして渡されたあとは2~3日ほど、合計で7~9日です。実際には、Chinaポストに渡されるまでの時間がほとんどないこともあり、その場合には全体でも2~3日しかかかりません。国際郵便としては驚異的なスピードです。
その荷物を追跡してみると、数時間刻みで次から次へと段取りが進んでいるのがわかります。この速さは通常の中国の発送システムには期待できないもので、素早く荷物を送ってもらいたいときには、EMSが最良の選択肢となります。
ただし、移動時間がわずかである割には荷物の箱がボコボコしているなどの、国際配送らしい面はそれなりに残っています。
中国国内で移動する可能性もある
EMSは最速の部類に属する発送方法ですが、そのルートが最短かというと、そうとは言い切れないところも見受けられます。中国国内で、荷物がChinaポストに渡されるまでに、べつの業者が絡んでいることが多いです。この過程で多少の時間がかかることがあり、また商品の破損などが起き得る可能性もあります。
購入者としては、ショップからChinaポストまでは常に直通であって欲しいのですが、中国国内の郵便事情から、それは必ずしも叶わないこととなっています。
「保税運送中」の表示について
追跡情報をチェックしていると、「保税運送中」という表示が見つかることがあります。意味を知らない方は、何か面倒なトラブルに巻き込まれたのではないかと不安に思ってしまうこともあるかもしれません。ここでは、その意味について解説します。
China Post Ordinary Small Packet PlusやePacketなどの場合、通関業務をするのは日本の神奈川県川崎東郵便局と定められています。それに対し、EMSでは各地域の国際郵便局がその担当をすることになっています。たとえば、関東では東京国際郵便局、関西では大阪国際郵便局、中部は中部国際郵便局です。
しかし、何かの都合でべつの地域に届くこともあり、その場合には通関前の荷物を、然るべき国際郵便局へ輸送することになります。この輸送の最中であることを示す表示が、「保税運送中」です。
結論として、これは少なくともあなたが何らかの対処をしなければならないトラブルではありません。少し待っていれば規定の国際郵便局に荷物が届き、正規のルートであなたのもとへと送られます。
EMSで注文した商品が届くまでにかかる日数
1. 注文完了後に出品者が準備する日数(1~7日)
2. 民間の配送業者が引き取りに来る(1~10日)
3. ChinaポストのEMS便への引き継ぎ(2~4日)
4. 日本の郵便局による配達(1~2日)
EMSの領分だけをみると、原則として1週間以内には配達してくれます。しかし、上記1と2、すなわち出品者と中国国内の民間配送業者の動きに関しては、場合によって遅いこともあり得ます。この点は巡り合わせの運不運となるので、時間的な余裕があれば、あらかじめある程度の日数を見積もっておくのがよいでしょう。
まとめ
AliExpressで商品を注文した場合の発送方法について、そしてEMSがその中でも特にオススメであるということについて、解説しました。
以下の点には注意してください。記事中ではEMSが相対的に優秀であることを紹介しましたが、それでも日本国内の配送システムと比べれば粗があるというのが実状です。したがって、本当に急いで手に入れたいものは買わない、商品が破損するリスクを受け入れる、そもそもショップ選びを慎重に行う、といったことはきちんと心がけておく必要があります。
こういったことを踏まえたうえで、ある種の妥協のもとでAliExpressとEMSの組み合わせを利用するぶんには、とても有益な仕入れの手段となり得ます。ぜひ上手に使ってみてください。