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AliExpressなど、輸入品が税関保留となったときはどう対処すべきか?

アパレルを中心に、中国から商品を輸入して販売するネットショップが増えています。

選択肢が豊富で、価格も手頃なため人気のようですが、中国など海外から商品を輸入すると、税関を通過できないトラブルが起こることもあります

税関でトラブルが起こると、荷物を受け取るのが遅れたり、最悪の場合、破棄することになってしまうので、対処法を知っておいたほうがいいでしょう。

「外国から到着した郵便物の税関手続のお知らせ」

参考:外国から到着した郵便物の税関手続のお知らせ 保留カード-税関

こうした通知を税関から受け取ったショップ運営者もいると思いますが、この通知は通関(税関を通過すること)できない商品があることを知らせています。

どう対処すればいいのか含め、税関について学んでいきましょう。

商品が税関で止められてしまう理由は?

税関で止められてしまう荷物は、コピー品や模造品だけではなく、日本への輸入規制に引っかかる商品が対象になります。

その際、どう対処されるかというと、多くの場合は税関で破棄されてしまうのです。

購入代金を返金してほしいという声もあるようですが、基本的には難しいようです。

「AliExpress」で購入すると、税関保留はそれなりにある

「AliExpress」は、中国のアリババが運営する海外向けオンラインショッピングモールです。

日本からの利用者も多く、日本語サイトも用意されています。

参考:AliExpress

このAliExpressを利用した場合、税関で「Import clearance failure」、つまり「税関保留」となるケースが多々あるようです。

試しに、Googleで「Import clearance failure AliExpress」と検索すると、日本語サイトを含めて情報があり、「比較的よくあること」のようです。

日本語サイトを見ると、「放っておいたら、翌日には受け取ることができた」などの内容もあり、通知を受けたからといって必ずしも焦る必要はないのかもしれません。

ですが、慣れていないため「どうすればいいの?」と、あわててしまう人も多いのです。

販売者側と購入者側、責任はどちらにあるのか

では、税関で引っかかった場合、販売者と購入者、どちらに問題があるとされるのでしょうか。

購入した立場だと、「ショップに問題がある」と考えたいですが、それは偏った見方です。

そもそも、海外向けに展開しているネットショップにすべての購入者の国の事情を把握しろというのは、無理な話です。

ショップは「売りたい」がホンネですから、どの国から注文が入ったとしても、購入者のデータに従って商品を配送してしまうからです。

つまり、日本の税関で引っかかった場合、事前に輸入の可否を確認しなかった購入者の問題となります

商品が届かなくても代金は支払うことに

税関で輸入不可となった商品は、購入者のもとに届けられることはなく、また販売者に返送されるわけでもなく、多くの場合は破棄されてしまいます。

では、購入代金はどうなるのでしょうか。

販売者は商品を送っているのですから、当然、購入者に代金を請求します。

購入者にしてみれば、「手元に届いていないのに、どうして代金を払わないといけないのか」となりますが、前述したように、日本の税関で止められた場合、輸入可否の確認は購入者の責任となるため、基本的には支払いの必要があります

ただ、状況を考慮してくれる販売者がいるかもしれないので、諦めず、返金を求めてみるのもありです。

中国の税関で止められることもある

では、AliExpressで購入し、中国の税関で引っかかったらどうなるのでしょうか。

この場合、海外に輸出してはいけないものを販売した側に問題があると考えられるため、交渉し、返金を求めるのが自然な流れです。

通関できない商品を事前にチェック

どんな商品を購入したら、税関で引っかかる可能性が高いのか。

また、なんらかの事情で税関を通過した商品なら、それは販売してもいいのでしょうか。

以上に2点について解説します。

こんな物品は、税関で引っかかってしまう

どんなものが税関で引っかかるのかは、税関のウエブサイトで確認できます。

東京税関のウエブサイトには、関税法で輸入が禁止されているものとして、以下の記載があります。

1.麻薬、向精神薬、大麻、あへん、けしがら、覚せい剤、あへん吸煙具
2.指定薬物(医療等の用途に供するために輸入するものを除く。)
3.けん銃、小銃、機関銃、砲、これらの銃砲弾及びけん銃部品
4.爆発物
5.火薬類
6.化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律第2条第3項に規定する特定物質
7.感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条第20項に規定する一種病原体等及び同条第21項に規定する二種病原体等
8.貨幣、紙幣、銀行券、印紙、郵便切手又は有価証券の偽造品、変造品、模造品及び偽造カード(生カードを含む)
9.公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品
10.児童ポルノ
11.特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品
12.不正競争防止法第2条第1項第1号から第3号まで又は第10号から第12号までに掲げる行為を組成する物品

参考:輸出入禁止・規制品目-税関

他に、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、植物防疫法、家畜伝染病予防法などにおいても、輸入が禁止されているものがあります。

また、違法ではないと称して販売されているハーブやアロマオイル、バスソルトなどの商品の中には、「麻薬」や「指定薬物」にあたり、輸入が禁止されているものがあるので、注意してください。

もし、これらの禁止されているものを輸入した場合には、関税法等で処罰されることとなります。厳しい罰則も設けられているため、軽く考えないようにしてください。

参考:関税法の罰条-税関

税関で引っかかる場合、上記の禁止されているものに該当するものは完全にアウトですが、確認のための保留もあります。

商品に関する保留であった場合、捨てるか書類手続きをすることになり、確認だった場合、電話から書類送付で解決できることが多いようです。

通関したものでも、何でも販売していいわけではない

税関では、すべての荷物を詳しく検査するわけではないため、本来なら引っかかるべきものが通関してしまうこともあります。

商品が手元に届いたら、「販売してもいい」と感じるかもしれません。ですが、「販売していいか」と「通関できるか」はイコールではないのです

なんらかの事情で通関してしまったものや、PSE(電気用品安全法)の取得が義務づけられながら、PSEマークのついていない家電なども、通関は可能ですが販売はできません。見つかったら罰則の対象になってしまいます。

そうならないためにも、「通関=販売可」ではないことを、頭に入れておいてください。

中国など海外からの輸入で確認すべき6つのポイント

税関は法律に基づいて行われ、また国内法だけでなく、ワシントン条約のように世界的な取り決めも関わるため、慎重を期すことをおすすめします。

すべてのルールを網羅するのは難しいため、「これは?」と思ったものは確認しておくべきです。

越境ECも盛んな現在、輸出入の際に確認しておくべきポイントをまとめておきましょう。

【価格の確認】書類不備がほとんど

海外へ荷物を送る際、必ず求められる書類に「インボイス」があります。「発送人(輸出者)が誰で、その荷物がどこからどこへ(誰から誰に)送られるものなのか」、「その内容物や価格、数量はどれくらいか」といった内容が記載されています。

日本語では「商業送り状」と訳され、貿易取引の現場では単に「送り状」と呼ばれることもあります。

インボイスに不備があると、税関から確認を求められます。

記載されている数量と実際の中身の数量が違ったり、商品代金が安すぎたりが原因で、書類と事実に相違がある場合がほとんどなので、インボイスを徹底しておけば滅多に起こりません

起こったとしても、電話か書類送付で解決できるのであわてる必要はないでしょう。

また、必要書類が不足していたり、記入不備があったりで、海外から輸入した商品の価格が分からない場合にも、通関保留となりえます。

この場合の対処法は、通知書に購入時のレシート、ネット通販の購入画面のコピーなどを貼り付けて返送することで、金額が確認されれば保留が解除されます。

【法律】医療・美容関係は薬機法に注意

法律で、注意しなければいけないものに「薬機法(旧・薬事法)」があります。

おもに人体に対して使用するものに関して適用され、「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」「医療機器」のいずれかに該当すると判断された場合、通関保留となってしまいます。

上記4品目の場合、医薬品医療機器等法により、厚生労働大臣の製造販売業又は製造業の許可や登録を受けた者でなければ、業としてこれらを輸入してはならないと定められているためです。

規制対象物品については、輸入申告の際、医薬品医療機器等法上の許可、承認等を受けていることを、税関に証明しなければなりません

具体的にどうするかというと、「医薬品等製造販売業許可証(同製造業許可証又は同製造業登録証)」の写しや「医薬品等製造販売承認書(同認証書又は同届書)」の写し等が、輸入通関時に必要です。

明らかに違反する薬品等を輸入する方は少ないでしょうが、中国からの輸入の場合、健康グッズや美容グッズの類は注意したほうがいいでしょう。

直接、肌に対して作用する美顔ローラーなどは特に要注意で、税関で引っかかると許可証を求められますが、対応が難しいので、商品を破棄するケースが多いようです。

薬機法や他の法律でも同じですが、要は税関職員に「どう見えるか」が重要です。同じ商品をインボイスに記載していても、表現が少し違うだけで引っかかってしまうこともあるからです。

「書き方」や「見せ方」に関しては、「適正表示ガイドライン」に一度目を通しておくことをおすすめします。

参考:医薬品医療機器等法に関する 適正表示ガイドライン

【食品衛生法】食べ物だけでなく食器等も対象に

食品衛生法は、食に関する商品に関して適用されますが、食べ物そのものではなく、食器、水筒、コップ、弁当箱などを輸入する際も、引っかかってしまう場合があります。

1つのケースですが、食器や入れ物はオールステンレスなら、書類を出せばほぼ問題なく通関できるようです。

プラスチックやゴムパッキンなどが含まれている場合、話が少し変わるため、どうしても輸入したい商品がある場合、事前に確認しておくことをおすすめします。

【ワシントン条約】何が含まれるかを事前に確認したい

ワシントン条約の正式名称は、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」です。

希少な野生動植物の国際的な取引を規制する条約であり、採択された都市の名前からワシントン条約と呼ばれています。

対象となっている動物の革、種子、木材、または一部に使った製品の場合、該当する商品は破棄するしかありません

対策としては、何がワシントン条約に含まれるのかを、購入前に確認することです。

例えば、オーストリッチは商業目的での国際取引は禁止されていますが、クロコダイルは、輸出国政府の許可証があれば可能です。

特に、バッグやベルト等の革は見過ごしがちなので注意してください

【刀剣類】コスプレ用品なら交渉すれば問題なし

近年のコスプレブームもあって、コスプレ用の刀剣を扱うショップも増えています。

中国から輸入するショップも多いようですが、日本では銃砲刀剣類所持等取締法で規制されるため、本物(実際に刃がついているものなど)は輸入できません

ただ、コスプレに使うのは木刀や模造刀なので、引っかかったとしても、内容物が何かを説明して、交渉すれば問題はないはずです。

【偽ブランド】輸入も販売も違法になる

中国から商品を輸入する場合、引っかかる理由として多いのは偽ブランド品、コピー品、模造品です。

知的財産保護の視点から、税関はブランド品には特に敏感に反応する傾向があります。

いわゆる「パチモン」は、輸入するのはもちろん販売するのも違法にあたり、Amazonやショッピングモールで販売すると、アカウント閉鎖の可能性もあるため、軽く考えないほうがいいでしょう。

ただ、国内での販売ではなく、あくまでも個人使用目的であれば商品を受け取ることができます

知的財産権に関する事項が添えられた認定手続開始通知という書類が送られてきたら、「個人使用目的である」旨を記載する意見書を、受け取った翌日から10日以内に送付すれば受け取れますが、期限を過ぎると破棄されます。

たまに、「個人使用目的」といいながら、大量に持ち込もうとする人もいますが、明らかに不自然なため、税関で引っかかり、没収されるケースがほとんどです。

通関保留の通知が届いてからの対処法

税関から「通関保留」の通知を受け取ったら、最初は「全部没収されるの?」と焦るかもしれませんが、いきなり全部没収とはなりません。

何が原因で保留なのかがはっきりしているなら、どう対応するかが問題になります。

対応の仕方次第で、受け取るまでの期間がかなり変わるため、出来るだけ無駄のない対応をしたいものです。

受け取った通知を確認し、書類を送付

最初の対応は、受け取った通知に対して、返信する方法です。

予定より商品の到着が遅れていると感じたら、トラッキングナンバーから追跡してみてください。

もし「税関から通知書発送」と記載されていたら、後日、通関保留を知らせる「外国から到着した郵便物の税関手続のお知らせ」が届きます。

参考:外国から到着した郵便物の税関手続のお知らせ 保留カード-税関

左側は「荷物が届いています」というお知らせですが、右側は返信用葉書になっており、裏面に保留の理由(用途確認、価格の確認)などが記載してあります。

理由に対しての証明、例えば購入時のレシート、購入画面のコピーなどを貼り付けて返送すれば、手続きは完了です。

問題がなければ、後日、商品は無事に発送されます。

急ぎの場合、電話で会い合わせてみる

急いでいる場合は、電話で問い合わせるという手もあります。

トラッキングナンバーで通関保留を確認したら、荷物が止まっている税関に電話をします。

荷物が保留中になっている旨を伝えると、原因が「価格の確認」なら、レシートや購入画面の画像を指定されたメールアドレスに送り、解決ということもあります。

すべてスムーズにいくわけではなく、商品や保留の理由によっては他の手続きも必要になりますが、急いでいるなら、通知書類を待たずに自分からアクションを起こしてみてください。

自分で判断しないで税関職員に確認

輸入しようとした商品が偽ブランド品、模造品、違法薬物などの場合、それらは破棄されることになり、他に選択肢はありません。

食品等に関するの商品の場合、価格確認のために何かしら書類提出を求められるので、ここは早急に対応するようにしましょう。

早急といっても、書類に不備があると意味がないため、税関の係員に必要書類等の確認をするようにしてください。

許可が下りたかどうかは自分から確認

通関保留の通知を受け取り、確認のための書類を送付したら、許可が下りたのかどうかは自分で確認することになります

現在、書類のやり取りはメールが基本ですが、件数が多いと埋もれてしまうこともあるため、提出してから数日後に確認するようにします。

あわてずに、やるべきことをやる

海外からの輸入に慣れていないと、税関から通知を受け取った時点であわててしまうかもしれません。

あわてても解決するわけではないので、落ち着いて、やるべきことを粛々と進めましょう

流れを整理すると以下の通りです。

  • 通知が届いたら、まず保留になっている「原因」を確認する
  • 税関に電話して、「どんな選択肢があるのか」と、「最も早い方法は何かを」を確認する
  • 書類提出などを実行する
  • 通関許可が下りたか確認する

もし、間に通関会社が間に入っているなら、通関会社から連絡が入るので、言われた通りに対応すれば問題ありません。