Amazonへの出品は比較的簡単なので、ネットビジネス初心者の方でも始めやすいと言われています。
しかし、始めやすい反面、ひとつの商品に対して複数の出品者がいる「相乗り」と呼ばれる状態が起こりやすく、なかなかビジネスチャンスにつながらないこともあります。
そこで今回は、Amazonで相乗りされてしまったときの対処法についてくわしく解説します。ぜひ参考にしてください。
相乗り出品とは?
まずは、相乗り出品についてご紹介しましょう。
Amazonの相乗り出品とは?
Amazonは、「原則として出品は1つの商品に対して1商品ページ」というルールを定めています。
つまり、1つの商品に対して複数のページを作成できない決まりがあるのです。そのため、同じ商品に対して複数の出品者が存在するときは、すべて同じページにおいて出品しなくてはなりません。
このような状態を「相乗り出品」または「相乗り販売」と言います。
相乗り出品のメリット
相乗り出品にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
【出品作業が楽】
相乗り出品の場合、既に作成されている商品ページに出品することになるので、ページ作成の手間が省けます。
【売れ行きの動向が把握できる】
既に出品されている商品なので、ツールなどを利用して売れ行きの動向や販売実績を把握することができます。
【商品に関する情報収集が可能】
商品価格やランキングの推移、出品者およびFBA出品者の人数といった様々な情報を入手できるので、リスクを最小限に抑えながら出品できます。
相乗り出品のデメリット
一方、相乗り出品のデメリットとしては以下のようなものが挙げられます。
【ライバルが増えやすい】
相乗り出品では、最初は数人だけだった出品者があっという間に数十人に増えてしまうなど、ライバルが増えやすい傾向にあります。
【価格競争を生みやすい】
ライバルが多くなると、必然的に価格競争が生まれやすくなります。さらに出品者たちが自分の商品を売ろうと競って価格を下げていき、気が付いたら利益がほとんど出ない状態になっていたということもよくあります。
このように、相乗り出品にはメリットもありますが、長期的な視点で考えれば、なるべく避けた方が良い状態と言えるでしょう。
Amazonの相乗り出品を防ぐには
Amazonでの相乗り出品を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか?その対策をご紹介します。
相乗り出品されやすい商品とは?
そもそもAmazonに出品される商品には、大きく分けて「型番商品」と「オリジナル商品」の2種類があります。
【型番商品】
出品者がブランドやメーカーから仕入れた商品で、すでに品番や商品名がついている商品です。商品自体のブランドだけで、売り上げにつながる可能性があります。
【オリジナル商品】
出品者が独自に開発・生産した商品のことを言います。型番商品に比べ知名度が低いので、商品のブランド力だけでは売り上げにつなげるのは難しい傾向にあります。
この2つの商品のうち、売り上げにつなげやすい型番商品の方が相乗り出品されやすい傾向にあります。そのため、相乗り出品を防ぐには、独自性の強いオリジナル商品、つまり、プライベートブランドを販売するのが効果的です。
オリジナル商品(プライベートブランド)の商品ページ作成に必要なこと
Amazonでオリジナル商品のページを作成するには、以下のような作業が必要です。
(1)タイトルの冒頭にブランド名を入れる
(2)ブランドタグを付ける、または、ブランドロゴの入った箱・袋に入れて販売する
(3)商品自体にブランドが印字されている
(4)ブランドタグ、ブランドロゴの入った箱・袋などを表示した画像を商品ページに掲示する
実際のオリジナル商品の販売ページを確認してみよう
それでは、実際にオリジナル商品を販売しているページで確認してみましょう。
このように、タイトルの冒頭でブランド名を表示していますね。
また、タグがついた商品写真やブランドロゴの入った箱と一緒の商品写真を掲示しています。
これにより、商品がオリジナルのブランドであることがわかります。
商標権を取得しておけばさらに安心
さらに、Amazonでの相乗り出品を防ぐためには、オリジナル商品の商標権を取得しておくと良いでしょう。
商標権を取得し、商標登録された商品は、第三者が勝手にそのロゴを使用できなくなります。そのため、相乗り出品を防ぐことができます。また、Amazon側も相乗り出品者に対して厳しい対応を採ってくれます。
オリジナル商品を開発・出品するには?
オリジナル商品を開発・出品すると言っても、どうすれば良いかなかなか思いつきませんよね。そこで手軽に始められる方法から、本格的な方法までくわしくご紹介します。
仕入れた商品に自社ブランドのラベルを貼って出品する
手軽に自社のブランド商品を出品する方法としておすすめなのは、中国のタオバオなどから仕入れた商品をOPP袋(透明な袋)に入れ、自社ブランドのラベルシールを貼って販売することです。
慣れてきたら、OPP袋に自社ブランドのロゴマークを印刷するなど、段階的にオリジナル化していきましょう。
中国でOEM生産を行う
コストの安い中国でOEM生産を行ってオリジナル商品を製造するのも良い方法です。
OEMとは、“Original Equipment Manufacturing”の略で「相手先ブランド製造」という意味です。つまり、製品の設計やデザインは自社で行い、製造だけを相手先に委託して自社ブランドとして販売する方法です。
設計やデザインからすべて委託すると、中国といえどもかなりの出費になりますので、まずは簡易的なOEMによって、リーズナブルな値段でオリジナル商品を開発するのがおすすめです。その後、事業が軌道に乗ってきたら、完全なプライベートブランドへと移行させて出品すると良いでしょう。
Amazonに新規出品するときのポイント
Amazonに新規出品するときは、ポイントをしっかりと押さえておかないと、商品が全く売れないばかりか、Amazonの検索対象外になってしまうこともあります。
たとえば、商品のメイン画像やブランド名、商品仕様などがない商品ページは、Amazonでは検索対象外になってしまいます。これでは、せっかく相乗り出品の対策をしても意味がありません。
そこでここでは、Amazonに新規出品する際に気を付けるべき以下の4つのポイントを詳しく解説していきます。
1. 商品タイトル
2. 商品仕様
3. 商品画像
4. 商品説明
1. 商品タイトル
商品タイトルは、出品の際に消費者の検索対象となる重要な部分です。
商品の内容をしっかり説明できる長いタイトルにしたいところですが、あまりに長いタイトルではどんな商品なのかがかえって分かりづらくなってしまいます。また、バリエーション商品の場合、長いタイトルではFBA納品時や出品者による出荷時に色やサイズが記載されないことがあります。
そのため、Amazonの規約を守りながら、簡潔かつわかりやすいタイトルにするよう心がけましょう。
2.商品仕様
商品タイトルと異なり、Amazonの商品仕様欄には伝えたい内容を全て書き込むことをおすすめします。
商品仕様をしっかり読んだうえで購入を決定する人も多くいるので、商品の詳細を少しでもわかりやすく伝えられれば、売り上げにつなげることができます。
色やサイズ、素材、重量の他にも、おすすめの使い方や活躍する場面などの具体的な内容を盛り込み、消費者の購入意欲をアップさせましょう。
3.商品画像
商品画像は、消費者に最も商品を印象付けられるものであり、売り上げに直結する重要な要素です。
魅力的な画像を見て一瞬で購入を決める消費者もいれば、商品仕様を裏付ける画像を見ることで、商品の性能をしっかり確認して購入する消費者もいます。そのため、商品画像はさまざまな角度から撮ったものを用意して、できるだけくわしく商品の情報を伝えるようにしましょう。
ただし、Amazonでは、商品ページの画像に関して細かなルールがあるので、必ず事前に確認するようにしてください。
4.商品説明
商品説明は、実はAmazonの検索対象とは関係ありません。しかし、説明の中身を充実させることで、売り上げにつながる可能性があります。
また、商品説明を全く書いていないページは、商品の魅力が伝わりにくくなるだけでなく、消費者に不安を感じさせることにもなりかねません。
そのため、商品説明欄には商品仕様で伝えきれなかった内容を書き込んで、魅力をしっかり伝えるように心がけましょう。
商標登録をしても相乗りを排除できないときは
Amazonでは、商標登録を取得した商品に関しては、第三者が勝手に出品することができないため、相乗り出品を抑えることができるということを先ほど説明しました。
しかし、商標登録をしても相乗り出品を排除できないときがあります。これは一体どういうことなのでしょうか?その理由について詳しく解説しましょう。
異議申立期間中の場合
商標登録には、「登録異議申立制度」というものがあります。
この登録異議申立制度とは、商標登録がされた後、第三者に対し一定期間内に限って商標登録の取消しを求める機会を与える制度です。
商標登録後に行われる「商標掲載公報」の発行から2ヶ月以内であれば、誰でも商標登録の取消しを求めることができるのです(詳しい内容は、特許庁のホームページで確認して下さい)。
そのため、この異議申立期間中であれば、Amazonにおいてたとえ相乗り出品を行っても問題にはならないのです。
指定商品・指定役務が異なる場合
商標とは、自社が取り扱う商品やサービスを他人のものと区別するためのマークに過ぎません。そのため、商標権を取得しただけでは、第三者による商品の販売を完全に阻止することはできません。
商標を出願する際に、商標を用いてどういう商品を販売し、どういう役務を提供するのかという「指定商品・指定役務」を明らかにして他社を排除することで初めて阻止できるのです。
そのため、他者の商品が自社と同じ商標でも、指定商品・指定役務が異なる商品であれば、独自に商標登録が可能になり、Amazonにおいても相乗り出品ができるのです。
このように、指定商品・指定役務が異なるとせっかく取得した商標も無意味になることがあるため、登録の際は十分に注意しましょう。詳しい内容は、特許庁のホームページで確認して下さい。
参考:特許庁 出願に際しての留意事項について 商品・役務を指定する際の御注意
Amazonでの相乗り出品を防ぐためにはオリジナル商品の商標権を取得しておこう!
今回は、Amazonで相乗り出品されてしまったときの対処法についてくわしく解説してきましたが、いかがでしたか?
Amazonは出品方法が簡単なので、初心者でも気軽に出品できるようになっています。しかし、原則として出品は「1つの商品に対して1商品ページ」というルールがあるため、一つの商品に対して複数の出品者が存在するような相乗り出品という状況になりやすくなります。
相乗り出品はライバルが増えやすく、価格競争が生まれやすいというデメリットがあり、中には利益がほとんど出ない状態に追い込まれる出品者もいます。
そのため、相乗り出品を防ぐためには、オリジナル商品を出品し、その商標権を取得しておくのがおすすめです。しかし、商標登録をしても相乗り出品を排除できないときがありますので、登録の際には十分注意してください。
今回ご紹介した情報を元にして、相乗りのリスクをうまく避けつつ、Amazonへの出品に挑戦してみてくださいね。