Amazonの知的財産権侵害の疑いとは?対処法や対策を解説

ある日突然、「知的財産権に関するお知らせ」「商標侵害の可能性がある」などとメールが来るとドキッとします。このようなメールは決して放置してはいけません。対応せずにいると、出品アカウントの停止などのトラブルになりかねないのです。

この記事では「知的財産権とは?」から、知的財産権に関する警告が来たときの確認方法や対処法、権利を侵害しないための対策などを解説します。

せどりをしていると知的財産権の侵害に関する連絡が来ることがあります。気づかないうちに権利侵害をしていることが多いからです。この記事を読んで適切な対応を行いましょう。

目次

「知的財産権」とは何?

知的財産権について特許庁のホームページでは、以下のように記載されています。

知的財産権制度とは、知的創造活動によって生み出されたものを、創作した人の財産として保護するための制度です。

知的財産権にはさまざまありますが、Amazonでは主に以下の3つのことを指します。

参考:知的財産権制度

商標権

商標権」とは、商品やサービスに使用する文字やマークを保護する権利を言います。例えば、ブランド名などの文字商標や、商品のパッケージや製造会社のロゴマークなどのロゴ商標などがこれにあたります。これらを商標権で保護することによって、偽物の商品が作られない仕組みになっているのです。

そして、商標権が登録されている会社や製品のブランド名やロゴマークは、権利者の許可がないと使用できません。つまり、Amazonで商標登録されている商品を販売すると、権利侵害となるのです。

意匠権

「意匠権」とは、商品のデザインを保護する権利です。例えば、iPhoneは意匠権の保護のため、類似したデザインのスマホを製造・販売できません。逆に言えば、意匠権によって、模倣されたデザインや類似した商品の販売を排除できるというわけです。

そのため、意匠権が登録されている商品の画像は権利者の許可がないと使えません。Amazonで出品するときに、商品ページで使用している画像が意匠権の侵害にあたることがよくあるので注意が必要です。

著作権

著作権」とは、文芸・学術・美術・音楽・プログラムなど創造された作品を保護するものです。映画や本、音楽などがこれに当てはまります。

本来、DVDやCD、本などは著作権を持っている人しか販売できません。著作権を保有していないのにもかかわらずAmazonに出品すると、著作権侵害になるのです。

他にも、キャラクターなどを画像で掲載するときにも注意が必要で、無断で使用すれば著作権侵害になります。

知的財産権の侵害に該当しているかを確認する方法

出品している商品が知的財産権の侵害に該当しているかを確認する方法があります。

手順は以下のとおりです。

確認方法
手順1Amazonセラーセントラル」を開きます。

手順2 左上の「」をクリックし、「パフォーマンス」>「アカウント健全性」をクリックします。

もしくは、ページの最下部にある「パフォーマンス」>「アカウント健全性」をクリックします。

手順3 ページの中央部の「規約の遵守」にある「知的財産権侵害の疑い」「知的財産に関する苦情」の件数を確認します。

件数は0件であることが望ましく、件数が大きくなるとアカウントが停止される可能性が発生します。

手順4 確認したい項目をクリックすると、該当するASINが表示されます。

こちらのアカウント健全性ページはできれば毎日チェックして、警告が表示されていないか定期的に確認するようにしましょう。

またアカウント健全性ページの警告表示は、「パフォーマンス」→「パフォーマンス通知」にも同時に通知が届きます。

こちらには侵害した権利情報や、権利者情報などの詳細な内容が記載されています。

知的財産権侵害の場合、下記の件名で通知が届くことが多いです。

「Notice: Policy Warning」
「お知らせ:ポリシー警告」
「アカウントポリシーご確認のお願い」
「必要なアクション: Amazonの出品者としての出品が停止となりました」

こちらの画面では、過去365日間のAmazonから届いた通知がチェックできるので、先ほどのアカウント健全性ページと合わせて毎日確認することをおすすめします。

知的財産権侵害の警告が来たときの対処法

Amazonやメーカーなどから「知的財産権侵害の疑いがある」と警告するメールが来た場合、放置せずに対応しましょう。対応せずにいるとアカウントが停止になる恐れもあります。すると、出品中の商品がすべて販売停止になったり、売上金の振込が保留されたりしてしまいます。

これから紹介する手順に沿って対応していきましょう。

1. 指摘された商品の返送手続きをし、商品情報(SKU)を削除する

Amazonから警告メールが来た時点で、指摘された商品は出品停止になっています。在庫をそのままAmazonに残していても、今後、販売できません。在庫の返送手続きを行い、商品情報(SKU)を削除しましょう。

なお指摘商品がFBA在庫の場合、警告を受けた時点から返送手続きはできなくなります。権利侵害をしていない証明書類を提出するか、権利者からの取り下げがない場合は、約90日後に廃棄されます。

2. 権利者に謝罪し、申し立ての取り下げ依頼をする

商品情報の削除まで対応したら、申し立てを行っていた権利者にメールで謝罪し、申し立ての取り下げ依頼をしましょう。

申し立てした人の名前やメールアドレスは、Amazonからの警告メールに記載されています。

謝罪メールには以下のポイントを押さえて作成しましょう。

謝罪メールの内容
・権利侵害をしたことに対する謝罪
・該当商品の在庫を含め、削除したという対応の報告
・再発防止に向けた改善策の提示
・申し立てを取り下げてほしいという依頼

権利者への謝罪メールの例文

件名:Amazon様への【知的財産権に関する苦情申し立て】に関する件

「株式会社◯○ ご担当者様

お世話になっております。◯○ショップ代表の◯◯と申します。
今回、以下の商品について、Amazon様より知的財産権侵害の通知を受けました。

商品名:
ASIN:

侵害の種類:
商標:
申し立て番号:
※Amazonからの警告メールに記載があるので転記する

該当商品について在庫を確認したところ、弊社のショップで出品しておりました。該当商品を含めた関連商品についても、出品停止と商品情報の削除をいたしました。この度はご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません。今後、御社の製品を許可なく出品することは一切いたしません。本件の申し立てを取り下げていただけますと幸いです。

お忙しいところ、お手数をおかけして大変申し訳ございませんでした。是非ともご確認とご対応をいただければと存じます。何卒よろしくお願いいたします。」

この際、メールの件名はわかりやすくしておきましょう。企業には日々たくさんのメールが届きます。確実に開いてもらうために、どういう内容のメールなのかを件名に書いておくと、見てもらえる可能性が高くなります。

なお、きちんと対応して謝罪メールを送っても、申し立てを取り下げてもらえないことがあります。申し立てが残るとアカウントの信用に傷がついてしまいます。二度と同じことを繰り返さないことが重要です。

3. Amazonに謝罪と対応報告をする

権利者への謝罪や対応の報告を行ったら、Amazonにも謝罪と報告のメールを送りましょう。メールを送ることで、Amazonに与えるイメージを良くできます。

Amazonへのメールには以下の内容を記載してください。
・権利侵害をしたことに対する謝罪
・権利者からの申し立てに対する対応の報告
・再発防止に向けた改善策の提示

Amazonへの謝罪メールの例文

「Amazon.co.jp様

お世話になっております。◯◯ショップ代表の○◯と申します。この度は××様の□□権を侵害してしまい、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした(申し立て番号:△△)。今回の件は、アカウントポリシーに記載されている内容を十分把握できていなかったことが原因です。ご指摘の申し立てについては、下記の対応を行いましたので、ご報告いたします。

・該当ASIN、同ブランドの関連商品の商品ページをすべて削除
・権利者様に謝罪と対応の報告

今回のような問題が二度と発生しないよう、Amazon様の規約の確認、出品や在庫の見直しを行いました。お忙しいところ、お手数をおかけして大変申し訳ございませんでした。是非ともご確認とご対応をいただければと存じます。何卒よろしくお願いいたします。」

誠意のある対応をしておくと、アカウント停止を防げる可能性が高まります。権利者への謝罪メールだけではなく、Amazonにもきちんと連絡しておきましょう。

知的財産権侵害にならないための対策

知的財産権の侵害をするとアカウントの信用に傷がついたり、対応に時間を取られたりします。ここからは、知的財産権の侵害にならないための対策を、3つ紹介します。

1. メーカーや正規販売店だけが販売している商品を避ける

販売しようとしている商品をAmazonで検索し、どのようなショップが出品しているのか確認しましょう。出品者が極端に少なかったり、メーカーや代理店が含まれていたりすると、出品しても権利侵害で申し立てをされる可能性があります。

特に初心者のうちは権利侵害になる商品に気づきにくいものです。出品者が少ないことから穴場の商品だと思い、販売してしまいがちです。トラブルを避けるためにも、どのようなショップが販売しているかまでしっかり確認することが必要です。

2. 商標登録されているか確認する

販売したい商品が商標登録されているかを確認しましょう。「特許情報プラットフォーム|J-PlatPat」を使えば、誰でも簡単に無料で利用できます。

<確認方法>
簡易検索で「商標」をチェックし、検索窓にメーカー名を入力して「検索」を押します。

検索結果の中に、出品予定のブランドに関する商標が出てきた場合、そのまま出品登録してしまうと商標権侵害になってしまう可能性があります。

参考:特許情報プラットフォーム|J-PlatPat

3. Keepaなどを使って販売状況を確認する

Keepa」などのツールを使って、販売したい商品の販売状況を確認しましょう。

Keepaとは、Amazonでの販売動向が見られるGoogleの拡張機能です。

Keepaでの判断事例を2つ紹介します。

例1)長い期間、出品者が1人もしくは一定数

Keepaで出品者数を確認しましょう。上記のグラフのように、ずっと出品者が1人もしくは一定数の商品は、独占販売の可能性があります。他にも、一時的に出品者が増えてもすぐ一定数に戻っている場合は、申し立てなどにより出品削除をさせられている可能性があります。

例2)販売価格が一定

Keepaを活用すると、販売価格の推移を見ることもできます。上記のグラフのように価格がほぼ一定で、一時的に安くなってもすぐ戻っている商品は要注意です。メーカーなどが一定価格以下で販売する出品者を排除している可能性があります。

このようにKeepaなどのツールを使って販売状況を確認すると、商品の売れ行きをチェックできるだけではなく、権利侵害に該当しそうな商品を見極められます。

参考:Keepa

知的財産権侵害の疑いをかけられたら適切に対応しよう

この記事では、「知的財産権とは?」ということから、知的財産権に関する警告が来たときの確認方法、対処法、権利侵害しないための対策を解説しました。

Amazonで商品の販売をしていると、「知的財産権の侵害」に関する疑いや警告を受けることもあります。初めて警告メールが来たときは驚きますが、誠意を持って正しい対応をすれば、アカウント停止になることはほとんどありません。「どうすればよいかわからないから」と言って、放置することが一番危険です。

まず、警告メールが来たら権利侵害になっているのか事実確認をし、事実であれば商品削除などの必要な手続きを行います。そして、権利者やAmazonに謝罪と対応報告をしましょう。

また、権利侵害にならないために、商品を販売する前に行なっておくべき対策があります。具体的には、「特許情報プラットフォーム|J-PlatPat」や「Keepa」などのツールを使って、権利侵害に該当しそうな商品を見極めることです。

とはいえ、対策を行っていても権利侵害をしてしまうこともあります。その場合はできるだけ早く対応しましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を監修した人

ビジネスのノウハウを実践ベースで徹底的に追求するのがアクシグ。
世界で最も専門的で網羅的なコンテンツを提供し、ノウハウを惜しげもなく提供していきます。

目次