Amazonで商品販売を行う際の収益計算は一筋縄ではいきません。
商品ごとに手数料が異なる上に、配送方法も自己配送かFBA(Amazonが配送を代行)かで料金が変わってくるからです。利益を上げるためには、これらの計算を正確に行う必要があります。
そんな時に便利なツールが、AmazonのFBA料金シミュレーターです。利益計算が非常に楽になるので、ぜひ活用してみましょう。
今回は、そんなFBA料金シミュレーターの使い方や注意点、便利な活用方法についての紹介です。
FBA料金シミュレーターの概要
一言でいうと、商品を販売した際の利益を計算してくれるツールです。商品を選んで配送方法や原価を選択することで、実際にその商品を販売した際の利益や利益率、コストが一目で分かるようになります。
自己配送とFBA配送のどちらでも計算できるので、配送方法の違いによる利益の差を比べるのにも便利です。商品の損益分岐点を見極めたり、手間と利益のどちらを優先するのかを決めたりするのに、とても参考になります。
これらの計算は、ツールなしで自力で行おうとすると時間がかかったり間違えたりしがちです。正確な利益計算のためにも、まずはこのツールで計算しながら仕入れや販売を行っていきましょう。
使い方
まずは下記のページを開いてください。このページに必要情報を入力して、計算を行います。
参考:FBA料金シミュレーター
商品の検索方法
画面内の「Amazonの商品を検索」から該当商品の検索を行います。商品名やASIN(Amazonの商品識別コード)を入力して検索を行ってください。
商品によっては、重量や外箱の寸法がその都度変わることがあります。その際は、検索後に表示される空欄に、それぞれ箱の寸法と商品重量を入力してください。
配送方法の選択
続いて、画面下部の各項目を入力していきます。この項目は配送方法によって入力する箇所が違うので注意してください。
FBAから配送を行う際は左側の「Amazonから出荷」の下を、自己配送を行う場合は左側の「出品者出荷」の下を入力していきます。
詳細の入力
続いて、費用や売上などの各項目を入力していきます。最低でも「商品価格」と「販売された商品の原価」の2つを入力すれば、大雑把な利益計算は可能です。
配送料や保管手数料なども入力出来れば、より正確な利益が計算できるので、計算の精度を上げたければ、可能な限り空欄のないように入力してください。
利益計算
入力後、一番下に入力内容に沿った計算結果が表示されます。計算結果は右側の「純利益」「純利益率」に表示されるので、しっかり確認してください。
何度でも再計算可能
他の条件での結果が知りたければ、条件を変えて何度でも再計算することができます。様々な条件を試しながら、どの方法が一番効率的に、なおかつたくさんの利益が出るか模索してみましょう。
「FBA在庫保管手数料」「配送代行手数料」とは
このツールを利用する上で絶対に覚えておきたい重要ワードが、「FBA在庫保管手数料」と「配送代行手数料」の2つです。どちらも利益に大きく関わってくるので、正確に把握しておく必要があります。
続いては、それぞれのワードの意味について解説します。利益とは単純に(売上-原価)ではないため、計算違いで赤字商売にならないよう気を付けてください。
FBA在庫保管手数料の概要
FBA在庫保管手数料とは、文字通りFBA倉庫に保管してある商品にかかる保管料のことです。商品を全て自己配送している人にはかかりませんが、FBA倉庫に在庫があり、そこからの配送がメインになっている人には負担の大きい手数料となります。
料金は商品の体積によって決定されます。単純に大きな商品ほど保管料が高くなる訳です。具体的な計算方法や料金については、下記ページを参考にしてください。
保管料は日割り計算なので、1日でも早く売ったほうが安くなります。例えば在庫保管料500円の商品が1ヶ月後に売れれば500円ですが、3日で売れれば50円で済むのです。
大きくて売れにくい商品は、売った時に利益が出ても保管料で損をしてしまうケースがあります。商品にかかる保管料や売れるまでの期間を分析することで、より実質的な利益計算ができるので、ぜひ役立ててください。
配送代行手数料の概要
配送代行手数料とは、FBAが配送を肩代わりする際にかかる手数料のことです。これは商品の種類や大きさに応じて決められているので、すぐに確認することができます。詳しくは下記ページを参考にしてください。
こちらは配送の際に固定で発生する費用なので、販売までの期間によって変動することはありません。FBAから商品の発送を行う場合には、FBA在庫保管手数料と併せて必ず発生する費用なので、利益計算の際はこれらの数字も頭に入れて計算をしてください。また、FBA料金シミュレーターでは、「配送代行手数料」ではなく「出荷費用」という名称で計算されています。
参考:2023年FBA手数料の改定(Amazon.co.jp) – Amazonセラーセントラル
利用時の注意点について
FBA料金計算シミュレーターは、Amazonの公式ツールなので安心して利用できます。しかし一部反映されない点があり、計算結果に誤差が生じるケースもあるのです。
数回で大きな差が出るわけではありませんが、積み重ねればトータルで大きな差を生みます。ここで紹介する2点については、あらかじめ頭に入れておきましょう。
販売手数料の消費税が含まれない
Amazonでの販売は、商品のジャンルに応じて販売手数料がかかります。販売手数料自体はもちろんツールの計算結果に反映されるのですが、現時点では手数料の消費税までは反映されていません。
例えば500円の販売手数料がかかる場合、実際には税込550円の手数料がかかる所を500円で計算してしまいます。実際の利益は計算結果よりも50円分減ってしまうのです。
手数料が大きくなればなるほど、消費税の誤差も大きくなります。特にぎりぎりの収支の場合には、消費税の見落としで赤字転落してしまうケースもあるので、注意してください。
一部キャンペーンが反映されないケースがある
Amazonでは、販売手数料の割引キャンペーンを時々実施しています。しかしこの時に手数料を計算しても、キャンペーン前の手数料が反映されるケースがあるのです。
これは絶対起こるわけではなく、現在ではほとんどの場合できちんとキャンペーンが反映されています。とはいえ手数料の割引キャンペーンは利益に大きく関わってくるので、各キャンペーン時には割引が反映されているかどうか、念のため事前に確認しておきましょう。
利益率の高い商品を探す方法
FBA料金シミュレーターは、他のツールと併用することで更に高い効果が見込めます。特にDELTA tracerと組み合わせると、より利益率の高い商品を探すことができるため、一層利益をあげることができるのです。
続いては、DELTA tracerを用いた商品検索の方法について紹介します。高利益の商品を見つけ、より効率的に高い利益をあげられる品揃えを目指しましょう。
DELTA tracerの使い方
DELTA tracerは、Google Chromeで利用できる商品の価格リサーチに活用できるツールです。まずは下記のページから機能の追加を行ってください。
機能を追加すると、Amazonの商品ページから商品の価格帯や価格の推移、出品数や販売ランキングが確認できるようになります。これらのデータを分析することで、販売のタイミングや仕入れの時期、利益率が把握できるようになるのです。
参考:DELTA tracer – Chrome ウェブストア
利益商品の見極め方
商品の価格帯や価格の推移を把握したら、続いて仕入れ価格の分析を行います。ヤフオク!やメルカリなど仕入れ先の価格をチェックして、仕入れ価格や手数料を元にFBA料金シュミレーターで利益率の計算を行いましょう。
こうして気になる商品を次々に計算していくと、いずれ利益率の高い商品を見つけることができます。後は仕入れのタイミングや販売価格を考えながら、利益を上げていきましょう。
トラッキング機能も有効活用する
将来利益が出る商品でも、調べた時点では赤字の計算になってしまうケースも少なくありません。その際は商品価格のトラッキング機能も併せて参考にしてください。
トラッキング機能を使えば、その商品の販売価格の推移を把握する事ができます。例えば季節ごとに価格が変動する商品の場合、安い時期に仕入れて高い時期に販売すれば利益を上げやすくなる訳です。
FBA料金シミュレーターを使って、先に商品の損益分岐点を把握しておけば、その商品の価格がいくらを下回った時に購入すればいいかを決めることができます。最安値で商品を仕入れることは難しいですが、この2つのツールを活用することで利益商品を見つけると共に、買い時を把握することができるのです。
その結果、商品の価格高騰によって購入できなくなるといった機会損失を防ぎ、安定した利益を出しやすくなるのです。
便利な活用方法
FBA料金シミュレーターは、基本的な使い方以外にも便利な使用方法がいくつかあります。今まで以上に便利なツールになるので、ぜひ有効活用してみましょう。
続いては、効果的な活用方法についていくつか紹介します。いずれも最初に少し設定を行えば、後は自由に使えるようになるものばかりです。
クイックショップとリンクさせる
クイックショップとはGoogle Chromeの拡張機能で、Amazonの商品ページから直接FBA料金シミュレーターと同様の機能が使えるようになります。
従来のやり方では、気になる商品を見つけたら、その都度FBA料金シミュレーターを開き、ASINや商品名を入力して商品を検索して送料計算をして、と手間がかかっていました。
この機能を利用することによって、商品ページからFBA出品手数料や在庫保管手数料、粗利益等も見ることができるので、手間を大きく削減できるのです。
クイックショップは、一度追加しておけば以後ずっと使えます。機能の追加は下記のページから行ってください。
Amazon Sellerでスマホから利用する
スマホでこれらのツールが利用できれば、場所や時間を選ばずリサーチが出来るのでとても便利です。そこで役立つのがAmazon Sellerのアプリです。
FBA料金シミュレーターはスマホ用の表示ができないためスマホでは使いづらいですが、代わりにAmazon Sellerのアプリ内で商品の管理や損益計算が行えます。
アプリをインストールしておけば、パソコンを使わなくても計算ができるようになるので、ぜひインストールしておきましょう。アプリは下記ページからインストールできます。
まとめ
商品販売の利益計算は複雑なので、慣れないうちはツールで正確に計算したほうが間違いがありません。FBA料金シミュレーターを利用すれば、正確な利益の計算や条件別利益の比較が簡単になるのです。
さらに他のツールや拡張機能と組み合わせることで、利益商品を効率的に探したりスマホでも利益計算ができるようになったりと、様々な恩恵を受けられます。特に利益商品を探すのは膨大な時間がかかるため、ツールを用いた時間の短縮は、後々になるほど結果に大きな差となって現れるのです。
今回紹介したツールや拡張機能は、いずれも一度インストールや追加しておけば、後は手間をかけずに利用することができます。早く導入するほど後が楽になるので、ぜひ活用してみましょう。