Amazonでせどりをする場合、最初に行わなければならないのが、「大口出品」か「小口出品」かの選択です。
もし、ビジネスとして本格的にせどりで収益を上げたいというなら、大口出品が断然おすすめです。しかし、初心者の場合、大口出品と小口出品の違いや、どのような基準で選べばよいのか、よくわからないという方も多いでしょう。
そこで今回は、Amazonの大口出品のメリットや小口出品との違いなどについて詳しく解説します。
Amazon大口出品とは
まず、Amazonの大口出品について説明しましょう。
中~大規模のせどりにおすすめ
Amazonの大口出品は、月額登録料を支払ってマーケットプレイス上で商品を売る形態のことです。商品がまったく売れなくても、大量に販売できても、毎月4,900円(税抜)の登録料を支払います。
一方、小口出品は、月額登録料がいらない代わりに、1個売れるごとに100円(税抜)の成約料が請求されます。したがって、1ヶ月に50個以上を販売する中~大規模のせどりビジネスを手掛けるなら、大口出品の方が手数料が安くなるのでおすすめです。
大口出品のメリット
大口出品と小口出品の違いは、月額登録料だけではありません。他にも様々点で異なりますが、特に大口出品にはAmazonならではのメリットが数多くあるので、ご紹介していきましょう。
一括出品ツールが使える
Amazonに出品したい商品が決まったら、まずそのすべての商品の情報を登録しなければなりません。内容は、JANコードや商品のコンディション、価格、数量、商品名、関連性の高いキーワードなどで、これらをすべて登録するのは、とても時間と手間がかかります。
大口出品にすると、Amazonが提供する、登録作業が一括で済むツールを活用できます。セラーセントラルにある専用のファイルを使って情報を入力すれば、一度で商品登録が完了します。小口出品は一括登録はできないので、継続してせどりを行うなら、大口出品の方がかなり楽でしょう。
ショッピングカートボックス獲得が狙える
大口出品にすると、カートボックスを獲得できる可能性が得られるのも、小口出品にはないメリットです。
楽天であれば、例えば、シャープの加湿器を検索すると、同じ商品がショップごとにいくつも表示されますが、Amazonで画面上に現れるのは一品のみです。ワンクリックすると同じ商品が出品者別に確認できますが、ユーザーにはトップに表示される商品が最も目につきやすく、購入率も格段に高まります。この対象として選ばれることが、カートボックスの獲得です。
自社開発の商品なら100%カートを獲得できますが、それはレアなケースで、Amazon出品の多くは相乗りです。カテゴリーや商品によっては競合が多数ひしめいているため、その中でユーザーから選ばれるためには、カートを獲得するととても有利なのです。
ただし、大口出品の選択は、あくまで一つのステップにすぎません。
他にも、Amazonがカート獲得のための満たすべき条件として掲げているのは、
・スピーディーに配送するオプションや配送無料サービスを提供する
・「競争力のある価格設定をする」「出荷遅延率やキャンセル率などが少ない」といった優れたカスタマーサービスを提供する
・在庫を切らさないようにする
など複数あり、これらを総合的にクリアする必要があります。
ただし、これらの条件を満たしても、必ずカートボックスが獲得できるわけではありません。最終的にはAmazonがある一つのショップの商品だけを選出します。理由や基準は非公開ですが、常にユーザー利益に寄与する優良ショップ作りを目指す姿勢がなければ、選ばれることがないのは確かです。
自社商品が販売できる
大口出品を選択すると、自分たちのオリジナル商品を出品することができます。小口出品は、相乗りでしか出品できませんが、大口出品は、自分たちでしか作れない商品を自前のECサイトで売りながら、Amazonでも並行して出品する、ということも可能になるので、ビジネスチャンスを広げやすいでしょう。
独自の配送料金とお届け日時の指定が設定できる
小口出品は配送料金を自分で決めることはできません。ユーザーからのお届け日時の指定も受けられず、これらはすべてAmazonによって決められます。
一方、大口出品の場合は、自分で配送料金を決められます。お届け日時についても自由にユーザーから指定が受けられるようにできます。
配送料金については、以下の3種類の方法から選択できます。
・重量課金制…配送1件ずつの料金+重量(kg)当たりの金額
・商品個数制…配送1件ずつの料金+商品1点ずつの料金
・購入金額制…購入金額に応じて変動
ECサイトにユーザーが期待するのは、単に実店舗まで買いにいく手間が省けるというだけでなく、希望した日時に商品が届くという利便性です。その意味で、配送日時が指定できるかどうかは、商品購入の大きな決め手となります。とくにAmazonのヘビーユーザーは、この点に厳しいので、せどりで成功しようと思えば、お届け日時の指定は必須といっても過言ではありません。
ギフトサービスができる
商品をギフトラッピングしたりメッセージカードを添えたりできるのも、大口出品のメリットです。誕生日や結婚記念日、進学・就職など、Amazonを使ってプレゼントを送るユーザーは数多く存在します。その需要を取り込むことができれば、収益アップが期待できます。
ギフトメッセージは、上限255文字、10行まで設定することができ、出品者もユーザーも無料で利用できます。
法人向けに販売できる
大口出品にすると、一般の個人ユーザーだけではなく、企業などの法人や、個人で商売をしている事業主に、特別に商品を売ることができます。
これには条件があり、
・販売対象者が不特定多数ではなく、メーカーからの販売ルートが限定されていること
・特別な取り扱いを要すること
・プロ向けの商品であること
この3点を満たす場合に、法人向けとして特別に販売できます。
ただし、法人向けとした場合、その商品は一般ユーザーの検索画面には掲載されず、購入も不可となります。
決済方法が豊富
大口出品は、小口出品に比べて決済方法が豊富な点も大きなメリットです。
・クレジットカード
・携帯・スマホ
・Amazonギフト券
・請求書払い
・Amazonショッピングカード
以上の5つは大口出品でも小口出品でも可能です。
大口出品の場合は、これらに加えて
・コンビニ決済
・代金引換
・Edy払い
の3つが可能となります。
クレジットカードを持たない現金派はいまだに一定数存在するため、特に代引きができると喜ばれます。
プライムマークが使える
大口出品者は、一定の基準を満たすと、商品に「プライムマーク」がつき、Amazonプライム会員向けに「送料無料」「お急ぎ便」「当日お急ぎ便」などのサービスが提供できます。
一定の基準とは、
・期日内の配送率が96%以上
・出荷前のキャンセル率が1%未満
・追跡可能率が94%以上
以上の3点です。
ただし、これらは決して簡単にクリアできる条件ではありません。よって、Amazonが注文から梱包、配送、カスタマー対応まで一貫して代理でおこなうFBA(フルフィルメント by Amazon)サービスの利用もおすすめです。有料ですが、FBAを利用すると、上記の条件を満たすかどうかに関わらず、商品にプライムマークがつくので有利です。
Amazonスポンサープログダクト広告が入稿できる
大口出品者は、Amazonスポンサープロダクト広告を利用することができます。スポンサープロダクトは、ユーザーが商品検索を行った際に、関連商品として商品詳細ページなどに商品広告が表示されるというものです。検索に使われたキーワードや、ユーザーの興味に基づいた商品として掲載されるため、コンバージョン率が高まります。
ただし、利用するには、該当商品がカートボックスを獲得していることと、指定されたカテゴリーに属している必要があります。詳細は、下記のページの「商品の要件」をご覧ください。
参考:Amazon seller central/スポンサープロダクト広告の利用資格要件/商品の要件
FBAが活用できる
これは、大口出品者だけのメリットではありませんが、先ほど触れたFBAは、継続してAmazonでせどりを行うならおすすめのサービスです。
出品する商品を事前にAmazonのFBA倉庫に送ると、梱包から発送、カスタマー対応まで、すべてAmazonに任せることが可能です。これにより、作業時間が大幅に削減できるため、商品発掘やプロデュースなど、より重要度の高い業務に注力できます。
月額の4,900円の登録料に加えて、商品ごとに8〜15%の手数料(例外もあり)、配送料、長期保管手数料などがかかります。しかし、Amazonのダンボールによって、しかもプロの梱包で責任をもって届けられるので、信頼性が高まることを考えると、利用するメリットは十分にあるでしょう。
参考:FBAを始めよう
大口出品の登録方法
ここからは、大口出品の登録方法について解説しましょう。
出品用アカウントを登録する
Amazonで買い物をする際に必要なアカウント登録をした後に、出品用アカウントに登録します。
Amazonのトップページから自身のアカウントにログイン後、右上部の「アカウント&リスト」を選びます。
遷移画面の中央最下部の「その他のアカウント」から「出品サービスアカウント」を選んでください。
次に「さっそく始める」をクリックします。
Amazon seller centralのログイン画面に遷移したら、「Amazonアカウントを作成」をクリックします。
氏名、メールアドレス、パスワードを入力し、「次へ」をクリックしてください。
入力したメールアドレス宛に「認証コード」が送られます。認証コードを入力し、「アカウントの作成」をクリックしてください。
「ようこそ!Amazon出品サービスへ」と表示されます。ここからが「大口出品」の登録ステップとなります。「開始」をクリックして、登録を進めましょう。
ビジネス情報と出品者情報を入力する
次に「ビジネス情報」を入力します。
せどりを行う拠点の国と業種、氏名を入力し、「同意して次に進む」をクリックしてください。
遷移画面で「出品者情報」の入力に移ります。
国籍、生年月日、パスポート情報などの個人情報、会社住所を入力します。
本人確認のためのワンタイムパスワードを入力する必要があります。「ワンタイムパスワードの取得方法」は「SMS」か「電話」から選択できます。選択したら「SMSを送信する」をクリックしましょう。入力した電話番号にSMSか電話で一回限りのパスワードが届くので、「ワンタイムパスワード(半角)」の下の欄に入力し、「確認する」をクリックします。
最後に画面一番下の「次へ」をクリックしましょう。
クレジットカード情報とストア情報を入力する
次にクレジットカード情報を入力して、「次へ」をクリックしてください。
ストア情報は、ショップ名を入力して、「商品にJAN/EAN/UPCのいずれかのコードがついているか」に、「はい」か「いいえ」で答えます。
また、出品する商品のメーカー本体かブランド所有者かどうかを、「はい」「いいえ」「一部」から選んで答えます。すべて選択したら「次へ」をクリックしてください。
本人確認書類を提示する
最後に、本人かどうかを確認する書類を提出します。
まず、「身分証明書」として運転免許証かパスポート、写真付き住民基本台帳カード、在留カードのいずいれかを撮影します。
次に「その他の書類」として、
・預金通帳の取引明細書
・残高証明書
・クレジットカード利用明細書
・インタネットバンキング取引明細
のいずれかを用意して、「身分証明書」とともにアップロードします。
ID認証
最後に、これまでの入力内容を含め、本人確認のためにAmazonのテクニカルサポートの担当者とのビデオ通話があります。ビデオ通話は「スケジュールされたビデオ通話」と「インスタントビデオ通話」のどちらかを選べます。要するに「日程を予約してビデオ通話をする」か「つながるまで待つ」かのどちらかです。選択したら「次へ」をクリックしてください。
インスタントビデオ通話を選択した場合、ビデオ通話画面へと切り替わります。担当者につながるまで待っていてください。なお、テクニカルサポートの営業時間は9:00から17:45です。時間外ではつながりませんので、注意してください。
また、スケジュールされたビデオ通話を選択した場合は、日程調整の画面へと切り替わります。予約の空きがある「日にち」と「時間」を選択して予約を完了してください。後日、その予約日の時間前にAmazon seller centralにログインして待っていてください。
「大口出品」の手続きは以上となります。
出品形態は変更できる
「大口出品」と「小口出品」については、いつでも変更可能です。その方法についてお伝えしましょう。
どの様な時に変更するのか?
大口出品で始めたものの、思ったほど注文数が伸びない場合は、月額4,900円の登録料が負担となります。逆に、小口出品でスタートしたところ、予想以上の人気で、月に50個を上回るほどの点数が連続して売れる場合は、一点につき100円の成約料を支払うのはもったいないでしょう。このような場合に、出品形態の変更が有効となります。
出品形態の変更方法
出品形態の変更は、とても簡単です。
まず、セラーセントラルにログインして、右上の「歯車マーク」から「出品用アカウント情報」を選びます。
「ご利用のサービス」の「サービスの管理」を開いてください。
遷移画面で「大口出品に変更」または「小口出品に変更」を選択すれば変更可能です。
小口出品から大口出品に変更した場合は、即、月額登録料が請求されます。注文が50個以上と大量に集中しそうでなければ、月末の変更は避けた方が得でしょう。
休止する場合は「大口出品」のままだと要注意!
やむを得ない事情で長期の休みを取りたい時は、休止申請ができます。申請をしておけばその間は出品が停止されるので、出荷を止めてもペナルティはありません。
ただし、大口出品のままだと、月額登録料(4,900円)が引き落とされてしまうので、「小口出品」に変更してから休止申請をしてください。
「休止」の方法
セラーセントラルのトップページの右上にある「歯車マーク」から「出品用アカウント情報」を選択します。大口出品者は、先に小口出品に変えておいてください。
「出品ステータス」の「休止設定」をクリックしたら、遷移画面で「停止中」にチェックを入れて「保存」を押します。
なお、営業を再開したら、上記の画面を「停止中」から「有効」に変更してください。
休止設定を行っても、反映されるまでしばらくかかる場合があるので、できれば1日以上は時間に余裕を持って、設定手続きを行うようにしてください。
大口出品にデメリットはある?
大口出品についてのメリットを中心にお伝えしてきました。しかし、初心者の方の中には、大口出品にデメリットがないのか、気になる方もいるでしょう。そこで最後に、大口出品のデメリットについて見ておきましょう。
大口出品のデメリット
大口出品には、デメリットはほとんどないといって良いでしょう。挙げるとすれば、月に48個以下しか売れないのに、大口出品者になっている場合です。このケースは、成約料が4,800円以下で済みます。にもかかわらず、4,900円の月額登録料を支払うのは、損です。
ただし、利益率の高い自社商品を売ったり、法人向け販売を行ったりして、少数でも高額の利益が得られた場合は、結果として大口出品で良かったということにもなりえます。よって、50個以上売れる場合は大口出品にした方が良いというのは、一つの目安としてとらえておくとよいでしょう。
小口出品からのスタートも検討しよう
もちろん、48個以下しか売れない場合は小口出品にした方が得なことが多いです。よって、初心者の場合は、まず小口出品から始めてみるのもありです。
ご紹介した通り手続きは簡単ですから、スモールスタートで様子を見て、継続的に50個以上販売できるようなら、大口出品にシフトすればよいでしょう。
まとめ
大口出品は、毎月4,900円も支払うのは高いと感じるかもしれません。しかし、メリットを知ると、決してそうではないことがわかるでしょう。
ただ、最初のうちは無理して大口にせずに、小口出品からスタートしてみるのも一つの方法です。せどりをするうえで、慎重であるのは決して悪いことではありません。いつでも大口出品に変更できるので、様子を見ながら自分に合ったスタイルを見つけていってください。