Amazonの手数料は、販売する商品によって異なりますし、時期によって変化することもあります。また、手数料の種類も複数あります。「Amazonならたくさん売れてがっぽり稼げる!」と息巻いていても、予想以上に手数料がかかって驚く人も少なくありません。そのため、Amazonでの販売を考えている方は手数料のシステムをしっかりと理解する必要があるでしょう。
そこで今回は、Amazonで出品する場合の手数料について詳しく解説します。他にも、FBA手数料やメルカリ・ラクマ・ヤフオク!との手数料の比較も掲載するので、初心者の方はもちろん、すでにセラーとしてスタートしている方も、ぜひ参考にしてください。
出品プラン別の手数料
Amazonで出品する際には、まず「大口出品」と「小口出品」の2つの出品プランから選択する必要があります。この項目では、両者の違いについて解説していきます。
大口出品
大口出品は、まとまった個数の販売を行う人向けです。実際にビジネスとして成立させようと思えば、大口出品がおすすめです。
大口出品は、基本手数料として月額4,900円(税抜)かかります。
小口出品
小口出品は、商品1個につき100円(税抜)がかかります。月額基本手数料はかかりません。つまり、3個売ったら300円、20個売ったら2,000円になります。
そのため、50個以上売る場合は、大口出品(月額4,900円)を選択する方が得です。
Amazon販売手数料の仕組みと金額
Amazonの販売手数料は、「商品カテゴリー別販売手数料」と「カテゴリー成約料」の2種類からなります。
「商品カテゴリー別販売手数料」は、すべての商品について売れた段階で発生する手数料です。一方、「カテゴリー成約料」はある特定のカテゴリーに属する商品が売れた段階で発生する手数料です。具体的に解説していきましょう。
商品カテゴリー別販売手数料
Amazonで商品を販売する際には、まずその商品の該当するカテゴリーを認識する必要があります。カテゴリーによって販売手数料が異なるからです。
販売手数料は、売上合計(商品価格+配送料+ギフト包装料)の、5・8・10・15%のいずれかになります。この額は大口出品でも小口出品でも均一で、売れた段階でかかってきます。つまり、出品しただけでは請求されません。
また、カテゴリーによっては最低販売手数料が設定されていて、販売手数料か最低販売手数料のどちらか高い方を支払います。
それでは、カテゴリー別の料金を紹介していきます。カテゴリーによって、期間限定のプロモーションで手数料が安くなっているものがあるのでぜひチェックしてください。また、同じカテゴリーでも商品単価が違うと手数料が変わるものもあるので注意しましょう。
カテゴリー1「カメラ/パソコン・周辺機器/大型家電/楽器/ドラッグストアの一部など」
まず最初は、販売手数料率が「8%」のカテゴリーです。以下がその一覧です。
- エレクトロニクス(AV機器&携帯電話)
- カメラ
- パソコン・周辺機器
- 楽器
- 大型家電
- ペット用品(1商品あたりの売上合計が1,500円以下の場合)
- 服&ファッション小物カテゴリーの『ベビー&マタニティブラウズノード』(1商品あたりの売上合計が1,500円以下の場合)
- 服&ファッション小物(1商品あたりの合計が3,000円を超える部分) ※1
- 1商品あたりの売上合計が1,500円以下のベビー&マタニティー ※2
- 1商品あたりの売上合計が1,500円以下のドラッグストア ※2
- 1商品あたりの売上合計が1,500円以下のビューティ ※2
※1 2020年3月1日午前0時~2022年2月28日午後23時59分までのプロモーション(本来なら15%)で、この期間に出荷通知を送信した注文に対して自動適用されます。
※2 2019年9月1日午前0時~2022年2月28日午後23時59分までのプロモーション(本来なら10%)で、この期間に出荷通知を送信した注文に対して自動適用されます。
カテゴリー2「スポーツ&アウトドア/カー&バイク用品/おもちゃ&ホビー」
続いて、販売手数料率が「10%」のカテゴリーです。以下がその一覧です。
- 付属品(エレクトロニクス・カメラ・パソコン)
- スポーツ&アウトドア
- カー&バイク用品
- おもちゃ&ホビー
- ドラッグストア(1商品あたりの売上合計が1,500円を超える場合)
- ビューティ(1商品あたりの売上合計が1,500円を超える場合)
- ホーム(家具)(1商品あたりの売上合計が20,000円を超える部分)
- 食品&飲料(1商品あたりの売上合計が1,500円を超える場合)
カテゴリー3「本/CD/レコード/DVD/TVゲーム/PCソフト/文具・オフィス用具など」
続いては、販売手数料率が「15%」のカテゴリーです。以下がその一覧です。
- 本
- CD・レコード
- DVD
- ビデオ
- TVゲーム(一部のサブカテゴリー(ゲーム機本体)は8%)
- PCソフト
- ペット用品(1商品あたりの売上合計が1,500円を超える場合)
- 文房具・オフィス用品(一部のサブカテゴリー(オフィス機器/電子辞書など)は8%)
- ホーム(インテリア・キッチン)(一部のサブカテゴリー(キッチン用品・食器/浄水器など)は10%)
- ホーム(家具)(1商品あたりの売上合計が20,000円以下の部分)
- ホームアプライアンス
- DIY・工具
- 産業・研究開発用品
- ベビー&マタニティ(1商品あたりの売上合計が1,500円を超える場合)
- 腕時計・ジュエリー(1商品あたりの売上合計が10,000円以下の部分) ※1
- 服&ファッション小物(1商品あたりの売上合計が3,000円以下の部分)
- 服&ファッション小物の『ベビー&マタニティーブラウズノード』(1商品の売上合計が1,500円を超える場合)
- シューズ&バッグ(1商品あたりの売上合計が7,500円以下の部分) ※2
- その他のカテゴリー
※1 1商品あたりの売上合計が10,000円を超える部分は、2019年9月1日午前0時~2022年2月28日午後23時59分までのプロモーション期間のみ5%になります。
※2 1商品あたりの売上合計が7,500円を超える部分は、2020年3月1日午前0時~2022年2月28日午後23時59分までのプロモーション期間のみ5%になります。
なお、Amazonデバイス用アクセサリの販売手数料率は45%です。
最低販売手数料の確認
販売手数料を確認する際に注意しなければならない点として、「最低販売手数料」があります。これは、特定のカテゴリーについて少なくとも「30円」を支払わなければならないというものです。ただし、販売手数料率を商品代金に掛け合わせた額が30円を超える場合は、その金額が請求されます。
最低販売手数料が適用されるのは、以下のカテゴリーです。
- エレクトロニクス(AV機器&携帯電話)
- カメラ
- パソコン、周辺機器
- エレクトロニクス、カメラ、パソコンの周辺機器
- Amazonデバイス用アクセサリ
- 楽器
- ドラッグストア
- ビューティー
- スポーツ&アウトドア
- カー&バイク用品
- おもちゃ&ホビー
- ペット用品
- 文房具、オフィス用品
- ホーム(インテリア・キッチン)
- ホーム(家具)
- ホームアプライアンス
- 大型家電
- DIY、工具
- 産業・研究開発用品
- 腕時計
- ジュエリー
- ベビー&マタニティ
- 服&ファッション
- シューズ&バッグ
- その他のカテゴリー
カテゴリー成約料の確認
販売手数料の他に、特定のカテゴリーには「カテゴリー成約料」がかかります。つまり、カテゴリーによっては「販売手数料+カテゴリー成約料」を支払うことになります。ただし、出品しただけでは請求されません。この成約料は売れた時点で発生します。
カテゴリー成約料の詳細
カテゴリー成約料が請求されるのは、以下のカテゴリーです。料金とともに紹介します。
- 本 80円
- CD・レコード 140円
- DVD 140円
- ビデオ(VHS) 140円
便利なFBAサービスの手数料は?
FBAは「フルフィルメント・バイ・アマゾン」の略で、Amazonの倉庫に納品すれば、あとはAmazon側で注文を受けた後の梱包や発送、カスタマー対応、返品対応まですべて責任をもって行ってくれます。自分では在庫の保管も管理も一切する必要はありません。
FBAを活用してから売り上げがアップしたショップは75%にも及ぶという調査もあるほど利便性の高いサービスです。その理由は、FBAに登録すると、「Amazonプライム対象商品になる」「検索結果が上位表示される」「ショッピングカート獲得が可能」などの大きなメリットがいくつもあるからです。ユーザーサイドで考えると分かりますが、「Amazonプライム」と記載されているだけで一気に商品やショップへの信頼度や安心感が増します。この効果は、お金には変えられないものがあるといって良いでしょう。
それでは、そのFBAの手数料について詳しく見ていきましょう。
在庫保管手数料
FBAの手数料は、「在庫保管手数料」と「配送代行手数料」の2つからなります。まず、在庫保管手数料について解説していきます。
在庫保管手数料は、Amazonに商品を預けた際のいわば預かり賃と管理代金であり、「1〜9月」と「10~12月」で価格が変わります。また、「服&ファッション小物」「シューズ&バッグ商品」とそれ以外のカテゴリー、さらにサイズによっても計算式が異なります。(※計算式で算出した金額には、10%の消費税が含まれます。)
まず、「服&ファッション小物、シューズ&バッグ」以外のカテゴリーから説明しましょう。
【小型/標準サイズ】
- 1~9月 5,160円×〔商品サイズ(㎤)〕/(10㎝×10㎝×10㎝)×〔保管日数〕/〔当月の日数〕
- 10~12月 9,170円×〔商品サイズ(㎤)〕/(10㎝×10㎝×10㎝)×〔保管日数〕/〔当月の日数〕
【大型/特大サイズ】
- 1~9月 4,370円×〔商品サイズ(㎤)〕/(10㎝×10㎝×10㎝)×〔保管日数〕/〔当月の日数〕
- 10~12月 7,760円×〔商品サイズ(㎤)〕/(10㎝×10㎝×10㎝)×〔保管日数〕/〔当月の日数〕
次は「服&ファッション小物、シューズ&バッグ商品」の在庫保管手数料です。こちらは、すべてのサイズが同じ価格です。
- 1~9月 3.10円×〔商品サイズ(㎤)〕/(10㎝×10㎝×10㎝)×〔保管日数〕/〔当月の日数〕
- 10~12月 5.50円×〔商品サイズ(㎤)〕/(10㎝×10㎝×10㎝)×〔保管日数〕/〔当月の日数〕
配送代行手数料
続いて、「配送代行手数料」です。FBAサービスにおいて、Amazonが代行してくれる梱包と配送の手数料に当たります。
具体的には、寸法(梱包された商品の長さ・幅・高さの合計)と発送重量(商品重量+梱包重量)で決まり、「小型/標準サイズ」「大型サイズ」「特大サイズ」に区分されています。
【小型/標準サイズ】(寸法/発送重量:手数料)
- 25×18×2.0cm未満/250g未満:282円
- 33×24×2.8cm未満/1kg未満:381円
- 60cm未満/2kg:421円
- 80cm未満/5kg未満:467円
- 100cm未満/9kg未満:548円
【大型サイズの商品】(寸法/発送重量:手数料)
- 60cm未満/2kg未満:589円
- 80cm未満/5kg未満:712円
- 100cm未満/10kg未満:815円
- 120cm未満/15kg未満:975円
- 140cm未満/20kg未満:1,020円
- 160cm未満/25kg:1,100円
- 180cm未満/30kg未満:1,532円
- 200cm未満/40kg未満:1,756円
【特大サイズの商品】(寸法/発送重量:手数料)
- 200cm未満/50kg未満:3,061円
- 220cm/50kg未満:3,970円
- 240cm未満/50kg未満:4,995円
- 260cm未満/50kg未満:6,250円
FBAのその他の手数料
FBAサービスでは、在庫保管手数料と配送代行手数料以外にもいくつか手数料があります。それぞれ把握しておきましょう。
在庫の自動返送と所有権放棄にかかる手数料
Amazonに在庫として預けていた商品が販売不可となった場合は、自分の元へ返送してもらうか所有権を放棄する(=廃棄処分)ことになります。そして、その際には以下のように「返送/所有権の放棄依頼手数料」が発生します。
【小型/標準サイズ】(重量:商品1点あたりの手数料)
- 0~200g:30円
- 201~500g:45円
- 501~1,000g:60円
- 1,001g~:100円+1,000gを超えた分の1,000gにつき40円
【大型/特大型サイズ】(重量:商品1点あたりの手数料)
- 0~500g:80円
- 501~1,000g:110円
- 1,001~2,000g:140円
- 2,001~5,000g:200円
- 5,001g~:350円+5,000gを超えた分の1,000gにつき40円
購入者返品手数料
Amazonでは「服&ファッション小物」「シューズ&バッグ」については、購入者が30日以内に返品する場合、送料が無料となります。その場合の送料は出品者が負担することになります。その額は、先に示した販売手数料と同額です。
長期保管手数料
Amazonの倉庫に365日を超えて保管されている商品は、商品1点につき月額17.773円(10×10×10㎝あたり)の長期保管手数料が発生します。そして、商品1点につき最低長期在庫保管手数料が10円となっており、長期保管手数料と比べて高い方が請求されます。ただし、毎月15日が在庫一掃チェック実施日となっており、その前に販売された場合には長期保管手数料は発生しません。
納品不備受領作業手数料
AmazonではFBAサービスで在庫を受領する際、もし不備がある場合は不備受領作業を行い、販売可能在庫に組み入れます。この手数料として、納品不備受領作業手数料が発生します。
手数料の額は不備受領作業の内容とコーチングレベル(軽微・悪化・重大)によって異なります。
【作業内容:手数料(軽微/悪化/重大)】
- ラベルの貼付:51円/81円/81円
- ビニール袋に商品を入れる:92円/102円/102円
- エアキャップで梱包する:92円/122円/122円
- テープで梱包する:51円/81円/81円
商品ラベル貼付サービスの手数料
Amazonでは、商品ラベル貼付サービスも行っており、依頼すると手数料が発生します。大型サイズが1商品あたり51円、小型/標準サイズが1商品あたり20円です。
梱包準備サービスの手数料
依頼すれば、梱包作業もAmazonが代行してくれます。その際にはFBA梱包準備サービス手数料が発生します。
【サイズ:手数料(袋入れ/テープ貼り/エアキャップ(商品ラベル貼付サービス込)】
- 小型/標準サイズ:25円/20円/51円
- 大型サイズ:92円/51円/143円
Amazonと他のサービスの手数料を比較
Amazonの手数料は高い、とよく言われますが実際はどうなのでしょうか。他のサービスと比較して実際の違いを確認してみましょう。
メルカリ
「メルカリ」は、毎日1,500万人が利用する国内最大の人気フリマアプリです。メルカリの手数料は販売手数料の10%(税込)で統一されています。これ以外、出品にあたっては一切費用はかかりません。ただし、送料を無料にする際は出品者負担になります。
Amazonのファッションの販売手数料は8%もしくは15%のため、販売手数料のみを比較した場合はメルカリの方が安いといえるでしょう。
ラクマ
「ラクマ」は、メルカリに次ぐ国内2位のフリマアプリです。メルカリの後に創業され、販売手数料を3.5%という破格の安さで設定していましたが、2021年1月13日の00:00より6.0%(税抜)に改定されました。
それでもメルカリやAmazonに比べるとかなり割安です。ただし、今回ご紹介する中でこのラクマだけが手数料を税抜にしているため注意が必要です。
ヤフオク!
「ヤフオク!」は、国内最大のオークションサイトです。ヤフオク!のシステムは、月額使用料0円で、Yahoo!プレミアム会員に登録すると、落札価格の8.8%(税込)、プレミアム会員以外なら10.0%(税込)をシステム利用料として支払います。
Amazonの出品手数料は高いのか?
Amazonとそれ以外のサービスでは、規模もサービス内容も異なるので、単純に比較することは難しい面もあります。ただ特筆すべきは、ビジネス目的で使用できるのはほぼAmazonのみという点です。継続的に多くの商品を入出荷しようと思えば、FBAサービスのあるAmazonの魅力は群を抜いています。それ以外の手数料も多いですが、そこは世界一のECサイトとしてのステータスを維持するための必要経費と考えることもできるでしょう。
同じ商品でもプロレベルの梱包と配送、そしてカスタマーサービスや返品対応などを抜かりなく行うことで、Amazonユーザーからの信頼を勝ち取ることもできます。フルフィルメントを任せることができれば、その分、商品開発やマーケティングに注力できるでしょう。これを安いと捉えるかどうかは、その人次第といえます。
まとめ
Amazonの販売手数料やFBA手数料について詳しくご紹介しました。カテゴリーによっては、意外と手数料がかかるので戸惑った方もいるかもしれません。しかし、FBAを併用すれば、完成度の高いプラットフォームでもあるため、トータルで考えるとお得でしょう。
最初は慣れるまで大変ですが、軌道に乗ればAmazonにして良かったと思えるかもしれません。そして、もっとも大切なことは、トレンドを正確にキャッチしてAmazonユーザーのニーズに合ったアイテムを出品することです。システムが理解できたら、早速Amazon出品の準備に取りかかりましょう。