世界最大級の通販サイト「Amazon」では、「大口出品」と「小口出品」の出品スタイルが選択できます。
本格的な物販ビジネスのプラットフォームとしてAmazonを利用する場合は大口出品を選ぶことがほとんどですが、Amazonで販売を続けていくにあたり、大口出品から小口出品へ移行したくなることもあるでしょう。
そこでこの記事では、Amazonで出品スタイルを大口から小口に変更する方法をご紹介しようと思います。
また、Amazonの廃業の手続き方法もまとめているので、今後のアカウント運用の参考にしてみてくださいね。
Amazon小口出品・大口出品の特徴について
はじめに、Amazonでの出品における「大口出品」と「小口出品」の特徴を整理していきましょう。
基本料金(手数料)や一括出品ツールの使い勝手、注文管理レポートの仕様、決済方法など、あらゆる面での違いが見えてくるはずです。
Amazon小口出品・大口出品の基本料金(手数料)
Amazonの大口出品と小口出品の最大の違いは、基本料金(手数料)の違いにあります。
Amazon大口出品の基本料金(手数料)
◆月額登録料:5,390円(税込)
◆月1回の請求時に売り上げ金額と相殺という形で徴収される。売り上げが5,390円未満の月は、指定のクレジットカードへ請求される。
Amazon小口出品の基本料金(手数料)
◆月額登録料は不要。
◆商品が売れるごとに100円の手数料(基本成約料)が発生する。
約5,000円の月額登録料というのは、年間で考えるととても大きなものです。各出品スタイルの手数料を把握せずにAmazonでの販売を行ってしまうと、事業利益率や採算性が想定外になることもあります。
Amazonでの出品スタイルを変更するタイミングや理由は様々ですが、一ヶ月の販売個数を基準にして大口から小口出品へ移行するのも一つの手です。例えば、毎月50個以上の商品が売れているアカウントならば、大口出品のほうがベターです。
一括出品ツールの恩恵も存分に受けられるので、より多くの利益を上げたいと考える方は本格的に大口出品に取り組むべきと言えるでしょう。月額登録料もすぐに回収できます。
それに対して、自由気ままに仕入れや販売を行いたい方、副業としてマイペースにAmazonでの出品を楽しみたい方には小口出品がおすすめです。
続いては、Amazonでの出品時に使える一括出品ツールの使い勝手を解説したいと思います。
Amazon大口出品を楽にする一括出品ツール(Amazon小口出品では使用不可)
Amazonでの出品はとても骨の折れる作業です。しかし、「一括出品ツール」を活用すれば効率的に大口出品作業を進められます。
一括出品ツールは、上記画像のようなExcelファイルです。出品する商品の詳細情報、商品としてのコンディション(状態)、販売価格などをファイル上で整理してAmazonに登録します。
Amazonでの大口出品において、同じ商品を1件毎に登録するのは大変非効率です。一括出品ツールで大量の商品を登録して時短に繋げましょう。
残念ながら、一括出品ツールはAmazonの小口出品には対応していません。小口出品の場合は、1件ずつ商品情報を入力してください。
Amazon注文管理レポート(Amazon小口出品では使用不可)
注文管理レポートは、Amazon出品の中級~上級者向けの機能です。
大口出品者に限り、セラーセントラル(Amazon出品者専用ページ)にて注文情報をチェックできます。
Amazonの注文管理レポートでは、上記画像のように「売上・トラフィック」「出品者パフォーマンス」などのビジネスレポートを日付別・ASIN別に確認できます。
これらの情報は、各商品の売れ行きや売上の変動を分析する際にとても役立ちます。今後の仕入れ数にも関わってくるため、Amazon出品者としては絶対にチェックするべき情報だと言えるでしょう。
一方、小口出品の場合は注文管理レポートを閲覧できません。自身でAmazonの売上データを把握できなくなったときが、大口出品へ切り替えるタイミングと言えるでしょう。
Amazon大口出品と小口出品の決済方法
Amazonでは、大口出品と小口出品では決済方法が異なります。それぞれに対応した決済方法を把握しておきましょう。
大口出品での決済方法
◆クレジットカード
◆Amazonギフトカード(旧Amazonギフト券)
◆Amazonショッピングカード
◆コンビニ決済
◆代金引換
◆Edy払い
◆請求書払い
◆携帯決済
小口出品での決済方法
◆クレジットカード
◆Amazonギフトカード(旧Amazonギフト券)
◆Amazonショッピングカード
◆請求書払い
◆携帯決済
Amazon大口出品と小口出品では、利用できる決済方法の数が大きく異なります。
小口出品者にとって最大のネックとなるのが、購入者が現金払いを希望した場合です。コンビニ決済やEdy払いを利用できないため、顧客は自動的に大口出品者へと流れてしまいます。
Amazon大口出品の見方!primeマーク(小口出品はFBAの利用でprimeマークの表示は可能)
大口出品をする出品者にとって強みとなるのが「primeマーク」です。
Amazonに出品したアイテムにprimeマークが表示されれば、売り上げの大幅アップが望めます。
通販を利用するならば、誰だって「早く商品が届いてほしい」と思うものですよね。
primeマークがついているアイテムは、Amazonプライム配送特典の対象となります。つまり、お急ぎ便・当日お急ぎ便などの無料サービスを受けられるため、Amazonプライム会員の購買率がアップすると考えられます。
Amazonの商品一覧ページでは、以下のようにprimeマークが表示されます。Amazonプライム会員向けに、お届け日時の情報も併せて表示されます。
小口出品でもFBAを利用するとprimeマークはつきます。しかし、小口出品ではマケプレプライムは使用できないので、自社出荷を行う場合はprimeマークはつけることはできません。この点は小口出品のマイナスポイントと言えます。
Amazon大口出品と小口出品の新規カタログ登録方法とは?
Amazonで取り扱っている商品ページは、「カタログ」と呼ばれています。大口・小口出品では、カタログの登録方法も異なります。
◆大口出品のアカウント
Amazonに販売予定商品のカタログが存在しない時は、自らカタログの新規登録が可能です。出品可能カテゴリーに該当していれば、どんな商品でも販売できます。
◆小口出品のアカウント
Amazonに販売予定商品のカタログが存在しない場合、カタログの新規作成ができません。Amazonにカタログが存在するか確認してから商品を仕入れ、販売しましょう。
Amazon大口出品と小口出品のカート取得とは?
カート取得とは、Amazonの商品ページにある「カートに入れる」ボタンの有無を指します。Amazon商品の購入を検討しているユーザーが「カートに入れる」をクリックすれば、商品は購入アイテム候補に加わります。
ほとんどのAmazonユーザーは、色々な商品をカートに入れつつ、条件を比較してから最終的に購入アイテムを決めます。出品者にとっては、「商品がカートに入れられないと始まらない」とも言えますね。
カートを取得することで販売成立のチャンスが何倍にも広がります。
上の画像を見てください。「出荷元 Amazon 販売元 〇〇」と記載されています。出品した商品がカートを取得できると、○○部分が自身のショップ名となります。
ユーザーが「カートに入れる」を選択した際は、ショップ名が明記された出品者の商品が優先されます。つまり、他にも多数の出品者がいる場合にライバルを出し抜けるということです。
大口出品は特定の条件をクリアすることでカート取得が可能です。具体的には、新品のアイテムを最安値で出品登録するとカートを取得できます。
小口出品の場合は、カート取得が不可能です。最安値にこだわってもメリットはあまりないでしょう。
Amazon大口出品と小口出品の出品カテゴリーの範囲は?
Amazonに出品された商品にはカテゴリーが設けられていますが、大口出品と小口出品では対応カテゴリーの数も異なります。
カテゴリーとは、「本・漫画・雑誌」「DVD・ミュージック・ゲーム」「楽器」「家電&カメラ」「パソコン・オフィス用品」「文房具・オフィス用品」といった、あらゆる商品の種類を分けるシステムです。
Amazonでは基本的には、大口出品の方が小口出品よりも多くのカテゴリーに対応しています。
◆大口出品のアカウントは、ほとんどのカテゴリーで商品を販売可能です。
ただし、出品歴の長さによっては非対応のカテゴリーも存在します。例えば、新品のCD・DVDは人気の出品カテゴリーですが、CDは原則出品制限がかけられており出品は出来ません。出品したい時は制限解除申請が必要ですが、2020年時点の新規アカウントでは受け付けていません。
◆小口出品の場合、出品できないカテゴリーは以下の通りです(2023年12月時点)。
「時計」「ヘルス&ビューティー」「食品&飲料」「ペット用品」「アパレル・シューズ・バッグ」「コスメ」「ジュエリー」
カテゴリー情報は随時変更されるため、こまめにAmazonの規約をチェックするのがおすすめです。
Amazon小口出品のメリット・デメリット
以上の内容からAmazonの小口出品のメリット・デメリットを整理してみましょう。
小口出品は大口出品と異なり固定費がかからず、出品数が少ない場合は経費を抑えられるメリットがあります。その一方で出品できる商品に制限があり、時計やコスメ、ジュエリー、健康系の商品は許可申請も含めて出すことができません。
「まだ事業が小規模だから小口出品でいい」といった単純な話ではないため、固定費部分だけでなく出品可能品目や販売手数料、在庫管理、アカウントの使い勝手などを総合的に判断する必要があります。
Amazon小口出品が向いているケース
どのような人にAmazon小口出品は向いているのでしょうか。具体的には下記のような場合です。
・事業始めたばかりで販売する商品が決まっていない
・大口出品しか扱えない商品は持っていない
・販売する商品数は月間49点以下
・固定費をかけたくない
・分析などの細かいツールを使う予定がない
このように、できる限り経費をかけずにまずは試しにAmazonに出品してみたい場合は小口出品がおすすめです。
Amazonで大口出品から小口出品にするには?
出品するペースや個数によっては、大口出品よりも小口出品の方がメリットが多いケースがあります。
実際にAmazonの出品スタイルを大口出品から小口出品へ変更する手順をご紹介します。
そもそもAmazon小口出品・大口出品の出品スタイルは変更できる?
実店舗であれば、販売スペースや販売個数をおいそれと変えることはできません。
しかし、Amazonマーケットプレイスなら出品スタイルの切り替えも簡単です。
まずはセラーセントラルにログインし、現在の契約が大口出品・小口出品のどちらであるかチェックしてください。
Amazonでの大口出品から小口出品への移行方法
Amazonで大口出品から小口出品への切り替えを行っていきましょう。
1.セラーセントラルのマイページ右上にある「歯車マーク」から、「出品用アカウント情報」を開きます。
2.「ご利用のサービス」から「サービスの管理」を選択します。
3.Amazon出品サービス内にある「小口出品」をクリックします。
注意!Amazonの「休止設定」は小口出品者向け
「出品用ステータス」に含まれる「休止設定」は、小口出品者が販売を休止する時に設定する機能です。
大口出品の状態で休止設定を行っても、月額登録料の5,390円(税込)は請求されるので重々気を付けましょう。
また、大口出品をした商品も販売中の状態となるため要注意です。
小口出品に変更した上で、出品を休止したい方は次の項目を参考にしてください。
Amazonで小口出品者が販売を休止する方法
出品ステータスにある「休止設定」をクリックします。
画面下の編集ボタンを押します。
一時休止ステータスを「休暇中」に変更し、「保存」ボタンを押します。
Amazonの出品スタイルを大口出品から小口出品に移行するタイミングは?
Amazonで小口出品への移行を検討している方にとって、今が本当にその時期なのかが気になるところです。
Amazonで出品スタイルを変えるべきタイミングを把握しておきましょう。
Amazonで小口出品に移行後、FBA在庫を返送してもらうには?
大口出品から小口出品に移行した後は、FBA在庫の返送手続きが必要となります。
まずはセラーセントラルのマイページから「在庫」をクリックします。
「全在庫の管理」の設定から「出品中」にチェックを入れます。商品数が多い場合は2ページ目以降のチェックも忘れないようにしましょう。
「ステータス」で取り扱いを止める商品を全てチェックし、一括変更をクリックします。
返送 / 所有権の放棄依頼を作成しましょう。
「はい続けます」をクリックします。
放棄依頼の画面を確認し、問題がなければ次に進みます。
「販売可能な数量」は現在の在庫数を指します。
「続ける」を選択し、内容をチェックしたら確定します。
手続きが完了するとFBA在庫が返送されます。
在庫を返送してもらわないと、販売する意思がなくても追加費用が発生してしまうため、早めの手続きを心がけましょう。
Amazonアカウントを解約するには?(Amazon小口出品に移行すれば販売休止も可能)
今後一切、Amazonでの出品を行わないという方のために、アカウントを完全に解約する手順をご紹介します。
Amazonアカウント解約後に再度出品を行う場合は、改めて開設手続きが発生します。過去の販売情報も閲覧できなくなるため、よく検討してから解約しましょう。(Amazonアカウントを解約しなくとも、小口出品に移行し、在庫を返送してもらうだけでも販売は休止できます。)
それでは、Amazonアカウントの解約手続きに進みましょう。
Amazonアカウントを解約するにはテクニカルサポートへ連絡する必要がありますので、セラーセントラルにログイン後、「ヘルプ」を開いてください。
ページ下部中央にある「さらにサポートが必要ですか?」の「サポートを受ける」をクリックします。
「Amazon出品サービス」をクリックします。
「問題を説明してください」と表示されますので「アカウントを閉じる」と入力して「次へ」をクリックします。
「アカウントの解約をリクエスト」を選択し、「次へ」をクリックします。
1つのAmazonアカウントで日本以外のAmazonアカウントを持っている方で、1ヵ国のAmazonアカウントだけ削除したい場合は下の「1つのマーケットプレイスでAmazonアカウント解約をリクエストする」を選択します。
FBAに在庫はあるか聞かれますので、「いいえ」をクリックします。まだ在庫が残っている場合はすべて返送するか破棄を依頼しておきましょう。
「アカウントを解約する」をクリックすると出品用アカウントの解約が完了です。
Amazonで小口出品に移行後の月額利用料の引き落とし日について
Amazonの月額利用料の引き落とし日は、販売開始日となった日にちを基準に決定されます。(1月24日が販売開始日であれば、毎月24日が引き落とし日になります。)そのため、切り替えや解約のタイミングによっては月額利用料が発生してしまいます。
月末締めだと思い込まずに、自身のAmazonアカウントの料金引き落とし日を確認した上で迅速に手続きを行いましょう。
Amazonでは自分のペースで小口出品が可能
Amazonマーケットプレイスでの出品は、ハードルが高いものではありません。
大口出品から小口出品への切り替えも短時間で終わります。
自分のペースにあった販売方法でAmazon出品を楽しんでいきましょう。