商品の販売数を伸ばすためには、売れやすい値段を常にキープする必要があります。しかし、その「売れやすい値段」というのは毎日変動しているのです。いくつも商品を出品しているセラーは、そのすべての競合を調査し、値段を付け直すという作業に膨大な時間を奪われてしまいます。
これらの作業を自動で行ってくれるツールを導入すれば、効率的に販売を行うことができるようになるのです。今回は、価格改定ツールとは一体どういったものなのか、おすすめも併せて紹介いたします。
価格改定ツールの基礎知識
Amazonで商品を販売するにあたって、便利なツールを使って作業の効率化を図るのはとても大事なことです。今回は、その中でも「価格改定ツール」という一つのトピックに焦点を当て、その詳細やメリットについて説明していきます。
価格改定とはどういう作業なのか
価格改定とは、商品の値段を見直し、売値を最適な価格に付け直す作業のことです。価格競争の激しいECサイトでは、この作業を小まめに行わないと、カートを獲得することが難しくなってしまいます。
では、具体的にどのようにして価格を見直せば良いのでしょうか。基本的には同じ商品の中で最も安い物や、もしくは多くのカートを獲得している商品の値段に合わせて売値を見直すことになります。最安値に合わせて価格改定を行うか、もう少し高い値段に合わせておくのかは商品の状態や需要によってセラー自身が独自に判断します。
なぜAmazonでは価格改定が重要なのか
では、売値の設定を見直す時には、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか。最も注意しなければならないのは、価格の競争が起こらないようにすることです。
競争が起こってしまうと値下げが加速していき、やがて利益を出せるセラーが誰も居なくなるという事態になりかねません。そのようなことを回避するためにも、誰かが商品の値下げを行ったとしても、さらに安い値段に設定するのは避けるべきなのです。
商品の売値を付け直すことになった場合は、自分の出品している商品と条件が揃っているものと合わせるのがベストでしょう。その中でも、多数の出品者が同じ値段で販売している場合が売値を見直す最適なタイミングです。この時に設定する値段ですが、必ずしも最安値に合わせる必要はありません。大切なのは同じ出荷形式のセラーと売値を合わせることなのです。
ツールの導入で作業を自動化
価格改定の重要性について理解していても、価格のチェックや設定といった作業を毎日するのはとても大変なことです。それらの作業をすべて手作業で行うのはかなりの負担になりますので、自動化できるようなツールの導入がおすすめです。
この項目では、価格改定ツールでどのような作業が自動化できるのか解説していきます。
価格の改定作業の手間が省ける
商品の売値を付け直す作業は、通常であれば手作業で一つひとつ入力していかなければなりません。ですが、ツールを導入することでこれらの入力作業を自動で行うことが可能になります。
利益を上げることには直結しない
ここで気を付けなければならないのは、価格の改定をしたところで利益が上がるわけではないということです。あくまでも販売数が上がるというだけであって、利益は下がっている場合がほとんどです。これは売り上げを伸ばすためではなく、カートを獲得しやすくするための作業ということを覚えておきましょう。
その他の作業の助けになる機能も
ツールを導入すると、価格の改定作業の他にも様々な機能を利用することができます。実際にどんなことができるようになるのかはツールによって違いますが、中には商品を購入したユーザーへのメール送信や、納品の計画作成を自動化することができるものもあります。
その他にも、セラーとして安全に商品を販売するのに欠かせない機能が沢山ありますので、希望に合わせて使用するツールを選ぶと良いでしょう。
オススメのツールをご紹介
この項目では、数ある価格改定ツールの中から、オススメのものを9つ紹介いたします。それぞれの特色や機能の詳細などについて見ていき、その中から自分のスタイルに合ったものを選びましょう。
プライスター
プライスターは専用のソフトをダウンロードする必要が無く、ブラウザ上で利用することができるので、いつでもどこからでも気軽にアクセスできるのが最大の特徴です。スマホからは専用アプリもリリースされており、さらにはAppleWatchから利用することもできます。
リリースからは10年経っており、1か月の無料体験期間もあるので安心です。サービスは日本版とUS版の2種類あり、どちらも月額の利用料金は税込みで5,280円です。
プライスターでは、商品の売値を付け直す作業だけにとどまらず、仕入れから出品、更には顧客へのメール送信まで、徹底的にサポートしてくれる機能がいくつもあります。価格の改定も条件別に細かく設定することができるので、商品の状態や売れ行きに合わせて、値段を安くしたり高くしたりなども自在にコントロールすることができます。
他のサービスに比べて料金が少し高めではありますが、他にもユーザー限定のサービスがかなり充実しているため、どんなツールを使ったらいいのか分からないという方にはこちらがおすすめです。
参考:プライスター
マカド!
マカド!は月額4,980円で利用することができ、さらには30日間の無料期間が設けられています。シンプルで分かりやすいページデザインなので、複雑なツールに苦手意識を感じている方でも使いやすいのが特徴です。
プライスター同様、ブラウザからアクセスすることができるサービスなので、場所やデバイスを選ばず、どこからでも商品の動向などをチェックすることができます。さらには、子アカウント機能も存在しており、第三者に対して制限付きのアカウントを共有することもできます。
肝心の価格改定機能についてですが、ボタンを一つクリックするだけで簡単に行うことができ、更には値下げの設定も充実しています。あまり商品を安くし過ぎてしまうのにはリスクもありますが、最安値に比べてどれほど安く設定するのかを細かく決められますので、常に最安値をキープすることもできるのです。
また、仕入れのサポート機能も充実しており、一度売れた商品をまた入荷したくなった場合に、ワンクリックですぐに商品を検索することができます。この機能を利用することで、仕入れにかかる時間を大幅に短縮することが可能になるのです。
参考:マカド!
WatchBell
WatchBellは他のサービスとは一味違い、利益を得るために最も適した売値を割り出すことをテーマとしています。
そのため、商品の売値を自動で付け直すツールは存在しておらず、その代わりに様々なデータを提供しています。ユーザーはそのデータをもとに自分で適した売値を判断し、値段を付け直す作業を行います。他のツールでは確認することのできない、より具体的なデータを見ることもできるので、さらに多くの利益を出したい方にはおすすめのツールです。
月額の料金は3,980円で、30日の無料体験期間もあります。こちらも特別なソフトやアプリをインストールすることなく使用できるサービスですので、インターネット環境があればどこからでもアクセスすることができます。
参考:WatchBell
Mariah
こちらは以前に「GAGA」としてサービス提供していましたが、現在は名前を変えてMariahへとバージョンアップしています。
これまでに紹介したツールの中でも利用料が最も安く、月額380円の「Y&Sせどりクラブ」に入会することで利用できるようになります。
ただし、ここで気を付けなければならないのは、ダウンロード式のソフトだということです。ブラウザ上で利用することのできるツールは、PCの電源を切っていても自動で作業を行ってくれますが、ダウンロード式のものはPCの電源を切ってしまうと機能しません。そのため、PCの電源を付けている時間が短ければ短い程、その機能を活かすことができなくなってしまうのです。
さらに、ダウンロード式のソフトは機能の更新などがあった場合にも、その都度手作業で新バージョントへと移行しなければなりません。マニュアルも非常にシンプルなものになっており、普段からPCソフトをよく使う方でないと扱うのが難しいものなのです。
ですが、他のものと比べるとかなり安い料金で利用できるツールで、機能もとてもシンプルですので、その他の機能を必要としていない方にはおすすめです。
参考:Y&Sせどりクラブ
アリウープ
前項でご紹介したMariahを提供しているY&Sせどりクラブは、他にもツールを発表しています。アリウープはExcelを用いて売値の付け直し作業を行うことができ、更には一括で商品を出品することもできるダウンロードソフトになっています。
Mariahと同様に、クラブに入会しているユーザーが利用できるようになっているため、月380円の会費を支払うだけでMariahとアリウープどちらも利用することができます。ただし、このサービスは個人や小規模の出品者に向けてのもので、大規模出品者は対象になっていないので注意してください。
参考:アリウープ
Cappy
CappyはAmazonが認めた信頼できるツールで、月額3,980円で利用することができます。売値の見直しだけでなく、顧客へのお礼メールを送信する機能など様々なツールを利用することができます。
さらに、無料体験ができる期間も60日間となっており、じっくり試してから利用するかどうかを決定することができます。
参考:Cappy
価格改定王
価格改定王は、一度初期設定をしてしまえば、後は難しい操作を必要としないのが特徴です。ただ単に売値を最安値に設定し直すだけでなく、値段の設定条件を細かく変えることができるので、価格がどんどん安くなってしまって損をするという心配もありません。
年間9,800円で利用でき、動画による分かりやすい解説も付いているため、PCの操作に慣れていない方でも比較的使いやすいツールになっています。
参考:価格改定王
せど楽MK-Ⅱ
せど楽MK-ⅡはFBA納品の商品にも対応しており、商品の売値の見直しだけでなく、出品や受注に関するサポート機能も充実しています。FBA商品とそうでないものが混在していても、それぞれに適した値段を計算してくれるので安心です。
料金は初期設定費が50,000円で、月間契約(8,000円)か年間契約(88,000円)かのどちらかを選択することができます。1か月の無料体験期間やその他オプションなどもあり、自分の求める機能に応じてカスタマイズできるのもメリットの一つです。
参考:せど楽MK-Ⅱ
D-plus
D-plusもダウンロード不要で、ブラウザ上からアカウントにログインすることで利用できるツールです。あらかじめ用意されたモードから簡単に価格の改定を設定することができるので、初心者の方でも使いやすくなっています。もちろん細かくカスタマイズすることもできるので、上級者の方であれば、さらに自分の扱う商品に最適な設定にすることもできます。
その他にも、一括出品機能や顧客へのお礼メールの自動送信機能など、作業の効率化を図るための便利なツールが沢山利用できます。料金は以下の4段階のプランに分かれており、使いたい機能に合わせて選択することができます。
- 無料のプラン
- ライトプラン:月額3,980円
- スタンダードプラン:月額5,980円
- プロプラン:月額9,980円
スタンダードプランに関しては30日の無料体験ができるので、試しに使ってみてから本格的に導入するかどうかを検討するのも良いでしょう。
参考:D-plus
Amazon公式のツールを利用する
これまで紹介したツール以外にも、Amazonの公式ツールを利用することもオススメです。Amazon公式のツールは、誰でも容易に使うことの出来る機能ですので、使い方を覚えて活用しましょう。
ルールの作成
公式の価格改定ツールは、セラーであれば誰でも無料で利用することできます。まずはセラーセントラルのトップページを開き、「価格」の項目にカーソルを合わせます。出てきたプルダウンメニューの中から「価格の自動設定」の項目を選んでください。ここから価格の改定設定を行うことができます。
移動したページ下部にある「開始する」のボタンを押すと設定を作成することができます。
設定を作成するには、まず「ルールを選択」のメニューを開きましょう。
そこから大きく分けて3つの方法を選択することができます。ショッピングカートを獲得した商品を基準にするか、最も低い値段の商品を基準にするか、沢山売れている商品を基準にするかのいずれかを選びましょう。
次に、設定した内容が分かるようにルールに名前を付け、「保存して価格設定ルールの選択を続ける」をクリックしてください。
続いて、より詳細にルールを設定していきましょう。先程選択した基準をもとに、どのように値段を設定していくのかを決めます。そして、最後にページ下部の保存ボタンをクリックすれば準備完了です。
作成したルールを適用する
次に、設定したルールを実際に商品に適用する方法を紹介します。SKUの管理の画面からルールを適用したい商品を探し、値段の上限と下限を設定したら、ページ右の「アクション」という項目にある「価格の自動設定を開始」をクリックしましょう。
出てきたメニューから先ほど作成したルールを適用し、「価格の自動設定を開始」をクリックすれば設定完了です。ルールの内容そのものを後から変更することはできませんが、どのルールを適用するかの設定は変えることができるので、その場の状況に適したルールを選びましょう。
ツールを活用して作業効率を上げましょう
全ての作業を手動で行うと膨大な時間がかかりますが、便利なツールを活用することで大幅に時間を短縮することができます。
また、自分一人では難しい販売価格の調整を自動で計算することができる価格改定ツールは、顧客に多くの商品を手に取ってもらうためには欠かせないものなのです。これらのツールをうまく活用して、商品の販売数をもっと伸ばしていきましょう。