Amazonでショッピングをする人が最近は増えてきていますよね。Amazonで検索すれば欲しいものはだいたい売っており、しかもパソコンを使えば家から出なくても買い物が完了するので本当に便利です。
ところで、Amazonでは個人でも出品ができることをご存じでしょうか?最近では、副業・本業に関係なく転売によって稼ぐ人も増えているので、知っている人も多いことでしょう。
今、そんなAmazonの出品者の間で話題となっているのが、システムを悪用した「すり替え返品詐欺」です。
「すり替え返品詐欺」とは、商品の購入者が本来の商品とは別の商品(または箱だけなど)にすり替えて返品することです。これが大きな問題となっています。これには、Amazonのある規約と返品システムが大きく関わっているのです。
今回は、Amazonで問題になっている「すり替え返品詐欺」等について解説していきます。具体的には、返品詐欺の手口やAmazonのシステムの問題、そしてその対策方法などについて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
Amazonで起きている5つの迷惑行為
まずは、Amazonで起きている5つの迷惑行為についてご紹介していきます。迷惑行為の類型を知っておけば、被害を未然に防ぐことにもつながります。
Amazon出品者に理不尽な返品理由でも……「返品すり替え詐欺」
まずは冒頭でも述べた「返品すり替え詐欺」についてのお話です。
Amazonは、FBA(フルフィルメント by Amazon)と呼ばれる、個人の出品が容易になるシステムを提供しています。これを利用すれば、Amazonが商品管理から注文受付、発送までをすべて請け負ってくれるので、とても便利なシステムです。
一方、Amazonには「商品が届いてから30日以内なら返品可能」という、購入者から見ればとても嬉しいルールがあります。しかも、ほぼ無条件で返品ができます。これこそが、返品すり替え詐欺が横行する理由です。
そうすると、このシステムを利用して中身だけ抜いて空き箱の状態で返品したり、中古商品に中身を変えて返品したり……といったことを考える人が出てくるわけです。そして、出品者は返品されてはじめて詐欺に遭ったことに気が付きます。
では、返品詐欺に遭った時点でAmazonにクレームを入れればよいのでは?と思うでしょう。
しかし、「商品の専門的なことは分からない」「お客さまが不良品だと言うのであれば不良品なのでは?」などと言って取り合ってくれないのです。Amazonの「お客様第一主義」を悪用する、本当に悪質な詐欺と言えます。
手数料は出品者負担に……Amazon返品詐欺である「代引きテロ」
次は、代引きで注文が入った商品を販売したところ、キャンセルや返品等されてしまう「代引きテロ」をご紹介します。
普通は、代引き注文された商品がキャンセルになったとしても、商品は返ってくるし送料もAmazonが負担してくれるので、出品者に損失は生じません。
しかし、FBAを利用して出品した商品が代引きで購入された後に返品・キャンセルされた場合だと、代引き手数料が出品者負担になります。これが重なると大きな損失になってしまうので、本当に迷惑な行為です。
また、届け先の住所が架空の住所だったり、公園やコンビニだったりして、住所不明で商品が返ってきてしまう場合も「代引きテロ」に含まれます。
ちなみに、代引き手数料は1アイテムごとに330円(税込)かかります。これが大量の商品の代引き注文だった場合、売り上げはゼロなのに多額の代引き手数料だけ支払う羽目になるのです。
30日間使ったあとに返品する「一時使用返品」
Amazonでは原則として商品の到着から30日以内なら返品できます。期間内であれば開封されていても使用されていても返品可能です。
この権利を濫用し、30日間使ったあとに返品をする人がいます。大切な商品を中古品にされる一時使用返品は大変迷惑な行為です。
注文したのに受け取らない「宅配受け取り拒否」
大抵の配送業者では荷物の受け取り拒否ができます。頼んでいない商品を代引きで送りつける詐欺も横行しているので受け取り拒否の制度は必要なものです。
しかし、注文したにも関わらず気が変わったからといって商品を受け取らないのは良くないことです。
悪質なのが嫌がらせ目的での受け取り拒否です。
代引きで商品を購入し受け取り拒否すれば、その間ライバルがその商品を販売するチャンスをなくせます。適当な相手に代引きで商品を送りつけ、受け取り拒否をさせるというとんでもない手口も存在します。買われた方も送られた方も迷惑極まりないです。
先ほど紹介した「代引きテロ」に似ていますが、これはさらに悪質です。
ライバルへの迷惑行為「保留テロ」
最後に紹介するのは、「保留テロ」です。せどりを行う人がライバルを出し抜くために使う手口で、こちらも悪質です。
自分が独占的に売りたいと思っている商品があり、ライバルがそれと同じ商品を出品している場合、ライバルの在庫をすべて決済までして、購入代金の支払いを保留した状態にしておきます。ライバルがその商品を販売できない間に、自分が多く売って利益を出すという姑息な詐欺を「保留テロ」と呼んでいます。
これには、Amazonの保留注文のシステムが大きく関わっています。Amazonでは、7日間(コンビニ支払いの場合6日間)の保留期間が認められています。欲しい商品があるが何らかの事情ですぐに代金を払えない場合に、決済まで済ませて注文を保留することで在庫を確保しておくことが可能になるのです。この期間中に支払い方法を変更することで、最大21日間期限を引き延ばすことができます。
この注文保留システムを悪用した詐欺が「保留テロ」です。ちなみに、この犯人は、コンビニ支払いを選択したり、上限金額に達したクレジットカードを使って決済している傾向があります。
FBAを使う人は要注意!不安を覚えるAmazonの対応
Amazonのテクニカルサポートに連絡したり、警察に被害届を出したり……などの対応は、かなりの手間がかかります。代引きテロのように手数料1回分ほどの小さな金額では、Amazonも警察も取り合ってくれない可能性があります。
このような事態に陥る前に、FBAを利用するリスクを以下で確認しておきましょう。
便利だけどリスクもあるFBA出品
FBAとは、Amazonが在庫管理から発送、返品対応にいたるまでの事務手続きを一括で請け負ってくれるサービスのことです。このサービスを利用して発送する場合をFBA発送と呼びます。これはとても便利なサービスで、自分で作業する手間がかからない優れものですが、返品やキャンセルの対応に不安を感じることも多いでしょう。
一方、「自己発送」という方法もあります。これはその名の通り、自分で発送・返品作業を行う方法です。作業の手間がかかりますが、損失が大きくなりやすい高額商品を出品する場合には有効です。購入者からの返品の要望があったときに、その理由として商品の写真を提示してもらうなど、自分で購入者とやり取りをすることができるからです。
詐欺が怖いからといって、すべての出品を自己発送で対応するのでは非効率です。シリアルナンバーがない商品や高額商品に関しては自己発送を利用し、基本はFBA発送を使うというような使い分けをすることで、FBAのリスクを最小限に抑えることができるでしょう。
Amazonのポリシーを悪用!Amazonの返品システム
ここでは、Amazonの返品のルールについて詳しく見ていきます。
Amazonでは、原則として商品到着後30日以内に返品を済ませる必要があります。そのうえで、商品の状況によっていくつか条件があるのです。
Amazonの「お客様第一主義」は、購入者フレンドリーなポリシーです。しかし、出品者にとってはそれがトラブルの元になってしまうこともあります。以下の返品条件をしっかり頭に入れたうえで、トラブルを回避するための対策を考えていくことが大切になります。
「不良品だった」ことを確認してくれないことも
まず、開封済みの商品でも返品を受け入れなければならないことがあります。それは、購入者が返品理由を「不良品だから」としている場合です。
Amazonはあなたが出品した商品に関して専門的な知識をもっているわけではないので、返品対象の商品を一つ一つ確認したところで不良品なのかを判断することはできません。したがって、「不良品だった」と言われたら即返品に応じてしまうのです。
ということは、商品の発送を完了させても、返品期限の30日を過ぎるまでは安心できないということです。返品詐欺を働くのは購入者のごく一部ですが、このように詐欺の事例が多く報告されるようになっているので、注意しておくに越したことはありません。
低評価による出品者の悪い印象は消えない
また、「不良品だった」という理由で返品をしてくる購入者が、レビューで低評価をつけることもあります。そして、そのレビューはずっと残り続けます。そのレビューをつけたのが悪質な購入者だった場合でもです。まっとうな商品を適切に販売・発送したのに……と納得いかない状況ですが、Amazonのシステム上仕方ないことと受け止めるしかありません。
仮に、これが「返品すり替え詐欺」だったと認められ、損失の補填が受けられたとしても、低評価を消すことはできません。それによって出品者の印象も悪くなり、今後の利益に関わってきてしまう可能性もあります。
Amazonで返品詐欺に遭っても冷静にテクニカルサポートへ報告
詐欺に遭ってAmazonテクニカルサポートに報告するときに気を付けたいことは、「冷静に自分の主張をする」ということです。
詐欺に遭ったことで動揺したり、怒りを覚えたりする気持ちは分かります。しかし、テクニカルサポートに対して怒りをぶつけても状況は変わりません。かえってAmazon側に悪い印象を持たれてしまう可能性もあります。さらに怖いことは「出品者のアカウントが停止させられる」ということさえあり得るのです。
FBAで返品された商品が「販売不可在庫」と判定された!場合別の対処法4つ
返品されたFBA商品の状態によっては、「販売不可在庫」と判定されるときがあります。販売不可在庫と判定された場合は以下の方法で対処しましょう。
- Amazonに破棄してもらう
- 返品された商品を再出品する
- ジャンク品としてオークションサイトで売る
- すり替え詐欺が発覚した場合は補償申請をする
Amazonに破棄してもらう
1つ目がAmazonに破棄してもらう方法です。
販売不可在庫は最大で30日保管してもらえますが、その間も保管手数料がかかってしまいます。不良在庫の保管費ほど無駄な出費はないので、Amazonから販売不可在庫になった連絡が入ったらすぐに手続きをしましょう。
なお、高額商品の場合は返送してもらうこともできます。この場合でも30日をすぎると自動的に破棄されてしまうので注意が必要です。販売不可在庫になったら自動的に返送してもらうように設定することもできます。
なお、在庫破棄や返送はサイズや重量によって手数料がかかります。
FBA返送/所有権の放棄手数料(商品あたり) | ||
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サイズ | 重量 | 手数料 |
小型、標準サイズ | 0~200g | 商品1点あたり30円 |
201~500g | 商品1点あたり45円 | |
501~1,000g | 商品1点あたり60円 | |
1001g~ | 商品1点あたり100円+1,000gを超えた分の1,000gにつき40円 | |
大型および特大型 | 0~500g | 商品1点あたり80円 |
501~1,000g | 商品1点あたり110円 | |
1,001~2,000g | 商品1点あたり140円 | |
2,001~5,000g | 商品1点あたり200円 | |
5,001g~ | 商品1点あたり350円+5,000gを超えた分の1,000gにつき40円 |
返品された商品を再出品する
2つ目は返品された商品を再出品する方法です。販売不可在庫でも状態が良いものであれば、新品としては出品できなくとも中古品として再出品できます。
再出品の際は返送してもらい、必ず自分の目で検品するようにしましょう。
ジャンク品として他のサイトで売る
3つ目はジャンク品としてオークションサイトで売る方法です。返品された商品の状態があまりにも悪く中古品として売れない場合でも、ジャンクとしてなら売れます。
その際は、Amazonではなくメルカリやヤフオクなどのオークションサイトやフリマサイトで販売することになります。
返品すり替え詐欺が発覚した場合は補償申請をする
FBAで出品していると、返品すり替え詐欺に遭うことがあります。その際は泣き寝入りせずに、警察への届け出とAmazonへの補償申請をしましょう。
申請を行うときは、以下の3つをAmazonのサポートに伝えると手続きがスムーズに進みます。
- すり替えられた商品の写真
- すり替えられる前の商品の写真
- すり替えの詳しい経緯
悪質な購入者を寄せ付けない方法
ここまで、Amazonにおける詐欺の手口や、Amazonの独特なシステムによる出品者のリスクについてお話してきました。
それでは、「返品すり替え詐欺」に遭わないようにするには、どうしたらよいのでしょうか?
ここで紹介している対策を実施していけば、詐欺のリスクを減少させることができます。まだ、このようなトラブルに遭遇していない人も油断せずに対策を行っていきましょう。
シリアルナンバーを控えて牽制する
1つ目の対策は、「シリアルナンバーを控えている」旨を出品商品ページに一言付け加えておくことです。
シリアルナンバーとは、大量に生産される商品に一律でつけられている番号のことです。製品の管理や盗難・偽造などの防止に役立っています。日本のお札にも端の方に数字の羅列がありますが、あれがシリアルナンバーです。
このシリアルナンバーは偽装することができません。ですので、シリアルナンバーをメモして対策しているとアピールすることで、悪質な購入者を寄せ付けないようにすることができるのです。
商品の状態を細かく記録する
問題のない商品を発送したはずなのに、返品されてしまう……このような事態を防ぐには、発送前の商品状態を写真に収めておくのが有効です。これが2つ目の対策です。
新品の商品を送ったはずなのに、ズタズタにされた状態で「不良品だった」と返品されてきたらどうでしょう?先ほどの話の通り、Amazonの返品対応には不安な点が多くありますので、この状況でも返品が認められてしまう可能性があります。
そのような場合でも、事前に写真を撮っておけば、不条理な返品要求に対抗することができます。
また、写真だけでなく商品の状態について出品ページに事細かに記載しておくのも手です。特に中古商品を出品する場合は、もともとついている傷があるかもしれません。ですので、そういう特徴を写真と文章で押さえておき、トラブルに備えることが大切なのです。
安全な取引のために自己発送
先述した「自己発送」が、対策の3つ目です。
FBAは便利なので、利用している人も多いでしょう。しかし、返品を勝手に認めてしまうなど、出品者にとってリスクが付きまといます。そこで、自己発送に切り替えることも検討する必要があります。
自分で発送作業をしなくてはならないデメリットはありますが、高額商品を出品するときは安全な方法となります。返品対応も自分ですることになりますが、理不尽な理由での返品が避けられるという大きなメリットもあります。
FBAとの使い分けで、なるべくリスクの少ない取引を心がけましょう。
FBA発送と使い分けよう!自己発送のメリット
ここまでで、返品すり替え詐欺をはじめとするトラブルから自分を守るためには、「自己発送」が有効だということが分かりました。以下では、その自己発送をすることのメリットについてお伝えしていきます。
FBA倉庫への発送は不要
まずは、FBA発送と自己発送、それぞれの取引の流れについて説明します。
自己発送の場合は、セラーセントラルによる出品・受注を経て、自分で発送やその後の返品対応などにあたる流れとなります。
一方、FBA発送の場合は、最初に出品者が仕入れた商品をFBA倉庫に発送しておけば、在庫管理から受注、購入者への発送まで一括でAmazonが行うことになります。
したがって、自己発送の場合は、代金が支払われた時点ではじめて商品を送ればよいので、最初からFBAに発送する必要はありません。
仕入れてすぐ出品!出品ページへの反映スピード
自己発送のメリットの2つ目は、出品ページへ反映されるまでのスピードが早いことです。
せどりを行っている人にとって、出品するタイミングや時期はとても大切です。例えば、今すぐ出品したい!と思っていても、FBAを利用していると、先にFBA倉庫に納品する必要があるため、出品ページにその商品が反映されるまでに平均3日ほどかかってしまいます。このタイムラグのせいで、ライバルが先に多くの利益を上げていることも考えられます。
そのような場合には自己発送が有効です。自己発送は先にFBA倉庫に商品を送る必要はありません。商品登録をした時点ですぐに出品ページに反映されるので、売りたいタイミングで購入者に見てもらうことができるのです。
手数料が安く抑えられる
また、自己発送の場合にはほとんど手数料はかかりません。
一方、FBAを利用すると、配送代行手数料と在庫保管手数料がかかります。簡単に言うと、商品の梱包・配送やカスタマーサービスに対する手数料と、商品の保管や管理に利用される保管スペースに関する手数料です。大口商品の場合だと月額4,900円(税抜)が必ずかかるなど、様々な手数料が発生します。
このような手数料は、取引を繰り返すほど大きな出費となっていきます。その点でも、自己発送にはメリットがあると言えるでしょう。
送料を抑えられる
自己発送なら自分で送料を設定することができます。特に小型の商品を送る際は、クリックポストなら一律185円で済みますし、定形外郵便も、サイズによりますが比較的安く済ませられます。
小さめの商品を送る際は「自己発送」を選ぶことで送料を抑え、その分利益を生み出すことができるのです。
販路拡大に有効!併売に便利
最後のメリットは、自己発送の方が併売しやすいことです。自分の手元に在庫があるのですから、当然といえば当然のことです。
FBAの場合でも、「FBAマルチチャネルサービス」を利用することで併売が可能になっています。例えば、1つの商品をAmazonとヤフオクでそれぞれ出品していて、先にヤフオクの方に受注がかかった場合でも、AmazonがFBA倉庫から発送を代行してくれるというものです。
FBAマルチチャネルはとても便利なサービスですが、手数料がかかってしまうことや、Amazonとヤフオクで同時に売れてしまったときなどはデメリットとなります。
Amazonで手数料をかけずに取引をしたい人には、自己発送の方が向いているでしょう。
Amazonのシステムを理解して安全な取引をしよう!
AmazonのFBAは、とても便利な一方で、詐欺を働く悪質な購入者によって利用されてしまう怖い一面もあります。「返品すり替え詐欺」のような犯罪の被害に遭わないためにも、自分で事前の対策を心がけることが大切です。
FBAを利用するときは、出品の時点でシリアルナンバーを控えたり、商品の状態を細かく写真に残しておくなどの対策をしておきましょう。また、高額商品やシリアルナンバーのない商品の場合は自己発送にしたほうが無難です。
また、理不尽な理由による返品やキャンセルをテクニカルサポートに報告したとしても、補填してもらえるとは限らないので注意が必要です。
FBAと自己発送、それぞれのメリットとデメリットをしっかり理解したうえで、Amazonを使いこなしてくださいね。