日本から中国に輸出する際に知っておきたい関税の知識

この記事では、中国に日本から商品を輸出する場合の関税について解説しています。また厳密には関税ではないのですが、商品が中国国内に輸入された際に税関が徴収する税である輸入増値税や消費税についてもご説明します。

関税は複雑なものなので、この記事だけですべてを説明できるわけではありませんが、中国に物品を輸出することを考えていらっしゃる方は、是非参考にしてください。

目次

中国税関で課される3つの税

まず最初に、中国の税関で課される3つの税について説明します。

いわゆる関税(輸入関税)

中国には、輸入関税と輸出関税があります。日本から商品を輸出する際にかかるのは、輸入関税です。

他の国で課される関税と同様に、国内の産業の保護を目的としていて、輸入品の価格に応じて課される従価税、重量や面積などに応じて課される従量税、両者を併用する複合税があります。

贅沢品にかかる消費税

まぎらわしいのですが、中国で消費税というと贅沢品にかかる税金のことです。日本の消費税にあたるものは増値税といいます。

この消費税も輸入の際に課されます。課税品目が決まっていて、酒、タバコ、宝石、乗用車、高級腕時計などが対象になります。

日本の消費税に該当する輸入増値税

先ほどもお伝えしたように、増値税というのは日本の消費税にあたる税金です。物品の販売や役務の提供にあたって課されます。

増値税は輸入のときにも発生します。それが輸入増値税です。原則的には17%、一部の製品は13%が税率ですが、免除されるものや減税されるものもあります。

なお、中国への輸出で課される税金には、船の大きさに応じて課される船舶トン税というものもあります。

中国の関税率を知る方法

ここからは、個別の物品について関税率を調べる方法についてご説明します。

HSコードとは

関税率を調べるには、HSコードというものを知る必要があります。これは、「商品の名称及び分類についての統一システム(Harmonized Commodity Description and Coding System)に関する国際条約(HS条約)」に基づいて定められたコード番号です。

9桁または10桁の数字で表示されますが、最初の6桁までは各国共通になっています。それ以降の番号は、国によって異なります。

つまり、最初の6桁が分かれば、日本から輸出する場合も、日本に輸入する場合も共通して使えるコードです。

HSコードから中国の関税率を調べる

先ほどもご説明したように、HSコードの最初の6桁は各国共通ですから、中国語に堪能でなくても、HSコード日本の財務省のHPで調べることができます。

具体的には、実行関税率表を調べればわかります。調べたい品目のところの「税率」をクリックすると個々のHSコードが見られます。

ここで調べたHSコードを中国の税関のデータベースに入力すれば、関税率が分かります。こちらのサイトの使い方は、後で詳しくご説明します。

ただし、具体的にどの製品がどの品目に当たるかということは、素人では簡単にはわからないことがあります。この場合は税関に問い合わせる必要があります。

なお、HSコードや関税率などの中国との貿易に関する情報を英語で入手したいという場合には、「ETCN(E-to-China.com)」というサイトが利用できます。同サイトによれば、中華人民共和国税関総局の承認を受けた唯一のウェブサイトなので、英語なら得意という人は利用を検討してみる価値があります。

その他の関税率の調べ方

関税率を調べる方法としては、上記の中国税関のページを使う方法の他に、アメリカのFedEx Trade Networksが提供している関税率のデータベース「WorldTariff」を使う方法もあります。

こちらは本来有料のサービスですが、JETRO(日本貿易振興機構 ジェトロ)との契約で、日本の居住者であれば無料で使用できます。WorldTariffの使い方についても、後で詳しくご紹介します。

中国の関税率の調べ方その1 中国税関のデータベースを使う

ここからは、関税の調べ方について、より具体的に見ていきます。

実際に中国税関データベースを使ってみますので、例としてコンタクトレンズを挙げます。

コンタクトレンズは、財務省HP記載の実行関税率表では、第18部 第90類に記載があります。これによるとHSコードは900130です。正確には900130000ですが、前にご説明したように、国際的に共通しているのは最初の6桁までですから、900130だけで大丈夫です。

Firefoxをインストールする

中国税関のデータベースはChromeやChromeの技術を流用したEdgeなどGoogle系のブラウザとは相性が悪く、ページを開くことができません。そこで、Chromeの技術が使われてなく、かつ信頼性の高いブラウザFirefoxをインストールします。すでにFirefoxを使われている方はこの項目は飛ばして次の項目へ進んでください。

まず、Googleなどの検索エンジンでFirefoxと検索します。
検索結果の一番上にある「firefoxのダウンロード」をクリックします。

するとMozillaのホームページが開き、「今すぐダウンロード」というボタンがあるのでクリックします。

するとインストーラーのダウンロードが始まります。
後はインストーラーを開いて画面の指示に従うだけでインストール完了です。

この画面が出たら準備完了です。

データベースにアクセスする

まず、Firefoxで中国税関のデータベースを開いてください。

以下のようなページが表示されるはずです。

HSコードを入力する

上の画面が表示されたら、「税号」とあるのがHSコードを入力する欄です。900130を入力して、「查询」をクリックしてみてください。

より詳細な区分がある場合は選択する

今回のコンタクトレンズの場合は、それ以上の区分はありません。

例えば日本では「ガラス製の眼鏡用レンズ」はHSコード900140000の一種類しかありませんが、中国の税関のデータベースで900140と入れると、更に3種類に区分されています。こういった場合は、その中のどれに当てはまるかを調べる必要がある場合があります。

具体的な税率を確認する

この画面まで来たら、青い文字になっている「更多税率」をクリックすれば、実際の税率を見ることが出来ます。

上のような画面が表示されているはずですが、一番上が輸入関税の税率を示しています。最恵国税率というのは、WTOの加盟国や中国と関税互恵協定を結んでいる国からの輸入に対して課される税率です。日本からの輸入も、これに含まれます。

なお、普通税率は中国と優遇税制協定を結んでいない国からの輸入に関して課される税率で、暫定税率は最恵国からの一部の輸入商品に関して課される税率です。

2段目に書かれているのは、この記事でもご説明した消費税(いわゆる贅沢税)と増値税(日本の消費税に相当)です。

3段目に書かれているのは、アンチダンピング税。4段目は、輸出国で補助金を受けている場合に課される相殺措置税です。

5段目は、電子製品の回収のための基金と保障措置して課される税金。6段目は協定による税率。最後は輸出にあたって課される税率です。

中国の関税率の調べ方その2 WorldTariffを使う

ここからはもう一つの関税率の調べ方として、WorldTariffの使い方をご説明します。

ユーザー登録の方法

WorldTariffは、本来は有料のサービスですから、登録する際には、JETROのページから行ってください。JETROを経由すれば、無料で登録できます。

「ユーザー登録」をクリックすると、WorldTariffの登録ページに飛びます。

以下のような会員登録ページが開いたら、必要事項を記入してください。

登録が終わったら、IDとパスワードがそれぞれ別メールで届きます。これを使ってログインすることができます。

登録エラーになる場合

登録エラーになる場合は、先ほどご紹介したJETROのページに確認事項が記載されていますので、それを確認して再度試してください。

それでもダメなときは、ジェトロ貿易投資相談課(E-mail:csb-support@jetro.go.jp)に問い合わせてください。

関税率を調べる方法

こちらページにIDとパスワードを入力するコーナーがあります。

ここで、メールで送られてきたIDとパスワードを使ってWorldTariffにログインしてください。検索画面では、「テキスト検索」またはHSコードによる「番号検索」が使えます。

最初の欄には、調べたい国を入れます。今回の場合は、「China PRC」(中華人民共和国)です。

それ以下の部分は、調べたい輸出物品に関して分かる範囲で記入すれば大丈夫です。入力が終わったら「Submit」を押してください。

以下のような画面が表示されます。左から、HSコード、品目の詳細、課税単位、税率です。

HSコードのところは、輸出国別の関税率のデータへリンクしていて、クリックすると以下のような画面が表示されます。

各国から輸出する場合の関税率を見ることができますから、「Japan」を参照すれば関税率の内容をチェックすることもできます。

テキストに入力する内容やHSコードが分からない場合

WorldTariffのテキストは英語で入力する必要がありますから、自分が輸出したい物品の英語での名称がわからない場合もあるはずです。また、HSコードが分からない場合もあるでしょう。

このような場合は、テキストや番号は空欄のまま、下の画面にある「類/部名」「」を選んで検索する方法があります。

なお、この記事でも書いたように、HSコードの最初の6桁は各国共通ですから、日本の実行関税率表を使ってHSコードを調べる方法もあります。

関税以外の税金、その他の費用もチェック

WorldTariffでは、関税以外の輸入にあたって課される税金なども表示されるので、これらも忘れずにチェックしておきましょう。

具体的な税額の計算方法

税率の調べ方がわかったところで、ここからは具体的な税額の計算方法についてご説明します。

輸入関税について

まず輸入関税についてです。課税方式として価格に応じて課税する従価税、数量に応じて課税する従量税、両者を併用する複合税があることは、前にご説明した通りです。

従価税の場合、課税額は「関税価格×関税率」で決定されます。関税価格には、商品の取引価格に加えて、輸入品が着岸するまでの輸送費、その他の費用、保険費も含みます。

従量税の場合は、「単位ごとの税額×輸入数量」となります。

消費税について

従価税率で計算するものに関しては、「組成課税価格×消費税税率」となります。組成課税価格というのは、「課税価格+徴収関税」を「1-消費税税率」で割ったものです。

従量税率で計算するものに関しては、消費税額は「単位ごとの税額×輸入数量」となります。

輸入増値税について

日本の消費税に相当する付加価値税です。

増値税額は、「課税価格×適用税率」となります。課税価格は、「関税価格+関税+消費税」です。

【補足】従量税について

中国の関税等は、基本的に従価税です。多くの製品が、商品の価格に応じて課税されます。

ただし、一部の製品については、重量・面積・長さ・容積・数量などに応じて、定められた単位ごとに課税額が決められています。これが従量税です。

従量税が適用される物品

従量税および複合税が課される物品については、中国の国務院関税税側委員会という組織がリストを発表しています。

現在の最新のリストは、2016年1月1日から実施されている「2016年関税実施計画」というものです。附表2が従量税および複合税が課される物品のリストです。

このリストに掲載されていないものに関しては、従価税となります。具体的に従量税が課されるものには、冷凍した鶏肉、麦芽醸造ビールなどがあります。

参考:2016年関税実施計画

参考:同附表2

まとめ

中国に日本から商品を輸出する際の、関税等の税についてご説明しました。関税の仕組みは複雑なので、把握するのは難しいかもしれませんが、中国輸出をビジネスにする上では知っておきたい知識です。この記事を是非参考にしてください。

また、関税というものはその時期に応じて変動があるものですから、そのときの最新の情報をチェックすることも怠らないようにしてください。

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この記事を監修した人

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